※このモデルはすでに販売が終了しています
税込み7万円前後の格安ゲーミングノートPCを検証
自称、”格安PCウオッチャー”のこまめブログ管理人(@littlebeansinfo)です。普段は2~5万円程度の格安モデルを自腹で購入して検証しているのですが、今回紹介するのは税込み7万円前後のモデル。デルの「Inspiron 15 5000 ゲーミング」を取り上げます。もちろん、自腹購入品です。
7~8万円も出せばそこそこの性能のノートパソコンをゲットできます。しかしゲーム用のノートパソコン、いわゆる”ゲーミングノートPC”となると、15万円前後が標準的。11~12万円台で格安と言っていいレベルです。
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ですが、今回取り上げるInspiron 15 5000 ゲーミングは、価格の安い下位モデルなら税込み7万円前後で購入可能。15万円あたりが相場のGeForce GTX 1000シリーズ搭載最新モデルと比べれば、超激安と言えるわけです。そんなわけで実際の使い勝手を検証するために、人柱として自腹で購入しました。
で、実際の性能はどうなんだという話ですが、先に結論から言ってしまうとドラクエ10やFF14ならフルHDで快適に遊べるレベルでした。海外の大作ゲームはちょっと厳しいのですが、国内で人気のタイトルならまず問題なく楽しめます。中規模クラスのゲームを楽しむにはちょうどいいスペック。GTX 1000シリーズ搭載で10万円超えのゲーミングノートPCが多いなか、エントリー向けに価格を抑えた戦略的なモデルと言えるのではないでしょうか。
前置きが長くなってしまいましたが、今回はこのInspiron 15 5000ゲーミングについて、ゲーム系ベンチマークやFPS計測結果を中心にレビューをお届けします。
この記事の目次
Inspiron 15 5000 ゲーミング
税込み7万円前後から
Inspiron 15 5000ゲーミングのスペック
Inspiron 15 5000ゲーミングにはCPUにAMDの「AMD A-10 9630P」を搭載したプレミアムモデルと、上位CPUの「AMD FX 9830P」を搭載したプラチナモデル、上位のグラフィックス機能を搭載したプラチナ・RX560搭載モデルの3種類が用意されています。それぞれの違いは、以下の表のとおりです。
CPU | プレミアム (下位モデル) | プラチナ (中位モデル) | プラチナ・RX560搭載 (上位モデル) |
---|---|---|---|
CPU | AMD A-10 9630P | AMD FX 9830P | |
グラフィックス | AMD Radeon RX460(4GB) | AMD Radeon RX560(4GB) | |
メモリー | DDR4 PC4-19200(2400MHz) 8GB(最大32GB) | ||
ストレージ | 1TB HDD | 256GB SSD | |
光学ドライブ | なし | ||
ディスプレイ | 15.6型、1920×1080ドット、TNパネル、非光沢 | ||
無線機能 | IEEE802.11a/b/g/n/ac対応無線LAN(11ac時最大867Mbps)、Bluetooth 4.1 | IEEE802.11a/b/g/n/ac対応無線LAN(11ac時最大433Mbps)、Bluetooth 4.1 | |
インターフェース | USB3.0×3、HDMI、有線LAN、SD/SDHC/SDXC対応メモリーカードスロット、ヘッドホン出力 | ||
バッテリー | 74Whr | ||
サイズ/重量 | 幅383×奥行き265×高さ25.3mm/約2.47kg~ | ||
実売価格 | 7万円前後 | 7万円台 | 8~9万円台 |
このモデルのポイントは、CPUとdGPU(外部グラフィックス機能)にAMDの製品を使っている点です。AMD製品はコストパフォーマンスが高い点が特徴で、最近ではデスクトップPC向けのCPU「Ryzen」シリーズをリリースしました。ゲーミングノートPCではIntel+NVIDIAの組み合わせがスタンダードというか9割がたを占めているので、かなり珍しいモデルです。
ちなみにグラフィックス機能を内蔵するAMD製品は「CPU」ではなく「APU」が正式名称ですが、わかりづらくて面倒なので、この記事ではCPUと表記します。
メモリー容量は、ゲーミングノートPCとしては最低限の8GBです。本体底面のカバーを開くと、メモリースロットが2ポート用意されていました。とりあえず手持ちの8GB×2を挿してみたところ、すんなりと認識。メモリーの増設は簡単です。
