レノボのIdeaPad S340 (14, AMD)は、14インチのフルHDディスプレイを搭載したノートPCです。最大の魅力は価格が安いにも関わらずCPU性能に優れる点。インテル製CPUよりもコスパに優れるAMD製CPU (APU)を使うことで、低価格ながら格安モデルとしては高いパフォーマンスを実現しています。
注目ポイント
- インテルCPUモデルよりも安い
- 高精細なフルHDディスプレイ
- 長時間のバッテリー駆動
- 平均11秒程度の高速起動
今回は筆者が購入した実機を使って、IdeaPad S340 (14, AMD)のデザインや性能などをレビューします。
この記事の目次
※2019年8月29日時点
IdeaPad S340 (14, AMD)のスペック
画面サイズ | 14インチ |
---|---|
解像度 | 1920×1080 |
CPU | ・Athlon 300U ・Ryzen 3 3200U ・Ryzen 5 3500U |
メモリー | 4 / 8GB |
ストレージ | 128 / 256GB SSD |
グラフィックス | ・Radeon Vega3 ・Radeon Vega8 |
LTE | - |
幅×奥行き | 322.7×230.5mm |
厚さ | 17.9mm |
重量 | 約1.55kg |
バッテリー | 11時間 |
※2019年8月29日時点。構成は変更される場合があります
本体カラー | プラチナグレー |
---|---|
画面の表面 | 非光沢 |
パネルの種類 | TN |
タッチ / ペン | 非対応 |
光学ドライブ | - |
テンキー | - |
有線LAN | - |
無線LAN | 11a/b/g/n/ac |
Bluetooth | 4.2 |
USB3.1 | ー |
USB3.0 | 2 |
USB2.0 | ー |
USB Type-C | 1 (USB3.0) |
Thunderbolt 3 | ー |
メモリーカード | SD |
HDMI | 1 |
VGA (D-sub15) | ー |
DisplayPort | ー |
Webカメラ | HD 720p (92万画素相当) |
顔認証カメラ | ー |
指紋センサー | ー |
その他 | ー |
オフィス | ※付属モデルあり |
デザインと使いやすさ
格安でも高級感を感じさせるデザイン
IdeaPad S340 (14, AMD)は3~5万円台の格安モデルですが、見た目はそれほど安っぽくありません。むしろ価格以上の高級感があります。
ボディは樹脂 (プラスチック)製で、カラーはプラチナグレー。明るめのメタリックな塗装ですが、光沢を抑えた落ち着きのある雰囲気です。大きさはA4サイズよりもふた周り大きい程度で、14インチタイプとしてはコンパクト。重量は1.55kgとやや重いものの、重すぎるというほどではありません。
ただ本体にはやや厚みがあり、それほどスリムには感じませんでした。公称スペックでは高さが17.9mmとのことですが実際には20mm程度あり、底面部のゴム足を含めると22mm程度あります。
作業がはかどるフルHDディスプレイ
液晶ディスプレイの大きさは14インチです。人気の15.6インチよりもわずかに小さいのですが、文字が小さくて読みづらいということはありませんでした。ただしデスクトップの文字は1.5~2.5mm程度 (スケーリング150%)ですので、必要に応じて拡大率を変更するといいでしょう。
解像度は1920×1080ドットのフルHDです。3~5万円台の格安モデルでは1366×768ドットのHD解像度であることが多いのですが、IdeaPad S340 (14, AMD)は格安でもしっかり高解像度のディスプレイを搭載しています。
解像度が高いと画面に表示される情報 (文字や画像)が増えるので、作業効率が大きく向上します。また写真や動画をより精細な映像で楽しむことができるのです。フルHDであることは大きなメリットのひとつ、と言っていいでしょう。
ただしIdeaPad S340 (14, AMD)では、映像品質があまり良くありません。液晶ディスプレイには格安モデルでよく見られるTNパネルが使われており、IPSパネルに比べて映像がやや青みがかかっています。この点については、値段の安さを考えれば仕方がないかもしれません。
