アマゾンの「Fire HD 8」は、8型(解像度1280×800ドット)の液晶ディスプレイを搭載するタブレットです。ラインナップとしてはストレージ容量が16GBのモデルと32GBのモデルが用意されており、16GBモデルは1万2980円(プライム会員ならクーポン利用で8980円)、32GBモデルは1万5980円(プライム会員ならクーポン利用で1万1980円)で販売されています。
今回は新しく発売されたFire HD 8に関して、本体デザインや従来モデルとの違い、各種ベンチマークテストの結果などを紹介します。先に結論を言ってしまうと、コストパフォーマンスが異常に高く、特にアマゾンを利用している人なら入手するべき製品でしょう。7型のFireタブレットから乗り換えるのも大いにアリです。ぜひ検討してみてください。
https://komameblog.jp/review/fire8hd-2017/
箱はおなじみの紙パッケージ
アマゾンのFireタブレットは価格が安いだけあって、立派な化粧箱ではなく紙バッグのようなパッケージに入っています。2015年発売の7型Fireタブレットでも同じでしたね。出してしまえばあとは使わないので、合理的といえば合理的です。
これがFire HD 8のパッケージ。Fireシリーズではおなじみの、オレンジのカラーです。
ちなみに2015年発売のFire HD 10と7型Fireタブレットのパッケージはこんな感じです。
テープをビリビリと引っ張って、中身を取り出します。
箱の中身はこんな感じです。ちなみに筆者はアマゾン製のアダプターを、あと4つ持っています。さすがにもういらないかも。
片手でも(なんとか)ホールドできる大きさ
Fire HD 8の本体サイズは幅128×奥行き214×高さ9.2mmです。男性ならなんとか片手でつかめる大きさといったところ。7型のFireタブレットのほうがコンパクトですが、Fire HD 8のほうが画面が大きく、しかも本体が薄い点で勝っています。
Fire HD 8(左)と7型Fireタブレット(右)との大きさの違いは以下の写真のとおりです。背面にはFireタブレットと同じく、樹脂(プラスチック)素材が使われています。高級感はありませんが、メチャメチャ安っぽいというわけでもありませんでした。
Fire HD 8は大人の手でなんとかホールドできる大きさです。
こちらは7型Fireタブレットの大きさ。8型に比べて楽につかむことができます。
本体の厚さはスペック上で9.2mmとされていますが、実測では9.5mmでした。7型Fireタブレットとは1.4mmしか違いませんが、実際に持ってみるとFire HD 8のほうがだいぶ薄く感じます。
Fire HD 8(左)と10.1型のFire HD 10(右)の大きさの違いは以下の写真のとおりです。10.1型よりもだいぶコンパクトであることがわかります。
9.7型のiPad Air 2とも大きさを比べてみました。
本体の左側面には、両端にスピーカーが配置されています。
右側面にはカバーの下にmicroSDメモリーカードスロットが用意されています。メモリーカードの最大容量は200GBです。アプリや写真、動画などを大量に保存したい場合は、別途microSDメモリーカードを用意してください。
底面部には端子/ボタン類はありません。
天面部には左からヘッドホン出力、音量調節ボタン、microUSB端子、電源ボタンと並んでいます。
アマゾンのアカウントが登録済み
Fire HD 8は電源をいれてネットに接続したあと、簡単な初期設定を行なうだけでスグに使い始められます。すでにアカウントが登録されているので(おそらく端末固有のシリアルナンバーとアマゾンアカウントが紐付けられている)、ログイン用のアカウントやパスワードを入力する必要はありません。
ログインの手間がないのは便利といえば便利なのですが、ちょっとした注意が必要です。たとえば購入したFire HD 8をそのまま誰かにプレゼントすると、購入履歴や閲覧履歴などが知られてしまいます。買い物やアプリの購入などもできるので、一度アカウントをリセットしてから渡すようにしてください。
ということで、まずは初期設定を行ないます。電源を入れると、初期設定画面が表示されました。
はじめに表示する言語を選んでから、Wi-Fi(無線LAN)に接続します。なおこの画面では、無線LANルーターのWPS機能を使えませんでした。パスワード入力が面倒ならこの画面をスキップして、あとからWPSで接続したほうが楽かもしれません。
ネットに繋がると、アカウントの確認が行なわれます。本人の場合は「はい」をタップしてください。譲り受けた端末の場合は、「いいえ」をタップすればOK。以前にFireシリーズを使ってバックアップを実行している場合、そのときの状態に変更することができます。
最後にオプション設定やSNSとの連携を行なえば、初期設定は終了です。
初期設定画面は、2015年モデルに比べてわかりやすくなっている印象を受けました。特に難しい項目はないので、詳しくない方でも問題なく進められるでしょう。
液晶ディスプレイは色温度がやや高め?
