レノボの『IdeaCentre 5i Gen 8 (第13世代Intel Core)』(以下、”IdeaCentre 5i Gen 8″)は、ミニタワー型のデスクトップPCです。DVDの再生と書き込みが可能な光学ドライブ搭載。グラボ(GPU)は非搭載で、会計処理や文字データや文書を扱う作業用に向いています。
記事執筆時の価格
スペック | 価格 |
---|---|
Core i5-13400 / 8GB / 512GB | 6万4900円 |
Core i5-13400 / 16GB / 1TB | 8万4810円 |
Core i7-13700 / 16GB / 1TB | 10万9890円 |
Core i7-13700 / 32GB / 1TB | 13万9810円 |
※2023年10月29日時点
レビューにあたりひととおり触ってみましたが、性能も機能もまずまずといったところ。価格はCore i5モデルであれば、比較的安いと言っていいでしょう。ただし現在人気のミニPCと比べると、筐体サイズが大きい点がネックです。この大きさを活用できるかが、選ぶポイントとなるでしょう。
ポイント
- ✅VGA対応
- ✅光学ドライブ搭載
- ✅拡張ボード対応
- ✅HDMI接続時1920×1080まで
この記事ではメーカーからお借りした実機を使って、本体の外観や機能、実際の性能についてレビューします。
この記事の目次
- ▶ スペック
- ▶ 本体デザイン
- ▶ メモリー/SSDの増設について
- ▶ ベンチマーク結果
- ▶ まとめ
スペック
OS | Windows 11 Home |
---|---|
CPU | Core i5-13400 / Core i7-13700 |
メモリー | 8GB×1 / 16GB(8GB×2) / 32GB(16GB×2) ※スロット2基、DDR4-3200、最大32GB |
ストレージ | 512GB / 1TB Gen4 SSD |
グラフィックス | UHD Graphics 730 / 770(CPU内蔵) |
フォームファクター | ミニタワー型(13.6L) ※独自規格 |
M.2スロット | 2 (ストレージ用×1、Wi-Fiカード用×1) |
光学ドライブ | DVDスーパーマルチドライブ |
ドライブベイ | 3.5インチ×1 |
拡張スロット | PCI Express 4.0 x16 ×1、PCI Express 3.0 x1×1 |
通信 | Wi-Fi 6、Bluetooth 5.1、有線LAN(1Gb) |
電源 | 310W |
サイズ / 重量 | 幅145×奥行き287.98×高さ340mm / 約5.4kg |
オフィス | なし |
本体デザイン
外観
インターフェース構成
パーツの交換について
本体の分解方法
メモリーの増設
SSDの増設
そのほかのパーツ
ベンチマーク結果
試用機のスペック
CPU | Core i5-13400(10コア/16スレッド) |
---|---|
メモリー | 8GB×1 DDR4-3200 |
ストレージ | 512GB NVMe SSD |
グラフィックス | UHD Graphics 730(CPU内蔵) |
※各種ベンチマークテストはWindows 11の電源プランを「バランス」に、電源モードを「最適なパフォーマンス」に設定した上で実施しています
※ベンチマーク結果はパーツ構成やタイミング、環境、個体差などの要因で大きく変わることがあります
CPU性能
CPUとしては、第13世代のスタンダードデスクトップPC向けであるCore i5-13400(10コア16スレッド)とCore i7-13700(16コア24スレッド)が使われています。
Core i5-13400搭載の試用機でCPUベンチマークテストを行なったところ、負荷の高いマルチスレッド(マルチコア)のテストでは、同じCPUの平均値をやや下回りました。シングルスレッド(シングルコア)のテストでは平均値を上回る結果が出ています。これは、CPUが熱の影響を受けている際によく見られる現象です。内部的にしっかり冷やしているとは言えない構造なので、やはりなんらかの影響が出ているのかもしれません。
CPUマルチスレッド性能
CPU | 3DMark CPU Profile Max threads |
---|---|
Core i7-13700 |
12017
|
Core i7-12700 |
9590
|
Core i5-13400 |
7358
|
IdeaCentre 5i Gen8(Core i5-13400) |
6944
|
Core i5-12400 |
5960
|
Core i3-13100 |
4238
|
Core i3-12100 |
4044
|
※そのほかのスコアは3DMark公式サイトによる平均値
CPUシングルスレッド性能
CPU | 3DMark CPU Profile 1 threads |
---|---|
Core i7-13700 |
1103
|
Core i7-12700 |
1022
|
IdeaCentre 5i Gen8(Core i5-13400) |
979
|
Core i5-13400 |
971
|
Core i3-13100 |
947
|
Core i5-12400 |
918
|
