
ThinkPad X1 Carbon Gen8は14インチディスプレイ搭載のモバイルノートPCです。軽量薄型なのにボディが頑丈で、持ち歩きにはピッタリ。その上パフォーマンスが高く、キーボードも使いやすい人気のモデルです。すでに2021年発売の最新モデルが発売されましたが、今後の値下げが期待されます。

ThinkPad X1 Carbon Gen8(2020年モデル)
主なラインナップ
| パフォーマンス | |
|---|---|
| 16万4736円 | |
| プレミアム WQHD搭載 | |
| 20万4996円 | |
※価格は税込
ThinkPad X1 Carbon Gen8のスペック
| OS | ・Windows 10 Home ・Windows 10 Pro |
|---|---|
| 画面サイズ | 14インチ |
| 解像度 | ・1920×1080 ・2560×1440 ・3840×2160 |
| CPU | ・Core i5-10210U ・Core i5-10310U ・Core i7-10510U ・Core i7-10610U |
| メモリー | ・8GB ・16GB ※オンボード |
| SSD | ・256GB ・512GB ・1TB |
| HDD | なし |
| グラフィックス | UHD |
| LTE | ・なし ・追加可能 |
| 堅牢性テスト | MIL-STD-810G準拠 |
| 色域 | ・NTSC 72%(FHD/WQHD、sRGB 100%相当) ・DCI-P3 90%(4K) |
| 幅×奥行き | 323×217mm |
| 厚さ | 14.95mm |
| 重量 | 約1.09kg~ |
| バッテリー | 最大 約19.8時間 |
※2021年3月29日時点。構成は変更される場合があります
| 本体カラー | ブラック |
|---|---|
| 画面の表面 | ・非光沢(FHD/WQHD) ・光沢(4K) |
| パネルの種類 | IPS |
| タッチ / ペン | ・非対応 ・対応 |
| 光学ドライブ | - |
| テンキー | - |
| 有線LAN | - |
| 無線LAN | ・Wi-Fi 5 ・Wi-Fi 6 |
| Bluetooth | 5.2 |
| USB3.2 | 2(Gen1) |
| USB3.0 | - |
| USB2.0 | - |
| USB Type-C | 2(USB3.2 Gen2、Thunderbolt兼用) |
| Thunderbolt | 2 |
| メモリーカード | - |
| HDMI | 1 |
| VGA (D-sub15) | - |
| DisplayPort | - |
| Webカメラ | 720p HD(92万画素) |
| 顔認証カメラ | ・なし ・対応 |
| 指紋センサー | 対応 |
| 付属品 | ACアダプターなど |
| オフィス | ・なし(オプションで追加可能) ・付属モデルあり |
この記事ではメーカーからお借りした実機を使って、デザインや性能、実際の使い心地などをレビューします。
この記事の目次

※2021年3月29日時点
Gen9(2021年モデル)との違いについて

2021年3月に最新モデルのThinkPad X1 Carbon Gen9(第9世代)が発売されていますが、今回紹介するのは2020年発売のGen 8(第8世代)です。新モデルのほうがパフォーマンスが高くて機能が豊富ではあるものの、型落ちした旧モデルのほうが安く購入できます。軽い処理中心であれば、安いGen8のほうがおすすめです。
新旧モデルの違い
| Gen 8 (2020年モデル) | Gen9 (2021年モデル) | |
|---|---|---|
| CPU | 第10世代Coreプロセッサ | 第11世代Coreプロセッサ |
| グラフィックス | UHD | Iris Xe |
| メモリー | 8 / 16GB | 8 / 16 / 32GB |
| ストレージ | 最大1TB | 最大2TB |
| ディスプレイ | 14インチ | |
| アスペクト比 | 16:9 | 16:10 |
| モバイル通信 | 4G(LTE)対応 | 4G(LTE)/5G対応 |
| サイズ | 幅323×奥行き217×高さ14.9mm | 幅314.5×奥行き221.6×高さ14.9mm |
| 重量 | 約1.09kg~ | 約1.13kg~ |
| バッテリー駆動時間 | 最大 約19.8時間 | 約26時間 |
※2021年3月29日時点
▶ ThinkPad X1 Carbon Gen9 販売ページへ
デザインと使いやすさ
外観について

