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レノボIdeaPad Slim 5i Gen 8レビュー:コスパ抜群の第13世代搭載14インチノートPC

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IdeaPad Slim 5i Gen 8

レノボのIdeaPad Slim 5i Gen 8は、14インチ1920×1200ドットディスプレイを搭載するスタンダードタイプのノートPCです。見た目は普通のノートPCと変わりませんが、非常に高性能なCPUを採用することで、高いパフォーマンスを実現しています。

 

IdeaPad Slim 5i Gen 8

IdeaPad Slim 5i Gen 8

 

筆者が行なったCPUベンチマークテストでは、薄型ノートPCとしてはとんでもなく優秀な結果が出ています(Core i7-1360Pモデル使用)。それでいて値段は最安モデルで7万9860円(Core i5-12450H搭載)からと、お手頃で高コスパな点が魅力です。しかしキーボードの軽いタイプ感やThunderbolt 4に非対応な点など、微妙な作りの安さが気になりました。

この記事ではメーカーからお借りした実機を使って、デザインや性能、実際の使い心地などをレビューします。

スペック

発売日 2023年2月
OS Windows 11 Home
ディスプレイ 14インチ 1920×1200ドット
パネル IPS(45% NTSC、300nit、非光沢 ) / OLED(100% DCI-P3、400nit、HDR500、光沢)
CPU Core i5-1340P / Core i7-1360P / Core i5-12450H / Core i5-13500H / Core i7-13620H
メモリー 16GB LPDDR5-4800 ※オンボード増設不可
ストレージ 512GB / 1TB NVMe SSD
グラフィックス Iris Xe Graphics ※CPU内蔵
通信 Wi-Fi 6、Bluetooth 5.1
インターフェース USB3.2 Gen1 Type-C(映像出力 / USB PD対応)×2、USB3.2 Gen1×2、HDMI1.4b、microSDメモリーカードスロット、ヘッドフォン出力 / マイク入力
セキュリティ ※生体認証なし
サイズ / 重量 幅312mm、奥行き221mm、高さ17.9mm / 約1.46kg
バッテリー 約14~15時間

本体デザイン

IdeaPad Slim 5i Gen 8

IdeaPad Slim 5i Gen 8の外観。本体カラーはクラウドグレーで、実際の色合いは明るいシルバーです。天板は質感と剛性に優れるアルミニウム

 

IdeaPad Slim 5i Gen 8

大きさは幅312mm、奥行き221mm

 

IdeaPad Slim 5i Gen 8

A4ノート(ピンク)とB5ノート(ブルー)とのサイズ比較。A4ノートよりもちょっと大きい程度で、14インチタイプとしてはコンパクトです

 

IdeaPad Slim 5i Gen 8

最厚部は実測で17.7mm(突起部を除く)

 

IdeaPad Slim 5i Gen 8

底面部のゴム足(良っ基部)を含めた高さは22mm。設置時にはやや厚みを感じますが、それでも印象的にはだいぶスリムです

 

IdeaPad Slim 5i Gen 8

重さは1.459kg。14タイプとしては標準的な重さ

 

IdeaPad Slim 5i Gen 8

ディスプレイを開いた状態

 

IdeaPad Slim 5i Gen 8

ディスプレイはかなり大きく開きますが、完全にフラットになるわけではありません

 

IdeaPad Slim 5i Gen 8

キーボード面はシルバーのアルミ製。キーはグレー

 

IdeaPad Slim 5i Gen 8

ディスプレイのベゼル(枠)は細め。画面周りがスッキリとしています

 

IdeaPad Slim 5i Gen 8

インターフェースは十分な構成ですが、Thunderbolt 4 / USB4に対応していないのは残念

 

IdeaPad Slim 5i Gen 8

ディスプレイ上部のカメラは、プライバシーシャッター付き。1920×1080ドットの写真撮影と、1080p 30fpsの動画撮影に対応しています。画角は広めのため、ビデオ会議の際には背景が広く映り込むでしょう

 

IdeaPad Slim 5i Gen 8

付属の電源アダプターは65WのType-C。重さは311g

 

IdeaPad Slim 5i Gen 8

スピーカーはキーボード両脇に配置されています。音はややこもり気味ですが、動画視聴には問題なく使えました

 

