ポイント
- 5~6万円台でトップクラスの性能
- 約7秒半の超高速起動
- 据え置き用でもバッテリー長持ち
IdeaPad Slim 350 14のスペック
画面サイズ | 14インチ |
---|---|
解像度 | ・1366×768 ・1920×1080 |
CPU | ・A4-3020e ・Ryzen 3 4300U ・Ryzen 5 4500U ・Ryzen 7 4700U |
メモリー | ・4GB (DDR4-2400) ・4GB (DDR4-2666) ・8GB (DDR4-2666) |
SSD | ・128GB ・256GB ・512GB |
HDD | なし |
グラフィックス | Radeon |
LTE | 非対応 |
堅牢性テスト | - |
幅×奥行き | 327.1×241mm |
厚さ | 19.9mm |
重量 | 1.5kg~ |
バッテリー | 約9時間 (Ryzen) |
※2020年7月22日時点。構成は変更される場合があります
本体カラー | プラチナグレー |
---|---|
画面の表面 | 非光沢 |
パネルの種類 | TN |
タッチ / ペン | - |
光学ドライブ | - |
テンキー | - |
有線LAN | - |
無線LAN | 11a/b/g/n/ac |
Bluetooth | 5 |
USB3.1 | - |
USB3.0 | 2 |
USB2.0 | 1 |
USB Type-C | - |
Thunderbolt 3 | - |
メモリーカード | SD |
HDMI | 1 |
VGA (D-sub15) | - |
DisplayPort | - |
Webカメラ | 30万画素 |
顔認証カメラ | - |
指紋センサー | - |
付属品 | ACアダプターなど |
オフィス | なし ※付属モデルあり |
この記事では筆者が購入した実機を使って、デザインや性能、実際の使い心地などをレビューします。
この記事の目次
※2020年8月1日時点
デザインと使いやすさ
値段相応の外観
IdeaPad Slim 350 14は、税込3万円台からの非常に安いノートPCです。高性能パーツを搭載した最上位モデルでも、7万円台半ばでしかありません。そのぶん外観の仕上がりはそれなりです。
本体カラーはプラチナグレーで、実際の見た目は明るめのシルバー。ボディは樹脂 (プラスチック)製で、実際に手で持つといかにもなチープさが感じられます。ただし見た目だけならそれほど安っぽくはありません。
フットプリントは大きい
フットプリント (接地面積)は幅327.1×奥行き241mm。A4サイズ (幅297×奥行き210mm)よりもふた回りほど大きく、最近の14インチタイプとしてはややゴツく感じます。重量は公称値で1.5kgと持ち歩けないほどではありませんが、デスクの上に据え置きで利用したほうが好ましいでしょう。
14インチのフルHDディスプレイ
画面サイズは14インチで、一般的な15.6インチよりもわずかに小さめです。解像度は1920×1080ドットのフルHD。デスクトップの文字は2~2.7mmでやや小さく感じますが、読めないほどではありません。読みづらく感じる場合は、スケーリングを変更するといいでしょう。
映像はイマイチ
ディスプレイには、格安ノートPCで一般的なTNパネルが使われています。ワンランク上のノートPCやスマホなどで使われるIPSパネルに比べてコントラストが低く、映像が青みがかっている点が特徴。内容は確認できますが、映像の品質はイマイチです。
また視野角が狭く、画面の角度を変えると色や明るさが大きく変わる場合があります。画面に対して視線が90度程度になるよう角度を調整して使ってください。姿勢や設置場所によってディスプレイの角度をいちいち変える必要があるのは少し面倒です。
ややクセのあるキー配列
キーボードは日本語配列で、テンキーとバックライトには非対応です。キーピッチ (キーとキーの間隔)は実測で19mmと、標準的な大きさでした。英数字キーについては特に違和感はないものの、Enterキー周辺で一部隣接しているキーがあります。
タイプ感は軽い
キーストローク (キーを押し込む深さ)は実測で平均1.27mmでした。ノートPCとしてはやや浅めに作られています。クリック感はやや軽めですが押し込む力が強く、手応えは軽いながらもそれなりに感じられました。
