MSIのBRAVO 15は、15.6インチのゲーミングノートPCです。AMDのRyzenシリーズとRadeon RX 5000シリーズを搭載した、いわゆる「オールAMD」構成である点が特徴。 値段が安いわりに性能が高く、コストパフォーマンスに優れています。
ポイント
- Ryzen 7 4800Hが超高性能
- NVIDIAのエントリーGPUより優秀
- 144Hzの高リフレッシュレート
BRAVO 15のスペック
OS | Windows 10 Home |
---|---|
画面サイズ | 15.6インチ |
解像度 | 1920×1080 |
CPU | ・Ryzen 7 4800H ・Ryzen 5 4600H |
メモリー | 16GB (8GB×2) |
SSD | 512GB |
HDD | - |
グラフィックス | ・Radeon RX 5500M (4GB) ・ Radeon RX 5300M (3GB) |
リフレッシュレート | ・140Hz ・60Hz |
ディスプレイ | ・FreeSync対応 ・対応表示機能なし |
幅×奥行き | 359×254mm |
厚さ | 21.7mm |
重量 | 1.96kg |
バッテリー | 51Whr、4500mAh |
※2020年10月16日時点。構成は変更される場合があります
本体カラー | ブラック |
---|---|
画面の表面 | 非光沢 |
パネルの種類 | 表記なし ※IPS相当 |
タッチ / ペン | - |
光学ドライブ | - |
テンキー | あり (4列) |
有線LAN | 1000Mbps |
無線LAN | Wi-Fi 6 (11a/b/g/n/ac/ax) |
Bluetooth | 5.1 |
USB3.2 | 2 (Gen1) |
USB3.0 | - |
USB2.0 | - |
USB Type-C | 2 (3.2 Gen1) |
Thunderbolt 3 | - |
メモリーカード | - |
HDMI | 1 |
VGA (D-sub15) | - |
DisplayPort | - |
Webカメラ | 92万画素 |
顔認証カメラ | - |
指紋センサー | - |
付属品 | ACアダプターなど |
オフィス | なし |
この記事ではメーカーからお借りした実機を使って、デザインや性能、実際の使い心地などをレビューします。
この記事の目次
- ▶スペック
- ▶デザインと使いやすさ
- ▶ベンチマーク結果
- ▶ゲーム性能について
- ▶まとめ
デザインと使いやすさ
重厚感のある外観
BRAVO 15はゲーミングノートPCですが、LEDでビカビカ光るような派手さはありません。一見すると普通のノートPCのような、追いついた外観です。
本隊カラーはブラック。ボディの素材は樹脂 (プラスチック) ですが安っぽさは感じられませんでした。表面にはうっすらとヘアライン加工が施されており、むしろ重厚感があります。
天板にはややゴールド風のエンブレム。外観部分では、唯一ゲーミングノートPCっぽいところ。
キーボード面もブラックで、天板と同じ仕上がりです。キーボードはキーの側面が赤で塗られており、先進的なカッコよさが感じられます。
ディスプレイのベゼル (枠)は左右がかなり細め。上下はやや太めですが、気になるほどではありません。
底面部には大きな吸気口。空気をとおりをよくすることで、内部を効果的に冷却しています。
コンパクトで扱いやすい筐体
ゲーミングノートPCはデカくて重い、とイメージしている人は多いでしょう。Bravo 15もそれなりに存在感はありますが、ほかのゲーミングノートPCに比べればコンパクトです。
接地面積は幅359×奥行き254mm。B4サイズ (幅364×奥行254mm)よりも長辺が5mm短い程度です。15.6インチタイプとしては標準的な大きさですが、ゲーミングノートPCとしては小さめ。
高さは公称値で21.7mm。実測では22mm、ゴム足の含めた設置時の高さは26.5mmでした。本体部分は比較的スリムですが、高いゴム足の影響で設置時にはやや厚く見えます。
重さは公称値で1.96kg、実測では1.949kgでした。最近の15インチタイプとしては標準的な重さですが、高性能パーツと冷却パーツを組み込んだゲーミングノートPCとしては軽量です。
付属の電源アダプター。 やや大きく、単体での重さは702g
144Hz対応の15.6インチフルHD
画面の大きさは15.6インチで、解像度は1920×1080ドットのフルHD。ゲーミングノートPCとしては標準的なスペックです。