画面はけっこう明るめです。輝度の計測値は271nitで、TNパネルの平均 (220~250nit)よりも上でした。かといってまぶしく感じるほどではなく、作業にはちょうどいい明るさです。画面の表面が光沢なしのノングレアで、映り込みが抑えられている点もポイント。
ただTNパネルは視野角が狭く、画面の角度を変えると色や明るさが大きく変わってしまいます。利用時には見やすい角度に調整してください。
普通に使えるキーボード
キーボードはテンキーなしの日本語配列で、バックライトには非対応です。キーピッチ (キーとキーの間隔)は19mmで十分なサイズ。配列も標準的ですが、Enterキー周辺で一部のキーが隣接しています。ただ実際に使ってみても、特に違和感は感じませんでした。
キーストローク (キーを押し込む深さ)は1.3mmで、標準値である1.5mmよりもやや浅めです。ストロークは浅いものの入力時にカクっとしたクリック感があるので、手応えは感じられます。とは言え全体的にはやや軽めのタイプ感で、軽いタッチでタイプする人向きです。
ちょっと気になるのは、キートップの文字がシルク印刷である点。格安モデルではよくあるタイプなのですが、長期間 (3~4年間程度)ガッツリと使うと文字がかすれて見えなくなるかもしれません。そこまで使い込めばキーを見なくても使えるとは思いますが。
インターフェースは必要十分
周辺機器接続用のインターフェース類は多くはありませんが、必要十分な構成です。有線LANや光学ドライブには非対応である点に注意してください。
スピーカーは底面部に配置されています。接地面に向かって音が出るのでややこもった感がありますが、そのぶん反響によって音の厚みが増しているように感じました。一般的なノートPCに比べて音に厚みがあり、格安モデルとは思えないほどの音質です。と言っても非常に高音質というわけではありませんが、お値段以上とは言えるかもしれません。
Type-C端子はUSB3.0で、充電やDisplayPort出力には対応していません。
USB Type-Cからの充電
18W | × |
---|---|
24W | × |
30W | × |
45W | × |
65W | × |
ベンチマーク結果
試用機のスペック
型番 | 81NB0020JP |
---|---|
OS | Windows 10 Home |
CPU | Athlon 300U |
メモリー | 4GB |
ストレージ | 128GB SSD |
グラフィックス | Radeon Vega 3 (CPU内蔵) |
※グラフィックス機能内蔵のAMD製プロセッサーは本来「APU」と呼ばれますが、この記事では「CPU」と表記します
CPU性能
CPU性能を計測するベンチマークテストを実施したところ、Athlon 300UではRyzen 3 3200U相当の結果となりました。インテルのCore i3-8145Uには及ばないものの、3万円台のノートPCとしてはありえないパフォーマンスです。
CPUベンチマーク結果
CPU | PassMark CPU Markスコア |
---|---|
Core i5-8265U |
8891
|
Ryzen 5 3500U |
8308
|
Core i3-8145U |
5549
|
Ryzen 3 3200U ※2 |
4812
|
IdeaPad S340 (Athlon 300U) |
4703
|
Pentium 5405U ※2 |
3258
|
Celeron N4000 |
1562
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均 ※2はPassMark CPU Benchmarksのデータを参考にしました
ちなみにテスト機のメモリーを8GBに増設して再度同じテストを行なったところ、スコアは「5155」と10%近く向上しました。メモリーの増設については、別途記事を公開する予定です。
CPU選びの目安
Celeron | ・Webページを見る ・ネット動画の視聴 ・ごく簡単な文書作成 |
---|---|
Core i3 | ・事務処理 ・文字中心の資料作成 ・写真の簡単な加工 |
Core i5 | ・写真や画像の加工 ・データ処理 ・画像入り資料の作成 |