ただ軸がブレることがあり、キーを中心でしっかり押さないと認識されない場合があります。仕上がりとしてはあまりよくないのですが、本体が安いことを考えれば仕方がないでしょう。
タイプ音は基本的には静かですが、軽いタッチでもわずかにカクカクと聞こえます。指を打ち下ろすようにしてタイプするとタンタンと響くので、軽めのタッチ推奨です。
インターフェースは控えめな構成
インターフェースはフルサイズのUSB端子が3ポートで、Type-Cには対応していません。あとはSDカードリーダーやHDMI端子など。据え置き向けの機種ですが、有線LANに対応していない点は残念です。また生体認証にも非対応。価格が安いことを考えれば、インターフェース類が充実していないのは仕方がないでしょう。
スピーカーは動画視聴・ビデオ会議向き
スピーカーは底面部に配置されています。音に厚みはなく、その上ややこもり気味です。音楽試聴には向いていませんが、ビデオ会議や動画視聴になら問題なく使えるでしょう。ただし音の再生時にパームレストがわずかに振動します。気になる場合は、外部スピーカーやヘッドセットなどを利用してください。
分解とメモリー増設
IdeaPad Slim 350 14は底面部のカバーを外すことで、本体内部のパーツを交換できます。基本的にはネジを外してカバーをこじあければOK。慣れていれば手でも開けられますが、カバーを開けるときに開閉用の工具があると便利です。
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Ryzen 5搭載の試用機では、メモリースロットが1基用意されていました。オンボード4GB+メモリーモジュール4GBで合計8GBの構成です。Ryzen 7モデルでも同じ仕様ですが、公式スペックではRyzen 3モデルはメモリースロットなし、A4モデルはオンボードなしの4GBモジュール×1とされています。
ベンチマーク結果
※グラフィックス機能内蔵のAMD製プロセッサーは本来「APU」と呼ばれますが、ここではわかりやすさ優先で「CPU」と表記します。ベンチマーク結果はパーツ構成や環境、タイミング、個体差などさまざまな要因によって大きく変わることがあります
値段に釣り合わないほど高性能
CPUの性能差 (総合性能)
CPU | PassMark CPU Markスコア |
---|---|
Ryzen 7 4700U |
14686
|
Core i7-10710U |
13685
|
Ryzen 5 4500U |
12892
|
IdeaPad Sime 350 (Ryzen 5 4500U) |
12544
|
Core i7-1065G7 |
12016
|
Core i5-1035G4 |
10844
|
Core i7-10510U |
10257
|
Core i5-1035G1 |
9667
|
Core i5-10210U |
9584
|
Ryzen 3 4300U |
9154
|
Ryzen 5 3500U |
8398
|
Core i3-10110U |
5553
|
Ryzen 3 3200U |
4609
|
Celeon N4120 |
2771
|
Celeron N4020 |
1665
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
CPUとしては、AMDの第3世代Ryzenモバイル4000シリーズが使われています。従来のRyzen 3000シリーズに比べて性能は飛躍的に向上し、同ランクのインテルCore iシリーズを上回るほどです。
Ryzen 5 4500Uを搭載したテスト機では同じCPUの平均値をやや下回ったものの、一般的に使われているインテルCore i7よりも優れた結果が出ました。テスト機の価格は5万円台半ばですが、パフォーマンスは10万円オーバーの高級機並みです。
上位のRyzen 7モデルであれば、さらに高いパフォーマンスを期待できるでしょう。Ryzen 3モデルでもCore i5と同等レベルの性能を期待できます。
ただしRyzenシリーズはメモリーがデュアルチャネルで動作すると高いパフォーマンスを発揮できるのですが、シングルチャネルだと性能があまり伸びません。4GBメモリーのRyzen 3モデルでは、本来の性能が発揮されない可能性があります。
