デルのXPSタワー スペシャルエディション(8930)は、高い性能と印象的なデザインを併せ持つハイエンドなデスクトップPCです。CPUは第9世代のCore i7-9700またはCore i7-9700K。GPUとしてはGeForce GTX / RTXに対応しています。PCゲームはもちろん、3D制作や動画編集などでも威力を発揮するでしょう。
今回はメーカーからお借りした実機を使って、XPSタワースペシャルエディション(8930)の本体デザインや性能などをレビューします。
この記事の目次
- ▶ スペック
- ▶ 本体の外観と内部
- ▶ ベンチマーク結果
- ▶ クリエイティブ性能について
- ▶ まとめ
XPSタワー スペシャルエディション (8930)
税込15万円台~
XPSタワースペシャルエディション(8930)のスペック
CPU | ・Core i7-9700 ・Core i7-9700K |
---|---|
メモリー | 16GB |
ストレージ | 512GB SSD + 2TB HDD |
グラフィックス | ・GTX 1660 Ti ・RTX 2060 ・RTX 2070 |
チップセット | Z370 |
電源 | 最大225W |
※2019年10月9日時点。構成は変更される場合があります
フォームファクター | ミニタワー |
---|---|
SATAポート | 4 |
M.2スロット | 2 |
光学ドライブ | DVDスーパーマルチ |
ドライブベイ | 3.5インチ×3 |
拡張スロット | PCIe x16 ×1 PCIe x4 ×1 PCIe x1 ×2 |
有線LAN | 1000Mbps |
無線LAN | IEEE802.11a/b/g/n/ac |
Bluetooth | 4.1 |
USB3.1 | Gen2×1 (背面) Gen1×6 (前面×3、背面×3) |
USB3.0 | ー |
USB2.0 | 2 (背面) |
USB Type-C | USB3.1 Gen2×1 (背面) USB3.1 Gen1×1 (前面) |
Thunderbolt 3 | ー |
メモリーカード | SD |
HDMI | 1 |
VGA (D-sub15) | ー |
DisplayPort | 1 |
DVI | ー |
サイズ | 幅180mm 奥行き356mm 高さ386.5mm |
重量 | 約10kg |
XPSタワーとの違い
デルからは、まったく同じ形状のXPSタワー (8930)というモデルが販売されています。XPSタワー スペシャルエディション (8930)との違いは以下の表のとおり。スペシャルエディションのほうが高性能なパーツが使われており、より高い性能を求める人におすすめです。
XPSタワーとXPSタワー スペシャルエディションの違い
XPSタワー | XPSタワー スペシャルエディション | |
---|---|---|
CPU | Core i7-9700 | Core i7-9700 / Core i7-9700K |
メモリー | 8 / 16GB | 16GB |
ストレージ | HDD または SSD + HDD | 512GB SSD + 2TB HDD |
グラフィックス | GeForce GT 1030 / GTX 1050 Ti / GTX 1650 / GTX 1660 Ti | GeForce GTX 1660 Ti / RTX 2060 / RTX 2070 |
本体の外観と内部
高級感のあるデザイン
XPSタワースペシャルエディション (8930)は、「ミニタワー型」と呼ばれるスタンダードなデスクトップPCです。ミドルタワーよりも省スペース性が高く、スリム型やコンパクト型よりも拡張性や冷却性能に優れている点がポイント。シンプルながらも高級感のあるデザインで、自宅はもちろん職場で使っても違和感はありません。
デスクトップの主な分類
ミドルタワー型 | ミニタワー型 | スリム型 | コンパクト型 |
拡張性:◎ 省スペース性:× 冷却性能:◎ |
拡張性:○ 省スペース性:△ 冷却性能:○ |
拡張性:△ 省スペース性:○ 冷却性能:△ |
拡張性:× 省スペース性:◎ 冷却性能:△ |
豊富なインターフェース
XPSタワースペシャルエディション(8930)はインターフェースの数が非常に多く、USB端子は全部で11ポートも用意されています。実際にはそんなに使わないと思いますが、多くても困ることはありません。また転送速度が速い(10Gbps)USB3.1 Gen2に対応しているのはうれしいですね。そのほかのUSB端子はUSB3.1 Gen1で、転送速度はUSB3.0と同じ5Gbpsです。
