ポイント
- 解像度はフルHDの1.97倍
- 8万円台でCore i7相当のCPU性能
- 頑丈なアルミ製ボディ
IdeaPad S540 (13, AMD)のスペック
画面サイズ | 13.3インチ |
---|---|
解像度 | 2560×1600 |
CPU | Ryzen 5 3550H |
メモリー | 8GB |
ストレージ | 256GB SSD |
グラフィックス | Radeon Vega 8 |
LTE | 非対応 |
幅×奥行き | 296.9×208.6mm |
厚さ | 15.95mm |
重量 | 1.25kg |
バッテリー | 約14時間 |
※2020年2月3日時点。構成は変更される場合があります
本体カラー | ライトシルバー |
---|---|
画面の表面 | 光沢 |
パネルの種類 | IPS |
タッチ / ペン | - |
光学ドライブ | - |
テンキー | - |
有線LAN | - |
無線LAN | 11a/b/g/n/ac |
Bluetooth | 5.0 |
USB3.1 | - |
USB3.0 | 1 |
USB2.0 | 1 |
USB Type-C | 2 (USB3.0) |
Thunderbolt 3 | - |
メモリーカード | - |
HDMI | - |
VGA (D-sub15) | - |
DisplayPort | - |
Webカメラ | 720p (92万画素相当) |
顔認証カメラ | 対応 |
指紋センサー | - |
付属品 | 電源アダプターなど |
オフィス | ※付属モデルあり |
この記事では筆者が購入した実機を使って、デザインや性能、実際の使い心地などをレビューします。
この記事の目次
- ▶デザインと使いやすさ
- ▶ベンチマーク結果
- ▶価格について
- ▶まとめ
IdeaPad S540 (13, AMD)
税込8万0995円~
デザインと使いやすさ
頑丈で質感の高いアルミ製ボディ
本体カラーはライトシルバー。MacBookシリーズのような、明るいシルバーです。ボディは質感と剛性 (ねじれに対する強さ)に優れるアルミ製。表面はツヤ消しでわずかにザラつきのある手触りです。なかなかの高級感があるデザインに仕上がっています。
コンパクトでもやや厚い印象
本体サイズは幅296.9×奥行き208.6mm。ほぼA4サイズ (幅297×奥行き210mm)と考えれば、サイズ感をイメージしやすいでしょう。13インチタイプのノートPCとしてはとてもコンパクトです。
ただ、若干厚いように感じます。公称値は15.95mmで実測値は16.5mmと、数値上はそれほど厚くありません。しかし底面部のゴム足がやや高く、設置時の高さは19.7mmと少し高め。そのぶん設置したときに厚く見えるのです。
2560×1600ドットの高精細ディスプレイ
画面の大きさは13.3インチ。モバイル向けとしては、もっとも人気の高い画面サイズです。解像度は2560×1600ドットのWQXGA (レノボの表記としては”QHD”)。1920×1080ドットのフルHDに比べて、ピクセル比で1.97倍です。そのぶん写真はより高精細に、文字はドット感がなくなめらかに映し出されます。
またアスペクト比 (画面の縦横比率)が一般的な16:9ではなく、少し縦長の16:10である点もポイント。文書を表示した際16:9の比率に比べて3~4行程度多く表示されるので、少し作業効率がアップします。
広色域でもやや暗い
ディスプレイには、広い視野角と自然な発色が特徴のIPSパネルが使われています。実際に写真や動画を再生したところ、色合いについては確かに自然でした。カラーキャリブレーターで色域を計測したところ、sRGB比は98.3%とかなり優秀です。
色域測定結果
sRGBカバー率 | 98.3% |
---|---|
sRGB比 | 106% |
Adobe RGBカバー率 | 76.1% |
Adobe RGB比 | 78.6% |
しかし画面が暗く感じます。作業にはまったく問題ない明るさなのですが、やや暗い影響で画面がほんのわずかに青っぽく見えるのです。色鮮やかな写真では少し影響があるかもしれません。逆に映画などでは影の色が引き締まるので、映像の雰囲気がアップします。
映り込みありの光沢仕上げ
ディスプレイの表面は、光沢ありのグレアタイプです。非光沢のノングレアよりもコントラストが高いものの、映り込みが生じる点がデメリット。実際のところPC使用中には映り込みはあまり目立ちませんでしたが、気になる場合は反射防止用の液晶フィルムを利用するといいでしょう。
ややクセのあるキーボード
キーボードはテンキーなしの日本語配列です。キーピッチ (キーとキーの間隔)は理想とされる19mm。英数字キーについてはまったく問題ないものの、Enterキー周辺が若干窮屈に感じました。慣れないうちは押し間違いがあるかもしれません。
キーボードバックライト対応
キーボードはバックライト対応です。Fnキーとスペースキーの同時押しで、バックライトの明るさを2段階で調整できます。