ThinkPad X1 Carbonは名前に「Carbon」と付いていることおわかりのとおり、筐体の素材に軽くて頑丈なカーボンファイバーが使われています。本体カラーは「ThinkPadブラック」とも呼ばれるおなじみの黒。非常に高級感のある質感です。

天板部分がカーボン製。表面はサラサラとしたマットな手触り。指紋は多少目立ちますが、拭き取れば気になりません

パームレストは頑丈なアルミ製

ThinkPadシリーズのシンボルとも言える、「赤ポチ」ことトラックポイント

ベゼルは左右6.9mm、左右13.4mm、下部21mm。左右は細いものの、上下がやや太め

ディスプレイはほぼ180度まで開きます

底面部はマグネシウム製

接地面積は幅323×奥行き217mm

A4サイズ(オレンジの部分)よりもひと回り大きい程度

厚さは実測で15.4mm、ゴム足を含めた設置時の高さは18.3mm

前面

背面

重さは実測で1.083kg。とても軽い!

付属の電源アダプター。45WのType-Cタイプで、重さは248g
サイズや重さ、機能については、2019年発売のThinkPad X1 Carbon Gen7と変わりません。

前モデル(Gen7)とサイズはほぼ同じ

Gen8(上)とGen7(下)の左側面のインターフェース構成

こちらは右側面

ディスプレイのサイズや品質も同じ

天板のロゴが微妙に異なります(上に乗っているのがGen8)
ディスプレイについて

ディスプレイのサイズは14インチ。解像度は1920×1080ドット(フルHD)と2560×1440ドット(WQHD)、3840×2160ドット(4K)の3種類が用意されています。タッチ機能に対応しているのはフルHDのみ。購入時のカスタマイズオプションで解像度を変更できますが、モデル(基本パッケージ)によっては選べる解像度が制限されていたり、パネルの種類によっては納品に時間がかかる場合があります。

今回試用したのはフルHDのモデル。デスクトップの文字の大きさは2~2.8mm程度でした(スケーリング150%時)
試用したフルHDモデル(タッチ非対応)の映像の色味は自然ですが、わずかに寒色系に感じます。画面の明るさは十分ですが、特別明るいわけではありません。公式スペックでは輝度は400nitとのことですが、それほど出ていないように感じます。とは言え、作業にはまったく問題ない明るさでした。
フルHD/WQHDモデルは色域がNTSC 72%(sRGB 100%相当)ですが、色合いが特別美しいわけではありません。クリエイティブワーク向けには、DCI-P3 90%の4Kモデルをおすすめします。

映像は自然な発色ですが、やや寒色系の印象

同じsRGB 100%相当でも、クリエイター向けノートPC(別機種)とは微妙に異なります

フルHD(タッチ非対応)パネルのコントラストは800:1。色にメリハリが感じられます

明るさは公称値で400nitですが、それほど明るくは感じませんでした。とは言え、作業には十分なレベルです
キーボードについて

キーボードは購入時のパーツカスタマイズで仕様を選べます。今回試用したのは日本語配列のバックライト対応ですが、英字配列やバックライトなしの構成も可能です。

バックライトは光がやや弱い印象

配列に変則的な部分は見られませんでした
キーピッチは実測19mmで、キーストロークは実測平均1.57mm。キーを押した瞬間のクリック感はハッキリとあり、ストローク感もしっかり感じられます。キーのスイッチ部分にブレがなく指の力がダイレクトに伝わるので、サクサクと軽快に入力できました。キートップがサラサラとして心地よい手触りなのもポイント。個人的には、とても使いやすいキーボードです。
タイプ音は軽い力でもカタカタと聞こえますが、うるさくは感じません。とは言え強く叩くとタンタンと響くので、軽いタッチでの使用をおすすめします。

機0ピッチは19mmでキーストロークは実測平均1.57mm。サクサクとしたタイプ感です

タイプ音は多少聞こえますが、高音域のカチャカチャした音ではないので気になりません
インターフェース/機能について

USB端子は合計4ポートで、うち2ポートがType-C/Thunderbolt 3です。あとは映像出力用のHDMIとヘッドホン端子、LTE対応モデルならSIMカードスロットが用意されています。メモリーカードスロットがないのは残念ですが、端子類は比較的充実いていると言っていいでしょう。モバイルノートPCでこれだけあれば十分です。
Type-C端子の機能
| USB PD 18W充電 | △(低速充電) |
|---|---|
| USB PD 30W充電 | △(低速充電) |
| USB PD 45W充電 | ○ |
| USB PD 65W充電 | ○ |
| USB PD 100W充電 | ○ |
| 映像出力 | ○ |

