筆者はレノボの携帯ゲーミングPC「Legion Go」を持っているのですが、この機種ってサードパーティー製の周辺機器が妙に少ないんですよね。特にスタンド付きUSBドック系が顕著で、ROG AllyやSteam Deckはいろいろあるのに対し、Legion Goだけ対応しているか不明なものばかり。だから「これいいかも」と思っても、二の足を踏むことが多かったわけです。
かと言って手持ちのUSBドックを使っても、全然しっくりきません。
アイ・オー・データ製品でLegion Go対応のものがあったのですが、他サイトのレビューで「若干右に寄せる必要がある」とのことで、これもどうしようか迷っていました。
そんな感じでグダグダしていたところ、6月に台湾で行なわれたCOMPUTEX 2024のベンキューブースで、スタンド付きのUSB4ドック「beCreatus GR10」を見かけたわけです。
BenQのUSB4ドック「GR10」。4K 120Hz / PD 100Wでスタンド&L字型 Type-Cアダプター付き。携帯ゲーミングPC用にあったらいいのにと思ってたモノが、来月日本にも登場するとのこと。Legion Goでも使えるかな #computex pic.twitter.com/lcV9Vt889G
— こまめブログ (@littlebeansinfo) June 5, 2024
そこからベンキューさんからの商品提供のお話をいただき、じゃあLegion Goで試してみようとなったのが、この記事作成までの流れです。
結果から言うと、やはり微妙に右へズラす必要があったもののホールド感に不安はなく、スペック的にも満足できるものでした。
公式には明記されていないものの、基本的にはROG Ally(2023年モデル)とSteam Deckには対応しているとのこと。たまたま貸出機が手元にあったROG Ally(2024年モデル)で試したところ、旧モデルよりも厚みが増していたため、うまく設置できませんでした。メーカーに聞いたところ、「21.44mm以上あるデバイスは設置できない」とのことです。
とりあえず筆者としてはLegion Goで使えた時点でオールOKということでして、前述のとおり満足しています。使っているうちに、他社製品との違いにもいろいろ気付きました。
他社製品との違い
- スタンド部分を閉めれば、普通のドックとして使える
- 4K 120Hz対応の安心感
- L字型アダプターを取り外せる
- 2.5Gb有線LAN対応
- ケーブルを収納できる
- 値段が高い(USB4ドックのため)
ザックリとした全体的な評価としてはこんなところ。このあとは各部分について、ゲーミングPCでの利用の観点からもうちょっと詳しく紹介します。
おことわり
このレビュー記事では、機材を1週間程度利用した上で作成しています。長期にわたって試用した際の耐久性については検証していません。あらかじめご了承ください。
スペック
発売日 | 2024年7月 |
---|---|
インターフェース | PC接続用USB4 Type-C(40Gbps)、USB Type-A×2、USB Type-C×1(最大10Gbpsのデータ通信専用)、HDMI2.1(4K 120Hz / 8K 60Hz)、2.5Gb有線LAN |
ケーブルの長さ | 200mm |
サイズ | 幅130×奥行き55×高さ25.5mm |
重さ | 約187g |
価格(記事執筆時)
販売サイト | 価格 |
---|---|
公式サイト | 1万7900円 |
アマゾン | 1万7900円 |
※2024年8月10日時点
パッケージ
外観
本体は非常にコンパクトです。ケーブル部分が少し飛び出してはいるものの、使わないときにその辺に置いてあっても邪魔に感じることがありません。なにより、ケーブルがブラブラしない点が個人的には高評価です。
本体は、天面から側面にかけてのグレーの部分が金属製だと思われます。ドライな手触りはマグネシウム風ですが、放熱目的でもあるならアルミ製かもしれません。この部分は非常に質感が高く、指紋の跡も目立ちませんでした。黒い部分は樹脂(プラスチック)製です。
スタンド部分の利用
本体の黒い部分は、開閉式のスタンドです。スタンドとして利用しない場合は、普通のUSB4ドックとして利用できます。スタンド部分に設置できるデバイスは、厚みが21.5mm(メーカーから聞いた話では21.44mm)以下のデバイスとのこと。ただ実際に使ってみたところ、デバイス側の薄さと大きさのバランスによっては、利用できない場合があります。
インターフェース構成
周辺機器接続用の端子類は、携帯ゲーミングPC用としては十分な構成です。しかしノートPCで利用するには、やや物足りなく感じるかもしれません。具体的には「映像出力が1系統のみ」の点が気になりました。ノートPCだけで利用するなら、普通のUSBドックを選んだほうがいいでしょう。あくまでも、携帯ゲーミングPCでも使いたい人向けです。
HDMIによる映像出力
beCreatus GR10で公式に対応する解像度/リフレッシュレートは、4K 120Hzと8K 60Hzです。筆者の手持ちのディスプレイで試したところ、フルHDで240Hzまで対応していました。WQHDは手持ちで確認できるディスプレイがなかったため、4Kディスプレイの解像度を変えて確認したところ120Hzまででした(ディスプレイによっては120Hz以上いくかもしれませんが未確認です)。
熱がちょっと気になる
beCreatus GR10を使用中、本体の温度がけっこう高くなる場面がありました。特に不具合は出ていませんが、ちょっと気になります。やけどするほどではありませんが、不用意に触ってビックリしないよう注意してください。
考察とまとめ
携帯ゲーミングPC用としてはなかなかのハイスペックモデル
携帯ゲーミングPCはゲーム用としては「ほどほど」のパフォーマンスですが、ミニPCとして考えればなかなか高性能です。手で持ってのゲームだけではなく、外付け周辺機器とつないで作業に使っている人もいるのではないでしょうか。
USB4ドックとしてのbeCreatus GR10は、そんなシーンで役立ちます。なかでもLegion Goで使える(公式発表ではないものの、今回の検証結果として)数少ない製品として、選ぶ価値はあるでしょう。
またほかのスタンド付きUSBドックと比べて、スペックが高い点も魅力です。映像出力は4K 120Hz / 8K 60Hz対応、有線LANは最大で2.5Gb。スタンドの開け閉めや取り外し&収納可能なアダプターもさすがの仕上がりと言えます。そのぶん値段が高いわけですが、それはUSB4ドックであるためで、同カテゴリー製品のなかで飛び抜けて高いわけでもありません。そのあたりをしっかり認識した上でならアリです。
ちょっとオーバースペックかも
個人的に気になるのは前述の「映像出力がもうひとつ欲しい」点。そしてもうひとつ「携帯ゲーミングPCにはちょっとオーバースペックではないか」という点です。いまどきの携帯ゲーミングPCでは、まだ4K 120Hzには対応できません。ごくごく軽いゲームであればもしかして……ということはありますが、内蔵グラフィックスでそこまでガッツリ高解像度でプレーすることもないと思います。
とは言えこれは現在の基準ではなく、将来的なところまで見据えた上での仕様でしょう。4K 60Hzで物足りなくなる可能性があるなら、4K 120Hz対応のbeCreatus GR10を始めから選んでおくのはひとつの手です。