ストロークが超浅い
キーストローク (キーを押し込む深さ)は実測で平均0.86mmでした。軽めのタッチでタイプすると押した瞬間にカクッとした硬めのクリック感があるので手応えは感じられるのですが、普通のノートPC (標準的なストロークは1.5mm)の感覚でキーを打つと途中で止まるような物足りなさを感じます。タイプ音はごく軽い力ならかなり静か。
ただし打ち下ろすようにしてタイプするとトントンと響き、板を叩いているような感覚を覚えます。なでるように軽い力で入力する人向きのキーボードです。
インターフェースは十分な構成
周辺機器接続用のインターフェース類は、USB端子3ポート (うち2ポートがType-C)とヘッドホン用端子のみです。映像出力用のHDMI端子やSDカードスロットなどは用意されていません。周辺機器はあまり使わない人のための、割り切った構成です。
顔認証用の赤外線カメラを搭載
生体認証は顔認証のみで、指紋認証には対応していません。認証用の赤外線カメラ (IRカメラ)はディスプレイ上部。あらかじめ顔を登録しておけば、画面をチラッと見るだけでウィンドウズにサインインできるので便利です。
Type-Cは映像出力と充電に対応
USB PD 18W充電 | ◯ |
---|---|
USB PD 30W充電 | ◯ |
USB PD 45W充電 | ◯ |
USB PD 65W充電 | ◯ |
映像出力 | ◯ |
付属の電源アダプターはUSB Type-C形式。充電は基本的にType-C端子で行ないます。左側面に用意された2ポートのType-C端子どちらでも充電と映像出力が可能です。W数の低い充電器でも支障なく充電できましたが、最大パフォーマンスを発揮するのであれば高W数の機器を使ったほうがいいでしょう。
サウンドはこもり気味
スピーカーは底面部の左右に配置されています。接地面との反響によって音の厚みが若干増していますが、それでも音楽をじっくり楽しめるほどの音質ではありません。また中音域がかなりこもったように聞こえました。動画視聴やビデオチャットには問題ありませんが、音楽を楽しみたいなら外部スピーカーやヘッドホンの利用をおすすします。
ベンチマーク結果
試用機のスペック
型番 | 81XC0004JP |
---|---|
CPU | Ryzen 5 3550H |
メモリー | 8GB |
ストレージ | 256GB SSD |
グラフィックス | Radeon Vega 8 (CPU内蔵) |
※グラフィックス機能を内蔵するAMD製プロセッサーは本来「APU」と呼ばれますが、ここではわかりやすさ優先で「CPU」と表記します
マルチコア性能は優秀
CPU | PassMark CPU Markスコア |
---|---|
Core i7-10710U |
13685
|
Core i7-1065G7 |
11872
|
Core i5-1035G4 |
11379
|
Core i7-10510U |
10863
|
Core i5-10210U |
9988
|
Core i7-8565U |
9814
|
Core i5-1035G1 |
9164
|
Core i7-8550U |
9009
|
IdeaPad S540 (Ryzen 5 3550H) |
8872
|
Core i5-8265U |
8593
|
Ryzen 5 3500U |
8447
|
Core i3-8145U |
5549
|
Core i3-10110U |
5534
|
Ryzen 3 3200U |
4609
|
Core i3-7020U |
3769
|
Celeron 4205U |
2026
|
Celeron N4000 |
1553
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
CPUの総合性能を計測するベンチマークテストを行なったところ、テスト機で使われていたRyzen 5 3550Hは第8世代Core i5と同程度の結果でした。最新の第10世代には及ばないものの、十分実用的に使えるパフォーマンスです。
マルチコア性能を計測するベンチマークテストでは、第10世代のCore i7 (4コア)を超える結果が出ています。動画編集やRAW現像などの重い処理では、インテルの4コアCPU搭載機種よりも高いパフォーマンスを期待できるでしょう。
ただしRyzenシリーズはフォトショプやプレミアなどのアドビ製ソフトとの相性が悪いことがあり、またそのほかのソフトでも十分なパフォーマンスを発揮できない場合があるので注意してください。事前に利用ソフトとRyzenシリーズの相性をチェックしておくことをおすすめします。
CPUの性能比較 ※マルチコア性能
CPU | CINEBENCH R20 CPUスコア |
---|---|
Core i7-10710U |
2214
|
IdeaPad S540 (Ryzen 5 3550H) |
1666
|
Core i5-1035G4 |
1649
|
Core i7-1065G7 |
1603
