INNOCN M2Uは、27インチサイズの4Kディスプレイです。mini LED技術によるコントラストが高く色鮮やかな映像が特徴。6~7万円あたりの価格で、10万円オーバーの高級ディスプレイ並みにインパクトのある映像品質を実現しています。
ポイント
- 😄 mini LEDで映像が超鮮やか
- 😄 HDR 1000対応
- 😄 DCI-P3 99%の広い色域
- 🙄 背面デザインがイマイチ
今回はメーカーから提供された実機を使って、外観や映像品質、実際に使った感想などをレビューします。

スペック
液晶サイズ | 27インチ |
---|---|
解像度 | 3840×2160ドット(アスペクト比16:9) |
パネル | IPS 非光沢 ミニLED |
リフレッシュレート | 60Hz |
応答速度 | 12ms |
コントラスト比 | 1000:1 |
色域 / 輝度 | sRGB 100%、DCI-P3 99%、AdobeRGB 99% / 700nit または1000nit(HDR) |
HDR | Display HDR1000 |
映像入力 | HDMI 2.0×2、DisplayPort 1.4×1、USB Type-C(90W給電対応) |
PIP・PBP/KVM | 対応 / 非対応 |
FreeSync / G-SYNC | 非対応 |
スピーカー | あり |
チルト角度 | 下5度~上20度 |
ピボット / スイーベル | ±90度 / 左右22.5度 |
高さ調節機能 | 0~120mm |
VESAマウント | VESA100 |
サイズ / 重量 | 幅613.9mm、高さ518.7mm、奥行き228.8mm / 6.6kg |
付属品 | 電源ケーブル、HDMIケーブル、DPケーブル、Type-Cケーブル、保証書など |
パッケージと設置

INNOCN M2Uの箱

箱のサイズはけっこう大きめ。梱包重量は約9.7kgです

パネル以外の付属品。ケーブルはHDMIとDisplayPort、Type-Cの3種類が付いていました

給電は電源アダプター方式。かなり大きめです

sRGBとAdobeRGBの色補正レポートが付いています

スタンドとベース

ツールレスのネジを回すだけで組み立ては完了。ドライバーは不要です

パネル背面のスタンドを取り付ければ組み立て完了

VESA100マウントに対応。一般的なディスプレイアーム等を利用できます
本体の外観
デザイン

本体前面。スタンド部分はやや大きくて目立つものの、パネル部分は標準的です

本体背面。ゲーミングディスプレイのようなやや仰々しいデザインの上に、テカテカと光るシルバーのデザインがやや安っぽい印象です。個人的にあまり好みではありませんが、普段は目には入れない部分なので気にしなくてもいいかもしれません

電源を入れると背面のLEDが光ります。四隅はシアンのみですが、LEDバーはARGBタイプで色や光の強さを変更可能。イルミネーションが必要ない場合は、OSDからLEDをオフにできます

本体側面。パネル部分にはだいぶ厚みがあります

ベゼルはかなり細め
可動範囲

高さ調節は0~12cm

チルト角度は前方5度~後方20度

スイーベル角度は左右22.5度

90度のピボットにも対応
インターフェース

インターフェース類は背面下部に配置されています。左からHDMI2.0×2、DisplayPort 1.4×1、USB Type-C(DP Alt、90W給電対応)、3.5mmステレオジャック、電源コネクター

OSD操作用のボタン類は、背面右に設置されています

上部には環境光センサーが配置されています。設定を有効にすると、周囲の明るさに応じた輝度の自動調整が可能

スピーカーも搭載されていますが、音質はそれほどよくはありません。しかしあるのとないのでは便利さがだいぶ異なります
機能について
OSD

パネル右下のボタンを押すと、OSDメニューが表示されます。ここからディスプレイの各種機能を呼び出し可能です

「プロ」ではカラーモードを変更可能

明るさなどの調整は「ピクチャ設定」で行ないます

「ゲーム設定」ではゲームのジャンルに応じたプリセットを選択できますが、正直なところあまり使わないでしょう。それよりは「ローカルディミング」設定(後述)のほうが重要です

複数機器の映像をひとつのパネルに収める「Picture in Picture(PIP)」や「Picture by Picture(PBP)」に対応
映像品質
画面サイズと解像度

画面サイズは27インチで解像度は4K。4Kタイプとしてはもっともスタンダードな組み合わせです。拡大率100%では文字が小さくて見づらいなら、125~150%あたりに設定するといいでしょう

4K映像は非常に高精細で、細部のディティールがつぶれることなくハッキリと映し出されます
映像の色合いと明るさ

ローカルディミングをオフにした状態で、最大輝度で黒を表示(左)したときと最低輝度で白を表示(右)した様子。LEDの光漏れやムラがやや見られますが、実際の映像ではそれほど気になりませんでした

ローカルディミングとは、細かく分割されたバックライトの明滅を個々に制御することで、コントラストの高い映像を実現する技術。無効の状態(上)ではわずかに光が漏れるためうっすらとグレーっぽく見えますが、有効にすると(下)黒が引き締まって見えます

コントラストの高さは有機EL並み。特に黒が引き締まった映像で、印象的な色合いです

標準モードの映像。バランスがよく自然で鮮やかな色合いです。色域の計測結果は、以下の表のとおり。公称値とは微妙に異なりますが、計測時の誤差が出ているものと思われます。色域が広く、豊かな色合いを表現できるパネルです
色域測定結果
sRGBモード | sRGBカバー率97.9%、sRGB比100.4%、輝度601nit |
---|---|
DCI-P3モード | DCI-P3カバー率91.6%、DCI-P3比91.6%、輝度589nit |
Adobeモード | AdobeRGBカバー率96.8%、AdobeRGB比97.5%、輝度615nit |
HDRの映像品質

本体のHDR機能をオンにした際の映像。光の強いところから弱いところまで、色がつぶれることなく自然なグラデーションで描かれています

HDR機能をオフにした状態。階調表現が弱く、ノッペリとした印象です

HDR有効時のゲーム映像。光の階調表現が自然で、映像に奥行きが感じられます ※一部白飛びしているのはゲーム上の演出だと思われます

HDRをオフにしたときの映像。影の部分がつぶれており、細かなディティールが失われています
リーズナブルなHDR 1000対応機
INNOCN M2Uの魅力は、6万円台のミドルレンジクラスの価格帯でありながら、10万円オーバーのハイエンドクラス並みにインパクトのある映像を実現している点です。とにかく映像が鮮やか。見慣れた写真でも思わず二度見するくらい、美しく映し出されます。

ワンランク上の映像を映し出せる高品質パネル
また画面は非常に明るく、輝度の計測では格安ディスプレイの2倍くらいの結果が出ました。HDR 1000の状態は正確に計測できなかったものの、正直600nit前後でも明るすぎるほどなので十分です。
用途としては普段使いはもちろん、クリエイティブワークにも活用できるでしょう。ゲームにもアリと言えばアリなのですが、リフレッシュレートが60Hz止まりなので動きの速いゲームには向きません。せめて120~144Hzくらいあれば、HDRで色鮮やかなゲーム画面を堪能できるのですが、その点は少し残念です。

HDRで映し出されるゲーム映像は、雰囲気がグッと向上します
あと気になったのは、背面のデザイン。好みがわかれると思いますが、個人的にはもう少しシンプルでもよかったのではないかと思います。とは言え、見えない部分なので気にならないことのほうが多いでしょう。ただパネルの厚みはだいぶ目立つはずです。

背面はもう少しシンプルなデザインのほうがよかったと思います
映像については、非常に高品質なディスプレイです。ワンランク上の美しさを体験したい人におすすめします。

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