上質なデザインが特徴の日本HP製13.3型ノートパソコン「HP Spectre 13」には、CPUにCore i7-6500Uを搭載したモデルと、Core i5-6200Uを搭載したモデルの2種類が用意されています。価格が安いのはCore i5モデルですが、Core i7モデルの性能の高さも気になるところ。購入にあたって、どちらを選ぶべきか迷っている方もいるのではないでしょうか。
そこで今回はメーカーからお借りした2台の実機を使って、Core i7モデルとCore i5モデルの性能の違いを検証しました。購入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
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HP Spectre 13 Core i7/Core i5搭載モデルのスペック
まずは、Core i7搭載モデルとCore i5搭載モデルのスペックから確認してみましょう。正式名称はCore i7モデルが「HP Spectre 13-v007TU」、Core i5モデルは「HP Spectre 13-v006TU」ですが、便宜上わかりやすく「Core i7モデル」および「Core i5モデル」と表記します。
HP Spectre 13の主なスペック | ||
HP Spectre 13-v007TU (Core i7モデル) |
HP Spectre 13-v006TU (Core i5モデル) |
|
---|---|---|
OS | Windows 10 Home 64ビット | |
CPU | Core i7-6500U(2.50GHz) | Core i5-6200U(2.30GHz) |
メモリー | LPDDR3 8GB | |
グラフィックス | Intel HD Graphics 510(CPU内臓) | |
ストレージ | 512GB M.2 SSD(PCIe NVMe) | 256GB M.2 SSD(PCIe NVMe) |
光学ドライブ | なし | |
ディスプレイ | 13.3型、1920×1080ドット、IPS、光沢あり、Gorillaガラス4使用 | |
有線通信機能 | 非対応 | |
無線通信機能 | IEEE802.11a/b/g/n/ac対応無線LAN+Bluetooth 4.2 | |
主なインタフェース | USB3.1 Type-C×3(うち2ポートはThunderbolt 3対応)、ヘッドホン出力 | |
Webカメラ | 92万画素 | |
バッテリ駆動時間 | 9時間(MobileMark 2014) | |
本体サイズ/重量 | 幅325×奥行き229×高さ10.4~11.2mm/1.11kg | |
直販価格(税別) | 13万9800円(送料&税込み15万4224円) | 15万9800円(送料&税込み17万5824円) |
上記の表をご覧いただくとおわかりのように、Core i7モデルとCore i5モデルのスペックはほぼ同じで、CPUとストレージの容量が違うだけです。価格差は2万円程度ですので、CPUとストレージにこれだけの差額が生じていることになります。
基本のベンチマーク結果をチェック
まずはパソコンとしての基本性能を計測する、各種ベンチマークソフトの結果を紹介しましょう。なお今回の検証ではCore i7モデルは日本語版、Core i5モデルでは英語版を利用しています。ベンチマーク結果はパーツ構成や環境、タイミングなどによって大きく変わることがあるので、あくまでも参考程度に捉えてください。
Windowsエクスペリエンスインデックス
Windows 10の快適さを計測する「Windowsシステム評価ツール(WinSAT.exe)」では、以下の表の結果となりました。ストレージ性能(プライマリハードディスク)以外の項目で0.1ポイント上がっている程度です。Windows 10を使うなら、Core i7でもCore i5あまり変わらないという結果です
試用機のWindowsエクスペリエンスインデックス | ||
Core i7モデル | Core i7モデル | |
---|---|---|
プロセッサ(CpuScore) | 7.5 | 7.4 |
メモリ(MemoryScore) | 7.9 | 7.8 |
グラフィックス(GraphicsScore) | 5.9 | 5.8 |
ゲーム用グラフィックス(GamingScore) | – | – |
プライマリハードディスク(DiskScore) | 8.85 | 8.85 |
CINEBENCHベンチマーク結果
CPUの計算性能を計測する「CINEBENCH」のベンチマークでは、Core i7-6500UとCore i5-6200Uでそれほど大きな差は出ませんでした。コアの性能(CPU Single core)はCore i7-6500Uのほうが上ですが、総合的な性能ではCore i7-6500UがCore i5-6200Uを少し上回る程度の結果です。
CrystalDiskMarkベンチマーク結果
ストレージのアクセス速度を計測する「CrystalDiskMark」を試してみたところ、Core i7モデルのほうがCore i5モデルを若干上回る結果となりました。試用機で使われていたのはどちらもサムスン製のPM951シリーズですが、SSDは容量が大きいほどアクセス速度が速くなる特性があり、その影響が出ているものと思われます。ただし実際に使ってみたところ、速度の違いをはっきりと体感できるほどではありませんでした。
PCMark 8ベンチマーク結果
総合的な性能を計測する「PCMark 8」では、Core i5モデルよりもCore i7モデルのほうが優れた結果が出ています。しかしその差はわずかで、それぞれのテストで4~6%程度の違いでしかありません。やはり体感速度的には、ほとんど変わらないレベルだと思います。
「PCMark 8」ベンチマーク結果 | ||
Core i7モデル | Core i5モデル | |
---|---|---|
Home conventinal 3.0 | 2878 | 2724 |
Home accelerated 3.0 | 3619 | 3485 |
Creative conventinal 3.0 | 2734 | 2574 |
Creative accelerated 3.0 | 4226 | 4036 |
PassMark PerfomanceTest 8.0ベンチマーク結果
