「ガレリア(GALLERIA)」は、BTOパソコンでおなじみドスパラのゲーミングパソコン向けブランドです。デスクトップパソコンが中心ですが、最近は高性能なGPUを搭載したゲーム用のノートパソコンも人気を集めています。今回はガレリアシリーズとしてリリースされているゲーム用ノートパソコンのなかから、最上位モデルの「QF980HG」についてレビューします。
なおレビューにあたっては、メーカーからお借りした機材を使って検証しています。またベンチマーク結果はパーツ構成やテストのタイミング、検証環境などによって大きく変わることもある点を、あらかじめご了承ください。
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ノートPC向け最上位GPUのGeForce GTX 980Mを搭載!
まずは、QF980HGのスペックから見てみましょう。試用機の主なパーツ構成は、以下の表のとおりです。ドスパラで販売されている「QF980HG Windows 8.1 モデル」の最小構成とまったく同じ仕様でした。
試用機の主なスペック | |
製品名 | ガレリア QF980HG |
---|---|
OS | Windows 8.1 Update 64bit |
CPU | Core i7-4810MQ(2.80GHz) |
メモリー | 16GB |
グラフィックス | NVIDIA GeForce GTX 980M(8GB) |
ストレージ | 1TB HDD |
CPUはCore i7-4810MQ
QF980HGはCPUとしてCore i7-4810MQを採用しています。4コア/8スレッドで動作するクアッドコアのCPUで、定格動作周波数は2.80GHz、最大動作周波数3.80GHz。ほかにより高性能なCore i7-4910MQやCore i7-4980HQなどがありますので最強クラスのCPUというわけではありませんが、ノートパソコン向けとしてはかなり性能は高いほうです。
GPUはGeForce GTX 980M
QF980HG最大の特徴は、外付けGPU(dGPU)としてNVIDIA GeForce GTX 980M(8GB)を搭載している点です。GTX 980Mは、現時点(2015年9月3日時点)でもっともパワフルな最上位のGPUです。ノートパソコンはデスクトップパソコンに比べて3D性能が低いと言われていますが、このGPUは並みのデスクトップ向けGPUよりもはるかに高い性能を持っています。もちろん、大作系ゲームでもヌルヌル動かすことが可能です。
ストレージは1TBのHDD
ストレージには1TBのHDDが使われています。アクセス速度についてはSSDよりも低速ですが、容量が大きく価格が安い点が魅力です。より快適に使いたい場合は、購入時のカスタマイズでSSD+HDDのデュアルストレージ構成にするといいでしょう。
ソフトは必要最低限
プリインストールされているソフトはDVDプレーヤーや各種ユーティリティーなど、必要最低限の構成でした。ただしさまざまなメーカーのパーツを組み合わせて使っているためか、スタートメニューに登録されているソフトはやや多めでした。マシンパワーがあるのでこれらのソフトによって処理が遅くなることはありませんが、再起動直後などにはやや重く感じる場面もあります。
QF980HGのベンチマーク結果をチェック!
