エイサーのAcer Chromebook 712 C871T-A38Nは、12インチのディスプレイを搭載するノートPCです。外観はややゴツいのですが、とにかく頑丈である点がポイント。持ち歩き用や子供用のノートPCにも向いています。
Acer Chromebook 712 C871T-A38Nのスペック
OS | Chrome OS |
---|---|
画面サイズ | 12インチ |
解像度 | 1366×912 |
CPU | Core i3-10110U |
メモリー | 8GB ※オンボード |
ストレージ | 32GB eMMC |
HDD | なし |
グラフィックス | UHD(CPU内蔵) |
LTE | - |
堅牢性テスト | MIL-STD 810G |
色域 / 明るさ | - |
幅×奥行き | 296×229mm |
厚さ | 21.5mm |
重量 | 約1.4kg |
バッテリー | 約12時間 |
自動更新ポリシー | 2028年6月 |
※2021年7月22日時点。構成は変更される場合があります
本体カラー | ブラック |
---|---|
画面の表面 | 非光沢 |
パネルの種類 | IPS |
タッチ / ペン | タッチ対応 |
光学ドライブ | - |
テンキー | - |
有線LAN | - |
無線LAN | Wi-Fi 6 |
Bluetooth | 5.0 |
USB3.1 | - |
USB3.0 | 1 |
USB2.0 | - |
USB Type-C | 2(USB3.1 Gen1、PD/DP対応) |
Thunderbolt 4 | - |
メモリーカード | microSD |
HDMI | - |
VGA (D-sub15) | - |
DisplayPort | - |
Webカメラ | HD 720p(92万画素) |
顔認証カメラ | - |
指紋センサー | - |
付属品 | ACアダプターなど |
オフィス | なし |
この記事では筆者が購入したAcer Chromebook 712 C871T-A38Nの実機を使って、デザインや性能、実際の使い心地などをレビューします。
この記事の目次
- ▶スペック
- ▶ラインナップについて
- ▶デザインと使いやすさ
- ▶ベンチマーク結果
- ▶まとめ
※2021年7月22日時点
※本製品はChrome OSを搭載したノートPCです。Windows向けのソフトは利用できないので注意してください。
ラインナップについて
エイサーのChromebook 712シリーズには、全部で4種類のモデルが用意されています。それぞれの違いは、CPUとメモリー/ストレージの容量のみ。重量やサイズ、インターフェース構成などは同じです。微妙にわかりづらいので、購入の際はこの3点に注意してください。
Chromebook 712のラインナップ
型番 | CPU | メモリー | eMMC |
---|---|---|---|
C871T-A38P | Core i3-10110U | 8GB | 64GB |
C871T-A38N | Core i3-10110U | 8GB | 32GB |
C871T-A14P | Celeron 5205U | 4GB | 64GB |
C871T-A14N | Celeron 5205U | 4GB | 32GB |
デザインと使いやすさ
外観について
Acer Chromebook 712 C871T-A38Nの最大の特徴は、”頑丈”である点です。
米国防総省制定の耐久基準「MIL-STD 810G」準拠で、高さ約122cmからの落下にも耐える高い堅牢性(壊れにくさ)を誇ります(絶対に壊れないわけではありません)。キーボードは耐水仕様で、最大330mlの水をこぼしても底面下部から排水可能。丈夫で壊れにくく作られています。
頑丈である点を重視しているため、外観はかなりゴツく作られています。本体は厚くベゼルも太め。ボディは樹脂(プラスチック)製で、安っぽく感じられました。「ゴツいけど超頑丈」を許容できる人向けです。
ディスプレイについて
ディスプレイのサイズは12インチで、解像度は1366×912ドット。アスペクト比(画面の縦横比率)が3:2で、一般的な16:9よりも縦長です。そのぶん文章の表示行数が増えるので、作業効率がアップすると言われています。
ディスプレイには、自然な発色と広い視野角が特徴のIPSパネルが使われています。格安機種でよく使われるTNパネルに比べると色にメリハリがあり、色合いも自然です。
ただし普通のWindowsノートPCと比べると、映像品質はやや劣り気味。画面がわずかに暗く、文字もかすれたように見えました。とは言え非光沢のタッチパネルはコントラストが低くなりがちなので、ある程度は仕方がないかもしれません。