ストレージは下位モデルが1TB HDD、中位モデルと上位モデルが256GB SSDです。ゲームを何本もインストールするなら容量が大きい方が有利ですが、HDDはアクセス速度が遅いというデメリットがあります。中位モデルと上位モデルのSSDも容量が256GBで、個人的にはちょっと足りない感じです。
もし容量が足りないと感じたら、自分でSSDを追加するといいでしょう。Inspiron 15 5000ゲーミングでは2.5インチ用とM.2用のストレージを利用できますので、どちらかにSSDを増設すればOKです。HDD搭載の下位モデルでは2.5インチのHDDが搭載されていましたが、SSD搭載モデルではM.2のSSDが使われているかもしれません。あらかじめ底面カバーを取り外して、SSDの種類を確認しておいてください。
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今回筆者が購入したのはプレミアムモデルで、もっとも性能が低いモデルです。価格は安いのですが、中位/上位モデルとあまり値段が変わりませんので、より性能の高いモデルをおすすめします。
じゃあなんで下位モデルを買ったのかですって? そりゃ、安いモデルでどこまで動くのかを調べるほうが楽しいじゃないですか。
ベンチマーク結果について
筆者がInspiron 15 5000ゲーミングを検討している際に困ったのが、AMD A-10 9630P(またはAMD FX 9830P)とRadeon RX460でどこまでのパフォーマンスが出るのかまったくわからなかった点です。特にRadeon RX460はデスクトップPC版の情報は見つかるのですが、モバイル(ノートPC)版のベンチマーク結果は海外のサイトでも見つけられませんでした。
そのため今回のベンチマーク結果は数少ない貴重なデータだと言えるわけですが、結果はパーツ構成や環境、タイミングによって大きく変わることがありますので、あくまでも参考程度にとらえてください。
AMD A-10 9630Pの性能について
CPUの計算性能を計測する「CINEBENCH R15」では、マルチコア性能を表わす「CPU」が「265」でした。このスコアがどれくらいのものなのか、当サイトでの計測結果を参照してみたところ、Core i3とCore i5の中間程度という感じでした。
名称 | 開発コード | コア数 | CINEBENCH R15スコア(平均値) |
---|---|---|---|
Core i5-6200U | Skylake | 2/4 |
|
Core i3-6100U | Skylake | 2/4 |
|
Core i3-7100U | Kaby Lake | 2/4 |
|
参考記事
標準的なゲーミングノートPCではCore i5/i7のHQシリーズが使われており、CPU性能はそこそこ高めです。dGPUの性能を最大限に活かすならCPUの性能も高いほうがいいのですが、中規模クラスのゲームであれば特に問題ないと思われます。ただしCPU依存の高い(高いCPU性能が求められる)ゲームについては、パフォーマンスが若干低くなるかもしれません。
1TB HDDのアクセス速度
HDDのアクセス速度は標準(100MB/秒前後)よりもちょっといい程度です。特筆するべき結果でもありません。速度的にはSSDのほうが有利ですね。
M.2スロット(SATA)にSSDを増設したところ、アクセス速度が改善されました。HDDのみではWindows 10のアップデートやゲームの更新、セキュリティーソフトのスキャンなどに時間がかかっていたのですが、それらの時間が大幅に短縮されます。
ちなみにゲーミングPCでSSDを使うとWindows 10のレスポンスやアプリの起動が早くなる上に、データのロード時間が短縮されるという効果もあります。ただし大作ゲームともなると容量が50GBくらいあったりするので、SSDにゲームをインストールする場合は大容量SSDを選ぶといいでしょう。
パソコンとしての総合性能
パソコンでの作業の快適さを計測する「PCMark 8」の結果は以下のとおりです。このテストではdGPUではなくiGPUが使われてしまったため、スコアはそれほど高くありません。筆者がこれまで計測したデータを参照すると、やはりCore i3+HDD搭載ノートパソコンと同程度でした。
3Dベンチマーク結果について
続いては、ゲームの快適さに大きく影響する3D性能についてのベンチマーク結果を紹介します。基本性能のベンチマーク結果がちょっと低かったので不安を感じますが、この結果が良ければゲームはそこそこ快適に楽しめるはずです。
