11/8に発売されたMac miniのベンチマークテストを行ないましたので、その結果を簡単に紹介します。スコアはWindows搭載のミニPCと比較しているので、気になる人はぜひ参考にしてください。Apple製品との比較は行なっていません。
今回のテストで使用したのは、最安のApple M4 / 16GBメモリー / 256GB SSDモデルです。モデルが変わると、ベンチマークスコアも変わる可能性があります。
主な仕様
CPU | Apple M4(10コア) | メモリー | 16GB |
---|---|---|---|
ストレージ | 256GB | 価格 | 9万4800円 |
CINEBENCH R24
CPU性能を計測する「CINEBENCH R24」の結果は、以下のとおり。マルチコアのスコアではほかの機種と拮抗していますが、シングルコアのスコアは飛び抜けて優秀です。ただWindowsは電力設定を比較的簡単に変えられるので、それを利用するとMac mini以外の機種はスコアがもうちょっと伸びるかもしれません。
ミニPCの性能比較
CPU | CINEBENCH R23 Score |
---|---|
Mac Mini(2024)(M4) |
174
938
|
NucBox M8 Plus(Ryzen 7 8845HS) |
105
939 |
Yoga Slim 7x Gen 9(Snapdragon X Elite X1E-78-100) |
106
898 |
IdeaPad Slim 5 Gen 8(Core Ultra 7 155H) |
105
897 |
Minisforum MS-01(Core i9-12900H) |
101
834 |
NucBox M7(Ryzen 7 PRO 6850H) |
91
740 |
GEEKOM GT13 Pro(Core i9-13900H) |
103
675 |
Yoga 7 2-in-1 Gen9(Ryzen 7 8840HS) |
97
665 |
※「S」はシングル、「M」はマルチ。スコアは当サイトの実機計測結果
Geekbench 6
こちらも同じCPU性能を計測するテストですが、計測方法が異なるためか、若干ことなる結果が出ています。このテストではARM系でスコアが伸びる傾向にありますが、M4 Mac miniでもかなり優秀な結果が出ました。特にシングルコアのスコアが圧倒的です。
ミニPCのCPU性能比較
CPU | CINEBENCH R23 Score |
---|---|
Mac Mini(2024)(M4) |
3871
15002
|
ASUS Vivobook S 15 S5507(Snapdragon X Elite X1E-78-100) |
2462
14463 |
Yoga Slim 7x Gen 9(Snapdragon X Elite X1E-78-100) |
2417
13142 |
NucBox M8 Plus(Ryzen 7 8845HS) |
2627
12769 |
Minisforum MS-01(Core i9-12900H) |
2393
12107 |
Yoga 7 2-in-1 Gen9(Ryzen 7 8840HS) |
2413
11137 |
※「S」はシングル、「M」はマルチ。スコアは当サイトの実機計測結果
PassMark
CPUの総合性能を計測するPassMarkの結果は、ハイエンド系のミニPCで使われている(または使われるであろう)上位CPUの平均値と比較してみました。最安モデルのM4は10コアですから、さすがにコア数の多いCPUには及びません。しかしシングル性能はダントツに高い点がポイントです。上位CPUを搭載した機種との値段差を考えると、かなりの高コスパと言っていいでしょう。
ミニPCの性能比較
CPU | PassMark CPU Marks |
---|---|
Mac Mini(2024)(M4) |
4834
23522
|
Ryzen AI 9 HX 370 |
4014
35325 |
Ryzen 9 8945HS |
3865
29478 |
Ryzen 7 8845HS |
3780
28929 |
Core i9-13900H |
3843
28741 |
Core Ultra 7 155H |
3524
24990 |
Core Ultra 7 258V |
3855
19539 |
Core Ultra 9 288V |
4611
19288 |
N100 |
1944
5508 |
※「S」はシングル、「M」は総合。そのほかのスコアはPassMarkの平均値で、実機の結果ではありません
熱と騒音について
テスト中に駆動音や筐体の熱をチェックしていたのですが、M4 Mac miniは驚くほど静かで熱もほとんど上がりませんでした。CPUベンチマークテストでのことなので、作業が変われば状況も変わるかもしれません。しかし同じテストをWindows搭載ミニPCで行なえば、ほとんどの機種で駆動音は大きく、筐体もそれなりの熱を持つ帯びます。その点においては、M4 Mac miniは非常に優秀だと思われます。
Windows系ミニPCのピンチでは?
とりあえず今回は、CPUベンチマークの結果だけお届けしました。今後はAdobe系やゲーム系のベンチマークを行なうつもりなのですが、いかんせん筆者がMac初心者のため、うまくできるかわかりません。そのときはまた別にまとめた記事を公開するので、気長にお待ちください。
それにしても、今回は驚くべき結果でした。約10万円の最安モデルを使ったのですが、CPUベンチマーク的には価格以上の結果が出ていると言っていいでしょう。その上、Windows系ミニPCよりも圧倒的に静かで熱も低めですから、ぶっちゃけ「もうこれでいいんじゃない?」と言いたくなるほどです。
こういう話になると「いやいやゲームができないから」って意見も出てきますが、フレームレートにこだわらないならクラウドゲーミングでも十分じゃないですかね? それとWindows搭載のミニPCも、もともとゲーム向けではありませんし。
筆者はミニPCをいろいろと紹介してきましたが、10万円クラスのミニPCの立場が非常に厳しくなっている気がします。Mac OSに乗り換える勇気さえあるなら、いまのところベストチョイスに近いかもしれません。まあもう少し使い込んで、Windows搭載ミニPCのメリットについても考えてみたいと思います。