HPのレノボの『Victus by HP 15L Gaming Desktop TG02-1000jp (インテル)』(以下、”Victus 15L(インテル)2023年モデル”)は、第13世代CoreプロセッサとRTX 30 / 40シリーズのGPUを搭載したエントリー(入門)向けのゲーミングPCです。ゲーミングPCを手頃な価格で入手したい人に向いています。
記事執筆時の価格
スペック | 価格 |
---|---|
RTX 4060 / Core i5-13400F / 16GB | 11万8085円 |
RTX 4060 Ti / Core i7-13700F / 16GB | 18万7000円 |
※2023年12月1日時点
エントリー向けの機種だけあって、機能やパフォーマンスはまずまずといったところ。拡張性については、やや難ありです。ただPCにあれこれ手をかけたくない人にとっては、お手軽&お手頃さが魅力に感じることもあるでしょう。
ポイント
- ✅標準的なゲーム性能
- ✅パーツ交換が面倒
- ✅筐体がコンパクト
- ✅セールでやたら安いことがある
この記事ではメーカーからお借りした実機を使って、本体の外観や機能、実際の性能についてレビューします。
Victus 15L(インテル)2023年モデル
おことわり
このレビュー記事では、メーカー貸し出し機材を1週間程度試用した上で作成しています。長期にわたって試用した際の耐久性については検証していません。あらかじめご了承ください。
スペック
発売日 | 2023年4月7日 |
---|---|
OS | Windows 11 Home |
CPU | Core i5-13400F / Core i7-13700F |
チップセット | H670 |
グラフィックス | RTX 3050(8GB) / RTX 4060(8GB) / RTX 4060 Ti(8GB) |
メモリー | 16GB ※DDR4-3200、最大32GB、スロット×2 |
ストレージ | 512GB SSD / 512GB SSD + 2TB HDD |
拡張スロット | PCI Express x16×1、PCI Express x1 ×1、M.2×2 |
ドライブベイ | 3.5インチ×1(HDD付きモデルは空き0) |
通信 | Wi-Fi 6、Bluetooth5.3、有線LAN(1Gb) |
サイズ / 重量 | 幅155mm、奥行き297.3mm、高さ337mm / 約6.31kg |
電源 | 500W 80PLUS BRONZE |
本体デザイン
外観と大きさ
LEDイルミネーション
インターフェースについて
パーツの交換について
本体の分解方法
メモリーの増設
SSDの増設
拡張スロット
CPUクーラー
電源
そのほかのパーツ
ベンチマーク結果
試用機のスペック
CPU | Core i7-13700F |
---|---|
メモリー | 16GB(8GB×2) DDR4-3200 |
ストレージ | 512GB SSD+2TB HDD |
グラフィックス | GeForce RTX 4060 Ti(8GB) |
※Windows 11の電源プランを標準の「HP推奨」、電源モードを標準の「バランス」に設定した上で、各種ベンチマークテストを実施しています
※ベンチマーク結果はパーツ構成やタイミング、環境、個体差などの要因で大きく変わることがあります
パフォーマンス設定について
HPのゲーミングPCには、設定ユーティリティ『OMEN Gaming Hub』が標準で収録されています。このソフトでは本体のパフォーマンスやライティングなどを調整可能です。今回は初期設定(通常のモード)パフォーマンス設定(ゲームに最適化されたモード)の2パターンでテストを行なっています。設定は基本的にCPU性能に影響するもので、グラフィックス性能への影響はあまりありません。しかしCPU依存が高いゲームやベンチマークテストでは、結果が大きく変わる場合があります。
CPU性能
CPUとしては、インテル第13世代のCore i5-13400F / Core i7-13700F使われています。Core i7-13700F搭載の検証機でCPUベンチマークテストを行なったところ、同じCPUの平均値をやや下回る結果が出ました。消費電力を制限する(あえてパフォーマンスを抑える)ことで、CPUを発熱を抑えているものと思われます。とは言え、ミドルレンジGPUでゲームを普通にプレーするぶんには、問題ないでしょう。
デスクトップPC向けCPUのマルチスレッド性能
CPU | 3DMark CPU Profile Max threads |
---|---|
Core i9-13900K |
16448
|
Core i9-13900 |
15209
|
Core i7-13700K |
12663
|
Core i7-13700F |
11926
|
Core i9-12900K |
11867
|
検証機(Core i7-13700F,初期設定) |