IdeaPad Slim 5i Gen 8

底面部は樹脂(プラスチック)製

ディスプレイについて

IdeaPad Slim 5i Gen 8

画面サイズは14インチで、解像度は1920×1200ドット

 

IdeaPad Slim 5i Gen 8

パネルはIPSとOLEDの2種類。IPSは格安タイプで、色味はそれなり。実機では特に違和感はありませんでしたが、OLEDパネルのほうがより鮮やかに見えるはずです

 

IdeaPad Slim 5i Gen 8

明るさはIPSパネルで300nit、OLEDパネルで400nit。IPSパネルのテスト機では十分すぎるほどの明るさで、ちょっとまぶしく感じるほどでした

キーボードについて

IdeaPad Slim 5i Gen 8

キーボードはテンキーなしの日本語配列でバックライトに対応しています

 

IdeaPad Slim 5i Gen 8

キーボードはEnterキー周辺がやや窮屈ですが、個人的には許容範囲内

 

IdeaPad Slim 5i Gen 8

キーは十分な大きさ。窮屈さは感じませんでした

 

IdeaPad Slim 5i Gen 8

キーを押した瞬間にカクッとした手応えはあるものの、ストロークが浅くペチペチとした印象で総合的なタイプ感は軽めです。たわみはないものの、スイッチ部分はややグラつき気味。

 

IdeaPad Slim 5i Gen 8

軽い力でもカクカクとしたタイプ音が聞こえるものの、うるさくはありません。ただし打ち下ろすようにして入力するとパチパチと響くので注意してください。指の上げ下ろしを抑えた軽めのタッチで入力する人に向いています

ベンチマーク結果

試用機のスペック

CPU Core i7-1360P
メモリー 16GB
ストレージ 1TB NVMe SSD
グラフィックス Iris Xe Graphics(CPU内蔵)

※ベンチマークテストはWindows 11の電源プランを「バランス」、電源モードを「最適なパフォーマンス」に設定した上で、標準収録ユーティリティー「Lenovo Vantage」の「電源およびパフォーマンス」-「スマートパワー」を最高設定の「エクストリーム・パフォーマンス」に変更。さらに電源アダプターを接続した状態で実施しています

※ベンチマーク結果はパーツ構成や環境、タイミング、個体差などさまざまな要因によって大きく変わることがあります

CPU性能

CPUとしては Core i5-1340P(12コア、PBP28W) / Core i7-1360P(12コア、PBP28W)、Core i5-12450H(8コア、PBP45W) / Core i5-13500H(12コア、PBP45W) / Core i7-13620H(10コア、PBP45W)の4種類が使われています。

 

Core i7-1360P搭載の試用機でCPUベンチマークを行なったところ、平均値を大きく上回る非常に優秀な結果が出ました。薄型ノートPC向けCPUとしては、最高クラスのパフォーマンスです。個体差はあると思いますが、ほかのCPUでも高いパフォーマンスを期待していいかもしれません。ただし熱による性能低下の可能性も考えられます。

 

CPUの性能差 (総合性能)

CPU PassMark CPU Mark Score
Core i7-13620H
27313
Core i5-13500H
24011
IdeaPad Slim 5i(Core i7-1360P)
22542
Ryzen 7 7735U
21237
Core i5-1340P
20974
Core i7-1360P
19702
Ryzen 7 7730U
19245
Core i5-1335U
18795
Core i5-12450H
17812
Ryzen 5 7535U
16856
Ryzen 5 7530U
16265
Core i7-1355U
15938
Core i3-1315U
13813
Ryzen 3 7330U
11013
Intel N305
10374
Ryzen 5 7520U
9802
Ryzen 3 7320U
9258
Intel N100
5651

※スコアはPassMark CPU Benchmarksによる集計値

 

CPUの性能差 (シングルスレッド)

CPU PassMark CPU Mark Score
IdeaPad Slim 5i(Core i7-1360P)
3994
Core i7-13620H
3919
Core i7-1360P
3785
Core i7-1355U
3781
Core i5-1335U
3771
Core i5-13500H
3678
Core i5-1340P
3610
Core i3-1315U
3600
Core i5-12450H
3527
Ryzen 7 7730U
3254
Ryzen 7 7735U
3241
Ryzen 5 7530U
3213
Ryzen 5 7535U
3105
Ryzen 3 7330U
3053
Ryzen 5 7520U
2586
Ryzen 3 7320U
2486
Intel N305
2280
Intel N100
1982