続いてQF980HGのベンチマーク結果を紹介しましょう。前述のとおり、利用環境やタイミングによって結果が変わることが多いため、あくまでも参考程度に考えてください。
Windowsエクスペリエンスインデックス
Windows 8.1の快適さを表わす「Windowsシステム評価ツール(WinSAT.exe)」を試して見たところ、以下の表のような結果となりました。グラフィック関連のスコアが「6.2」といまひとつな結果ですが、これはテストでCPU内蔵のIntel HD Graphics 4600が使われているためです。外付けGPUを使った本来の性能ではありませんので、ご安心ください。
またストレージのスコアが「5.9」と低めですが、これはストレージにHDDを利用しているためです。どんなに高性能なHDDでも、このスコアが「5.9」を超えることはないため、逆に言えばHDDとしては最高スコアとも考えられます。
QF980HGのWindowsエクスペリエンスインデックス | |
プロセッサ(CpuScore) | 8.3 |
---|---|
メモリ(MemoryScore) | 8.3 |
グラフィックス(GraphicsScore) | 6.2 |
ゲーム用グラフィックス(GamingScore) | 6.2 |
プライマリハードディスク(DiskScore) | 5.9 |
CINEBENCHベンチマーク結果
CPUの計算性能を計測する「CINEBENCH」では、スコアがかなり高めです。筆者が以前テストしたCore i7-4810MQ搭載機では「CPU」のスコアが「501cb」でしたので、およそ37%も上回っています。ゲームはもちろんのこと、動画編集や3D制作など、負荷の高い処理でもストレスなく行なえるでしょう。
CrystalDiskMarkベンチマーク結果
ストレージのアクセス速度を計測する「CrystakDiskMark」では、シーケンシャルリード(Seq)で109.7MB/秒という結果が出ています。アクセス速度としては、標準的なHDDと同じレベルです。BTOオプションでより高速なSSDを追加するとファイルのアクセスが早くなるだけでなく、Windows 8.1の体感速度もグンと向上します。
PCMark 8ベンチマーク結果
総合的な性能を計測する「PCMark 8」では、ネットや写真編集、軽めのゲームなど、日常的な作業の性能を計測する「Home conventinal/accelerated 3.0」と、ゲームやクリエイティブ系ソフトの快適さを計測する「Creative conventinal/accelerated 3.0」でテストを行ないました。それぞれの結果は、以下の表のとおりです。CPUやGPUのスペックを考えるともう少しスコアが伸びてもいいのでは? という印象ですが、おそらくストレージにHDDを使っていることが影響しているのでしょう。SSDを使っていれば、スコアはもっと上のはずです。
「PCMark 8」ベンチマーク結果 | |
Home conventinal 3.0 | 3171 |
---|---|
Home accelerated 3.0 | 3792 |
Creative conventinal 3.0 | 3123 |
Creative accelerated 3.0 | 4503 |
Passmark PerformanceTest 8.0ベンチマーク結果
同じく総合的な性能を計測する「Passmark PerformanceTest 8.0」では、やはりストレージ性能を表わす「Disk Mark」が低めの結果になっています。ただしCPUやGPU、メモリーなどのスコアはノートパソコンとしては高めの結果です。
3DMarkベンチマーク結果
総合的な3D描画性能を計測する「3DMark」では、もっとも負荷の高い「Fire Strike」(DirectX 11相当)で「8140」と、ノートパソコンとしてはトンデモないスコアを叩き出しました。デスクトップ向けのGTX 960が6000~7000台ですので、デスクトップ向けのミドルレンジGPUと同程度性能を持っていることになります。さすがにGTX970(スコア9000台前後)やGTX 980(スコア10000~11000)には劣りますが、重い海外ゲームでもストレスなく楽しめる性能です。
ドラクエ10ベンチマーク結果
「ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン(ドラクエ10)」の快適さを計測する「ドラゴンクエストXベンチマークソフト」では、1920×1080ドットの「標準品質」と「最高品質」でどちらも「すごく快適」という結果です。ドラクエ10のプレーには、まったく問題のない性能と言えます。
FF14ベンチマーク結果
