レノボのIdeaPad Gaming 350 15 (AMD)は、15.6インチサイズのエントリー(入門)向けゲーミングノートPCです。Ryzen 5 4600H + GTX 1650 Ti搭載で、リフレッシュレートは120Hz。軽め~中規模クラスのゲームを楽しみたい人や、なるべくゲーミングPCを安く買いたい人に向いています。
※このモデルはすでに生産が終了しました。市場在庫がなくなれば販売終了です
IdeaPad Gaming 350 15 (AMD)のスペック
OS | Windows 10 Home |
---|---|
画面サイズ | 15.6インチ |
解像度 | 1920×1080 |
CPU | Ryzen 5 4600H (6コア12スレッド) |
メモリー | 8GB(4GB×2) ※スロット2基、DDR4-3200 |
SSD | 512GB NVMe SSD |
HDD | なし |
グラフィックス | GTX 1650 Ti (4GB) |
リフレッシュレート | 120Hz |
モバイル通信 | - |
堅牢性テスト | ※表記なし |
色域 / 輝度 | 45% NTSC / 250nit |
幅×奥行き | 359×249.6mm |
厚さ | 24.9mm |
重量 | 約2.2kg |
バッテリー | 約8時間 |
※2021年8月22日時点
本体カラー | オニキスブラック |
---|---|
画面の表面 | 非光沢 |
パネルの種類 | IPS |
タッチ / ペン | - |
光学ドライブ | - |
テンキー | 4列 |
有線LAN | 1000Mbps |
無線LAN | 11a/b/g/n/ac |
Bluetooth | 5.0 |
USB3.1 | - |
USB3.0 | 2 |
USB2.0 | - |
USB Type-C | 1(3.0) |
Thunderbolt | - |
メモリーカード | SD |
HDMI | 1 |
VGA (D-sub15) | - |
DisplayPort | - |
Webカメラ | 720p(92万画素相当) |
顔認証カメラ | - |
指紋センサー | - |
付属品 | 135W ACアダプターなど |
オフィス | ・なし ・Office Home & Business 2019 |
この記事では筆者が購入した実機を使って、デザインや性能、実際の使い心地などをレビューします。
この記事の目次
- ▶スペック
- ▶デザインと使いやすさ
- ▶分解とパーツ増設
- ▶ベンチマーク結果
- ▶まとめ
※2021年8月22日時点
デザインと使いやすさ
外観について
IdeaPad Gaming 350 15 (AMD)は高性能なCPUとGPUを搭載するゲーミングノートPCですが、本体はそれほど大きくはありません。やや厚みはあるものの、ゲーミングノートPCとしてはコンパクトです。角を落としたような8角形の独特なデザインを採用。エントリー(入門向け)クラスの機種のためボディは樹脂(プラスチック)製ですが、安っぽさは感じられませんでした。
ディスプレイについて
ディスプレイのサイズは15.6インチで、解像度は1920×1080ドットのフルHD。ゲーミングノートPCと一般的なスペックです。リフレッシュレート(画面の書き換え速度の目安)は120Hzで、ゲーム画面の動きはスムーズ。一般的なノートPCやテレビ、据え置きゲーム機に比べて2倍のなめらかさです。最近は144Hz以上が主流ですが、エントリークラスとしては十分でしょう。
映像は自然な色合いです。画面の明るさは標準的で、ゲームの暗いシーンでも見づらく感じることはありません。公式スペックによると色域は45% NTSC(sRGB 62.5%程度)で、色域の広さで言えば中位クラス(上位はsRGB 99~100%)。色味を重視するクリエイティブワークには向きませんが、ゲームを楽しむぶんには問題ないでしょう。
キーボードについて
キーボードはバックライト対応の日本語配列です。ゲームにはあまり関係ありませんが、数値入力に便利なテンキーが付いています。キー配列はキーボード左側は標準的ではあるものの、右側が少々変則的。ゲームには影響ありませんが、プログラミングなど記号キーを多用する作業では違和感があるかもしれません。
キーピッチは実測で18.7mmでした。一般的な19mmよりもわずかに狭く、実際に使うとほんのわずかに窮屈に感じます。慣れれば問題なく利用できるでしょう。キーストロークは実測で平均1.33mm。1.5mmの標準値よりも浅いのですが、クリック感が固いので手応えはしっかりと感じられます。
