デルの「XPS 15」は、コンパクトかつデザイン性の優れたボディに高性能パーツを詰め込んだハイエンドなノートパソコンです。CPUはクアッドコアのCore i7-6700HQで、ストレージにはPCIe接続のSSDを採用。さらに3840×2160ドットの4Kディスプレイを選択することもできます。
今回はメーカーからお借りした実機を使って、実際のパフォーマンスをレビューします。
XPS 15のチェックポイント | |
クアッドコアCPU搭載で高性能 | 大容量HDDを追加できない |
外付けGPU搭載でゲームも楽しめる | 熱を抑えるためにパフォーマンスが低下? |
PCIe接続のSSDが高速! | 海外の大作ゲームは厳しい |
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- New XPS 15 (2015/10/20発売)
ベンチマーク結果をチェック
まずは基本性能を計測するベンチマークの結果を紹介します。今回お借りしたのは「XPS 15 プラチナ・4Kディスプレイ・タッチパネル」モデルで、主なスペックは下記の表のとおりです。なおベンチマーク結果はパーツ構成やテストのタイミングによって大きく変わることがあります。あらかじめご了承ください。
試用機(XPS 15 プラチナ・4Kディスプレイ・タッチパネル)の主なスペック | |
OS | Windows 10 Home 64ビット |
---|---|
CPU | Core i7-6700HQ(2.60GHz) |
メモリー | 16GB |
グラフィックス | GeForce GTX 960M(2GB) |
ストレージ | 512GB M.2 SSD(PCIe) |
ディスプレイ | 15.6型、3,840×2,160ドット |
Windowsエクスペリエンスインデックス
試用機のWindowsエクスペリエンスインデックス | |
プロセッサ(CpuScore) | 8.2 |
---|---|
メモリ(MemoryScore) | 8.2 |
グラフィックス(GraphicsScore) | 6.4 |
ゲーム用グラフィックス(GamingScore) | – |
プライマリハードディスク(DiskScore) | 8.95 |
Windows 10の快適さを計測する「Windowsシステム評価ツール(WinSAT.exe)の結果(Windowsエクスペリエンスインデックス)は、上記のような結果となりました。ここで見るべきところは「プロセッサ」と「メモリ」、「プライマリハードディスク」の3点。各スコアの最大値は「9.9」ですので、それぞれ非常に高いスコアであることがわかります。
CINEBENCHベンチマーク結果
CPUの処理性能を計測する「CINEBENCH」でも、非常に高いスコアが出ています。ノートパソコンとしては最高クラスで、Core i5搭載のデスクトップパソコンと同等かそれ以上の性能です。
CrystalDiskMarkベンチマーク結果
ストレージのアクセス速度を計測する「CrystalDiskMark」では、シーケンシャルリードで1744MB/秒と非常に高速な結果となりました。標準的なHDDと比べるとおそよ17倍、SATA接続のSSDと比べると3倍程度の性能です。シーケンシャルライトではアクセス速度が落ちますが、それでも十分な結果だと言えます。
PCMark 8ベンチマーク結果
パソコンの総合的な性能を計測する「PCMark 8」を試してみたところ、ノートパソコンとしては非常に優秀な結果となりました。据え置き型としては最高クラスで、ゲーミングノートパソコンに迫る性能です。
「PCMark 8」ベンチマーク結果 | ||
Home conventinal 3.0 | 2749 | |
---|---|---|
Home accelerated 3.0 | 3104 | |
Creative conventinal 3.0 | 3231 | |
Creative accelerated 3.0 | 4587 |
PassMark PerfomanceTest 8.0ベンチマーク結果
「PassMark PerfomanceTest 8.0」でも、非常に高いスコアが出ています。あらゆる用途で快適に活用できるでしょう。
クリエイティブ系ソフトがサクサク動く高いパフォーマンス
基本性能を計測するベンチマークテストでは、どれも非常に優れた結果となりました。クアッドコアで高い性能を持つCPUにPCIe接続による高速アクセスが可能なSSD、そしてGeForce GTX 960Mによる高いグラフィックス性能によって、あらゆる作業を快適に行なえるでしょう。
