レノボのIdeaPad Flex550i Chromebookは、画面が回転する2-in-1タイプの13.3インチノートPCです。性能はエントリークラスですが、本体の仕上がりに優れる点が特徴。手書き入力用のペンも付属しています。
IdeaPad Flex550i Chromebookのスペック
OS | Chrome OS |
---|---|
画面サイズ | 13.3インチ |
解像度 | 1920×1080 |
CPU | Celeron 5205U |
メモリー | 4GB ※オンボード DDR4-2400 |
ストレージ | 64GB eMMC |
HDD | なし |
グラフィックス | UHD(CPU内蔵) |
LTE | - |
堅牢性テスト | - |
色域 / 明るさ | 45% NTSC / 250nit |
幅×奥行き | 310×212mm |
厚さ | 17mm |
重量 | 約1.38kg |
バッテリー | 最大10時間 |
自動更新ポリシー | 2028年6月 |
※2021年8月9日時点。構成は変更される場合があります
本体カラー | グラファイトグレー |
---|---|
画面の表面 | 光沢 |
パネルの種類 | IPS |
タッチ / ペン | タッチ / ペン対応 |
光学ドライブ | - |
テンキー | - |
有線LAN | - |
無線LAN | Wi-Fi 6 |
Bluetooth | 5.0 |
USB3.1 | - |
USB3.0 | 1 |
USB2.0 | - |
USB Type-C | 2(USB3.0 PD/DP対応) |
Thunderbolt 4 | - |
メモリーカード | microSD |
HDMI | - |
VGA (D-sub15) | - |
DisplayPort | - |
Webカメラ | HD 720p(92万画素) |
顔認証カメラ | - |
指紋センサー | - |
付属品 | ACアダプターなど |
オフィス | なし |
この記事では筆者が購入したIdeaPad Flex550i Chromebookの実機を使って、デザインや性能、実際の使い心地などをレビューします。
この記事の目次
- ▶スペック
- ▶デザインと使いやすさ
- ▶ベンチマーク結果
- ▶まとめ
※2021年8月9日時点
※本製品はChrome OSを搭載したノートPCです。Windows向けのソフトは利用できないので注意してください。
デザインと使いやすさ
外観について
IdeaPad Flex550i Chromebookは、13.3インチの2-in-1ノートPCです。Chromebookでは11.6インチや14インチが主流で、13インチクラスは数機種程度しかありません。また13インチクラスは基本的に高性能&高品質で、値段もやや高めに設定されています。
IdeaPad Flex550i Chromebookは性能的にはエントリー(入門)向きですが、本体の品質はミドルレンジ(中級機)相当です。天板はねじれに強いアルミ製で、上々の仕上がり。エッジの立ったシャープなデザインで、スタイリッシュな印象を受けます。全体的に品質が高く、言うなれば”高級エントリー機”といったところです。
ディスプレイについて
ディスプレイのサイズは13.3インチで、解像度は1920×1080ドット。Windows 10搭載のモバイルノートPCとしてはよくあるスペックですが、Chromebookとしては珍しい組み合わせです。画面は125%に拡大表示されているため、文字が小さくて見えづらく感じることはありません。タッチ操作でメニューをスイスイ操作できるのも便利です。
映像は作業には十分な明るさです。ただし公称値では輝度は250nitで、IPSパネルとしてはそれほど高品質ではありません。色域は45% NTSC(sRGB 62.5%程度)で、100% sRGBをひとつの目安とするならやはりワンランク下のレベル。実際の映像を確認するとパッと見は違和感がありませんが、普段から色味を意識している人ならやや暗く赤みが弱いことに気が付くでしょう。スマホやタブレットの映像と比べると、鮮やかさに欠けます。
とは言え、安いChromebookで使われることが多いTNパネルよりは色が自然です。またコントラストはやや低いながらもしっかりと色のメリハリが出ており、文字はクッキリと映し出されます。
キーボードについて
キーボードはテンキーなしの日本語配列で、バックライト非対応です。キー配列はほぼ標準的ですが、「¥」キーがだけが異様に小さく作られている点に注意してください。また一部のキーが隣接していますが、慣れればわりと普通に使えます。
キーピッチは18.7mm。キーボードの標準値である19mmよりもやや狭く作られています。実際にキーを入力したところ、やはりわずかに窮屈に感じました。
キーストロークは平均1.26mmでした。キーを押した瞬間のクリック感が軽く、キーを押し込む力もかなり弱めです。指を打ち下ろすようにしてタイプすると、ストローク感はほとんど感じられません。キーをなでるように軽く打つ人向きです。
