レノボの『Lenovo V15 Gen 4 AMD』(以下、”Lenovo V15 Gen4″)は、15.6インチディスプレイを搭載する据え置き用のスタンダードノートPCです。8GBメモリーとフルHD(IPSパネル)の構成でで、価格は5~6万円前後。上位モデルなら普通に使える性能で、リーズナブルな値段で販売されています。
記事執筆時の価格
スペック | 価格 |
---|---|
Athlon Silver 7120U / 8GB / 256GB | 4万9940円 |
Ryzen 3 7320U / 8GB / 256GB | 5万4890円 |
Ryzen 5 7520U / 8GB / 256GB | 5万9840円 |
※2023年10月23日時点
ただし値段が安いだけあって、本体の仕上がりも性能もそれなりです。安く買えるのはメリットではあるものの、同程度の値段で(あるいは予算を多少上乗せすれば)より高性能な機種を入手できます。その点でコスパはあまり高くありませんが、タイミングをうまくつかめば激安価格で入手できることもあるでしょう。
この記事ではメーカーからお借りした実機を使って、デザインや性能、実際の使い心地などをレビューします。
スペック
発売日 | 2023年2月21日 |
---|---|
OS | Windows 11 Home / Pro |
ディスプレイ | 15.6インチ1920×1080ドット、IPS、300nit、45% NTSC、非光沢 |
CPU | Athlon Silver 7120U / Ryzen 3 7320U / Ryzen 5 7520U |
メモリー | 8GB LPDDR5-5500 ※オンボード増設不可 |
ストレージ | 256 / 512GB Gen4 NVMe SSD |
グラフィックス | Radeon 610M Graphics ※CPU内蔵 |
通信 | Wi-Fi 6、Bluetooth 5.1、有線LAN(1Gb) |
インターフェース | USB3.2 Gen1 Type-C(PD / DP)×1、USB3.2 Gen1×2、HDMI1.4b(最大4K@30Hz)、有線LAN、ヘッドフォン出力 / マイク入力 |
セキュリティ | ※生体認証なし |
サイズ / 重量 | 幅359.2mm、奥行き235.8mm、高さ19.9mm / 約1.65kg |
バッテリー | 2セル38Wh ※駆動時間は未公開 |
本体デザイン
ディスプレイについて
キーボードについて
ベンチマーク結果
試用機のスペック
CPU | Ryzen 5 7520U |
---|---|
メモリー | 8GB |
ストレージ | 256GB NVMe SSD |
グラフィックス | Radeon Graphics(CPU内蔵) |
※ベンチマークテストはWindows 11の電源プランを「バランス」、電源モードを「最適なパフォーマンス」に設定した上で、電源アダプターを接続した状態で実施しています
※ベンチマーク結果はパーツ構成や環境、タイミング、個体差などさまざまな要因によって大きく変わることがあります
CPU性能
CPU(APU)としては、開発コード「Mendocino(メンドシノ)」ことモバイルAthlon / Ryzen 7020Uシリーズが使われています。2022年9月にリリースされたCPUですが、内部的には2020年にリリースされたモバイルRyzen 4000Uシリーズと同等。昔のCPUを廉価版として、現在でも使っていると考えてください。
Ryzen 5 7520U搭載の試用機でCPUベンチマークを行なったところ、現行世代のノートPCのなかでは低めの結果が出ました。ネットの調べ物や動画視聴、オフィスを使った文書作成には問題ない程度ですが、ガッツリ作業するのには向いていません。Ryzen 3モデルやAthlonモデルであれば、さらにパフォーマンスは劣るでしょう
薄型ノートPC向けCPUの性能差 (総合性能)
CPU | PassMark CPU Mark Score |
---|---|
Ryzen 7 7735U |
21043
|
Core i5-1340P |
20760
|
Core i7-1360P |
19623
|
Ryzen 7 7730U |
18979
|
Core i5-1335U |
18240
|
Ryzen 5 7535U |
17163
|
Ryzen 5 7530U |
16196
|
Core i7-1355U |
15636
|
Core i3-1315U |
13033
|
Ryzen 3 7330U |
10909
|
Core i3-N305 |
10265
|
Lenovo V15(Ryzen 5 7520U) |
10027
|
Ryzen 5 7520U |
9759
|
Ryzen 3 7320U |
9249
|
Intel N100 |
5620
|
Athlon Silver 7120U |
3088
|
※そのほかのスコアはPassMark CPU Benchmarksによる集計値
ただし性能が悪いわけではありません。たとえばちょっと前に使われていたCPUと比較するなら、インテル第11世代のCore i5以上、Core i7未満といったところ。2~3年前のハイエンドクラスと同等です。
薄型ノートPC向けCPUの性能差 ※一部
CPU | PassMark CPU Mark Score |
---|---|
Core i7-1165G7 |
10375
|
Lenovo V15(Ryzen 5 7520U) |
10027
|
Core i5-1135G7 |
9926
|
※そのほかのスコアはPassMark CPU Benchmarksによる集計値
軽めの作業に強く影響するシングルスレッドのテストの結果は以下のとおり。やはりやや低めの結果ですが、総合性能のテストほど大きな差はありませんでした。
薄型ノートPC向けCPUの性能差 (シングルスレッド)
CPU | PassMark CPU Mark Score |
---|---|
Core i7-1360P |
3670
|
Core i5-1335U |
3665
|
Core i7-1355U |
3606
|
Core i3-1315U |
3573
|
Ryzen 7 7735U |
3289
|