「ファイナルファンタジーXIV:蒼天のイシュガルド ベンチマーク」でも、解像度1920×1080ドットの「最高品質(DirectX 9)」と「最高品質(DirectX 11)」の両方で「非常に快適」という結果です。フルHDの最高画質でも、60 FPS以上で楽しむことができます。
PSO2ベンチマーク結果
「ファンタシースターオンライン2」用のベンチマークソフト「PSO2キャラクタークリエイト体験版」では、解像度1920×1080ドットのウィンドウ表示で、簡易描画モード「3(標準画質)」の結果が「14711」、簡易描画モード「5(最高画質)」で「10006」という結果でした。GTX 980Mにしてはスコアが低いような気もしますが、5001以上で快適に動作するレベルとのことですので、問題なくプレーできる性能を持っています。
バッテリー駆動時間は4時間31分
QF980HGでは、バッテリー駆動時間の公称値は約5時間とされています。実際の駆動時間を計測するために以下の条件でテストを行なったところ、テスト開始から4時間31分でバッテリー残量が5%に達し休止状態へ移行しました。公称値よりは短かったものの、とくに大きな差はない結果です。
バッテリー駆動時間計測テストの条件
- Windows 8.1の電源プランを「省電力」に変更
- 液晶ディスプレイの明るさを40%に調整
- 無線LANとBluetoothはオンに
- ボリュームは50%
- 「BBench」の10秒ごとのキー入力と60秒ごとのWebアクセスを有効化
カタログ値に近い結果が出たと言っても、消費電力量をかなり抑えた上での結果です。ゲームをしながらではバッテリーがすぐに切れてしまいますので、電源を接続した状態でのプレーをおすすめします。
GTX 980Mでマインクラフトをプレー
次に、QF980HGでマインクラフを実際にプレーしたときのFPS計測結果を紹介します。
さっそくプレーをはじめてみたところ、なんだか描画がカクつく上に、フィールドの描画がかなり遅い状態でした。なにかおかしいと調べてみたところ、なぜかメモリーが1GBしか使われていなかったのです。ランチャーのプロフィール編集からメモリー容量を増やしたことで、問題なく動くようになりました。
チャンク変更時のFPS計測結果
ということで、FPSの計測結果は以下の表のとおりです。今回は高性能なGPUを搭載しているので、すべて標準設定(ほぼ最高画質)のフルスクリーン(1920×1080ドット)でテストを行なっています。また今回のテストでは高画質化用の「影MOD」などは使わず、チャンク(描画範囲)をどこまで上げられるかを試してみました。
GeForce GTX 980Mでの「マインクラフト」FPS計測結果 | |||
チャンク | 最小 | 最大 | 平均 |
---|---|---|---|
12(標準) | 156 FPS | 276 FPS | 183.38 FPS |
16 | 133 FPS | 203 FPS | 155.28 FPS |
20 | 103 FPS | 186 FPS | 134.63 FPS |
32 | 78 FPS | 210 FPS | 128.11 FPS |
結果的にチャンクを最大値の32にしても、平均FPSは128.11と十分高いままでした。FPSは60以上が理想的とされていますので、MODなしの状態、いわゆる「バニラ」で楽しむにはまったく問題ない性能です。機会があれば、影MODや高画質テクスチャーなどを試してみたいと思います。
TNTベンチの結果
当サイトではこれまでに何度か大量のTNT(爆弾)を爆発させて遊んでいましたが、ここで一連の検証を「TNTベンチ」として、レギューレーションを策定しようと思います。現時点での仮レギュレーションは、以下のとおり。今後、必要に応じて変更を加えます。
TNTベンチの条件(仮案)
- ビデオ設定は標準のまま
- クリエイティブモードでチートコマンドを使い、約1万個のTNTを配置
- 着火してから1分間のFPSを「Fraps」(FPS計測ソフト)で計測
- FPSの計測結果をベンチマーク結果とする
いま気がついたのですが、解像度を決めていませんでした。条件を手軽にそろえるならウィンドウモードなのですが、とりあず今回は1920×1080ドットのフルスクリーンモードということでご了承ください。
ということで、TNTベンチの結果は以下の表のとおりです。開始からすべての爆発が終わり、地形の変形が反映されるまでにかかった時間は42秒でした。この結果が速いのか遅いのか判断しづらかいかもしれませんが、筆者がこれまで試してきたなかでは、デスクトップ向けのGTX980搭載パソコンに次ぐ速さです。ちょっと性能が控えめなパソコンでは2分以上かかることもありますし、低スペックなパソコンでは5分以上かかることもあります。
GeForce GTX 980MでのTNTベンチ結果 | ||
最小 | 最大 | 平均 |
---|---|---|
1 FPS | 290 FPS | 93.35 FPS |
本体の外観をチェック!