タイプ音は比較的静かでした。軽い力で入力するとカタカタと聞こえますが、うるさく感じるほどではありません。ただし指を打ち下ろすようにして入力するとタンタンと響きます。
ペン入力について
IdeaPad Flex550i Chromebookには、標準で手書き入力用のペンが付属します。ペンの書き味はツルツルとしていますが、わずかにひっかる感じです。遅延は多少見られたものの、気になるほどではありませんでした。
ペンを使っていて気になったのは、ペン入力時にペン先が削れてくる点です。購入してからしばらく使っていなかったので経年劣化によるものかもしれませんが、強い筆圧で描くとペン先のプラスチックが画面にこびりついてしまいました。柔らかい布で拭けば取れるのですが、強い筆圧では使わないほうがよさそうです。
インターフェース/機能について
インターフェース類は多くありませんが、最近のエントリー向けChromebookとしては標準的な構成です。USB端子は合計3ポートで、うち2ポートがType-C。あとはmicroSDカードスロットやヘッドホン端子が用意されています。モバイル向けとしては十分でしょう。
Type-C端子の機能
USB PD 18W充電 | △ ※低電力 |
---|---|
USB PD 30W充電 | ○ |
USB PD 45W充電 | ○ |
USB PD 65W充電 | ○ |
USB PD 100W充電 | ○ |
映像出力 | ○ |
ベンチマーク結果
※この部分は非常にマニアックなので、よくわからない人は「▶起動時間の計測結果」まで読み飛ばしてください。
ここからは、IdeaPad Flex550i Chromebookのパフォーマンス (性能)について解説します。ベンチマーク結果は環境、タイミング、個体差などさまざまな要因によって大きく変わることがある点をあらかじめご了承ください。
試用機のスペック
型番 | 82B8001NJP |
---|---|
CPU | Celeron 5205U |
メモリー | 4GB |
ストレージ | 64GB eMMC |
グラフィックス | UHD Graphics(CPU内蔵) |
Octane 2.0
CPUとしては、インテルのCeleron 5205Uが使われています。性能よりも価格の安さを重視したCPUで、パフォーマンスは低めです。ただしChromebookは性能の低いCPUでも比較的普通に使えるので、イライラするほど遅く感じることはありません。
JavaScritの処理速度を計測する「Google Octane 2.0」を試したところ、エントリー(入門)向け相当の性能でした。Chromebookで使われているCPU全体で見ると、「下の中」クラスです。価格が5万円を超えることを考えれば、やや割高な気がします。高品質な本体側にコストがかかっているのでしょう。
ベンチマークスコアの比較
CPU | Octane 2.0スコア |
---|---|
HP x360 13c (Core i7-10510U) |
48847
|
ASUS Flip C436FA (Core i7-10510U) |
48443
|
Acer 712 C871T-A38N (Core i3-10110U) |
44600
|
HP x360 14c (Core i3-10110U) |
43914
|
HP x360 14 (Core i5-8250U) |
34408
|
HP 14a(Pentium N5030) |
21124
|
HP x360 12b (Pentium N5030) |
21081
|
HP x360 14b (Pentium N5000) |
19455
|
Acer 712 C871T-A14N (Celeron 5205U) |
16974
|
Acer CB311 (Celeron N4020) |
16911
|
IdeaPad Flex550i (Celeron 5205U) |
16810
|
Acer Spin512 R851TN-A14N (Celeron N4100) |
16471
|
IdeaPad Slim 350i (Celeron N4020) |
15729
|
Lenovo 300e 2nd Gen (A4-9120C) |
12932
|
ASUS C223NA (Celeron N3350) |
11585
|
S330(MT8173C) |
11460
|
Acer Tablet CT100PA(OP1) |
10490
|
ASUS Detachable CM3 (MediaTek MT8183) |
10076
|
IdeaPad Slim 360 (MediaTek MT8183) |
9934
|
Acer Spin 311 (MediaTek M8183C) |
9870
|
CrXPRT 2
「CrXPRT 2」はChrome OS機器の総合性能の計測する、HTML 5ベースのベンチマークテストです。前述のテストと同様、IdeaPad Flex550i Chromebookではエントリークラスとしては標準的な結果でした。重い処理を行なわないのであれば、問題なく使えるでしょう。
ベンチマークスコアの比較
