VAIO株式会社は2016年2月4日、Windows 10 Mobile搭載の5.5型SIMフリースマートフォン「VAIO Phone Biz(VPB0511S)」を発表しました。価格はオープンで、市場想定価格は5万円台。発売日は4月を予定しています。
販売は直営オンラインストア「VAIOストア」をはじめ一部量販店で行なわれるほか、ビッグローブや楽天モバイルなどのMVNOでも予定されています。法人向けにはNTTドコモの法人ビジネス本部、およびダイワボウ情報システムが販売を担当します。
VAIO Phone Bizのスペック
今回発表されたVAIO Phone BizはプロセッサにオクタコアのQualcomm SnapDragon 617(1.5GHz×4+1.2GHz×4)を採用するミドルレンジのモデルです。液晶ディスプレイはフルHD(1080×1920ドット)の5.5インチで、メモリーは3GB、ストレージは16GBの構成。外部ストレージとしては最大64GBのmicroSDメモリーカードに対応しています。
通信機能は3Gと4G/LTE対応で、3G(WCDMA)の対応バンドは1/6/8/11、LTEはバンド1/3/8/19/21に対応しています。通信速度はLTE-Advanced利用時で下り最大225Mbps、LTE通信時で下り最大150Mbps、3G通信時で下り最大42.2Mbpsに対応しています。
VAIO Phone Bizの本体デザイン
本体サイズは幅77×高さ156.1×奥行き8.3mmで、重量は167g。バッテリー容量は2800mAhで、駆動時間は測定中とのことです。
ボディには削りだしのアルミ素材が使われています。背面のVAIOロゴはレーザーエッチングで立体的に加工されており、さらに仕上げにブラスト加工を施すことで、高い質感を実現しています。カメラ機能はリアが1300万画素、フロントが500万画素の構成。
主なインターフェースは、microSIMカードスロット、microUSB×1、ヘッドホン出力、microSDカードスロット。テザリング機能はWi-FiテザリングとBluetoothテザリングの2種類です。無線LANはIEEE802.11a/bn/g/n/acに対応しています。センサー類は、GPS、地磁気、ジャイロ、加速度。
VAIO Phone BizはVAIO製PCと同じく、「安曇野FINISH」による高い品質を確保しているとのこと。長野県安曇野にあるVAIOの工場で、人の手による仕上げとチェックが1台ずつ行なわれています。
Contiuum対応でPCのように使える!?
VAIO Phone BizはWindows 10 MobileのContiuumに対応しています。別売りの「ワイヤレスディスプレイドックアダプター」を接続することでVAIO Phone Bizの画面を液晶ディスプレイ上に表示し、PCのようにキーボードやマウスで操作することが可能です。Contiuum利用時でも、VAIO Phone Bizを使った通話やアプリの利用にも対応しています。Continuumの接続方式は無線のみで、有線には非対応。
なお「ワイヤレスディスプレイドックアダプター」の利用はあくまでもVAIOが推奨するデバイスであるとのこと。ほかのMiracastレシーバーでも利用可能です。
実際にContiuumを試してみたのですが、画面はPCライクなのでスマートフォンで動作しているとは思えません。ただ一般的なスマートフォンと同様に、1画面にいくつもアプリを表示することはできませんでした。
実際に使ってみて気になったのは、レスポンスがそれほどよくない点です。「PCのように使える」ことがContiuumのウリなのですが、PCよりもはるかに動作がモッサリしています。たとえばマウスを操作するとカーソルがやや遅れて動きますし、キーボードを使ってもすぐに文字が反映されるわけではありません。
VAIOの人に聞いてみたところ、これはMiracastの通信状態によるものだとのことでした。端末としては十分な性能を持っているものの、電波状況によってMiracastの調子の善し悪しが大きく変わるらしいのです。
ちなみに展示機の調子を聞いてみたところ、「少しいい状態」ということでした。少しいい状態でモッサリですから、悪いときはどうなってしまうのでしょうか。
Contiuum前提のモデルだけど、実力が未知数
VAIO株式会社は今回のVAIO Phone Bizを、ビジネスシーンでの利用を想定しています。ビジネスにおける生産性の高さを訴求することで、ほかのスマートフォンと差別化するようです。
そのひとつのウリとして挙げられているのが、Windows 10 Mobileに用意されている「Continuum」です。この機能をより快適に使うために、プロセッサにはSnapDragon 617を搭載しメモリーは3GBにしているとのことでした。
しかし今回試してみた限りでは、ストレスなく使えるというレベルではありませんでした。ひょっとすると場所が変われば、サクサク動くのかもしれません。しかしその実力は未知数です。
Contiuumは素晴らしい機能なのですが、Miracastによってパフォーマンスが落ちるのが事実であれば、無線よりも有線で利用したほうがいいのかもしれません。そうなるとハイエンド向けのSnapDragon 810を搭載したモデルになるのですが、国内で発売されるのでしょうか。
個人的には、端末自体は悪くはないと思っています。かと言って、特別いいわけでもないのですが、日本通信から発売されたAndroid版のVAIO Phoneよりは格段にいいですね。5万円台という値段もどうなるかわかりませんが、VAIO Phone Bizが発売される4月までにSnapDragon 810搭載端末が発表されなければ、もしかしたら購入するかもしれません。