キーボードについて
キーボードはテンキーなしの日本語配列で、バックライトには非対応です。キー配列はほぼ標準的ですが、EnterキーとBackSpaceキー、「¥」キーがかなり小さく作られています。筆者の場合Enterキーの下部が小指よりも狭いので、若干押しづらく感じました。小指を右上方向にズラすことを意識したほうがいいかもしれません。
ちなみに、電源ボタンはキーボード右上に配置されています。押し間違えることがあるかもしれませんが、長押ししないと反応しないので問題はありません。
キーピッチは実測で19mm。キーボードとしては標準的な間隔です。キーストロークは実測で平均1.46mm。キーを押し込んでいる最中に一度止まり、さらに押し込むとわずかに沈むように感じました。この作りによりストロークがやや浅く感じるものの、キーを叩いたときの底打ち感はあまりありません。また指を押し戻す力もわずかに感じられ、指の上げ下ろしを意識しなくても普通に入力できます。軸にわずかなブレがあるものの、格安機種としては悪くないタイプ感です。
タイプ音は軽い力でもカツカツと聞こえます。特に高音域の音が気になりました。強く叩くとドンドンと響くので、軽いタッチ推奨です。
インターフェース/機能について
インターフェース構成は控えめですが、格安タイプとしては標準的です。USB端子は合計3ポートで、うち1ポートがフルサイズ、残り2ポートがType-C。あとはmicroSDカードスロットとヘッドホン端子が用意されています。やや物足りない印象ですが、最近はワイヤレスの周辺機器も多いので、それらを使えば問題ないでしょう。
Type-C端子の機能
USB PD 18W充電 | △ ※低電力 |
---|---|
USB PD 30W充電 | ○ |
USB PD 45W充電 | ○ |
USB PD 65W充電 | ○ |
USB PD 100W充電 | ○ |
映像出力 | ○ |
ベンチマーク結果
ここからは、Acer Chromebook 712 C871T-A38Nのパフォーマンス (性能)について解説します。ベンチマーク結果は環境、タイミング、個体差などさまざまな要因によって大きく変わることがある点をあらかじめご了承ください。
試用機のスペック
型番 | C871T-A38N |
---|---|
CPU | Core i3-10110U |
メモリー | 8GB |
ストレージ | 32GB eMMC |
グラフィックス | UHD Graphics(CPU内蔵) |
Octane 2.0
CPUとしては、インテルの第10世代Core i3-10110U(2コア4スレッド)が使われています。位置付け的にはミドルレンジ(中級)向けですが、JavaScritの処理速度を計測する「Google Octane 2.0」を試したところ、ハイエンド向けのCore i7搭載機と変わらない結果が出ました。Chrome OSはブラウザーベースで作業する機会が多いので、その点においてはコスパが高いと言えます。
ベンチマークスコアの比較
CPU | Octane 2.0スコア |
---|---|
HP x360 13c (Core i7-10510U) |
48847
|
ASUS Flip C436FA (Core i7-10510U) |
48443
|
Acer 712 C871T-A38N (Core i3-10110U) |
44600
|
HP x360 14c (Core i3-10110U) |
43914
|
HP x360 14 (Core i5-8250U) |
34408
|
HP 14a(Pentium N5030) |
21124
|
HP 14b (Pentium N5000) |
19455
|
Acer CB311 (Celeron N4020) |
16911
|
IdeaPad Flex550i (Celeron 5205U) |
16810
|
IdeaPad Slim 350i (Celeron N4020) |
15729
|
ASUS C223NA (Celeron N3350) |
11585
|
S330(MT8173C) |
11460
|
Acer Tablet CT100PA(OP1) |
10490
|
ASUS Detachable CM3 (MediaTek MT8183) |
10076
|
IdeaPad Slim 360 (MediaTek MT8183) |
9934
|
Acer Spin 311 (MediaTek M8183C) |
9870
|
CrXPRT 2