Fire HD 8では液晶ディスプレイに、8型で1280×800ドットのIPSパネルが使われています。IPSパネルは視野角が広く、鮮やかで自然な発色が特徴。Fire HD 8の液晶ディスプレイは明るく色合いは自然なのですが、ほかのタブレットと比べると色温度がやや高い(暖色系にかたよっている)印象を受けました。
とは言え、特に気になるわけではありません。なにより、価格の安さを考えれば納得できる範囲内だと思います。
ということで、まずは液晶ディスプレイの映像を7型Fireタブレットと比較してみました。Fire HD 8のほうが、いくらか色合いが暖色系になっていることがおわかりいただけるはずです。
Fire HD 8の画面は色温度が高いだけでなく、2015年モデルよりもやや明るくなっています。輝度を最大にしたところ、映像のシャープさが損なわれるほど明るくなりました。ハッキリとした映像が好みなら、輝度を抑えたほうがいいかもしれません。
ちなみにFire HD 8には照度センサーが搭載され、輝度を自動で調節できるようになりました。2015年モデルでは対応していません。
7型Fireタブレットでは画面がFire HD 8よりもやや暗く、さらに青みが強く出ています。
写真を表示すると、それぞれの違いがよくわかります。Fire HD 8では映像がやや黄色がかっているのがおわかりいただけるでしょう。どちらがいいかは、好みの問題です。
続いて、Fire HD 8とiPad Air 2の映像を比べてみました。コントラストはiPad Air 2のほうが高く、色の再現性にも優れています。iPad Air 2は解像度が高いこともあって、グラデーションの階調表現がFire HD 8よりも精細に出ています。
カラーグラデーションではよく見ないと違いがわかりませんでしたが、写真を表示すると明らかにiPad Air 2のほうが優れていることがわかりました。Fire HD 8だけを見れば自然な色合いに感じるのですが、iPad Air 2と比べると黄色が強く出過ぎている印象を受けます。とは言え、値段が違うことを考えれば映像品質の違いも仕方がないことかもしれません。
またFire HD 8では表面のパネルと液晶のあいだに、わずかなすき間が存在しているようです。このあたりも、映像品質に影響しているかもしれません。ただし液晶ディスプレイに視差はほとんどなく、自然に操作することができました。
性能はNexus 7(2013)よりやや上?