10704
|
Core i5-13600K |
10332
|
Core i7-12700K |
10136
|
検証機(Core i7-13700F,パフォーマンス) |
9936
|
Core i7-12700F |
9604
|
Core i5-13400F |
7354
|
Core i5-12400F |
5963
|
Core i3-13100 |
4226
|
Core i3-12100 |
4043
|
※スコアは3DMark公式サイトによる平均値
デスクトップPC向けCPUのシングルスレッド性能
CPU | 3DMark CPU Profile 1 threads |
---|---|
Core i9-13900K |
1208
|
Core i9-13900 |
1169
|
Core i7-13700K |
1149
|
Core i7-13700F |
1100
|
検証機(Core i7-13700F,初期設定) |
1094
|
検証機(Core i7-13700F,パフォーマンス) |
1093
|
Core i5-13600K |
1091
|
Core i9-12900K |
1091
|
Core i7-12700K |
1052
|
Core i7-12700F |
1022
|
Core i5-13400F |
969
|
Core i3-13100 |
941
|
Core i5-12400F |
913
|
Core i3-12100 |
901
|
※スコアは3DMark公式サイトによる平均値
グラフィックス性能
グラフィックス機能としては前世代のエントリー向けGPUである RTX 3050(8GB)と、現行ミドルレンジのRTX 4060(8GB) / RTX 4060 Ti(8GB)が使われています。
RTX 4060 Ti搭載の検証機で3Dベンチマークテストを行なったところ、同じGPUの平均値をわずかに上回る結果が出ました。CPUベンチマークテストではスコアがやや低かったものの、グラフィックス性能については問題ないようです。
デスクトップPC向けGPU性能(DirectX 12,WQHD)
GPU | 3DMark Time Spy Graphics |
---|---|
RTX 4090 |
36195
|
RTX 4080 |
28127
|
RTX 4070 Ti |
22746
|
RTX 3090 Ti |
21766
|
RTX 3090 |
19903
|
RTX 3080 Ti |
19600
|
RTX 4070 |
17840
|
RTX 3080 |
17654
|
RTX 3070 Ti |
14839
|
RTX 3070 |
13647
|
検証機(RTX 4060 Ti,パフォーマンス) |
13717
|
検証機(RTX 4060 Ti,初期設定) |
13593
|
RTX 4060 Ti(8GB) |
13447
|
RTX 3060 Ti |
11726
|
RTX 4060 |
10622
|
RTX 3060 |
8733
|
RTX 3050 |
6204
|
GTX 1650 |
3555
|
※スコアはUL Solutionsによる平均値
デスクトップPC向けGPU性能(DirectX 12 Ultimate)
GPU | 3DMark Speed Way Graphics |
---|---|
RTX 4090 |
10008
|
RTX 4080 |
7172
|
RTX 3090 Ti |
5885
|
RTX 4070 Ti |
5437
|
RTX 3090 |
5362
|
RTX 3080 Ti |
5303
|
RTX 3080 |
4604
|
RTX 4070 |
4438
|
RTX 3070 Ti |
3749
|
RTX 3070 |
3441
|
検証機(RTX 4060 Ti,初期設定) |
3268
|
検証機(RTX 4060 Ti,パフォーマンス) |
3261
|
RTX 4060 Ti(8GB) |
3159
|
RTX 3060 Ti |
2949
|
RTX 4060 |
2518
|
RTX 3060 |
2173
|
RTX 3050 |
1444
|
※スコアはUL Solutionsによる平均値
ゲーム性能
RTX 4060 Tiモデルでゲーム系ベンチマークを試したところ、フルHDであればそこそこ重いゲームでも普通に楽しめそうな結果が出ました。ただし重すぎるレイトレーシング対応タイトルについては、やや厳しいかもしれません。またそこそこ重いゲームでも、WQHD(2560×1440)でも楽しめそうです。
RTX 4060 Ti検証結果まとめ
- ・フルHDならだいたい快適
- ・重いレイトレはやや厳しい
- ・シューター系は平均200fps超
サイバーパンク2077 (重い / DX12)
解像度 / 画質 ※DLSS:自動, フレーム生成:オン | 平均FPS / 最低FPS |