リフレッシュレートはRyzen 7搭載の上位モデルで144Hz、Ryzen 5搭載の下位モデルで60Hz。144Hzは画面の動きがとてもなめらかで、プレーを有利に進められます。
映像は自然な色合いで違和感はありません。やや赤みが弱いものの、ゲーミングノートPCとしては標準的な画質です。公式スペックには記載されていませんが、IPSパネル相当と考えていいでしょう。
映像のコントラストはやや低めですが、十分鮮やかに見えます。暗いシーンでも影が潰れることなく、細部まではっきりと視認できました。暗部が見えづらいと感じることはないと思います。
ややクセのあるキーボード
キーボードは日本語配列です。15.6インチタイプですが、テンキーには対応していません。ゲーム用であれば、特に気にする必要はないでしょう。
キーボードバックライトは全体をまとめて照らすタイプ。色は赤のみです。
英数字キーは標準的な配列ですが、キーボード右側にクセがあります。特に気になるのはEnterキーの右側に、特殊キーが縦に並んでいる点です。
Enterキー周辺では一部のキーが隣接しているほか、「¥」キーと「ろ」キーがかなり小さく作られています。
キーの同時押しは、最大16キーマで確認。ただし組み合わせによっては6~8キー程度の場合があります。WASDキー周りはしっかりと認識されていました。
キーピッチは19mmで、キーストロークは実測で平均1.08mmでした。かなり浅く作られており、手応えは若干物足りなく感じます。クリック感は固め。
インターフェースは必要十分
周辺機器接続用のインターフェース (端子類)は多くはありませんが、十分な構成です。ただしUSB端子が右側面にしかないので、USB接続のゲーミングデバイスを利用する際にケーブルの取り回しが面倒かもしれません。また2ポートあるType-C端子はデータ通信のみにしか対応していない点も残念です。
ベンチマーク結果
試用機のスペック
型番 | Bravo-15-A4DDR-056JP |
---|---|
CPU | Ryzen 7 4800H |
メモリー | 16GB |
ストレージ | 512GB SSD |
グラフィックス | Radeon RX 5500M (4GB) |
※グラフィックス機能内蔵のAMD製プロセッサーは本来「APU」と呼ばれますが、ここではわかりやすさ優先で「CPU」と表記します。ベンチマーク結果はパーツ構成や環境、タイミング、個体差などさまざまな要因によって大きく変わることがあります
CPU性能
CPUは非常に優秀です。ベンチマークテストではゲーミングノートPCのフラグシップ (最高級機)で使われているCore i9を上回り、最高クラスのスコアをたたき出しています。Ryzen 7のCPUパフォーマンスについては、まったく問題ないと言っていいでしょう。
下位モデルで使われているRyzen 5も高性能で、Core i9と同等クラスです。
グラフィックス性能
Radeon RX 5500M搭載の試用機では、3D性能を計測するベンチマークテストでエントリークラスの結果が出ました。ただし、NVIDIA製のエントリー向けGPUを上回り、ミドルレンジに迫るほどの結果です。ほかのエントリークラス製品よりは高性能と考えていいでしょう。下位モデルで使われているRX 5300Mについては不明ですが、この結果を下回るのは確実です。
ストレージ性能
ストレージは512GB SSDです。試用機ではPCIe 3.0 x4接続のWD SN530シリーズが使われていました。シーケンシャルアクセスは好調値をわずかに上回っているので、サーマルスロットリングは発生していないと思われます。
作業の快適さ
PCMark 10は、PCにおける作業の快適さを計測するソフトです。試用機でテストを実施したところ、目標値を大きく上回る結果が出ました。さまざまな用途で活用できる、汎用性の高い機種です。
高負荷時の騒音について
駆動音の計測結果
電源オフ | 37.4dBA | - |
---|---|---|
軽作業時 | 40.2dBA | ときおり排気音が聞こえるが気にならない |
FF15ベンチ時 | 53.4dBA | 排気音がかなり大きい。ヘッドセットを付ければ気にならない |
Cooler Boost時 | 58.4dBA | 低い排気音が響くようになりかなりうるさい。部屋の外でも聞こえるので、周囲への配慮が必要 |