続いて、各種ベンチマークソフトの結果を紹介しましょう。Fire HD 8では動作周波数が1.3GHzのクアッドコアプロセッサーが使われており、また従来モデルの1.5倍となる1.5GBのメモリーを搭載しています。2015年発売のFire HD 8やFire HD 10モデルに比べてスペックアップしていますので、快適さの向上も期待できそうです。
まずはGeekbench 3の結果から。システム情報を確認したところ、Fire HD 8ではSoC(プロセッサー)にMediaTek MT8163が使われていました。内蔵GPUはMali-T720です。
シングルコアのスコアは「649」で、マルチコアのスコアは「1895」でした。2015年モデルのFire HD 10(MediaTek MT8135)で同じテストを行なったところ、シングルコアで「763」、マルチコアで「1490」という結果が出ています。2015年発売のFire HD 10とFire HD 8では同じSoCが使われていますので、新旧Fire HD 8の比較結果と考えてもいいでしょう。
前モデルのほうがシングルコアのスコアが高いのは、1.5GHzのコアが使われているためだと思われます(MediaTek MT8135は1.5GHz×2+1.2GHz×2の構成)。ただしマルチコア性能になると1.3GHz×4構成のFire HD 8のほうがスコアが優れているようです。
なおFire HD 8の結果をほかのモデルと比較したところ、Nexus 7(2013)やGalaxy S4よりもやや上とのことでした。3年前のフラグシップモデルと同等レベルと考えると、コストパフォーマンスは十分高いように感じます。
「PassMark Perfomance Test Mobile」のベンチマーク結果は、以下のとおり。
こちらは「Quadrant Standard Edition」のベンチマーク結果。当たり前ではありますが、数年前のモデルと比べて、はるかに高い性能を持っています。
「3DMark」のベンチマーク結果は、あまりよくありませんでした。ゲームによっては、動きが遅く感じるかもしれません。
3D性能を計測する「GFXBench GL Benchmark」でも、低めの結果が出ています。
そのほかのベンチマークテストについては、引き続き検証中です。なお定番のAntutuベンチマークは残念ながら動作しませんでした。
カメラ機能はオマケ程度
Fire HD 8にはフロントカメラとリアカメラが用意されていますが、あまり品質が高くなくスナップ撮影用には向いていません。フロントカメラをビデオチャット用に使ったり、とっさのときのメモ代わり程度に考えたほうがいいでしょう。
カメラアプリの機能も、非常にシンプルです。必要最低限といったところですので、あまり期待しないほうがいいかもしれません。
リアカメラの有効画素数は2Mピクセルです。解像度は1600×912ドットで、実際に撮影してみたところちょっとボンヤリした印象を受けました。撮影条件が変われば品質も変わってくるかもしれませんが、気軽に高品質な写真を撮るのはムリのような気がします。
アプリに用意されているHDR機能を使ってみたところ、「なんじゃこりゃ」的な写真になってしまいました。筆者がイメージするHDR写真とだいぶかけ離れている気がします。
書類やチラシなどを撮影して簡単なメモ代わりに使えますが、比較的明るい場所でも暗くなってしまいます。明るい場所でかなり寄って撮影する必要がありそうです。
Fireタブレットよりも画面が大きくスペックも高い!
ということで、今回はアマゾンのFire HD 8についてレビューしました。7型のFireタブレットよりも画面が大きくてパフォーマンスに優れているので、じっくりと使うなら8型のほうが使い勝手が良さそうです。そのぶん値段は高くなりますが、十分検討に値する出来栄えだと思います。
アマゾンFire HD 8 2016年モデルのスペック | |
製品名 | Fire HD 8(2016年モデル) |
---|---|
OS | Fire OS 5.3.1.0(2016年9月21日時点) |
プロセッサー | 1.3GHz クアッドコア(MediaTek MT8163) |
メモリー | 1.5GB |
ストレージ | 16GB(空き容量は約11.1GB)/32GB(空き容量は約25.3GB) |
ディスプレイ | 8インチ、1280×800ドット(189dpi)、IPS |
バッテリー駆動時間 | 最大12時間(Web、動画視聴時) |
無線機能 | IEEE802.11a/b/g/n、Bluetooth |
カメラ機能 | フロント:VGA、リア:2メガピクセル |
インターフェース | microSDカードスロット(最大200GB)、microUSB、ヘッドホン出力 |
センサー | アクセロメーター(加速度センサー)、ジャイロスコープ、環境光センサー |
サイズ | 幅214×奥行き128×高さ9.2mm |
重量 | 341g |
価格(税込み&送料込み) | 1万2980円(16GB)/1万5980円(32GB)※プライム会員ならクーポン利用で4000円オフ |
関連記事