---|---|
フルHD / レイトレーシング:オーバードライブ | 84.88 / 14.5 |
フルHD / ウルトラ ※レイトレなし | 158.98 / 67.89 |
Portal with RTX(激重)
解像度 / 画質 ※フレーム生成:オン | 平均FPS / 低位1% |
---|---|
フルHD / 最高画質 | ※起動せず |
エーペックスレジェンズ(中量級)
解像度 / 画質 | 平均FPS / 低位1% |
---|---|
フルHD / 最高画質 | 274 / 177.6 |
フルHD / 最低画質 | 299.1 / 193.4 |
※射撃訓練場で計測
Counter Strike 2(中量級)
解像度 /画質 | 平均FPS / 低位1% |
---|---|
フルHD / 最高画質 | 237.2 / 82.1 |
フルHD / 最低画質:低 | 323.5 / 150.8 |
※マップ「Dust II」で計測
アサシンクリード ミラージュ(激重)
解像度 /画質 | 平均FPS / 低位1% |
---|---|
フルHD / 最高 | 105 / 65 |
フルHD / 低 | 164 / 127 |
※解像度スケール:100%、ゲーム内ベンチマークを使用
スターフィールド(重い)
解像度 /画質 | 平均FPS / 低位1% |
---|---|
フルHD / ウルトラ | 58.3 / 46.2 |
フルHD / 低 | 94.2 / 67.6 |
※ニューアトランティスMAST地区屋外で計測、DLSS:バランス
Forza Motorsport(重い)
解像度 /画質 | 平均FPS / 最小FPS |
---|---|
フルHD / ウルトラ ※レイトレあり | 81.5 / 13.4 |
フルHD / 低 ※レイトレなし | 141.7 / 114.5 |
※解像度スケール:100%、DLSS:オート
熱と騒音について
※計測時の室温は21度。室温が変わると、異なる結果が出る場合があります
CPU温度
高負荷時におけるCPU温度を計測したところ、初期設定では平均66.89度、パフォーマンス設定では77.35度でした。全体としては、CPUの発熱は抑えられていると思います。
初期設定での消費電力を確認すると、テスト開始から13秒間程度は110~140Wで動作していたものの、それ移行は65W前後を推移していました。この電力制限によって、CPUの発熱と騒音が抑えられているものと思われます。
それに対してパフォーマンス設定では高出力状態が32秒程度と長く、また低出力状態でも100W前後を推移していました。CPUに特に高い負荷のかかるマルチスレッドのテストでは初期設定のほうが高いスコアが出ていることから、消費電力の高さによってCPUの熱が上昇し、逆にパフォーマンスに悪影響を与えているものと思われます。さらにパフォーマンス設定では駆動音が大きくなるので、初期設定を常用するほうがいいでしょう。
GPU温度
高負荷時におけるGPU温度の推移を計測したところ、初期設定で平均73.4度、パフォーマンス設定で平均73.3度と、ほとんど変わりませんでした。多少の差が出ているものの、ほとんど誤差レベルと考えていいでしょう。パフォーマンス設定を変更しても、GPU性能に差は現われないと思われます。
駆動音
※計測データを紛失してしまったため、この部分については細かく説明できません。ただゲームでは音は聞こえるものの、それほどうるさく感じませんでした。しかしCPUベンチマークテストでは、パフォーマンス設定だとかなりの大音量で聞こえたことを記憶しています。
手間のかからないお手軽ゲーミングPC
性能については、まずまずといったところです。CPUベンチマークテストのスコアはやや低かったものの、グラフィックス性能は十分。ゲーミングPCとして、しっかり活用できるでしょう。
ただ本体内部をイジるのに手間がかかる上に、ケースやマザーボード、電源などが独自規格のため、パーツを交換しながら使うのには向いていません。古くなって使わなくなったら、まるごと買い換えるくらいで考えたほうがいいでしょう。BTO PCのような購入時のパーツ選択が必要ないことも含めて、あまり手間をかけたくない人向きです。
ちなみにHPはときどき、ゲーミングPCをやたら安く販売することがあります。そんな激安セールのときが狙い目です。お得なセール情報については、当サイトのX(旧Twitter)アカウントで配信しているので、ぜひ参考にしてください。
ツイッターでこまめブログをフォローする
Victus 15L(インテル)2023年モデル
*
当サイトでは、パソコン・ガジェット関係のお買い得情報やレビューを公開しています。最新のお買い得情報はSNSやGoogleニュースでお知らせしているので、ぜひフォローをお願いします。
X(旧Twitter)でこまめブログをフォローする
Googleニュースでこまめブログをフォローする
関連記事
お買い得情報一覧
ゲーミングPC関連記事一覧