Core i3-12100 |
901
|
※そのほかのスコアは3DMark公式サイトによる平均値
4~6万円台のミニPCで使われているCPUと比較すると、かなり優秀な結果が出ています。
ミニPC向けCPUの性能比較
CPU | PassMark CPU Mark Score |
---|---|
Core i5-13500H |
24011
|
Core i7-12650H |
23679
|
Ryzen 7 5800H |
21256
|
IdeaCentre(Core i5-13400) |
20622
|
Ryzen 7 6800U |
20598
|
Ryzen 7 5800U |
18670
|
Ryzen 5 6600H |
19125
|
Core i5-12450H |
17812
|
Ryzen 5 6600U |
17274
|
Ryzen 5 5600H |
17119
|
Ryzen 5 5600U |
15462
|
Ryzen 5 5625U |
15181
|
Intel N100 |
5630
|
Intel N195 |
5463
|
※そのほかのスコアはPassMark CPU Benchmarksによる集計値で、実機の結果ではありません
グラフィックス性能
グラフィックス周りの処理には、CPU内蔵のグラフィックス機能が使われます。グラフィックス性能を計測する3Dベンチマークテストの結果はかなり低く、ゲームや動画編集での効果は期待できません。基本的に文字や数値データを扱うための機種です。
デスクトップPC向けGPU性能(DirectX 12,WQHD)
GPU | 3DMark Time Spy Graphics |
---|---|
RTX 3050 |
6204
|
GTX 1650 |
3555
|
UHD 730 |
569
|
※そのほかのスコアはUL Solutionsによる平均値
PCを使った作業の快適さ
PCMark10は、PCを使った作業の快適さを計測するベンチマークテストです。一般的な作業を想定しているため、テストでは比較的軽い処理が行なわれています。各テストの傾向としては「Essentials」(一般利用)ではCPUのシングルコア性能、「Productivity」(ビジネス利用)ではCPUのマルチコア性能、「Digital Contents Creation」(コンテンツ制作)ではCPUとストレージ、GPU性能が強く影響するようです。
テストでは、目標値は大きくクリアーしました。4~6万円台のミニPCと比べると、同程度かやや劣る程度の結果が出ています。性能面よりも、そのほかの価値で検討するべきでしょう。
PCMark 10ベンチマーク結果
テスト | スコア |
---|---|
Essentials (一般的な利用) 目標値:4100 |
10295
7142
10603
10299
10256 |
Productivity (ビジネス利用) 目標値:4500 |
7574
4879
9709
7128
9930 |
Digital Contents Creation (コンテンツ制作) 目標値:3450 |
5392
2515
6044
6586
5707 |
※スコアの目標値はPCMark 10公式サイトによるもの
比較機のスペック(ミニPC)
▶LarkBox X 2023 | Intel N100 / 12GB / UHD |
---|---|
▶NucBox10 | Ryzen 7 5800U / 16GB / Radeon |
▶IdeaCentre Mini Gen 8 | Core i5-13500H / 8GB / UHD |
ThinkCentre M75q Gen2 | Ryzen 7 PRO 5750GE / 32GB / Radeon |
改造して使える点が魅力?
いまは手のひらサイズのミニPCが人気です。価格が安いのに性能も十分ですし、なにより設置に場所を取らない点が魅力。普段使い用や事務作業用であれば、ミニPCのほうがなにかと役に立つでしょう。今後作業用PCは、ミニPCに置き換わっていくのかもしれません。
そのような状況において、ミニタワー型やスリム型を選ぶ理由はなんでしょうか? 光学ドライブを内蔵している点がメリットかもしれませんが、ミニPCに外付けドライブを追加すれば事足ります。USB端子が6~8ポートあるのもデスクトップPCの特徴ですが、そんなに使う場面もないですよね。
筆者としては、「手軽に改造できる」点に従来型デスクトップPCの優位性があるのではないかと考えています。単にメモリーやストレージの容量を増やすだけでなく、その気になればグラボや冷却パーツ、その他もろもろを含めてです。内部スペース的にも余裕がありますし、比較的自由度は高いのではないかと。というか、もうそのくらいしか選ぶ理由がないですよね。
ちなみにIdeaCentre 5i Gen 8は、HDMI出力で1920×1080ドットまでしか表示できません。デュアルディスプレイで使いたい、WQHDや4K解像度で使いたいなどの希望がある場合は、安い旧世代のグラボを利用するといいでしょう。そのように、部品をいろいろ追加するのが楽しい人にはおすすめです。
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