HP Chromebase All-in-One Desktop(以下、”HP Chromebase”)は、Chrome OSを搭載した一体型デスクトップPCです。21.5インチのタッチ対応ディスプレイを搭載しており、スマホやタブレット感覚で使えるのが特徴。もちろんPCのように、文書作成や情報収集などにも適しています。
10月中旬にHP Chromebase本体が4万3780円、インクジェット複合機とのセットが5万4780円でアウトレット販売されました。筆者はその際に購入したのですが、現在はすでに製品自体の販売が終了しています。そのためこの記事を読んでも、もはや購入できません。
筆者は、HP Chromebaseを家族用の共有PCとして使うことを目的に購入しました。実際に使ったところ、イメージしていたとおりの使い勝手でかなり満足しています。
そこでこの記事では筆者が購入した実機を使って、デザインや性能、実際の使い心地などをレビューします。
HP Chromebase All-in-One Desktop
スペック
OS | Chrome OS |
---|---|
ディスプレイ | 21.5インチ 1920×1080ドット IPS 光沢 タッチ対応 90度回転式 |
CPU | Pentium Gold 6405U |
メモリー | 8GB×1 DDR4-2400 ※スロット2基 |
ストレージ | 256GB NVMe SSD |
グラフィックス | UHD Graphics(CPU内蔵) |
通信 | Wi-Fi 6、Bluetooth 5.0 |
インターフェース | USB Type-C(USB PD充電 / 映像出力対応)×2、USB Gen2 Type-A ×2、ヘッドフォン出力 / マイク入力 |
カメラ | 500万画素 |
サイズ / 重量 | 幅507.6mm、奥行き174.52mm、高さ454.4mm / 約6.98kg |
付属品 | Bluetoothキーボード・マウス |
本体デザイン
ベンチマーク結果
※各ベンチマークテストは、電源アダプターに接続した状態で実施しています
※ベンチマーク結果はパーツ構成や環境、タイミング、個体差などさまざまな要因によって大きく変わることがあります
Octane 2.0
「Google Octane 2.0」は、ブラウザーによるJavaScritの処理速度を計測するベンチマークテスト。主に、CPUのシングルスレッド性能が影響します。日常的に使うのであれば、スコアが2万5000を超えたいところです。
HP Chromebaseでは、目安となる2万5000をわずかに上回る結果でした。2~3万円台の格安Chromebook(スコア1万から1万8000程度)よりも、確実に高性能です。位置付け的には、ローミドルあるいはハイエントリーといったところでしょうか。
ベンチマークスコアの比較
CPU | Octane 2.0スコア |
---|---|
FMV Chromebook 14F (Core i3-1115G4) |
55846
|
HP x360 14c (Core i3-10110U) |
43914
|
HP x360 14b(Pentium N6000) |
29424
|
HP Chromebase(Pentium 6405U) |
26292
|
HP chromebook x2 11(Snapdragon 7c) |
24139
|
HP 14a(3015Ce) |
23681
|
CB314(Celeron N4020) |
17922
|
ASUS C223NA (Celeron N3350) |
11585
|
IdeaPad Duet (MediaTek Helio P60T) |
11114
|
ASUS Detachable CM3 (MediaTek MT8183) |
10490
|
CrXPRT 2
「CrXPRT 2」はChrome OS機器の総合性能の計測する、HTML 5ベースのベンチマークテストです。マルチコア性能が強く影響するテストで、数あるベンチマークテストのなかではもっとも体感速度に近いと筆者は考えています。
このテストでは、ほかのエントリー向けChromebookとあまり変わらない結果が出ました。おそらくPentium Gold 6405Uが2コア / 4スレッドで動作するCPUなので、その点が影響しているのでしょう。同じPentiumでも4コア4スレッドのPentium N6000のほうが高いスコアが出ています。
ベンチマークスコアの比較
CPU | CrXPRT 2 Performanceスコア |
---|---|
FMV Chromebook 14F (Core i3-1115G4) |
141
|
Acer 712 C871T-A38N (Core i3-10110U) |
110
|
HP x360 14b(Pentium N6000) |
96
|
HP 14a(Celeron N4500) |
75
|
HP Chromebase(Pentium 6405U) |
74
|
HP 14a(3015Ce) |
70
|
FMV Chromebook WM1/F3(Celeron 6305) |
69
|
HP chromebook x2 11(Snapdragon 7c) |
59
|
CB314(Celeron N4020) |
59
|
IdeaPad Duet (MediaTek Helio P60T) |
42
|
ASUS CM3 (MediaTek MT8183) |
39
|