たとえば高度な写真加工や動画編集、RAW画像の現像、3D制作といった用途でも活用できます。特にクリエイティブ系ソフトではGPUの性能によってパフォーマンスが向上するので、作業を快適にこなせるでしょう。
以前は3D制作と言えば、OpenGLに最適化されたNVIDIAのQuadroがよく利用されていました。しかし最近のエントリー~ミドルレンジクラスであれば、GeForce系のほうがOpneGLの性能が高く、3D制作にも利用できます。ソフトの相性でノートPC向けのQuadroを選ぶ必要がないなら、GeForce GTX960Mでも十分なのです。
3Dゲーム系ベンチマークをチェック
続いて、3Dゲーム系のベンチマーク結果を紹介します。なおXPS 15は、ゲーム向けのモデルというわけではありません。しかしグラフィックス機能として利用するGeForce GTX 960Mは、ゲームを快適にプレーできるほどの性能を持っているため、ゲーム用ノートパソコンでもよく使われています。
3DMarkベンチマーク結果
総合的な3D性能を計測する「3DMark」では、もっとも負荷の高い「Fire Strike」で「3805」という結果となりました。CPU内蔵のIntel HD Graphics 530ではスコアが1000弱程度ですので、非常に高性能であることがわかります。
ただし海外の大作ゲームを高解像度&高画質でプレーするには、少々厳しい性能です。重量級のゲームだと、画質や解像度を下げてもカクつくことがあるかもしれません。しかし比較的軽めのゲームや国内で人気のゲームであれば、快適にプレーできるでしょう。
ドラクエ10ベンチマーク結果
「ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン(ドラクエ10)」の快適さを計測する「ドラゴンクエストXベンチマークソフト」を試してみたところ、解像度1920×1080ドットで最高評価が出ています。ストレスなく楽しめるでしょう。
FF14ベンチマーク結果
「ファイナルファンタジーXIV:蒼天のイシュガルド ベンチマーク」では、以下の表のような結果となりました。
ファイナルファンタジーXIV:蒼天のイシュガルド ベンチマークの結果(1920×1080ドット) | |||
DirectX 9 | Direct X 11 | ||
---|---|---|---|
標準品質(ノートPC) | 11420(非常に快適) | 8928(非常に快適) | |
高品質(ノートPC) | 8400(非常に快適) | 6103(とても快適) | |
最高品質 | 5642(とても快適) | 3620(快適) |
基本的にどの設定でも快適という評価ですが、最高品質ではシーンによってカクつくことがあるかもしれません。理想とされる7000以上(平均60FPS)となると、DirectX 9の「高品質」あたりがいいでしょう。
ドラゴンズドクマオンラインベンチマーク結果
「ドラゴンズドクマオンライン ベンチマークソフト」では、1920×1080ドットの最高品質で「快適」という評価でした。画質を「標準品質」に変更すると「とても快適」という評価になりますが、最高品質でも問題ないものと思われます。
PSO2ベンチマーク結果
「PSO2キャラクタークリエイト体験版 エピソード4」のベンチマークでは、解像度1920×1080ドットの標準画質(簡易描画設定「3」)で「22815」、最高画質(簡易描画設定「6」)で「5712」という結果になりました。スコアが5000以上であれば快適に遊べるとのことなので、最高画質でもなんとかクリアーしていることになります。
中規模クラスの国内タイトルなら最高品質でもOK
ドラクエ10やPSO2はCPU性能がプレーの快適さに大きく影響することもあって、ハイエンドクラスのCPUを搭載するXPS 15ならフルHDの最高画質でもストレスなく遊べるという評価が出ています。高いグラフィックス性能を要求するFF14でも、ある程度の画質で快適にプレーできるという評価となりました。XPS 15であれば、国内で人気のゲームタイトルを十分楽しめると言っていいでしょう。
ゲームプレー中のFPSをチェック
ここからは、実際にゲームをプレーしたときのFPS計測結果を紹介します。FPSとはゲーム画面の描画の速さを表わす指針で、60FPS以上が理想とされています。ただし体感速度は個人によって差があり、筆者としては平均50FPSを超えていれば十分かなといったところ。30FPSを割り込むと、画面のカクつきが目立ってくるかもしれません。