CPUの性能差 (マルチコア性能)
CPU | CINEBENCH R20 CPUスコア |
---|---|
Ryzen 7 4700U |
2661
|
Ryzen 5 4500U |
2274
|
Core i7-10710U |
2214
|
IdeaPad Sime 350 (Ryzen 5 4500U) |
2089
|
Core i7-1065G7 |
1625
|
Ryzen 3 4300U |
1560
|
Core i7-10510U |
1486
|
Core i5-1035G4 |
1480
|
Core i5-1035G1 |
1456
|
Core i5-10210U |
1435
|
Ryzen 5 3500U |
1397
|
Core i3-10110U |
918
|
Ryzen 3 3200U |
643
|
Celeron N4120 |
435
|
Celeron N4020 |
328
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
内蔵グラフィックスとしては優秀
GPUの性能差
GPU | 3DMark Fire Strike Graphicsスコア |
---|---|
GTX 1650 |
8513
|
GTX 1050 |
5912
|
Radeon (Ryzen 7 8GB×2) |
3612
|
MX250 |
3400
|
Iris Plus(Core i7) |
2880
|
IdeaPad Sime 350 (Ryzen 5 4GB×2) |
2652
|
Radeon (Ryzen 7 8GB×1) |
2364
|
Radeon (Ryzen 3 4GB×2) |
2324
|
Iris Plus(Core i5) |
2236
|
Radeon Vega 8 (Ryzen 5) |
2251
|
Radeon Vega 3 (Ryzen 3) |
1837
|
UHD (Core i7) |
1335
|
UHD (Core i5) |
1273
|
UHD (Core i3) |
859
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
グラフィックス機能としては、CPU内蔵のRadeon Graphicsを利用します。試用機でベンチマークテストを行なったところ、CPU内蔵タイプとしては優秀な結果が出ました。ゲームやクリエイティブ系ソフトで多少の効果を期待できます。
ちなみにRyzenシリーズはメモリーがデュアルチャネル動作すると、グラフィックス性能が大きく向上します。IdeaPad Slim 350 14でなら、デュアルチャネルで動作するRyzen 5モデルとRyzen 7モデルがおすすめです。
幅広いシーンで活用できる高い汎用性
テスト | スコア |
---|---|
Essentials (一般的な利用) |
4100
9027 |
Productivity (ビジネス利用) |
4500
7062 |
Digital Contents Creation (コンテンツ制作) |
3450
4485 |
※スコアの目安はPCMark 10公式サイトによるもの
PCを使った作業の快適さを計測するPCMark 10のテストでは、すべてのテストで快適に使える目安のスコアを上回りました。基本的にはさまざまな用途で快適に利用できます。
ちなみにインテルのCore i5搭載機種だと、コンテンツ制作のテストがなかなかクリアーできません。問題なくクリアーできているIdeaPad Slim 350 14は非常に優秀です。
SSDはPCIe 3.0 x2の高速タイプ
ストレージとしてはSSDが使われています。接続規格はPCIe 3.0 x2の高速タイプ。HDDやeMMC、あるいはSATA接続のSSDに比べてアクセス速度ははるかに高速です。ウィンドウズのレスポンスもよく、基本的な操作はキビキビと動作しました。
ウィンドウズの起動は7秒程度
ウィンドウズの起動時間は平均7.48秒でした。最近のSSD搭載機種は15秒程度が平均 (筆者調べ)ですので、非常に高速です。あまりにも速く、始めは計測ミスかと思ったほど。待たされている感覚はまったくありません。
起動時間の計測結果(手動計測)
1回目 | 7.7秒 |
---|---|