生体認証は指紋センサーが標準搭載。顔認識用のIRカメラはオプションです

スピーカーは底面配置。音にやや厚みがあり、解像感は高め。ただし底面部にあるためややこもった感があり、サラウンド感もほどほど
ベンチマーク結果
試用機のスペック
| モデル名 | パフォーマンス |
|---|---|
| CPU | Core i5-1020U |
| メモリー | 8GB |
| ストレージ | 256GB SSD |
| グラフィックス | UHD Graphics |
※各ベンチマークテストはWindows 10の電源プランを「バランス」に設定した上で電源モードを「最も高いパフォーマンス」に設定しています
※ベンチマーク結果はパーツ構成や環境、タイミング、個体差などさまざまな要因によって大きく変わることがあります
CPU性能
CPUとしては、インテル第10世代Coreプロセッサが使われています。すでに最新の第11世代Coreプロセッサがリリースされていますが、まだまだ現役レベルで使える性能です。普段使いはもちろん、ビジネス作業でも活用できるでしょう。
ノートPCでよく使われているのは、Core i5-10210UとCore i7-10510Uです。Core i5-10310UとCore i7-10610UはvPro対応で、企業内システムで利用するためのもの。個人で利用するぶんには特に必要なく、Core i5-10210UとCore i7-10510Uで十分です。
CPUの性能差
| CPU | PassMark 9.0 CPU Markスコア |
|---|---|
| Ryzen 7 4700U |
15264
|
| Core i7-10710U |
13685
|
| Ryzen 5 4500U |
12939
|
| Core i7-1165G7 |
12441
|
| Core i7-1065G7 |
12016
|
| Core i5-1135G7 |
11332
|
| Core i7-10610U |
10940
|
| Core i7-10510U |
10257
|
| Core i5-10310U |
10179
|
| ThinkPad X1 Carbon(Core i5-10210U) |
10122
|
| Core i5-1035G1 |
9667
|
| Core i5-10210U |
9329
|
| Ryzen 3 4300U |
9154
|
| Core i3-10110U |
5553
|
| Ryzen 3 3250U |
4968
|
| Athlon Silver 3050U |
3851
|
| Celeron N4120 |
2771
|
| Celeron N4020 |
1658
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
グラフィックス性能
グラフィックス機能としては、CPU内蔵のUHD Graphicsが使われます。3Dベンチマークテストの結果はCore i5としては順当でしたが、最近のPCとしては低めです。ゲームやグラフィックソフト向けではなく、文字中心の作業に向いています。
GPUの性能差
| GPU | 3DMark Fire Strike Graphicsスコア |
|---|---|
| GTX 1650 |
8513
|
| Iris Xe (Core i7) |
4561
|
| MX350 |
3931
|
| MX250 |
3400
|
| Radeon (Ryzen 7) |
3384
|
| Iris Plus(Core i7) |
2880
|
| Radeon (Ryzen 5) |
2652
|
| Iris Plus(Core i5) |
2236
|
| UHD (Core i7) |
1335
|
| ThinkPad X1 Carbon(Core i5) |
1289
|
| UHD (Core i5) |
1273
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
PCを使った作業の快適さ
| テスト | スコア |
|---|---|
| Essentials (一般的な利用) |
4100
7948
|
| Productivity (ビジネス利用) |
4500
6321
|
| Digital Contents Creation (コンテンツ制作) |
3450
3132
|
※スコアの目安はPCMark 10公式サイトによるもの
PCを使った作業の快適さを計測するPCMark 10のテストでは、一般利用(ネットやビデオチャット)とビジネス利用(表計算とワープロ)のテストは目標値をクリアーできたものの、コンテンツ制作(写真加工や3D制作、動画編集)では目標値に及びませんでした。Core i7モデルなら、ギリギリクリアーできるレベルだと思われます。やはり文字主体の作業に向いています。
ストレージのアクセス速度
ストレージとしては256GB~1TB SSDが用意されており、購入時のパーツカスタマイズで容量を変更可能です。接続規格はPCIe 3.0 x4の超高速タイプ。試用機で使われている256GB SSDのアクセス速度を計測したところ、まずまずの結果が出ました。ただし大容量のデータを連続して書き込むと、シーケンシャルライト性能(SEQ1MQ1T1)がやや低下します。サーマルスロットリングが発生しているのかもしれませんが、普通に使うぶんには特に気にならないでしょう。