|
Core i7-10510U |
1537
|
Core i7-8565U |
1383
|
Ryzen 5 3500U |
1382
|
Core i5-1035G1 |
1370
|
Core i5-10210U |
1338
|
Core i5-8265U |
1217
|
Core i3-10110U |
950
|
Core i3-8145U |
769
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
内蔵タイプとしては高いグラフィックス性能
GPU | 3DMark Fire Strike Graphicsスコア |
---|---|
GTX 1650 |
8689
|
GTX 1050 |
6008
|
MX250 |
3606
|
Iris Plus(Core i7) |
2846
|
IdeaPad S540 (Radeon Vega 8) |
2684
|
Radeon Vega 8 (Ryzen 5 3500U) |
2344
|
Iris Plus(Core i5) |
2136
|
UHD (Ice Lake Core i5) |
1396
|
UHD (Comet Lake Core i7) |
1335
|
UHD 620 (Core i7) |
1265
|
UHD (Comet Lake Core i5) |
1263
|
UHD 620 (Core i5) |
1186
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
Ryzen 5 3550Hではグラフィックス機能として、CPU内蔵のRadeon Vega 8が使われます。ベンチマークテストではさすがにゲーム用の外部GPUであるGTXシリーズにはかなわないものの、CPU内蔵タイプとしては非常に優れた結果が出ました。Iris Plusを内蔵するCore i7-1065G7相当の性能です。
Core i7-1065G7搭載機種であればグラフィックス機能を活かしたフルHDの動画編集も普通に行なえるので、Ryzen 5 3550Hでも同レベルの作業を行なえるでしょう。ただしCore i7-1065G7搭載機種は10万円を超えることが多いことを考えると、8万円台で買えるIdeaPad S540 (13, AMD)のほうがコスパに優れていると言えます。
ゲーム系ベンチマーク結果
グラフィックス性能は高めとは言え、処理の重いゲームのプレーは厳しそうです。かなり重い重量級のFF15では動作困難。やや重めのFF14では「快適」の評価が出ていますが目標である平均60FPSを大きく下回っています。ドラクエ10やリーグ・オブ・レジェンドなどごく軽めのゲームであれば普通に楽しめる程度です。
※テストはすべてフルHDで実施
FF15ベンチ (重量級 / DX11)
画質 | スコア / 評価 |
高品質 | 621 / 動作困難 |
標準品質 | 1330 / 動作困難 |
軽量品質 | 1635 / 動作困難 |
※スコアが6000以上で「快適」
FF14ベンチ:漆黒のヴィランズ (中量級 / DX11)
画質 | スコア / 評価 / 平均FPS |
最高品質 | 2102 / 普通 / 13.8 FPS |
高品質 | 2865 / やや快適 / 19.4 FPS |
標準品質 | 3661 / 快適 / 25.2 FPS |
※平均60 FPS以上が快適に遊べる目安
ドラクエXベンチ (超軽量級 / DX9)
画質 | スコア / 評価 |
最高品質 | 7003 / とても快適 |
標準品質 | 8868 / とても快適 |
低品質 | 9562 / とても快適 |
PSO2ベンチ (軽量級 / DX9)
簡易描画設定 | スコア |
6 (最高) | 1,573 |
3 | 7,082 |
1 (最低) | 31,049 |
※スコア5,000以上が快適に遊べる目安
リーグ・オブ・レジェンド (超軽量級 / DX9)
モード | 平均FPS / 最低FPS |
サモナーズリフト (最高画質) | 81.9 FPS / 65 FPS |
TFT (最高画質) | 64.3 FPS / 45 FPS |
※平均60 FPS以上が快適に遊べる目安
フォートナイト (中量級 / DX11)
画質 | 平均FPS / 最低FPS |
エピック | 11.6 FPS / 5 FPS |
高 | 20.1 FPS / 17 FPS |
中 | 53.1 FPS / 45 FPS |
低 | 108.2 FPS / 68 FPS |
※平均60 FPS以上が快適に遊べる目安
PUBG LITE (軽量級 / DX11)
画質 | 平均FPS / 最低FPS |
ウルトラ | 24.5 FPS / 22 FPS |
高 | 31.5 FPS / 26 FPS |
中 | 32.2 FPS / 28 FPS |
低 | 48.1 FPS / 36 FPS |
非常に低い | 57.1 FPS / 49 FPS |