最後に、本体のデザインや液晶ディスプレイ/キーボードの使い勝手、インターフェース周りなどについてレビューします。
本体はかなり厚い
本体の大きさは、幅428×奥行き288×高さ55mmです。17.3型の液晶ディスプレイを採用しているだけあって、本体のサイズはかなり大きめ。それなりの設置スペースが必要となりますが、そのぶん一般的な15.6型の液晶ディスプレイよりも迫力のある映像を楽しめます。
特に高さは5.5cmと、かなり厚めです。標準的なゲーム用ノートパソコンなら3cm前後、普通のパソコンでも2.5mm前後ですから、QF980HGは結構な厚みがあることがわかるでしょう。ただデスクトップ並みの性能を持っていること考えると、この厚みは仕方がないことかもしれません。デスクに据え置きで使うぶんには問題ないはずです。
1920×1080ドットのフルHD液晶ディスプレイ
液晶ディスプレイの解像度は1920×1080ドットです。一般的なデスクトップパソコン用のディスプレイと同じ解像度で、ゲームのプレーに適しています。映像の色合いはやや青みがかっていますが、ノートパソコンとしては標準的です。色味が気になる人は、コントロールパネルの「ディスプレイ」から好みの色に変えるといいでしょう。
テンキー付きのキーボードを採用
キーボードは数値入力に便利なテンキー付きで、標準的な日本語配列を採用しています。キーピッチ(キーの大きさを表わす目安)は実測で約19mm、キーストローク(キーを押す深さ)は実測で2mm程度でした。一部のキーについては幅が狭くなっていますが、基本的には使いやすいキーボードです。
ただ、個人的には右ALTキーのあたりにWindowsキーが配置されている点が気になりました。一般的にWindowsキーは左側に配置されていることが多く、使い始めは少し戸惑うことがあるかもしれません。ですが、しばらく使っているうちに慣れるでしょう。
キーボード上部には、静電式のタッチボタンが用意されています(上部中央にある電源ボタンの左右)。触れるだけで光学ドライブを開いたり、機内モードに切り替えたりできる点が便利でした。
充実したインターフェース構成
QF980HGのインターフェースは、かなり充実しています。USB端子はUSB3.0×3とUSB2.0×2の合計5ポート、映像出力端子はHDMI×1、アナログRGB(D-Sub15ピン)×1、Mini-DisplayPort×1の3種類、さらにSD/SDHC/SDXC対応メモリーカードスロットやオーディオ端子類が用意されていました。対応する通信機能は1000BASE-T対応の有線LANとIEEE802.11a/b/g/n/acの無線LAN、Bluetooth 4.0の構成です。
本体の熱は高くはないが動作音はやや大きめ
ベンチマーク中にCPUやGPUの熱を調べてみたところ、70~80度前後とやや高めになっていましたが、本体側で熱を感じるような部分はありませんでした。冷却機能がしっかり機能しているものと思われます。
ただ、動作音は少し大きめです。パソコンへの負荷が高くなるとファンが激しく回転しますので、それなりの音が聞こえます。筆者は特に気になりませんでしたが、人によっては大きいと感じることがあるかもしれません。そのような場合は、ヘッドホンを着用してゲームをプレーすることをおすすめします。
数年は現役で使える最高性能のゲーミングノートPC
ということで、今回はGeForce GTX 980Mを搭載したQF980HGのベンチマーク結果や実際の使い勝手について紹介しました。個人的には、デスクトップパソコンよりもコンパクトで場所を取らないゲーム用パソコンとしてなら、十分検討する価値はあると思います。性能的にもデスクトップパソコンに匹敵するほどですので、長期間現役マシンとして利用できるでしょう。