「CrXPRT 2」はChrome OS機器の総合性能の計測する、HTML 5ベースのベンチマークテストです。Core i5 / Core i7搭載機では未計測のためハイエンド機種との違いはわかりませんが、Celeron / PentiumあるいはArm系CPU(MediaTekなど)搭載のエントリー(入門)向け機種よりもはるかに高性能です。
ベンチマークスコアの比較
CPU | CrXPRT 2 Performanceスコア |
---|---|
Acer 712 C871T-A38N (Core i3-10110U) |
110
|
HP 14a(Pentium N5030) |
70
|
HP 14b (Pentium N5000) |
66
|
IdeaPad Flex550i (Celeron 5205U) |
55
|
IdeaPad Slim 360 (MediaTek MT8183) |
40
|
ASUS CM3 (MediaTek MT8183) |
39
|
ASUS C223NA (Celeron N3350) |
37
|
GeekBench 5
Core i3-10110Uは2コア4スレッドのCPUです。CPUのマルチコア / シングルコア性能を計測する「GeekBench 5」ではエントリー向けCPUと変わらない結果が出ていますが、これはエントリー向けのなかに4コアあるいは8コアのCPUが含まれているため。ただし純粋にCPU性能が求められる重い処理では、Core i5やCore i7には劣ります。とは言え一般的な使い方であれば、そこまで高い性能が必要とされる場面は少ないでしょう。
ベンチマークスコアの比較
CPU | Geekbench 5 マルチコアスコア |
---|---|
ASUS Flip C436FA (Core i7-10510U) |
3626
|
HP x360 13c (Core i7-10510U) |
3146
|
HP x360 14 (Core i5-8250U) |
2938
|
HP x360 14c (Core i3-10110U) |
2209
|
Acer 712 C871T-A38N (Core i3-10110U) |
1812
|
HP 14b (Pentium N5000) |
1503
|
HP 14a(Pentium N5030) |
1428
|
ASUS Detachable CM3 (MediaTek MT8183) |
1422
|
IdeaPad Slim 360 (MediaTek MT8183) |
1403
|
Acer Spin 311 (MediaTek M8183C) |
918
|
Acer CB311 (Celeron N4020) |
899
|
IdeaPad Flex550i (Celeron 5205U) |
880
|
ASUS C223NA (Celeron N3350) |
514
|
ベンチマークスコアの比較
CPU | Geekbench 5 シングルコアスコア |
---|---|
HP x360 14c (Core i3-10110U) |
1015
|
HP x360 14 (Core i5-8250U) |
921
|
Acer 712 C871T-A38N (Core i3-10110U) |
826
|
HP 14a(Pentium N5030) |
511
|
IdeaPad Flex550i (Celeron 5205U) |
461
|
HP 14b (Pentium N5000) |
447
|
ASUS Detachable CM3 (MediaTek MT8183) |
301
|
IdeaPad Slim 360 (MediaTek MT8183) |
292
|
ASUS C223NA (Celeron N3350) |
270
|
PCMark / 3DMark
アプリによる軽めの作業の快適さを計測するPCMarkでは、エントリー向け機種とあまり変わらないスコアでした。CoreプロセッサやCeleron / Pentiumなどのx86系CPUは、ARM系に比べてアプリとの相性が強く影響します。そのあたりが影響しているのかもしれません。それでも、いま市場に多く出回っているARM系搭載格安機種よりは高性能です。
ベンチマークスコアの比較
CPU | PCMark Work 2.0スコア |
---|---|
ASUS Flip C436FA (Core i7-10510U) |
11966
|
HP x360 14c (Core i3-10110U) |
11792
|
HP x360 14 (Core i5-8250U) |
10653
|