「PassMark PerfomanceTest 8.0」の結果を比較してみたところ、一部のテストではCore i7モデルのほうがCore i5モデルをスコアで10%程度上回っているものがありました。ちなみにCore i7モデルのほうがストレージ性能(Disk Mark)が低くなっていますが、ベンチマーク中になにかほかのプロセスが動作していたのかもしれません。
確かにCore i7のほうが高性能だが、体感速度は変わらないかも
基本性能を計測するベンチマークテストでは、Core i5モデルよりもCore i7モデルのほうが高性能という結果となりました。しかしその差はごくわずかで、性能の違いを体感できるかどうかは微妙なところです。処理の重いソフトを使うことがあるなら少しでもパワフルなほうが有利ですが、標準的な作業であればCore i5モデルでも十分だと言えるでしょう。
ゲーム系ベンチマークの結果をチェック
続いて、ゲームの快適さに強く影響する3D描画性能についての検証結果を紹介します。HP Spectre 13は本来ゲームを楽しむためのモデルではないので、あくまでも参考程度にとらえてください。
3DMarkベンチマーク結果
総合的な3D性能を評価する「3DMark」では、Core i5モデルのほうがCore i7をやや上回る結果が出ています。Core i7のスコアが低いのはバックグラウンドでのプロセスが関係しているのかもしれませんが、ひょっとすると内部の熱が影響している可能性もあります。どちらにしても、ゲームをがっつりと楽しむにはやや厳しい性能です。
ドラクエ10ベンチマーク結果
「ドラゴンクエストXベンチマークソフト」では、Core i7モデルのほうがやや高いスコアが出ました。このベンチマークではCPU性能が強く影響するため、計算性能の高いCore i7を搭載しているほか有利なのかもしれません。両モデルとも性能的に1920×1080ドットでは厳しく、1280×720ドットならそこそこ快適に動くでしょう。
FF14ベンチマーク結果
「ファイナルファンタジーXIV:蒼天のイシュガルド ベンチマーク」では、どちらも1280×720ドットの標準画質で「快適」という評価となりました。スコアから見て、これ以上解像度や画質を上げるのは厳しいでしょう。
スコアを見ると、Core i5のほうがCore i7モデルよりも高い結果が出ています。性能だけで考えればCore i7のほうが上のような気がしますが、なんらかの要因が関係しているのでしょうか。
国内で人気のゲームなら解像度の調整で遊べる
HP Spectre 13はグラフィックス機能としてCPU内蔵のIntel HD Graphics 520を利用するため、3Dゲームをがっつり楽しめるほどの性能はありません。しかし軽めに作られている国内向けの人気タイトルなら、解像度や画質を低めに調整することで、ある程度楽しむことができます。息抜き程度にプレーするなら、問題はないでしょう。
発熱をチェック
ここで、高負荷時におけるCPUの動作状況を確認してみましょう。下のグラフは、「PCMark 8」の「Creative accelerated」実行中のCPU動作周波数(紫の線)とCPU温度(緑の線)、GPU温度(青の線)を表わしたグラフです。
Core i7モデルでは、ベンチマーク中にCPUの最高温度が80度にまで達しています。またGPU温度が70度あたり達したところで、CPUの動作周波数を落としてCPUとGPUの温度を下げるという温度管理が行なわれていました。この影響により、GPUを利用する場面ではCore i7のほうがスコアが低い結果になっています。
Core i5-6200UよりもCore i7-6500Uのほうが動作周波数は高いため、発熱量も大きくなります。この熱によって、Core i7-6500Uの本来のパフォーマンスを出せていないのかもしれません。
ただ512GB SSDを搭載したCore i7モデルのほうがストレージ性能が高いため、熱によるCPU性能の低下を補うことで、総合的なパフォーマンスが高くなっている可能性があります。
バッテリー駆動時間をチェック
カタログ上の公称値としては、Core i7モデル/Core i5モデルともに最大バッテリー駆動時間は9時間とされています。そこで実際の駆動時間を計測するために以下の条件でテストを行なったところ、Core i7モデルでは7時間54分、Core i5モデルでは8時間34分でバッテリー切れとなりました。
バッテリー駆動時間の計測条件
- Windows 10の電源プランを「省電力」に変更
- 無線LANおよびBluetoothを有効化
- ボリュームは50%に調整
- 液晶ディスプレイの明るさを40%に設定
- 明るさの自動調節機能をオフ
- 「BBench」の10秒ごとのキー入力と60秒ごとのWebアクセスを有効化
- 満充電の状態から「BBench」を使ってテストを行ない、休止状態へ移行するまでの時間を計測
Core i5モデルのほうが駆動時間が長いので、これも熱による影響なのかと思ったのですが、バッテリー容量を確認してみたところ、なぜかCore i5モデルのほうが容量が多くなっていました。これは個体差によるものか、あるいはCore i7モデルのバッテリーが少し劣化したからかもしれません。
コストパフォーマンスはCore i5モデルのほうが高い
ということで、今回はHP Spectre 13のCore i7モデルとCore i5モデルの性能を比較しました。基本性能としてはあまり差はなく、グラフィックス性能ではCore i5のほうが高いとなると、総合的なコストパフォーマンスはCore i5モデルのほうが優れていると言えます。
ただしCore i7のほうがCPUの計算性能は上であり、またより容量が大きく高速なSSDを搭載している点も見逃せません。2万円程度の差なら、少しでもパフォーマンスを高くするためにCore i7モデルを選ぶのも大いにアリでしょう。
筆者としてはどちらもおすすめなのですが、個人的な感想を言わせていただくなら、「やっぱりCore i7にしておけばよかったな~」と後悔したくないので、Core i7モデルを選びます。なんと言っても、512GBのSSDは容量が大きくて便利ですからね。
なおHP Spectre 13は日本HPの直販サイト「HP Directplus」で購入可能です。支払い方法や納期などについては、商品ページからご確認ください。
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