3DMarkベンチマーク結果
総合的な3D性能を計測する「3DMark」の結果は以下のとおり。Inspiron 15 5000ゲーミングを始めとするAMD製APU+dGPU搭載ノートパソコンでは負荷の高さによってGPUが自動的に選択されるのですが(「グローバル設定」で大まかな設定は可能)、このテストではちゃんとdGPUのRadeon RX460が使われていました。
3DMarkベンチマーク結果 | |
Time Spy(DX12) | 1,455 |
---|---|
Fire Strike(DX11,FHD) | 3,833 |
Sky Diver(DX10) | 10,214 |
Cloud Gate(DX10) | 9,006 |
Ice Storm(DX9) | 51,721 |
Fire Strikeのスコアが「3833」ということですが、過去の計測データと見比べたところ、ひと世代前のGTX 960Mとほぼ同程度かやや下というレベルです。
当サイトでの計測結果
GPU | Fire Strikeスコア(平均値) |
---|---|
GeForce GTX 1050 Ti |
|
GeForce GTX 965M |
|
GeForce GTX 960M |
|
Intel HD Graphics 620 |
|
GTX 960Mはひと世代前のdGPUですので、最近はこのdGPUを搭載するゲーミングノートPCは少なくなりました。しかしそれでも、まだ11~12万円で販売されていることもあります。その点を考えると、7万円前後で買えるInspiron 15 5000ゲーミングはコスパが高いと言えるでしょう。
ゲーム系ベンチマーク結果(国内タイトル)
国内で人気の高いオンラインゲームのベンチマークを試してみたところ、どのテストでもフルHD(1920×1080ドット)で「快適」という評価となりました。ただしタイトルによっては、画質の調整が必要です。
ファイナルファンタジーXIV:紅蓮の解放者 ベンチマーク | ||
---|---|---|
5322(とても快適) ※平均39.9FPS | 1920×1080ドット、標準品質、DirectX 11 | |
ファイナルファンタジーXIV:蒼天のイシュガルド ベンチマーク | ||
7483(非常に快適) ※平均65.4FPS | 1920×1080ドット、最高品質、DirectX 9 | |
ドラゴンクエストXベンチマークソフト | ||
6424(快適) | 1920×1080ドット、最高品質 | |
ドラゴンズドクマオンライン ベンチマークソフト | ||
3656(快適) | 1920×1080ドット、最高品質 | |
PSO2キャラクタークリエイト体験版 EPISODE4 | ||
7374 | 1920×1080ドット、簡易描画設定3(標準画質) ※快適に遊べる目安は5000以上 |
FF14ベンチの「蒼天のイシュガルド」ではDirectX 9で動作できたものの、新バージョン「紅蓮の解放者」では強制的に負荷の高いDirectX 11で動作するようです。実際のゲームでDirectX 9モードを利用できるなら多少スコアは改善されるでしょう。
ベンチマークテストで「快適」という評価が出ても、実際には画面がカクつくことがあります。しかし上記の結果であれば、解像度や画質を調整することで問題なくプレーできるはずです。
エントリー向けのゲーミングPCにピッタリ
ということで、今回はInspiron 15 5000 ゲーミングについてレビューしました。ベンチマーク結果を見る限りでは、国内向けの人気ゲームについては問題なくプレーできそうです。特にドラクエ10やPSO2など、中規模クラスのなかでも軽めのタイトルに向いています。FF14も設定しだいでイケそうですね。マインクラフトも影MODでイケるかも。このあたりはいろいろ試して、随時更新するつもりです。
Inspiron 15 5000 ゲーミングは、PCゲームを始めたいけど予算が少ない人におすすめです。普通のノートパソコンとしても使えますので(CPU性能はCore i3程度ですが)、はじめてのゲーミングPCとして購入を検討してもいいかもしれません。
Inspiron 15 5000 ゲーミング
税込み7万円前後から
ただ3~4万円プラスすればより高性能なCore i5+GTX 1050搭載の「Inspiron 15 7000ゲーミング」に手が届きますので、予算に余裕がある人にはそちらをおすすめします。
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