CPU | CrXPRT 2 Performanceスコア |
---|---|
Acer 712 C871T-A38N (Core i3-10110U) |
110
|
HP x360 12b (Pentium N5030) |
73
|
HP 14a(Pentium N5030) |
70
|
HP x360 14b (Pentium N5000) |
66
|
Acer Spin512 R851TN-A14N (Celeron N4100) |
61
|
IdeaPad Flex550i (Celeron 5205U) |
55
|
Acer 712 C871T-A14N (Celeron 5205U) |
53
|
Lenovo 300e 2nd Gen (A4-9120C) |
43
|
IdeaPad Slim 360 (MediaTek MT8183) |
40
|
ASUS CM3 (MediaTek MT8183) |
39
|
ASUS C223NA (Celeron N3350) |
37
|
GeekBench 5
Celeron 5205Uは、2コア2スレッドのCPUです。コア数が少ないため、マルチコア性能を計測するテストではかなり低めの結果でした。ただシングルコア性能のスコアはエントリー向けとしては上のほうに来ています。普段使いや一般的な作業には問題なく使えますが、高度な処理には向いていません。
ベンチマークスコアの比較
CPU | Geekbench 5 マルチコアスコア |
---|---|
ASUS Flip C436FA (Core i7-10510U) |
3626
|
HP x360 13c (Core i7-10510U) |
3146
|
HP x360 14 (Core i5-8250U) |
2938
|
HP x360 14c (Core i3-10110U) |
2209
|
Acer 712 C871T-A38N (Core i3-10110U) |
1812
|
HP x360 14b (Pentium N5000) |
1503
|
HP x360 12b (Pentium N5030) |
1450
|
HP 14a(Pentium N5030) |
1428
|
ASUS Detachable CM3 (MediaTek MT8183) |
1422
|
IdeaPad Slim 360 (MediaTek MT8183) |
1403
|
Acer Spin512 R851TN-A14N (Celeron N4100) |
1393
|
Acer Spin 311 (MediaTek M8183C) |
918
|
Acer CB311 (Celeron N4020) |
899
|
IdeaPad Flex550i (Celeron 5205U) |
880
|
Acer 712 C871T-A14N (Celeron 5205U) |
814
|
ASUS C223NA (Celeron N3350) |
514
|
Lenovo 300e 2nd Gen (A4-9120C) |
465
|
ベンチマークスコアの比較
CPU | Geekbench 5 シングルコアスコア |
---|---|
HP x360 14c (Core i3-10110U) |
1015
|
HP x360 14 (Core i5-8250U) |
921
|
Acer 712 C871T-A38N (Core i3-10110U) |
826
|
HP x360 12b (Pentium N5030) |
520
|
HP 14a(Pentium N5030) |
511
|
IdeaPad Flex550i (Celeron 5205U) |
461
|
HP x360 14b (Pentium N5000) |
447
|
Acer 712 C871T-A14N (Celeron 5205U) |
431
|
Acer Spin512 R851TN-A14N (Celeron N4100) |
397
|
ASUS Detachable CM3 (MediaTek MT8183) |
301
|
IdeaPad Slim 360 (MediaTek MT8183) |
292
|
Lenovo 300e 2nd Gen (A4-9120C) |
287
|
ASUS C223NA (Celeron N3350) |
270
|
PCMark / 3DMark
アプリによる軽めの作業の快適さを計測するPCMarkでは、悪くない結果が出ています。とは言え、やはりChromebook全体では「下の中」クラスです。
一方グラフィックス性能を計測する「3DMark」では、「下の上」あたりに位置しています。CeleronのUシリーズはCeleron Nシリーズよりもグラフィックス性能が高いため、その点が影響しているのでしょう。とは言え、重いゲームをプレーできるほどではありません。
ベンチマークスコアの比較
CPU | PCMark Work 2.0スコア |
---|---|
ASUS Flip C436FA (Core i7-10510U) |
