HPの『Victus 15(AMD)』は、エントリー(入門向け)クラスのゲーミングノートPCです。CPUはZen3世代のモバイルRyzen 5000シリーズで、GPUはGeForce RTX 3050 / 3050 TiまたはRX 6500M。144Hzの高リフレッシュレートで、人気ゲームをなめらかな動きで楽しめます。
現在の販売価格は10~11万円前後。安い機種だけあって、品質面もパフォーマンス面も十分ではあるもののそれなりです。ただ予算が少ない人にとっては、悪い選択ではありません。10万円前後でゲーミングノートPCをなんとかしたいならアリだと思います。
この記事ではメーカーからお借りした実機を使って、デザインや性能、実際の使い心地などをレビューします。
Victus 15(AMD)
スペック
発売日 | 2022年8月4日 |
---|---|
OS | Windows 11 Home |
ディスプレイ | 15.6インチ 1920×1080 IPS 非光沢 250nit 144Hz |
CPU | Ryzen 5 5600H / Ryzen 7 5800H |
メモリー | 16GB(8GB×2) ※DDR4-3200、最大16GB、スロット×2 |
ストレージ | 512GB PCIe Gen3 x4 NVMe SSD |
グラフィックス | RX 6500M(4GB) / RTX 3050(4GB) / RTX 3050 Ti(4GB) |
通信 | Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.2、有線LAN(1Gbps) |
インターフェース | USB Type-C(映像出力対応)×1、USB Type-A×2、HDMI2.1、有線LAN、SDカードスロット、ヘッドセット端子 |
生体認証 | なし |
サイズ / 重量 | 幅357.9×奥行き255×高さ23.5mm / 約2.29kg |
バッテリー | 約7~9時間 |
本体デザイン
Victus 15(AMD)の本体は、カジュアルな外観です。本体カラーはパフォーマンスブルー。実際にはワンウオッシュのデニムのような濃い紺色で、落ち着きを感じさせながらも若々しさがあります。そして天板には、力強さを感じさせる「V」のエンブレム。RGBイルミネーションによるいかにもな華やかさはないものの、一般的なゲーミングPCのイメージとは別の方向からゲームへの期待を感じさせる仕上がりです。
サイズと重量
スタイリッシュな印象の外観ですが、横から見ると厚みがけっこうあります。大きさもそこそこあり、どちらかと言えばゴツさが感じられるかもしれません。
ディスプレイについて
ディスプレイは、15.6インチのフルHD。ゲーミングノートPCとしては、もっともよくある組み合わせです。リフレッシュレートは144Hzで、エントリー(入門)向けとしては十分でしょう。HDMI端子を利用すれば、高性能な外付けゲーミングディスプレイを利用可できます。
キーボードについて
キーボードはゲーマー向けに配慮された作りではなく、一般的なノートPCと変わりません。また一部のキーが押しづらく感じることがありました。コントローラーを使うなら問題ありませんが、配列やタイプ感を重視するなら外付けキーボードの利用も考えるといいかもしれません。
ベンチマーク結果
試用機のスペック
CPU | Ryzen 5 5600H |
---|---|
メモリー | 16GB |
ストレージ | 512GB NVMe SSD |
グラフィックス | RX 6500M(4GB) |
※ベンチマークテストはWindows 11の電源プランを「バランス」、電源モードを「最適なパフォーマンス」に設定した上で、標準収録ユーティリティー「OMEN Gaming Hub」の「パフォーマンスコントロール」を「初期設定」に、「ファン速度」を「自動」に設定。さらに電源アダプターを接続した状態で実施しています
※ベンチマーク結果はパーツ構成や環境、タイミング、個体差などさまざまな要因によって大きく変わることがあります
CPU性能
CPUとしては、AMD Zen3世代のRyzen 7 5800HまたはRyzen 5 5600Hが使われています。
Ryzen 5 5600H搭載の試用機で行なったCPUベンチマーク結果は、以下のグラフのとおり。ゲーミングノートPC向けCPU(末尾が”H”または”HX”)のなかではやや低めの性能ではあるものの、ノートPC全体で見れば「中の上」あたりでなかなか優秀です。さらに同じCPUの平均値を大きく上回っている点もポイント。Ryzen 7搭載の上位モデルなら、より高いパフォーマンスを期待できるでしょう。
CPUの性能差 (マルチコア性能)
CPU | CINEBENCH R23 CPUスコア |
---|---|
Core i9-12900HX |
21119
|
Core i7-12700H |
16039
|
Core i5-12500H |
14202
|
Ryzen 7 6800H |
13673
|
Ryzen 9 5900HX |
12654
|
Ryzen 7 5800H |
11346
|
Core i7-11800H |
11123
|
Ryzen 5 6600H |
10237
|
Victus 15(Ryzen 5 5600H) |
9563
|
Ryzen 5 5600H |
8901
|
Core i5-11400H |
7529
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
比較的新しいノートPC向けCPUとの比較(マルチコア性能)
CPU | 3DMark CPU Profile Max threads |
---|---|
Ryzen 9 7945HX |
14095
|
Core i9-13900HX |
12297
|
Core i7-13700HX |
8648
|
Core i9-12900H |
7911
|
Core i9-12900HK |
7714
|
Core i7-12700H |
7670
|
Core i5-13500H |
7031
|
Ryzen 7 7735HS |
6918
|
Ryzen 7 6800H |
6839
|
Core i5-12500H |
6391
|
Ryzen 5 7735HS |
5525