Core i7 | ・プロ用ソフトの利用 ・大規模なデータ処理 ・企業向け機能の利用 ・小規模な動画編集 |
ストレージ性能
ストレージは128GB SSDです。高速なPCIe 3.0 x2接続タイプで、HDDよりもはるかに高速。ファイル操作やアプリの記号が速く、ウィンドウズを快適に使えます。
容量は128GBと少ないのですが空き容量は90GB以上ありましたので、比較的余裕はあります。それでも足りなければ、一時的なファイルの保管場所としてSDカードやUSBメモリーなどを使うといいでしょう。
もしくは自分でSSD / HDDを追加する手もあります。本体内部には2.5インチのストレージスペースがあり、SSDやHDDを増設可能です。ただしこの場合、メーカー保証のサポート外となる点に注意してください。
起動時間
ウィンドウズの起動時間は平均10.78秒でした。一般的なノートPCではSSD搭載機種が17秒程度、HDD搭載機種が30秒~1分程度 (筆者調べ)であることを考えると、立ち上がりは非常に高速。3~5万円台の格安モデルではありえない速さです。
なおスリープ時のネット接続&高速復帰のモダンスタンバイ (コネクテッドスタンバイ)には対応していませんでした。
起動時間の計測結果(手動計測)
1回目 | 10.9秒 |
---|---|
2回目 | 10.8秒 |
3回目 | 10.7秒 |
4回目 | 10.8秒 |
5回目 | 10.7秒 |
平均 | 10.78秒 |
3Dグラフィックス性能
ゲームの快適さに強く影響する3Dグラフィックス性能はごく控えめです。エントリークラスのゲーム用GPUであるGTX 1650と比べると、パフォーマンスは大きく劣ります。CPU内蔵のグラフィックス機能であることを考えれば仕方がありません。
ただ同じ価格帯のモデルで使われているCeleron N4000のUHD 600と比べて、倍以上のスコア差があるのは驚きです。
GPUの性能比較
GPU | 3DMark Fire Strike Graphicsスコア |
---|---|
GTX 1650 |
9039
|
GeForce MX250 |
3595
|
UHD 620 (Core i7) |
1270
|
UHD 620 (Core i5) |
1186
|
IdeaPad S340 (Radeon Vega 3) |
968
|
UHD 620 (Core i3) |
860
|
UHD 600 |
394
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
ゲーム系ベンチマークを試したところ、動作が軽いドラクエ10ベンチなら解像度や画質をグッと落とせばなんとかプレーできそうな結果でした。FF14クラスの重いゲームとなると、かなり厳しそうです。
FF14:漆黒のヴィランズ (DX11) ※中量級
|
||
---|---|---|
1920×1080 | 最高品質 | 850(動作困難) ※6.96 FPS |
高品質 | 1191(設定変更が必要) ※7.43 FPS | |
標準品質 | 1703(設定変更を推奨) ※11.33 FPS | |
1280×720 | 最高品質 | 1665(設定変更を推奨) ※10.75 FPS |
高品質 | 2280(普通) ※15.27 FPS | |
標準品質 | 3001(やや快適) ※20.98 FPS | |
ドラゴンクエストX(DX9) ※軽量級
|
||
1920×1080 | 最高品質 | 3146(普通) |
標準品質 | 4442(普通) | |
低品質 | 5331(快適) | |
1280×720 | 最高品質 | 6051(快適) |
標準品質 | 7501(とても快適) | |
低品質 | 8440(とても快適) |
バッテリー駆動時間
バッテリー駆動時間の公称値は11時間です。当サイトのテストでは10時間53分と、公称値に近い結果となりました。バッテリー消費の多いほかのテストでも、概ね十分な結果が出ています。
ただこのテストは電源モードを「省電力」に設定しているため、実際の利用ではもう少し短くなるかもしれません。とは言えIdeaPad S340 (14, AMD)は持ち歩き用のモバイルノートPCではないため、多少駆動時間が短くなってもそれほど大きな問題ではないはずです。