タイプ音は静かです。軽い力で入力してもカタカタと聞こえますが、うるさくはありません。ゲームプレー時であれば、周囲に気兼ねする必要はないでしょう。ただし指を打ち下ろすようにして入力するとタンタンと響くので、軽いタッチ推奨です。
キーの同時押し認識数は英数字のみで最大8キー程度、組み合わせや押す順番によっては3キー程度しか認識されない場合もありますが、概ね4~5キーは認識されます。WASDキー周りはW+E+D / W+Q+Aの組み合わせ(PUBGのリーン操作など)が効きません。エントリークラスとしては問題ないかもしれませんが、うまく操作できないなら片手用キーボードなどのゲーミングデバイスを利用するといいでしょう。
インターフェース/機能について
周辺機器接続用のインターフェース(端子)類は多くはありませんが、十分な構成です。左右側面にUSB端子があるのでケーブル取り回しの自由度は高いのですが、本体両脇がケーブルでゴチャつくかもしれません。
また、メモリーカードスロットがない点にも注意してください。ゲームには直接影響はありませんが、デジカメやビデオカメラのデータを利用する際には別途カードリーダーが必要な場合があります。
Type-C端子の機能
USB PD 18W充電 | × |
---|---|
USB PD 30W充電 | × |
USB PD 45W充電 | × |
USB PD 65W充電 | × |
USB PD 100W充電 | × |
映像出力 | × |
分解とパーツ増設
底面部のカバーを外せば、本体内部にアクセスできます。用意されているスロットはストレージ用のM.2スロットが2ポートと、メモリースロットが2ポート。公式スペックではメモリーの最大容量は8GBとされていますが、16GBメモリー×2枚の合計32GBでの動作を確認しました(メーカー保証外です)。なお自分でパーツを交換すると、メーカー保証のサポート外となるので注意してください。
ベンチマーク結果
試用機のスペック
CPU | Ryzen 5 4600H |
---|---|
メモリー | 8GB(4GB×2) |
ストレージ | 512GB SSD |
グラフィックス | GTX 1650 Ti(4GB) |
※各ベンチマークテストはWindows 10の電源プランを「高パフォーマンス」に設定した上で実施しています
※ベンチマーク結果はパーツ構成や環境、タイミング、個体差などさまざまな要因によって大きく変わることがあります
※グラフィックス機能内蔵のAMD製プロセッサーは本来「APU」と呼ばれますが、ここでは混乱を避けるために「CPU」と表記します
CPU性能
CPUとしては、AMDのRyzen 5 4600Hが使われています。ひと世代前のCPUのため、現行世代のゲーミングノートPC向けCPUと比較するとそれほど高性能というわけではありません。しかしエントリー向けのゲーミングノートPCとしては十分なパフォーマンスです。
CPUの性能差 (マルチコア性能)
CPU | CINEBENCH R20 CPUスコア |
---|---|
Ryzen 9 5900HX |
5262
|
Core i7-11800H |
5060
|
Ryzen 7 5800H |
4732
|
Ryzen 7 4800H |
4307
|
Ryzen 9 4900HS |
4266
|
Core i9-11900H |
4210
|
Core i7-10870H |
3679
|
Core i9-10885H |
3504
|
IdeaPad Gaming 350(Ryzen 5 4600H) |
3312
|
Ryzen 5 4600H |
3303
|
Core i7-10750H |
2825
|
Core i5-10300H |
2249
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
ゲーミングノートPC向けCPUとの比較では、Ryzen 5 4600Hは性能が低いように見えます。しかし一般用途向けのスタンダードノートPC / モバイルノートPC向けCPUよりも、実ははるかに高性能です。高度な画像編集や重いデータ処理にも利用できるでしょう。
一般用途向けノートPCとの性能比較
CPU | CINEBENCH R20 CPUスコア |
---|---|
Ryzen 7 5800U |
3829
|
Ryzen 7 5700U |
3512
|
IdeaPad Gaming 350(Ryzen 5 4600H) |
3312
|
Ryzen 5 5500U |
2817
|