Bravo 15は本体がコンパクトで内部に熱が溜まりやすいためか、駆動音 (ファンの回転音や排気口からの風切り音)がけっこう大きく聞こえます。特に専用ユーティリティー「Dragon Center」のパフォーマンス設定で最大出力の「Cooler Boost」を選ぶと、部屋の外まで聞こえるほどです。静かな場所だとかなりうるさく感じるので、駆動音のついては注意したほうがいいかもしれません。
本体の熱について
高負荷時のキーボード面の温度を計測したところ、最大で53.4度とかなり高温でした。ゲームでよく使うWASDキー周りは42度前後と抑えられているものの、指先に熱を感じます。
ゲーミング性能について
試用機で使われていたRadeon RX 5500Mは位置付け的にはエントリー (入門)向けですが、重いゲームでも画質を調整することで快適に楽しめそうです。人気のFPS / TPSでも、高リフレッシュレートで楽しめるでしょう。
FF15ベンチ (重い)
画質 | スコア / 評価 |
---|---|
高品質 | 3768 / 普通 |
標準品質 | 6394 / 快適 |
軽量品質 | 8242 / 快適 |
FF14ベンチ:漆黒のヴィランズ (やや重い)
画質 | スコア / 平均FPS |
---|---|
最高品質 | 10619 / 72.5 FPS |
高品質 | 12531 / 90.7 FPS |
標準品質 | 13661 / 107.3 FPS |
ドラクエXベンチ (超軽い)
画質 | スコア / 評価 |
---|---|
最高品質 | 10452 / すごく快適 |
標準品質 | 13451 / すごく快適 |
低品質 | 14740 / すごく快適 |
モンスターハンターワールド:アイスボーン (重い)
画質 | 平均FPS / 最低FPS |
---|---|
最高 | 44.4 FPS / 23 FPS |
高 | 60.2 FPS / 43 FPS |
中 | 63.6 FPS / 49 FPS |
低 | 90.7 FPS / 78 FPS |
フォートナイト (普通)
画質 | 平均FPS / 最低FPS |
---|---|
エピック | 71.4 FPS / 44 FPS |
高 | 87.4 FPS / 66 FPS |
中 | 115.9 FPS / 72 FPS |
低 | 173.4 FPS / 62 FPS |
オーバーウォッチ (軽い)
画質 | 平均FPS / 最低FPS |
---|---|
エピック | 107.7 FPS / 97 FPS |
ウルトラ | 152 FPS / 130 FPS |
高 | 210.3 FPS / 186 FPS |
NORMAL | ※未計測 |
低 | 264.5 FPS / 238 FPS |
PUBG (少し重い)
画質 | 平均FPS / 最低FPS |
---|---|
ウルトラ | 83.3 FPS / 56 FPS |
高 | 92.1 FPS / 81 FPS |
中 | 103.9 FPS / 69 FPS |
低 | 104.4 FPS / 88 FPS |
非常に低い | 96 FPS / 82 FPS |
アサシンクリード オデッセイ (激重)
画質 | 平均FPS / 最低FPS |
---|---|
最高 | 43 FPS / 14 FPS |
中 | 74 FPS / 34 FPS |
低 | 80 FPS / 17 FPS |
ファークライ ニュードーン (やや重い)
画質 | 平均FPS / 最低FPS |
---|---|
ウルトラ | 69 FPS / 57 FPS |
中 | 79 FPS / 67 FPS |
低 | 86 FPS / 71 FPS |
シャドウ オブ ザ トゥームレイダー (重い)
画質 | 平均FPS |
---|---|
最高 | 53 FPS |
中 | 72 FPS |
最低 | 108 FPS |
CPU性能が抜群で高コスパ
良かった点
CPU性能がとんでもなく高い点が最大の魅力です。 GPUはエントリークラスですが、CPUはハイエンドクラス。ゲーム以外の負荷の高い処理を行なうのにもおすすめです。また144Hzの高リフレッシュレート対応で、ゲームの動きがなめらかな点もポイント。
気になる点
本体が熱く、排気音が大きい点が残念です。本体がコンパクトなので、ある程度が仕方がないでしょう。ノートPC冷却台などを使って対策することをおすすめします。
ちなみに、17.3インチの「Bravo 17」でもRyzenとRadonが使われていますが、Ryzen 7搭載で税込13万7800円と、こちらのほうが安く販売されています。
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