前面のインターフェース
- ① 電源ボタン
- ② SDメモリーカードスロット
- ③ ヘッドホン出力/マイク入力
- ④ USB3.1 Gen1(Type-C)
- ⑤ USB3.1 Gen1(フルサイズ)
- ⑥ 光学ドライブ
背面I/Oパネルのインターフェース
- ① USB2.0
- ② 1000BASE-T対応有線LAN
- ③ DisplayPort(非使用)
- ④ HDMI(非使用)
- ⑤ USB3.1 Gen2(Type-C)
- ⑥ USB3.1 Gen2+ USB3.1 Gen1×3
- ⑦ オーディオポート
映像出力には、グラフィックボード側の端子を使います。グラフィックボードの種類によって構成が変わるので注意してください。
映像出力端子
- ⑧ HDMI
- ⑨ DisplayPort
- ⑩ DVI-D
工具不要でメンテしやすい
XPSタワースペシャルエディション(8930)は、ドライバーなどの工具を使わなくてもパーツを取り外せます(一部のパーツではドライバーが必要)。内部は比較的広く余裕があるので、パーツの交換やメンテナンスが簡単です。
拡張スロットの構成
- ① M.2スロット (PCIe対応)
- ② PCIExpress x16
- ③ PCIExpress x1
- ④ PCIExpress x4
XPSタワースペシャルエディション (8930)のベンチマーク結果
試用機のスペック
モデル名 | プラチナ・VR(SSD+HDD・RTX2060搭載) |
---|---|
CPU | Core i7-9700 |
メモリー | 16GB |
ストレージ | 512GB SSD + 2TB HDD |
グラフィックス | RTX 2060 (6GB) |
ストレージ性能
試用機では512GBのPCIe 3.0 x4接続SSDと、2TB HDDが使われていました。SSDは非常に高速でファイルのやり取りが速いのはもちろん、ウィンドウズもキビキビと動きます。
SSDは512GBの大容量タイプだけあって、空き容量にはかなり余裕があります。とりあえず検証の際に10数本のゲームをインストールしましたが、空き容量が不足することはありませんでした。
CPU性能
CPUとして使われているCore i7-9700は非常に高性能です。CPU性能を計測するベンチマークテストではオーバークロック対応のCore i7-9700Kには若干劣るものの、パフォーマンスは十分。ゲームや動画編集など高い処理能力が必要とされる場面でも、ストレスなく利用できるでしょう。
CPUの性能比較
CPU | CINEBENCH R20 CPUスコア |
---|---|
Core i7-9700K |
3326
|
XPSタワースペシャルエディション 8930 (Core i7-9700) |
3137
|
Core i7-8700 |
3009
|
Core i5-9400F |
2334
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
CPUに高い負荷をかけ続けるストレステストを行なったところ、開始直後にクロックが一瞬だけ跳ね上がったものの、その後はずっと4GHz前後を推移していました。温度が上がりすぎない調整が行なわれており、その影響でCPUの平均温度は84.5℃とわりと低く抑えられています。
CPU温度は低めに抑えられているものの、空冷ファンの音は大きめでした。ヘッドセットを使えば気になりませんが、静かな場所だと周囲に駆動音が聞こえるかもしれません。また電源のオン / オフ時にビックリするほどファンの音が大きくなることがあります。一瞬だけなのですが、大きな音が出ることを意識しておいたほうがよさそうです。
駆動音の計測結果
電源オフ | 34.7dBA | - |
---|---|---|
待機中 | 40.9dBA | ファンの回転音が少し聞こえる程度 |
CPUストレス時 | 55.3dBA | ファンの回転音がけっこう大きい |
※駆動音の計測方法はコチラ
3D性能
3D性能を計測するベンチマークテストを実施したところ、RTX 2060を搭載した試用機ではとても優れた結果となりました。ハイエンド向けのRTX 2070 / 2080には及びませんが、ゲームやクリエイティブな作業には十分な結果です。