Core i5-1135G7 |
2063
|
Ryzen 3 5300U |
2010
|
Core i7-1165G7 |
1963
|
Core i3-1115G4 |
1314
|
Ryzen 3 3250U |
818
|
Athlon Silver 3050U |
624
|
Celeron N4500 |
426
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
グラフィックス性能
グラフィックス機能としては、前世代のエントリー向けGPUであるGeForce GTX 1650 Tiが使われています。現行世代のゲーミングノートPCとしては、性能は控えめ。とは言え内蔵グラフィックスよりははるかに高性能で、やや重い中量級のゲームであれば問題なくプレーできます。
GPUの性能 (DirectX 12、WQHD)
GPU | 3DMark Time Spy Graphicsスコア |
---|---|
RTX 3080 |
11914
|
RTX 2080 |
9599
|
RTX 3070 |
8831
|
RTX 3060 |
8262
|
RTX 2070 |
7660
|
RTX 2060 |
5860
|
GTX 1660 Ti |
5626
|
RTX 3050 Ti |
5166
|
IdeaPad Gaming 350(GTX 1650 Ti) |
3698
|
GTX 1650 Ti |
3686
|
GTX 1650 |
3178
|
Iris Xe (Core i7) |
1250
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
GPUの性能 (DirectX 11、フルHD)
GPU | 3DMark Fire Strike Graphicsスコア |
---|---|
RTX 3080 |
28566
|
RTX 2080 |
25078
|
RTX 3070 |
24153
|
RTX 3060 |
21620
|
RTX 2070 |
20037
|
RTX 2060 |
15685
|
GTX 1660 Ti |
14451
|
RTX 3050 Ti |
13385
|
GTX 1650 Ti |
10123
|
IdeaPad Gaming 350(GTX 1650 Ti) |
10085
|
GTX 1650 |
8758
|
Iris Xe (Core i7) |
4486
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
PCを使った作業の快適さ
PCMark10は、PCを使った作業の快適さを計測するベンチマークテストです。テスト結果の比較用に14インチモバイルノートPCのThinkPad X1 Carbon Gen9(Core i7-1165G7+16GBメモリー)と、最新GPU搭載のエントリーゲーミングノートPCのMSI GF63 Thin 10U(Core i5-10500H+8GBメモリー+RTX 3050 Ti)の結果もまとめました。
ベンチマーク結果では、なかなか優秀な結果が出ています。快適に使える目安の目標値を大きく上回り、さらに20万円クラスの高級モバイルノートPCや現行世代のエントリーゲーミングノートPCと同等レベルのスコアです。このテストはやや軽めの作業を対象としていますが、一般的な利用であれば快適に利用できるでしょう。
PCMark 10ベンチマーク結果
テスト | スコア |
---|---|
Essentials (一般的な利用) 目標値:4100 |
8770
10193
8599 |
Productivity (ビジネス利用) 目標値:4500 |
7142
7072
7826 |
Digital Contents Creation (コンテンツ制作) 目標値:3450 |
6218
5203
6511 |
※スコアの目安はPCMark 10公式サイトによるもの
ストレージのアクセス速度
ストレージは512GBのNVMe(PCIe 3.0 x4)SSDです。アクセス速度を計測したところ、なかなか優秀な結果が出ました。しかし負荷の高い処理を連続で行なうとアクセス速度が低下することがあります。サーマルスロットリングが影響しているのかもしれません。とは言え、ゲームではそれほど大きなの影響はないと思われます。
本体の熱と騒音について