OverwatchのFPS計測結果
まず最初に検証したのは、ブリザード・エンターテイメントのアクション・シューティング「Overwatch(オーバーウオッチ)」です。解像度は1920×1080ドットで、「対AIトレーニング」をプレーしたときのFPSを目視で計測しています。結果は、以下の表のとおり。
OverwatchのFPS計測結果(1920×1080ドット、目視による計測) | |||
画質 | 平均FPS | 数分後の平均FPS | |
---|---|---|---|
低 | 100~120 | 100前後 | |
NORMAL | 100~120 | 75~80 | |
高 | 75~95前後 | 50~60 | |
ウルトラ | 70前後 | 55前後 | |
エピック | 45~50 | 35前後 |
実際にプレーしていて気になったのは、プレー開始直後は比較的FPSが高めであるものの、数分後に20%程度減少する場面がちょくちょくあった点です。もしかすると内部の熱が高くなるのを防ぐために、パフォーマンスを落としているのかもしれません。そのため平均60FPSを求めるならNORMAL画質あたりにしておいたほうがいいでしょう。もしくはノートパソコン用のクーラーを利用して、熱を抑えるという手もあります。
Overwatchプレー中のスクリーンショット
DOOMのFPS計測結果
続いて、2016年5月に発売されたリメイク版の「DOOM」の検証結果です。このゲームでは最初のステージを10分間プレー(イベントシーンを含む)したときのFPSを計測しています。ステージによっては結果が大きく変わる可能性もありますので、あらかじめご了承ください。
結果は以下の表のとおりです。高いグラフィックス性能を要求する重量級ゲームだけあって、画質を変えてもプレーにはちょっと厳しい結果となりました。FPSでは解像度が低いと敵やアイテムが見えづらくなり、プレーが不利になる場合もあります。そのためシングルプレーをのんびり楽しむには問題ありませんが、本気でマルチプレーを考えているならハイエンドクラスGPUを搭載したゲーミングPCをおすすめします。
DOOM FPS計測結果(1920×1080ドット、フルスクリーン) | |||
画質プリセット | 最小FPS | 最大FPS | 平均FPS |
---|---|---|---|
低 | 26 | 67 | 41.9 |
中 | 23 | 52 | 36.7 |
高 | 25 | 55 | 36.1 |
ウルトラ | 22 | 47 | 30.1 |
ちなみに10分間のFPSの推移を確認してみたところ、画質が高くなると時間が経過するについれてパフォーマンスが落ちてきているような印象を受けます。シーンによってFPSが上下しているのもありますが、熱の影響があるのかもしれません。
DOOMプレー中のスクリーンショット
CPUとGPUの熱をチェック
ゲーム中のFPSを計測したところ、発熱によってパフォーマンスが低下しているような症状が見られました。そこで「PCMark 8」実行中の状態を確認してみたところ、CPUの温度(緑の線)やGPUの温度(青の線)が一時的に60度を超えることがあっても、動作周波数(紫の線)が大きく下がることはありませんでした。
ただし「PCMark 8」のテストでは、GPUに大きな負荷がかかるのは2分間程度です。実際のゲームでは数分間プレーしているとFPSが下がりましたので、もしかすると長時間負荷がかかり続けることで何らかの影響が出てくるのかもしれません。
「ゲーミングPC」ではなく「ゲームもできるPC」
ということで、今回はXPS 15のパフォーマンスについてレビューしました。Windows 10の操作やソフトの利用にはまったく問題ないどころか、非常に快適に使えます。ゲームについても、国内で人気のタイトルについてはストレスなく楽しめるでしょう。
ただ筺体が非常にスリムということもあり、冷却性能の面でGPUを長時間酷使し続けるのには向いていないようです。そのため、XPS 15はどちらかというと本格的にゲームを楽しむためのモデルではなく、いろいろと活用できるなかでゲーム「も」できるノートパソコンとして考えるといいでしょう。あれもこれもやりたい人におすすめです。
なおXPS 15はデルの直販サイトで購入できます。支払い方法や納期などについては、製品の詳細ページでご確認ください。
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- New XPS 15 (2015/10/20発売)