256GB SSDのアクセス速度。左が標準テストの結果で、右が高負荷テストの結果
起動時間
ウィンドウズの起動時間(バッテリー駆動時)は平均16.5秒でした。最近のSSD搭載ノートPCの平均(15秒前後)と同程度です。起動が遅くてイライラすることはないでしょう。
起動時間の計測結果(手動計測)
| 1回目 | 17.9秒 |
|---|---|
| 2回目 | 16.8秒 |
| 3回目 | 15.8秒 |
| 4回目 | 16.2秒 |
| 5回目 | 15.8秒 |
| 平均 | 16.5秒 |
バッテリー駆動時間
バッテリーの駆動時間の公称値は、最大で約19.8時間とされています。しかしこれはバッテリー消費量を極端に落とした状態での結果で、実際の駆動時間とは異なる場合がほとんど。公称値よりも短いことのが普通です。
そこで最大パフォーマンスの状態でビジネス作業 (Web閲覧や文書作成、ビデオチャットなど)での駆動時間を計測したところ、13時間55分で休止状態へ移行しました。公称値よりも短い結果でしたが、これだけ持てば十分でしょう。バッテリー消費の少ない電源プランや電源モードを選べば、伸びる可能性があります。
気になるのは充電に時間がかかっている点。一般的なノートPCに比べて2倍以上の時間がかかっています。もしかすると、試用機のアダプターが不調だったのかもしれません。
バッテリー駆動時間の計測結果(Core i5モデル)
| テスト方法 | バッテリー消費 | 駆動時間 |
|---|---|---|
| ※公称値 | 小 | 19.8時間 |
| Modern Office (ビジネス作業) | 大 | 13時間35分 |
| 50%充電までにかかった時間 | - | 2時間26分 |
| フル充電までにかかった時間 | - | 5時間13分 |
※テストの条件や計測方法についてはコチラ
ゲーム系ベンチマーク結果
ゲーム系ベンチマークを試したところ、ごくごく軽いドラクエ10であれば画質を落として快適に遊べるとの評価でした。ドラクエ10より少し重い程度のゲームであれば、さらに解像度を下げればそれなりに遊べるでしょう。FF14/FF15クラスの重いゲームは、画質を調整しても厳しいレベルです。基本的にゲーム用ではありませんので、ごく軽いゲームを息抜き程度と考えてください。
FF15ベンチ (重い / DX11)

| 画質 | スコア / 評価 |
| 高品質 | 434 / 動作困難 |
| 標準品質 | 641 / 動作困難 |
| 軽量品質 | 864 / 動作困難 |
※1920×1080ドットの結果。スコアが6000以上で「快適」
FF14ベンチ:漆黒のヴィランズ (やや重い / DX11)

| 画質 | スコア / 平均FPS |
| 最高品質 | 1140 / 6.9 FPS |
| 高品質 | 1673 / 10.8 FPS |
| 標準品質 | 2261 / 14.5 FPS |
※1920×1080ドットの結果。平均60 FPS以上が快適に遊べる目安
ドラクエXベンチ (超軽い / DX9)

| 画質 | スコア / 評価 |
| 最高品質 | 4883 / 普通 |
| 標準品質 | 6414 / 快適 |
| 低品質 | 7908 / とても快適 |
※1920×1080ドットの結果
高い完成度の極上モバイルノートPC

よかった点
人気のハイエンドノートPCだけあって、完成度の高さは抜群です。高級感のある頑丈なボディに使いやすいキーボード、そして高いパフォーマンス。しかもその上、軽量かつバッテリーも長持ち。まさに理想的なモバイルノートPCと言っていいでしょう。スタイリッシュな極上ノートPCを求める人におすすめです。
気になる点
メモリーがオンボードで、あとから増設できないのは残念です。せめてメモリーのアップグレード料金がもう少し安ければ、ありがたいのですが……。
また型落ちして値段が下がったとは言え、Core i5モデルで税込16万円台はまだまだお高め。最新のGen9が17万円ちょっと(2021年3月29日時点)ですので、いまは最新モデルを買ったほうがいいかもしれません。週末セールなどで値段が大きく下がったときが狙い目です。
▶ ThinkPad X1 Carbon Gen9 販売ページへ

※2021年3月29日時点
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