ただ同じミドルレンジでありながらRTX 2060より安いGTX 1660 Tiも同程度の性能ですので、予算を安く抑えたいならコチラを選ぶのもアリです。もしくはワンラク上のRTX 2070を選ぶのもいいでしょう。
GPUの性能比較
GPU | 3DMark Fire Strike Graphicsスコア |
---|---|
RTX 2080 |
25484
|
RTX 2070 |
22856
|
XPSタワー スペシャルエディション 8930 (RTX 2060) |
17843
|
GTX 1660 Ti |
15952
|
GTX 1050 |
6945
|
UHD 630 (Core i7) |
1359
|
UHD 630 (Core i5) |
1051
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
ゲーム系ベンチマーク結果
ゲーム系ベンチマークや実際のプレーにおけるFPS (画面の滑らかさを表わす目安)計測結果は以下のとおりです。処理の重い重量級のゲームでも、フルHDの高画質でそこそこ快適に楽しめます。
FPS / TPSやバトロワ系シューターについては、最高画質で100 FPSオーバーという結果となりました。高リフレッシュレートのディスプレイを用意すれば、非常になめらかな動きでゲームを楽しめます。
※テストはすべてフルHDで実施
FF14ベンチ:漆黒のヴィランズ (中量級 / DX11)
画質 | スコア / 評価 / 平均FPS |
最高品質 | 15627 / 非常に快適 / 112.3FPS |
高品質 | 16118 / 非常に快適 / 119.1FPS |
標準品質 | 19550 / 非常に快適 / 168.6FPS |
※平均60 FPS以上が快適に遊べる目安
ドラクエXベンチ (超軽量級 / DX9)
画質 | スコア / 評価 |
最高品質 | 22621 / すごく快適 |
標準品質 | 22671 / すごく快適 |
低品質 | 23592 / すごく快適 |
PSO2ベンチ (軽量級 / DX9)
簡易描画設定 | スコア |
6 (最高) | 70814 |
3 | 95462 |
1 (最低) | 186076 |
※スコア5000以上が快適に遊べる目安
フォートナイト (中量級 / DX11)
画質 | 平均FPS / 最低FPS |
エピック | 128.6 FPS / 101 FPS |
高 | 146.4 FPS / 126 FPS |
中 | 228.3 FPS / 180 FPS |
低 | 318.7 FPS / 245 FPS |
※平均60 FPS以上が快適に遊べる目安
PUBG (中量級 / DX11)
画質 | 平均FPS / 最低FPS |
ウルトラ | 109.5 FPS / 99 FPS |
高 | 132.3 FPS / 105 FPS |
中 | 146.2 FPS / 119 FPS |
低 | 147.9 FPS / 117 FPS |
非常に低い | 157.9 FPS / 116 FPS |
※平均60 FPS以上が快適に遊べる目安
オーバーウォッチ (軽量級 / DX10)
画質 | 平均FPS / 最低FPS |
エピック | 104.8 FPS / 95 FPS |
ウルトラ | 138.6 FPS / 114 FPS |
高 | 168 FPS / 141 FPS |
NORMAL | 204.3 FPS / 177 FPS |
低 | 264 FPS / 229 FPS |
※平均60 FPS以上が快適に遊べる目安
エーペックスレジェンズ (中量級 / DX11)
画質 | 平均FPS / 最低FPS |
最高設定 | 139 FPS / 119 FPS |
最低設定 | 143.8 FPS / 143 FPS |
※平均60 FPS以上が快適に遊べる目安
アサシンクリード オデッセイ (超重量級 / DX11)
画質 | 平均FPS / 最低FPS |
最高 | 53 FPS / 33 FPS |
中 | 89 FPS / 33 FPS |
低 | 99 FPS / 5 FPS |
※平均60 FPS以上が快適に遊べる目安
シャドウ オブ ザ トゥームレイダー (重量級 / DX12)
画質 | 平均FPS |
最高 | 91 FPS |
中 | 104 FPS |
最低 | 134 FPS |
※DLSSオン、平均60 FPS以上が快適に遊べる目安
ゴーストリコン ワイルドランズ (重量級 / DX11)