HP x360 13c (Core i7-10510U) |
10010
|
HP 14a(Pentium N5030) |
9455
|
Acer 712 C871T-A38N (Core i3-10110U) |
9150
|
HP 14b (Pentium N5000) |
8714
|
Acer CB311 (Celeron N4020) |
8564
|
IdeaPad Flex550i (Celeron 5205U) |
8249
|
IdeaPad Slim 360 (MediaTek MT8183) |
6743
|
ASUS Detachable CM3 (MediaTek MT8183) |
6655
|
Acer Spin 311 (MediaTek M8183C) |
6307
|
ASUS C223NA (Celeron N3350) |
5195
|
グラフィックス性能を計測する3DMarkでは、そこそこ高めの結果でした。3Dグラフィックスではメモリー性能が強く影響するので、その点が原因かもしれません。もちろんCPU内蔵のグラフィックス機能が、ほかの格安CPUよりも高性能という理由もあります。
ベンチマークスコアの比較
CPU | 3DMakr Sling Shotスコア |
---|---|
HP x360 13c (Core i7-10510U) |
5522
|
ASUS Flip C436FA (Core i7-10510U) |
4648
|
Acer 712 C871T-A38N (Core i3-10110U) |
4243
|
HP x360 14c (Core i3-10110U) |
4172
|
HP 14b (Pentium N5000) |
2780
|
IdeaPad Flex550i (Celeron 5205U) |
2538
|
HP 14a(Pentium N5030) |
2203
|
Acer CB311 (Celeron N4020) |
1871
|
ASUS Detachable CM3 (MediaTek MT8183) |
1796
|
Acer Spin 311 (MediaTek M8183C) |
1458
|
ASUS C223NA (Celeron N3350) |
1445
|
起動時間
電源オフの状態から電源ボタンを押してパスワード入力画面が表示されるまでの時間を計測したところ、平均で8.12秒でした。Chromebookとしては標準よりもやや速めの結果です。Windows PCではSSD搭載機種で平均15秒前後、速い機種でも8~9秒程度。待たされている感はほとんどありません。
起動時間の計測結果(手動計測)
1回目 | 8.7秒 |
---|---|
2回目 | 9.0秒 |
3回目 | 7.8秒 |
4回目 | 7.6秒 |
5回目 | 7.5秒 |
平均 | 8.12秒 |
とにかく頑丈なミドルレンジ
よかった点
頑丈で壊れにくく、その上高性能な点が魅力です。実売価格は4万5000円程度。セールの際には大きく値引きされたり、大量のポイント還元でよりお得に購入できることがあります。それらをうまく使えば、非常にコスパの高い機種です。2~3万円の激安機種を選ぶよりも、Acer Chromebook 712 C871T-A38Nのほうが結果的には満足感が高いでしょう。
気になる点
最大の弱点は、カッコよくない点です。また基本的には格安機種よりもサクサク動きますが、高速というほどではありません。なにかの拍子に一瞬の間を感じることがたびたびありました。
それと起動時に、空冷ファンの音が少し聞こえます。うるさくはないのですがChromebookにはファンレスも多いので、ほかと比べて気になる程度です。
※2021年7月22日時点
アマゾンではCore i3 + 8GBメモリー + 64GB eMMCモデルが、4万5000円前後で販売されています(2021年7月22日時点)。[wpap service=”amazon” type=”detail” id=”B08JV32C4Y” title=”日本エイサー Google Chromebook Acer ノートパソコン C871T-A38P 12.0インチ 日本語キーボード Core i3-10…”]
楽天ではCore i3 + 8GBメモリー + 32GB eMMCモデルが4万7000円程度、Core i3 + 8GBメモリー + 64GB eMMCモデルが5万円前後で販売中です。タイミングや条件によってはポイント還元を含めて実質3万円台で購入できる場合があります。
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