FF15ベンチを10分間実行し続けた際のCPUとGPU温度を計測したところ、CPUは平均71.4度でGPUは平均64.4度でした。数値としては低めの温度です。クロックは最大値の4.0GHzと1.7GHzあたりを激しく推移しており、CPU温度が高くなりすぎるのを防いでいるように見受けられます。
キーボード面の熱はやや高めです。WASDキーは43度前後で、ゲームプレー中に指先に熱を感じました。
駆動音(排気音やファンの回転音)は、個人的にはうるさくありませんでした。排気音が大きく聞こえるもののガマンできる範囲内ですし、ヘッドホンを着用すれば気にならないでしょう。一部のゲーミングノートPCでたまにある、耐えられないほどうるさい音ではありません。
駆動音の計測結果
電源オフ | 37.1dBA | - |
---|---|---|
待機中 | 37.2dBA | ほぼ無音 |
高負荷時 | 44.5dBA | 排気音は大きく聞こえるが、うるさくはない |
ゲーム系ベンチマーク結果
ゲーム系ベンチマークテストや実際のゲームでFPS(描画速度の目安)をチェックしたところ、フルHDでは中量級クラスのゲームなら画質変更で快適に楽しめます。処理の重い重量級のタイトルについては、画質をかなり落としても厳しいかもしれません。とは言えIdeaPad Gaming 350 15 (AMD)はエントリー向けなので、仕方がないでしょう。軽め~やや重めのゲームを楽しみたい人向けです。
FF15ベンチ (重い / DX11)
画質 | スコア / 評価 |
高品質 | 3789 / 普通 |
標準品質 | 5519 / やや快適 |
軽量品質 | 6204 / 快適 |
※1920×1080ドットの結果。スコアが6000以上で「快適」
FF14ベンチ:暁月のフィナーレ (やや重い / DX11)
画質 | スコア / 平均FPS |
最高品質 | 9803 / 68.8 FPS |
高品質 | 11891 / 86.0 FPS |
標準品質 | 13771 / 101.9 FPS |
※1920×1080ドットの結果。平均60 FPS以上が快適に遊べる目安
ドラクエXベンチ (超軽い / DX9)
画質 | スコア / 評価 |
最高品質 | 16326 / すごく快適 |
標準品質 | 16620 / すごく快適 |
低品質 | 17795 / すごく快適 |
※1920×1080ドットの結果
PSO2 ニュージェネシスベンチ(やや重い / DX11)
画質 | スコア / 平均FPS |
ウルトラ | 6057 |
中 | 19092 |
最低 | 40486 |
※1920×1080ドットの結果。5000以上が快適に遊べる目安
フォートナイト (ちょっと重い / DX12)
フルHD
画質設定 | 平均FPS / 最小FPS |
最高 | 48.3 FPS |
高 | 66.8 FPS |
中 | 139.7 FPS |
低 | 176.84 FPS |
※平均60 FPS以上が快適に遊べる目安
サイバーパンク2077 (重い / DX12)
画質設定 | 平均FPS |
画質:ウルトラ/テクスチャ:高 | 18.2 FPS |
画質:高/テクスチャ:高 | 25.5 FPS |
画質:中/テクスチャ:中 | 32.3 FPS |
画質:低/テクスチャ:低 | 38.8 FPS |
※平均60 FPS以上が快適に遊べる目安
アサシン クリード ヴァルハラ (重い / DX12)
画質 | 平均FPS / 最低FPS |
最高 | 22 FPS / 8 FPS |
中 | 47 FPS / 27 FPS |
低 | 59 FPS / 12 FPS |
※平均60 FPS以上が快適に遊べる目安
軽めのゲームを快適に&安く遊びたい人向け
よかった点
エントリークラスとは言え、高い基本性能が魅力です。インテルのCore i5搭載機より安いにも関わらず、CPUベンチマークの結果では大きく上回っています。ゲームだけでなく、さまざまな用途で活用するのにも向いているでしょう。
気になる点
やはり旧世代のエントリー向けGPUを搭載しているだけあって、ゲーミング性能はやや控えめです。最新世代のRTX 3050 Tiあたりなら旧世代のミドルレンジに迫る性能で、重いゲームでもそこそこ動きます。価格が変わらないなら、最新GPU搭載機種のほうがいいでしょう。なんらかのセールでグッと安く買えるならアリです。
※2021年8月22日時点
*
当サイトでは2~3万円台の格安ノートPCから高性能ノートPCまで、さまざまな最新モデルを検証・解説しています。記事の更新情報やお買い得情報を当サイトのツイッターアカウントでお知らせしているので、ぜひフォローをお願いします。
ツイッターでこまめブログをフォローする
関連記事