ASUS C223NA (Celeron N3350) |
37
|
GeekBench 5
CPU性能を計測するGeekBench 5では、マルチコアのテストでやや低めの結果でした。これはPentium Gold 6405Uが、2コア4スレッドで動作するCPUであるためです。ARM系SoCは6 / 8コアであることが多く、そのためこのテストでは総合的な性能よりもやや高めに出ることがあります。スコアが低めでも悪いわけではありませんが、マルチコアを利用する複雑な処理はやや苦手と考えてください。
ベンチマークスコアの比較
CPU | Geekbench 5 マルチコアスコア |
---|---|
FMV Chromebook 14F (Core i3-1115G4) |
2187
|
HP x360 14c (Core i3-10110U) |
2209
|
HP x360 14b(Pentium N6000) |
1769
|
HP chromebook x2 11(Snapdragon 7c) |
1686
|
IdeaPad Duet (MediaTek Helio P60T) |
1427
|
ASUS Detachable CM3 (MediaTek MT8183) |
1422
|
HP Chromebase(Pentium 6405U) |
1290
|
HP 14a(3015Ce) |
1079
|
CB314(Celeron N4020) |
910
|
ASUS C223NA (Celeron N3350) |
514
|
シングルコアのテストでは、逆に高めの結果が出ています。ひとつの作業をじっくり行なうのであれば、こちらの結果に注目してください。
ベンチマークスコアの比較
CPU | Geekbench 5 シングルコアスコア |
---|---|
FMV Chromebook 14F (Core i3-1115G4) |
1143
|
HP x360 14c (Core i3-10110U) |
1015
|
HP x360 14b(Pentium N6000) |
726
|
HP chromebook x2 11(Snapdragon 7c) |
589
|
HP Chromebase(Pentium 6405U) |
568
|
HP 14a(3015Ce) |
566
|
CB314(Celeron N4020) |
483
|
IdeaPad Duet (MediaTek Helio P60T) |
301
|
ASUS Detachable CM3 (MediaTek MT8183) |
301
|
ASUS C223NA (Celeron N3350) |
270
|
PCMark / 3DMark
アプリによる軽めの作業の快適さを計測するPCMarkでは、かなり低めの結果が出ています。機種的なものなのかCPU的なものなのかはわかりませんが、HP ChromebaseとAndroidアプリの相性はあまり良くないかもしれません。
ベンチマークスコアの比較
CPU | PCMark Work 2.0スコア |
---|---|
HP x360 14c (Core i3-10110U) |
11792
|
HP x360 14b(Pentium N6000) |
11179
|
FMV Chromebook 14F (Core i3-1115G4) |
11135
|
HP 14a(3015Ce) |
9822
|
HP chromebook x2 11(Snapdragon 7c) |
9615
|
CB314(Celeron N4020) |
9052
|
HP Chromebase(Pentium 6405U) |
7952
|
IdeaPad Duet (MediaTek Helio P60T) |
6730
|
ASUS Detachable CM3 (MediaTek MT8183) |
6655
|
ASUS C223NA (Celeron N3350) |
5195
|
3Dグラフィックス性能を計測する3DMarkでは、”下の上”あたりの結果でした。ほかのエントリー向け機種よりもスコアがいいのは、8GBのメモリーを搭載しているためでしょう。ただそれでも、大作アプリを楽しめるほどではありません。
ベンチマークスコアの比較
CPU | 3DMakr Sling Shotスコア |
---|---|
FMV Chromebook 14F (Core i3-1115G4) |
7374
|
HP x360 14b(Pentium N6000) |
4704
|
HP x360 14c (Core i3-10110U) |
4172
|
HP chromebook x2 11(Snapdragon 7c) |
3087
|
HP Chromebase(Pentium 6405U) |
3085
|
HP 14a(3015Ce) |
2708
|
CB314(Celeron N4020) |
2095
|
IdeaPad Duet (MediaTek Helio P60T) |
1805
|
ASUS Detachable CM3 (MediaTek MT8183) |
1796
|
ASUS C223NA (Celeron N3350) |
1445
|
実際の使用感
ここからは、実際にHP Chromebaseを使った感想について紹介します。
購入理由