11966
|
HP x360 14c (Core i3-10110U) |
11792
|
HP x360 14 (Core i5-8250U) |
10653
|
HP x360 13c (Core i7-10510U) |
10010
|
HP x360 12b (Pentium N5030) |
9692
|
HP 14a(Pentium N5030) |
9455
|
Acer 712 C871T-A38N (Core i3-10110U) |
9150
|
HP x360 14b (Pentium N5000) |
8714
|
Acer CB311 (Celeron N4020) |
8564
|
IdeaPad Flex550i (Celeron 5205U) |
8249
|
Acer Spin512 R851TN-A14N (Celeron N4100) |
8191
|
Lenovo 300e 2nd Gen (A4-9120C) |
8064
|
IdeaPad Slim 360 (MediaTek MT8183) |
6743
|
ASUS Detachable CM3 (MediaTek MT8183) |
6655
|
Acer Spin 311 (MediaTek M8183C) |
6307
|
Acer 712 C871T-A14N (Celeron 5205U) |
6177
|
ASUS C223NA (Celeron N3350) |
5195
|
ベンチマークスコアの比較
CPU | 3DMakr Sling Shotスコア |
---|---|
HP x360 13c (Core i7-10510U) |
5522
|
ASUS Flip C436FA (Core i7-10510U) |
4648
|
Acer 712 C871T-A38N (Core i3-10110U) |
4243
|
HP x360 14c (Core i3-10110U) |
4172
|
HP x360 14b (Pentium N5000) |
2780
|
Acer Spin512 R851TN-A14N (Celeron N4100) |
2636
|
IdeaPad Flex550i (Celeron 5205U) |
2538
|
Lenovo 300e 2nd Gen (A4-9120C) |
2269
|
HP x360 12b (Pentium N5030) |
2239
|
HP 14a(Pentium N5030) |
2203
|
Acer 712 C871T-A14N (Celeron 5205U) |
2107
|
Acer CB311 (Celeron N4020) |
1871
|
ASUS Detachable CM3 (MediaTek MT8183) |
1796
|
Acer Spin 311 (MediaTek M8183C) |
1458
|
ASUS C223NA (Celeron N3350) |
1445
|
起動時間の計測結果
電源オフの状態から電源ボタンを押してパスワード入力画面が表示されるまでの時間を計測したところ、平均で12.84秒でした。Chromebookは10秒前後が標準値なので、やや遅めの結果です。とは言うものの、特に待たされているようには感じません。
起動時間の計測結果(手動計測)
1回目 | 14.5秒 |
---|---|
2回目 | 12.7秒 |
3回目 | 12.7秒 |
4回目 | 12.1秒 |
5回目 | 12.2秒 |
平均 | 12.84秒 |
ガワだけはいいアンバランスな機種
よかった点
エントリークラスとしては高品質な本体デザインが魅力です。また手書き入力用のペンが付いている点もポイント。Chromebookで使えるUSIペンを単体で買うと普通は7000~8000円くらいするので、そのぶんお得と言えます。
気になる点
性能は2~4万円台のエントリークラスなのに、価格が6万円前後なのは高すぎます。パフォーマンスを考えれば、3万円台がいいところでしょう。ペンが付いているので、4万円台前半でもギリギリでアリです。ポイント還元で実質価格を安く抑えられるなら、購入を検討してもいいかもしれません。あるいは高品質な2-in-1が欲しいなら▶HP Chromebook x360 14bのほうがおすすめです。
国内ではCeleronモデルしか発売されませんでしたが、海外では「IdeaPad Flex 5 CB 13IML05」という機種名でCore i3 / Core i5モデルが発売されています。本体の品質がエントリー向けとして似つかわしくないほど高品質なのはそのためです。確かにCore i3 /Core i5搭載でこの筐体であれば、納得できたでしょう。
しかし実際にはCeleronモデルしか発売されなかったため、本体だけデキのいいアンバランスな機種となってしまいました。後継モデルでは、Core i3 / Core i5搭載機の発売を希望します。
※2021年8月9日時点
*
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