バッテリー駆動時間のテスト結果
公称値 | 11時間 |
---|---|
BBenchによる計測 | 10時間53分 |
PCMark 8による計測 | 8時間4分 |
PCMark 10による計測 | 10時間56分 |
満充電までにかかった時間 | 2時間5分 |
※テストの条件や計測方法についてはコチラ
サポートについて
IdeaPad S340 (14, AMD)は標準で、1年間の基本保証が付いています。有料オプションで保証期間を2~3年間に延長することが可能です。長期間安心して使いたい場合は、延長保証を利用するといいでしょう。
サポートサービスの内容
基本保証 | |
---|---|
無償修理期間 | 購入日から1年間 |
電話受付 | 月~日の9~18時まで ※祝日を除く |
テクニカルサポート | 購入日から1年間 |
対応 | 通常スタッフ |
修理対応 | 修理センターに発送 |
期間延長 | 追加料金を支払うことで2年間または3年間に延長可能 |
基本保証で無償修理対象となるのは自然故障のみですが、有料の「アクシデント・ダメージ・プロテクション」に加入すると、落下や水濡れ、火災、盗難、紛失などにも対応してもらえます。基本は1年間ですが、基本保証の期間を2~3年間に延長することでアクシデント・ダメージ・プロテクションの保証期間も延長されます。
そのほかの有料サポートサービス
アクシデント・ダメージ・プロテクション | 通常のサポートでは保証されない落下や水濡れ、火災、盗難、紛失などにも対応可能。交換は1回のみ |
---|
価格について
IdeaPad S340 (14, AMD) には複数のモデルが用意されていますが、基本となるのは以下の3種類です。あとはそれぞれにOffice Home & Business 2019付属モデルが用意されています。
ラインナップ
Athlonモデル | Ryzen 3モデル | Ryzen 5モデル |
---|---|---|
Athlon 300U | Ryzen 3 3200U | Ryzen 5 3500U |
4GB | 8GB | |
128GB SSD | 256GB SSD | |
1920×1080 | ||
Radeon Vega 3 | Radeon Vega 8 | |
税込3万7908円 | 税込3万9496円 | 税込5万0674円 |
※2019年8月29日時点
格安モデルとしてはあり得ないパフォーマンス!
ということで、今回はIdeaPad S340 (14, AMD)のレビューをお届けしました。
ベンチマーク結果をご覧いただくとおわかりのように、最安のAthlonモデルでも優れたパフォーマンスを発揮しています。3~5万円台の格安ノートPCとしては、あり得ないレベルです。プロ向けの重いソフトをバリバリ使うには少々物足りませんが、日常的な作業や仕事には十分活用できるでしょう。非常にコスパの高いモデルです。
レノボからは同じ14インチタイプとして、インテル製CPUを搭載したIdeaPad S340 (14)や、より高品質なIdeaPad S540 (14)が発売されています。値段は多少高くなるもののパフォーマンスはわずかに上回るので、少しでも性能が高いほうがいいなら選ぶのはアリです。特にIdeaPad S540 (14)は本体が薄い上に映像がキレイですので、品質面を重視したい人におすすめします。
IdeaPad 14インチモデルの違い
S340 (14, AMD) | S340 (14) | S540 (14) |
---|---|---|
Atlon / Ryzen | Pentium / Core i | Core i |
4 / 8GB | ||
1920×1080 | ||
TNパネル | IPSパネル | |
指紋センサー なし | 指紋センサー あり | |
樹脂製ボディ | アルミ + 樹脂製ボディ | |
幅322.7mm 奥行き230.5mm 高さ17.9mm |
幅323mm 奥行き227mm 高さ15.9mm |
|
1.55kg~ | 1.5kg~ | |
11時間駆動 | 14.3時間駆動 | 14時間駆動 |
※2019年8月29日時点
*
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