購入した理由は「安かったから」というのもありますが、以前からキッチンやリビングで使えるデスクトップPCが欲しいと考えていたからです。持ち歩けるノートPCではなく、”家族みんなが画面を見ながら使える”据え置き用を考えていました。一緒に調べ物をしたり買う物を選んだり、あるいは使っているところを見守ったりと、プライベート用ではないコミュニケーションツールとしてのPCです。
設置について
今回はじっくり使うことを想定していないので、スタンディングデスクに設置しました。ちょっと小ぶりで、本体の色に合わせた白のデスクです。ただ購入したデスクは色はちょうど良かったのですが作りが甘く、ネジを締めすぎて天板を突き破ることがあったのが残念です。
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下の部分がデッドスペースになるので、ここにニトリの2段カラーボックスを配置。引き出しも用意して、小物類を入れています。またセットで購入したHP製のプリンターも設置しました。
アカウントは筆者がメインで使っているもので登録し、家族用の共有アカウントも作成しました。これで筆者個人のメールや文書、ブックマークを利用できるほか、アカウントを切り替えれば筆者のデータに干渉することなくネットやアプリを使えます。切り替えも簡単で、Windows 11のアカウント切り替えとそう変わりません。
画面について
21.5インチのディスプレイは想定していたとおりの大きさで、家族用の共有PCにはピッタリです。小さくて見づらいこともありませんし、子供がなにをしているのかをやや離れたところからでも確認できます。フルHDは最近のPCとしてはちょっと解像度が低い気がしますが、ライトに使うなら問題ないでしょう。
残念なのは、映り込みが強い点と高さ調節に対応していない点です。あとこれは筆者の購入機だけかもしれませんが、微妙に水平にならない点も気になります。ただ家族はPCへのこだわりがないので、特に気にならなかったようです。
サウンドについて
内部にそこそこ大きめのスピーカーが搭載されており、音質はなかなか高めです。ただ中音域のボリュームに対して、低音域がやや弱く感じられました。ノートPCの内蔵スピーカーよりは格段にいいものの、ちょっと物足りなさを感じます。もしかするとビデオ会議や音声通話用に、低音域を抑えて人の声を聞き取りやすくしているのかもしれません。
ゲームについて
ゲームは軽めのものならなんとか、というレベルです。いちおう動くことは動くものの、微妙な遅延でゲームにならないアプリもいくつかあります(『プロジェクトセカイ カラフルステージ!』など)。
『ウマ娘』はなんとかプレーできるのですが、レスポンスがいまひとつです。強制終了することも何度かあり、それでもガマンできるならプレーするといいでしょう。
Xbox Cloud Gamingは、PC側の性能よりも通信速度の影響が強いように感じます。ネットに適切に接続されていれば、特に問題はないでしょう。
それよりも個人的には、ゲームコントローラーをワイヤレスで使えるようにしていただきたいものです。これはChromebookでもそうなのですが、コントローラーはなぜか有線でないと正常に動作しません。有線で使うのって、面倒なんですよね。
ネットの利用
ブラウザーやネットアクセスがメインのアプリについては、問題なく使えました。タブを何十枚も開くような使い方向きではありませんが、サクッと調べ物をする程度なら快適です。WordPressも普通に動くので、記事の修正や確認には問題ないでしょう。もちろんメールも普通に使えます。
画面が大きいので見づらさを感じることもなく、普通のキーボードやマウスで操作できる点もポイント。スマホだと確認しづらいことも、PCと同じフル機能のGoogle Chromeを使えば作業がサクサク進みます。
そのほか
同時に購入したプリンターは認識されてはいるものの、まだ印刷を試していません。ですがWebページやGoogleドキュメント、写真の印刷などを手軽に行なえるように準備しようと考えています。なにげに子供から「印刷して欲しい」と頼まれることが多かったんですよね。
あとワコムのペンタブをつなげば、お絵かきができるのを確認しました。娘が最近イラストを描くのに凝っているので、アプリをみつくろうと考えています。
不満な点
キーボードとマウスのBluetooth接続が、たまに切れる場合があります。キーボードやマウスを動かしても復旧せず、PC側の設定からBluetoothを無効化して再度有効にすると接続されるようです。いちいち設定するのが面倒なのですが、いまのところ回避策がわかっていません。
ちょっと使いに便利
とりあえずは考えていたとおりの設置イメージと使い道で、十分満足しています。ライトに使うにはちょっと贅沢かもしれませんが、普通に使える一体型のWindows PCだと安くても7~8万円台、大手ナショナルブランド製なら10万円以上することを考えれば、安上がりではないかと(ちなみに筆者はインクジェット複合機とセットで5万4780円で購入しました)。
いまやPCは個人に1台あるいはそれ以上の時代で、PCを使っているとどうしてもひとりきりになりがちです。それはそれでいいのですが、家族でコミュニケーションを取れるPCがあってもいいのではないかと筆者は思います。
一体型PCはそんな用途にピッタリです。Chromebaseならスマホ感覚で使えるので、より家族で利用しやすいでしょう。残念ながらすでに販売は終了してしまいましたが、同様の機種ができれば安い価格で登場することを期待します。
HP Chromebase All-in-One Desktop
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