2回目 | 7.4秒 |
3回目 | 7.3秒 |
4回目 | 7.5秒 |
5回目 | 7.5秒 |
平均 | 7.48秒 |
高パフォーマンスで9時間駆動
バッテリーの駆動時間は、Ryzenモデルで約9時間とされています。最大パフォーマンスの状態でビジネス作業 (Web閲覧や文書作成、ビデオチャットなど)での駆動時間を計測したところ、9時間29分でバッテリー残量が5%に達し休止状態へ移行しました。据え置き用のモデルで9.5時間もてば十分でしょう。モバイル向けではありませんが、バッテリー性能はなかなか優秀です。
バッテリー駆動時間の計測結果 ※Ryzen 7モデル
テスト方法 | バッテリー消費 | 駆動時間 |
---|---|---|
※公称値 | 小 | ※非公開 |
Modern Office (ビジネス作業) | 大 | 9時間29分 |
50%充電までにかかった時間 | - | 52分 |
フル充電までにかかった時間 | - | 2時間29分 |
※テストの条件や計測方法についてはコチラ
ゲーム性能について
ゲーム系ベンチマークを試したところ、動作がごくごく軽いドラクエ10では快適に楽しめるとの評価でした。リーグ・オブ・レジェンド (LoL)など2D描画主体の軽めゲームであれば、画質を調整することで楽しめるでしょう。FF14など少し重めのゲームでは、解像度と画質をグッと落とせばなんとかプレーできるかもしれません。ただし基本的には軽めのゲームをおすすめします。
※テストはフルHDで実施
FF15ベンチ (重い / DX11)
画質 | スコア / 評価 |
高品質 | 724 / 動作困難 |
標準品質 | 1367 / 動作困難 |
軽量品質 | 1737 / 動作困難 |
※スコアが6000以上で「快適」
FF14ベンチ:漆黒のヴィランズ (やや重い / DX11)
画質 | スコア / 評価 / 平均FPS |
最高品質 | 2200 / 14.4 FPS |
高品質 | 2929 / 19.7 FPS |
標準品質 | 3809 / 25.9 FPS |
※平均60 FPS以上が快適に遊べる目安
ドラクエXベンチ (超軽い / DX9)
画質 | スコア / 評価 |
最高品質 | 6907 / 快適 |
標準品質 | 9084 / とても快適 |
低品質 | 10058 / すごく快適 |
クリエイティブ性能について
※現在検証中です。後日掲載予定ですので、しばらくお待ちください
価格について
IdeaPad Slim 350 14には、パーツ構成の異なる複数のモデルが用意されています。それぞれのパーツ構成と価格は以下のとおりです。
ラインナップ
81W0008SJP | |
---|---|
3万6465円 | |
81W3004BJP | |
3万9468円 | |
81W3004EJP ※今回の使用機 | |
4万9588円 | |
81W3004RJP | |
5万4978円 | |
81W3004JJP | |
6万1600円 | |
81W3004TJP | |
7万1390円 |
※2020年8月1日時点、オフィス付きモデルもあり
おすすめはRyzen 5モデルかRyzen 7モデル。本体の品質はそれなりですがCPUパフォーマンスは抜群で、この値段ではあり得ないほどです。
なお価格はタイミングによって変わる場合があります。最新の価格については、以下のリンクからセール情報をご確認ください。
IdeaPad Slim 350 14のセール情報
パフォーマンス面だけならありえないコスパ
よかった点
5万円台半ばでインテルのCore i7超えは驚異的なコスパです。上位のRyzen 7モデルも6万円台半ばと激安レベル。しかも起動の速さも圧倒的。性能だけを重視するのであれば、この機種がおすすめです。
気になる点
パフォーマンス以外の面はほぼイマイチです。ディスプレイの映像品質やキーボードの仕上がりは、正直なところよくありません。ボディの質感もチープです。
ただその欠点をカバーできるほど、パフォーマンスと価格の安さに優れています。本体のディスプレイやキーボードは使わず、外付けのキーボードやディスプレイを使えば快適に作業できるでしょう。
※2020年8月1日時点
*
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