|
Ryzen 5 6600H |
5297
|
Core i5-12450H |
5258
|
Victus 15(Ryzen 5 5600H) |
5225
|
※スコアはUL Solutionsによる平均値で、実機の結果ではありません
グラフィックス性能
グラフィックス機能としてはエントリー(入門)向けのRTX 3050かRTX 3050 Ti、またはRX 6500Mが使われています。今回試用したのは、RX 6500M搭載の下位モデルです。3Dベンチマークテストを行なったところ同じGPUの平均値を上回りましたが、ゲーム向けGPUのなかではかなり非力です。
それでも中量級クラスまでのタイトルなら、普通に楽しめるでしょう。より高画質 / 高いフレームレートで楽しみたいなら、RTX 3050以上のモデルを選んでください。
ノートPC向けGPUの性能(DirectX 12,WQHD)
GPU | 3DMark Time Spy Graphics |
---|---|
RTX 4090 |
21611
|
RTX 4080 |
18884
|
RTX 3080 Ti |
13004
|
RTX 4070 |
12148
|
RTX 3080 |
12032
|
RTX 3070 Ti |
11398
|
RTX 3070 |
10497
|
RTX 4060 |
10495
|
RTX 4050 |
8404
|
RTX 3060 |
8352
|
RTX 3050 Ti |
5342
|
RTX 3050 |
4852
|
Victus 15(RX 6500M) |
4321
|
RX 6500M |
4225
|
GTX 1650 |
3445
|
※そのほかのスコアはUL Solutionsによる平均値
ちなみにレイトレーシング機能にはいちおう対応しているものの性能がかなり低いので、時事s都城の非対応と考えたほうがいいでしょう。
GPUの性能 (レイトレーシング)
GPU | 3DMark Port Royal Graphicsスコア |
---|---|
RTX 4080 |
11943
|
RTX 3080 Ti |
8527
|
RTX 4070 |
7202
|
RTX 3080 |
7148
|
RTX 3070 |
5957
|
RTX 3060 |
4909
|
RTX 3050 Ti |
585
|
RTX 3050 |
537
|
Victus15(RX 6500M) |
297
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
ゲーム性能
Ryzen 5 + RX 6500Mの下位モデルでゲーム系ベンチマークを試したところ、重いゲームは最低画質でなんとかというレベルでした。FPS / TPSについては中量級タイトルで100~120 fps、競技系タイトルで200~240 fpsといったところです。Vulkan対応タイトルとは相性が悪かったのか、フレームレートはあまり伸びませんでした。
RTX 3050 / RTX 3050 Tiだと1~2ランク上(15~30%程度フレームレートが向上)の結果が出るでしょう。
検証結果まとめ
- ・激重タイトルは最低画質でなんとか
- ・中量級タイトルで高画質は厳しい
- ・事実上レイトレ非対応
- ・中量級FPSは画質調整で100~120fps
- ・競技系FPSは外部出力で200fps可能
※平均60 FPS以上が快適に遊べる目安
ファークライ6(そこそこ重い / DX12)
画質 | 平均FPS / 最小FPS |
レイトレ最高画質 | 24 / 4 |
最高画質 | 46 / 33 |
最低画質 | 70 / 56 |
アサシン クリード ヴァルハラ (激重)
画質 | 平均FPS / 低位1% |
最高画質 | 16 / 10 |
最低画質 | 69 / 51 |
エーペックスレジェンズ 射撃訓練場(中量級)
画質 | 平均FPS / 低位1% |
最高画質 | 51.5 / 44.1 |
最低画質 | 126.5 / 105.4 |
※解像度はフルHD。実際のプレーではこの結果よりもFPSが低下します
レインボーシックス シージ(軽い) ※Vulkan
画質 | 平均FPS / 最低FPS |
最高画質 | 76 / 37 |
最低画質 | 77 / 62 |
※ゲーム内ベンチマークの結果
CS:GO FPS Benchmark(軽い)
画質 | 平均FPS |
最高画質 | 176.69 |
最低画質 | 203.61 |
※ワークショップ内のマップ「FPS Benchmark」を使用
ヴァロラント 屋外射撃場(軽い)
画質 | 平均FPS / 低位1% |
最高画質 | 184.9 / 113.7 |
最低画質 | 245.7 / 136.1 |
※屋外射撃場で武器を使用しながら走り回った結果。実際のプレーではこの結果よりもFPSが10%程度低下します
Forza Horizon 5(重い)
画質 | 平均FPS / 最小FPS |
最高設定(レイトレあり) | 26.2/ 19.5 |
最低設定(レイトレなし) | 135.5 /118.1 |
※
Portal with RTX(激重)
画質 | 平均FPS / 低位1% |
標準設定 | ※重すぎて計測不能 |
とにかく安く買いたい人向け
本体の仕上がりについてもパフォーマンスについても、全体的に格安クラス相当に感じました。記事執筆時点(2023年4月末)の値段はRyzen 5 + RTX 3050モデルで約10万円、上位のRyzen 7 + RTX 3050 Tiモデル約11万5000円あたり。正直なところを言えば「悪くはないけれども、もう少し予算があるなら上位を狙おう」といったところです。
ただし予算が10~11万円しかないなら、悪い選択ではありません。さらに性能が劣るGTX 1650搭載機でも10万円前後で販売されていることがあるので、そんな機種を買うよりはVictus 15(AMD)のほうがはるかに有意義です。
ここからさらに10%程度値段が下がれば積極的におすすめできるのですが、2023年4月の時点だと「10万円前後の機種としてはアリ」といったところでしょうか。
Victus 15(AMD)
*
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