画質 | 平均FPS / 最低FPS |
ウルトラ | 53.2 FPS / 47.71 FPS |
中 | 98.1 FPS / 85.7 FPS |
低 | 134.38 FPS / 113.66 FPS |
※平均60 FPS以上が快適に遊べる目安
ファークライ ニュードーン (中重量級 / DX11)
画質 | 平均FPS / 最低FPS |
ウルトラ | 92 FPS / 71 FPS |
中 | 104 FPS / 86 FPS |
低 | 114 FPS / 93 FPS |
※平均60 FPS以上が快適に遊べる目安
クリエイティブ性能について
ここからは、写真加工や動画編集時の快適さについて解説します。比較検討用にXPSタワー (8930) (GTX1660Ti)とCore i7-9750H搭載ノートPC(UHD630)の結果もまとめました。
Photoshopベンチ
Photoshopでの画像加工処理や画像結合などの快適さを計測する「Puget Systems Photoshop Benchmark」では、フィルター処理およびGPU性能が大きく関わるブラー処理などの高度な処理でGPU搭載モデルのほうが有利という結果が出ました。ただしGTX 1660 TiとRTX 2060で大きな性能差はないようです。
Photoshopベンチの結果
GTX 1660 Ti | RTX 2060 | UHD 630 | |
---|---|---|---|
Overall Basic Score | 801.2 | 854.2 | 638 |
General Score | 68.3 | 79.1 | 60.9 |
Filter Score | 85.8 | 88.5 | 57.9 |
GPU Score | 74 | 84.2 | 39.5 |
Photomerge Score | 92.4 | 91.9 | 81.4 |
Lightroom ClassicによるRAW現像
Lightroom Classicを使ってRAW画像からJPEG画像への変換 (現像)を行なったところ、GTX 1660 TiとRTX 2060では違いがありませんでした。同じCPUが使われているので、純粋にCPUパフォーマンスが影響すると思われます。
Lightroom ClassicによるRAW現像の結果
GTX 1660Ti | RTX 2060 | UHD 630 |
---|---|---|
59秒 | 59秒 | 1分12秒 |
Premiereによる動画書き出し
Premiere Proを使って動画の編集データからフルHDのMP4ファイルに出力したところ、GTX 1660 TiとRTX 2060でほとんど変わりませんでした。RTX 2070 / 2080ならもう少し差が出るかもしれませんが、同じミドルレンジでは同等レベルのようです。
Premiere Proによる動画書き出しの結果
GTX 1660Ti | RTX 2060 | UHD 630 | |
---|---|---|---|
ソフトウェア処理 | 3分14秒 | 3分14秒 | 7分40秒 |
CUDA | 3分2秒 | 3分5秒 | - |
3D性能の高いハイエンドなデスクトップPC
GeForce GTX / RTXシリーズ搭載PCというと、ゲーム向けのイメージが強いかもしれません。しかし高性能なGPUを搭載することでゲームの描画がなめらかになるだけなく、3Dエフェクトや動画変換が高速化される上に、3D制作を快適にこなせるなどのメリットもあるのです。第9世代のパワフルなCore i7-9700 / Core i7-9700Kを搭載するXPSタワー スペシャルエディション (8930)なら、より快適な作業を期待していいでしょう。
それに加えて、本体デザインがスタイリッシュな点も見逃せません。ゲーミングPCのようにLEDがピカピカ光ることはなく、スタンダードながらも高級感のあるデザインです。3D性能が高いPCが欲しいけど、ゲーミングPCはデザインが奇抜で買いづらいと考えている人は、XPSタワー スペシャルエディション (8930)を検討してみてはいかがでしょうか。
XPSタワー スペシャルエディション (8930)のまとめ
- スタイリッシュなデザイン
- 豊富なインターフェース
- 高い3D性能
XPSタワー スペシャルエディション (8930)
税込15万円台~
*
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