Ryzen 7 7730U |
3228
|
Ryzen 5 7530U |
3136
|
Ryzen 5 7535U |
3105
|
Ryzen 3 7330U |
3089
|
Lenovo V15(Ryzen 5 7520U) |
2637
|
Ryzen 5 7520U |
2573
|
Ryzen 3 7320U |
2485
|
Core i3-N305 |
2279
|
Athlon Silver 7120U |
2103
|
Intel N100 |
1971
|
※スコアはPassMark CPU Benchmarksによる集計値
グラフィックス性能
グラフィックス機能としては、CPU内蔵のRadeon 610Mが使われます。RDNA2世代でアーキテクチャ(基本設計)的には前世代のRadeon Graphics(Vega)よりも新しいのですが、グラフィックスコアが2基しかないため、性能はかなり低めです。
実際の3Dベンチマークテストでも、内蔵グラフィックスタイプとしては最低クラスの結果が出ています。グラフィックス関連の作業は避けたほうがいいでしょう。
内蔵グラフィックスの性能差(DirectX 12)
GPU | 3DMark Time Spy Graphicsスコア |
---|---|
GTX 1650 |
3445
|
Radeon(RDNA 3) |
2862
|
Radeon 680M(RDNA 2) |
2211
|
Iris Xe(Core i7+LPDDR) |
1528
|
Iris Xe(Core i5+LPDDR) |
1302
|
Radeon (Vega) |
1204
|
Iris Xe(Core i7+DDR) |
1149
|
Iris Xe(Core i5+DDR) |
977
|
UHD(Core i3) |
900
|
V15(Radeon 610M, RDNA2) |
551
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
PCを使った作業の快適さ
PCMark10は、PCを使った作業の快適さを計測するベンチマークテストです。一般的な作業を想定しているため、テストでは比較的軽い処理が行なわれています。各テストの傾向としては「Essentials」(一般利用)ではCPUのシングルコア性能、「Productivity」(ビジネス利用)ではCPUのマルチコア性能、「Digital Contents Creation」(コンテンツ制作)ではCPUとストレージ、GPU性能が強く影響するようです。
各テストの目標値はクリアーしているものの、コンテンツ制作(写真加工や3D制作、動画編集)についてはギリギリ超えたレベル。そのほかは目標値を大きく上回っているものの、一般的なノートPCと比べるとスコアが低い印象を受けます。
とは言え、価格が安いことを考えれば納得できる範囲です。ただしAthlon / Ryzen 3モデルでは、ちょっと厳しいかもしれません。
PCMark 10ベンチマーク結果
テスト | スコア |
---|---|
Essentials (一般的な利用) 目標値:4100 |
8477
10616
10917
9869
10647
10093 |
Productivity (ビジネス利用) 目標値:4500 |
7557
10003
9572
8854
6968
6759 |
Digital Contents Creation (コンテンツ制作) 目標値:3450 |
3645
6018
6536
8298
5997
6342 |
※スコアの目標値はPCMark 10公式サイトによるもの
比較機のスペック(スリムノートPC)
▶ThinkBook 14 Gen5 | Ryzen 5 7530U / 16GB / Radeon |
---|---|
▶IdeaPad Flex 5 Gen8 | Ryzen 7-7730U / 16GB / Radeon |
▶Zenbook 15 OLED | Ryzen 7 7735U / 16GB / Radeon |
▶HP Spectre x360-14 | Core i7-1255U / 16GB / Iris Xe |
▶XPS 13 Plus | Core i7-1260P / 16GB / Iris Xe |
バッテリー駆動時間
バッテリーの駆動時間は記事公開時ではまだ未掲載のままでした。そこでビジネス作業 (Web閲覧や文書作成、ビデオチャットなど)での駆動時間を計測したところ、開始から10時間8分で休止状態へ移行しました。電源プランや画面の輝度を変更すれば、駆動時間はさらに延びる可能性があります。本来は持ち歩き用の機種ではありませんが、十分な性能です。
バッテリー駆動時間の計測結果(Ryzen 5モデル)
テスト方法 | バッテリー消費 | 駆動時間 |
---|---|---|
※公称値 | 小 | ※非公開 |
Modern Office (ビジネス作業) | 大 | 10時間8分 |
50%充電までにかかった時間 | - | 44分 |
フル充電までにかかった時間 | - | 2時間11分 |
※テストの条件や計測方法についてはコチラ
セール時期が狙い目
記事執筆時点での販売価格は、5~6万円前後。ノートPCとしては安価ではあるものの、今回紹介したLenovo V15 Gen4よりも高品質&高スペックなモデルがないわけではありません。たとえば2023年10月時点なら、より高性能なCore i5-1235Uを搭載したノートPCが約6万円で購入できます。ノートPCに詳しい人であれば、安いからと言って高高コスパというわけではないことはおわかりでしょう。
https://komameblog.jp/bargain/hp-20230929-outlet/
ただレノボでは2~3ヵ月に1回のタイミングで、一部のノートPCをかなり安く販売することがあります。さらにポイントサイト「楽天リーベイツ」のポイント還元率が20%に上昇し、実質20%オフと同等になることも。このときを狙えば、かなりお得に入手できます。
ノートPCとしてはの性能や品質はそこそこですが、タイミングがうまくハマれば、かなりのお買い得品になるはずです。
*
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