※平均60 FPS以上が快適に遊べる目安
オーバーウォッチ (軽量級 / DX10)
画質 | 平均FPS / 最低FPS |
エピック | 28.4 FPS / 25 FPS |
ウルトラ | 51.7 FPS / 40 FPS |
高 | 85.6 FPS / 69 FPS |
NORMAL | 106.2 FPS / 88 FPS |
低 | 110.9 FPS / 74 FPS |
※平均60 FPS以上が快適に遊べる目安
高速タイプのSSDを搭載
テスト機ではPCIe 3.0 x4接続の超高速SSDが使われていました。アクセス速度は十分すぎるほど高速です。実際、ウィンドウズを使っていてもストレスを感じる場面は特にありませんでした。ただ、サイズの大きいファイルを扱うには、256GBでは若干容量不足のように感じます。文書主体の作業なら問題ありませんが、写真や動画を扱うなら外付けストレージを利用するといいでしょう。
ウィンドウズの起動は10秒程度
ウィンドウズの起動時間は平均10.58秒でした。最近はハイエンド向けの高級機でも15秒前後が平均ですので (筆者調べ)、起動はかなり高速です。
ちなみにスリープ中のネット接続やスリープからの高速復帰が可能な「モダンスタンバイ (コネクテッドスタンバイ)」には対応していません。
起動時間の計測結果(手動計測)
1回目 | 10.8秒 |
---|---|
2回目 | 10.2秒 |
3回目 | 11.6秒 |
4回目 | 10.2秒 |
5回目 | 10.1秒 |
平均 | 10.58秒 |
フルパワーでも10時間駆動
バッテリー駆動時間は公称値で約14時間とされています。実際の駆動時間を計測したところ、バッテリー消費の大きい最大パフォーマンス状態でのテストで10時間56分、ややパフォーマンスを落とした状態での動画再生で12時間26分でした。ほかのモバイルノートPCと比べても、非常に優秀な結果です。最大パフォーマンスで10時間以上動くのであれば、長時間使ってもバッテリー切れの心配はないでしょう。
バッテリー駆動時間の計測結果
テスト方法 | バッテリー消費 | 駆動時間 |
---|---|---|
※公称値 | 小 | ※非公開 |
Modern Office (ビジネス作業) | 大 | 10時間56分 |
Video (動画視聴) | 中 | 12時間26分 |
フル充電までにかかった時間 | - | 1時間37分 |
※テストの条件や計測方法についてはコチラ
使えるメモリーがちょっと少ない
IdeaPad S540 (13, AMD)は8GBのメモリーを搭載していますが、そのうちの1.1GBをビデオメモリーとして割り当てるため、実際に使えるメモリー容量は6.9GB程度です。インテル製CPU搭載機だと割り当てるメモリー容量は可変で、通常時だと7.8GB利用できます。メモリーの使用量が大きい作業では、この差が微妙に効いてくるかもしれません。
なおIdeaPad S540 (13, AMD)はオンボードメモリーで、メモリーの増設には対応していません。CPU性能はそこそこ高いものの、サイズの大きなファイルを扱う際にはメモリーがボトルネックとなる可能性があります。なお、文書主体の作業ではあまり影響ないと思われます。
価格について
IdeaPad S540 (13, AMD)では現在、Ryzen 5 3550H搭載モデルのみ販売されています。モデルは2種類用意されていますが、違いはオフィスの有無だけです。
■ラインナップ
ライトシルバー | |
---|---|
7万3295円 | |
ライトシルバー – マイクロソフトオフィス付き | |
9万6111円 |
※2020年5月7日時点
Core i5より高性能な8万円台モバイルPC
よかった点
2560×1600ドットの画面はフルHDよりも高精細で、映像がきめ細かい点が大きなメリットです。また通常は高解像度であるほどバッテリー消費量が大きくなるのですが、IdeaPad S540 (13, AMD)はガッツリ使っても連続10時間駆動と十分なスタミナを備えています。
そしてなにより、リーズナブルなのにCPU性能が高い点が最大のポイント。マルチコア性能やグラフィックス性能では第10世代のCore i7相当でありながら、価格は8万円台とお手頃です。性能はCore i7相当でコストはCore i5相当と考えれば、コスパが高いことがおわかりいただけるでしょう。
気になる点
個人的には、キーボードのタイプ感が気になりました。ただこれは筆者がデスクトップPC向けの大きなキーボードを使っているためで、普段から軽いタッチで入力する人ならあまり気にならないかもしれません。画面が少し暗い点については、おそらくバッテリー消費量を抑えるためでしょう。
あとちょっとマニアックな視点で言うと、実際に使えるメモリー容量が少ない点が気になります。せっかくCPU性能はCore i7相当でも、サイズの大きな動画や写真を大量に扱うには少し厳しいかもしれません。せめてメモリーを増設できれば、なんとかなったのですが……。