日本HPから2015年の冬モデルとして、17.3型(1920×1080ドット)の液晶ディスプレイを搭載した「HP ENVY 17-n100」が発表されました。直販サイト「HP Directplus」のみの限定モデルで、販売開始は11月下旬から。ラインナップとしてはメモリー容量が8GBの「17-n103TX」と、16GBのメモリーを搭載した「17-n104TX」の2種類が用意されています。
新モデルの見どころは、2015年の夏モデルよりもCPUが大きくパワーアップしている点です。またストレージについても、全モデルでSSD+HDDのデュアルディスク構成となりました。今回は2015年冬モデルの「HP ENVY 17-n100」について、前モデルとの違いを解説します。
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「HP ENVY 17」2015年冬モデルと2015年夏モデルのスペック
まずは「HP ENVY 17」の新旧モデルについて、仕様を確認してみましょう。それぞれの主なスペックは、以下の表のとおりです。
「HP ENVY 17」2015年冬モデルと2015年夏モデルの主なスペック | ||
モデル | 2015年冬モデル (HP ENVY 17-n100) |
2015年夏モデル (HP ENVY 17-n000) |
---|---|---|
OS | Windows 10 Home 64bit | Windows8.1 Update 64bit |
CPU | Core i7-6700HQ(2.60GHz) | Core i7-5500U(2.40GHz) |
メモリ | DDR3L 8/16GB | |
グラフィックス | NVIDIA GeForce GTX 950M(4GB) | |
ストレージ | 256GB M.2 SSD(SATA接続)+1TB HDD | 1TB HDD、または256GB M.2 SSD(SATA接続)+1TB HDD |
光学ドライブ | ブルーレイディスクドライブ | |
ディスプレイ | 17.3型(1920×1080ドット)、IPS、非光沢、タッチ非対応 | |
無線LAN | IEEE802.11a/b/g/n/ac | |
Bluetooth | Bluetooth 4.0 | |
Webカメラ | 92万画素 | |
センサー | 指紋認証センサー | |
主なインタフェース | USB3.0×4、HDMI、1000BASE-T対応有線LAN、SD/SDHC/SDXC対応メモリーカードスロット、ヘッドホン出力 | |
バッテリ駆動時間 | 9時間30分(MobileMark 2014) | 5時間(MobileMark 2012) |
本体サイズ | 幅418×奥行き284×高さ23.5~32.8mm | |
重量 | 2.98kg |
前モデルではストレージにHDDのみを搭載した「スタンダードモデル」と、SSD+HDDを搭載した「高速デュアルディスクモデル」の2種類が用意されていましたが、新モデルではすべてSSD+HDDの構成となっています。
また意外なところでは、バッテリー駆動時間が5時間から9時間30分に延長されました。CPUの消費電力はアップしているはずなのですが、バッテリー駆動時間が伸びているということは、バッテリー容量が増えているのでしょうか。消費電力量がまだ非公開なので実際にところはわかりませんが、ちょっと不思議な部分ではあります。
CPUがデュアルコアからクアッドコアへアップグレード
ハードウェア的な変更点はCPUが変わった点だけなのですが、この点が唯一にして最大のポイントです。 デュアルコアのCore i7-5500UとクアッドコアのCore i7-6700HQは同じ「Core i7」シリーズでも、Uシリーズはウルトラブック向け省電力CPUで、HQシリーズはハイエンドノートパソコン向けの高性能CPUに位置づけられています。以下の表でそれぞれのスペックを確認してみても、省電力性能を除くほとんどの面でCore i7-6700HQが上回っていることがわかるでしょう。
Core i7-5500UとCore i7-6700HQの違い | ||
名称 | Core i7-6700HQ | Core i7-5500U |
---|---|---|
コア数/スレッド数 | 4/8 | 2/4 |
動作周波数 | 2.6GHz | 2.4GHz |
最大動作周波数 | 3.5GHz | 3GHz |
TDP | 45W | 15W |
キャッシュメモリー | 6MB | 4MB |
システムバス | 8GT/秒 | 5GT/秒 |
内蔵グラフィックス | インテルHDグラフィックス530 | インテルHDグラフィックス5500 |
最大解像度 | 4096×2304@60Hz(DisplayPort使用時) | 3840×2160@60Hz(DisplayPort使用時) |
さまざまなCPUのベンチマーク結果を掲載する「PassMark CPU Benchmarks」のデータによると、Core i7-6700HQのスコアは「7799」で、Core i7-5500Uは「3966」とのこと。CPUの計算性能を計測するテストで、2倍近い差がでています。CPUだけがパワーアップしてもパソコン全体の快適さが劇的に変わるわけではありませんが、新モデルではパフォーマンスが大きくアップしていると見ていいでしょう。
さらに下位モデルでストレージに高速なSSDが使われているほか、Windows 10自体のレスポンスの改善により、体感速度が大きく向上してるものと思われます。一見するとマイナーチェンジのように思えますが、実は中身はかなり変わっているのです。
ただし気になるのは、CPUのTDP(消費電力を表わす目安)が前モデルの15Wから45Wと3倍になっている点です。普通に考えればそのぶんバッテリー駆動時間が減るはずなのですが、なぜか新モデルの「HP ENVY 17-n100」では従来モデルの5時間から9時間30分へとかなり延長されました。この点については理由がわかりしだい、当記事を更新する予定です。
GTX950Mならドラクエ10やPSO2あたりは快適にプレーできる
「HP ENVY 17-n100」はグラフィックス機能として、NVIDIA GeForce GTX 950M(4GB)を搭載しています。ゲーム用パソコン向けのGPUとしてはエントリーレベルの性能で、重量級の海外ゲームをストレスなく楽しめるほどの性能はありません。しかしドラクエ10やPSO2など国内で人気のゲームであれば、高画質&高解像度でも快適に遊べる性能を持っています。
FF14については、ベンチマークでは「快適」という結果になると思いますが、最高画質&フルHD環境では理想とされる「非常に快適」(平均60FPS以上)に届かないかもしれません。ある程度画質を調整してもOKという人には問題ないはずです。
ゲーム用のノートパソコンは20万円近くの高額なモデルが多いのですが、「HP ENVY 17-n100」は13万9800円(税別)と比較的お手頃です。しかもクアッドコアのCPUと256GBのSSDを搭載した上で、本体デザインも優れているとなれば、かなりお買い得なモデルと言えるのではないでしょうか。「いかにも」なゲームPCではなくスタイリッシュなマシンでゲームを楽しみたい、あるいはゲーム以外にもあれこれ活用したいという人におすすめです。