※スコアはPassMark CPU Benchmarksによる集計値

グラフィックス性能

グラフィックス機能としては、CPU内蔵のIris Xe Graphicsが使われます。Core i7-1360P搭載の試用機で3Dベンチマークを行なったところ、CPU内蔵タイプとしてはなかなか優秀な結果が出ました。ゲームやグラフィックスソフトで多少の効果が見込めますが、大作ゲームや高度な動画編集を行なえるほどではありません。

 

GPUの性能差(DirectX 12)

GPU 3DMark Time Spy Graphicsスコア
GTX 1650
3241
Radeon 680M
2211
IdeaPad Slim 5i(Iris Xe, Core i7+LPDDR5)
1752
Iris Xe(Core i7+LPDDR4)
1528
Iris Xe(Core i5+LPDDR4)
1302
Radeon
1204
Iris Xe(Core i7+DDR4)
1149
Iris Xe(Core i5+DDR4)
977
UHD(Core i3)
900

※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均

ストレージ性能

ストレージには、512GB / 1TBのSSDが使われています。テスト機の256GB SSDはPCIe 4.0 x4タイプで、使われていたのはWDの「SN740」シリーズ。アクセス速度の計測では、SSDの公称スペックに近い結果が出ました。最近の薄型ノートPCでは発熱を抑えるためにあえて低速(2000~3000MB/秒台)なSSDが使われることもありますが、IdeaPad Slim 5i Gen 8ではそこそこ高速なSSDが使われているようです。

 

IdeaPad Slim 5i Gen 8

1TB SSDのアクセス速度

 

PCを使った作業の快適さ

PCMark10は、PCを使った作業の快適さを計測するベンチマークテストです。一般的な作業を想定しているため、テストでは比較的軽い処理が行なわれています。各テストの傾向としては「Essentials」(一般利用)ではCPUのシングルコア性能やストレージ性能、「Productivity」(ビジネス利用)ではCPUのマルチコア性能とメモリー性能、「Digital Contents Creation」(コンテンツ制作)ではCPUとストレージ、GPU性能が強く影響するようです。

 

各テストの目標値は、大きくクリアーしています。最新のRyzenシリーズ搭載機にはスコアでやや劣る場合もありますが、第12世代Coreプロセッサ搭載機のパフォーマンスは上回ると考えていいでしょう。ただCPUベンチマークの結果が非常に良かったのに対して、こちらはほどほどの結果が出ています。

 

PCMark 10ベンチマーク結果

テスト スコア
Essentials
(一般的な利用)
目標値:4100
Slim 5i10454
ThinkBook10616
Flex510917
ZenBook159869
Spectre10647
XPS10093
Productivity
(ビジネス利用)
目標値:4500
Slim 5i7669
ThinkBook10003
Flex59572
ZenBook158854
Spectre6968
XPS6759
Digital Contents Creation
(コンテンツ制作)
目標値:3450
Slim 5i7061
ThinkBook6018
Flex56536
ZenBook8298
Spectre5997
XPS6342

※スコアの目標値はPCMark 10公式サイトによるもの

比較機のスペック(スリムノートPC)

▶ThinkBook 14 Gen5 Ryzen 5 7530U / 16GB / Radeon
▶IdeaPad Flex 5 Gen8 Ryzen 7-7730U / 16GB / Radeon
▶Zenbook 15 OLED Ryzen 7 7735U / 16GB / Radeon
HP Spectre x360-14 Core i7-1255U / 16GB / Iris Xe
XPS 13 Plus Core i7-1260P / 16GB / Iris Xe

バッテリー駆動時間

バッテリーの駆動時間は公称値で約14~15時間とされています。しかしこれはバッテリー消費量をかなり抑えた状態での結果。実際の利用とは、結果が大きくかけ離れている場合があります。

 

そこで標準収録ソフト「Lenovo Vantage」の電源設定を標準である「インテリジェント・クーリング」に変更してビジネス作業 (Web閲覧や文書作成、ビデオチャットなど)での駆動時間を計測したところ、開始から5時間14分で休止状態へ移行しました。電源プランや画面の輝度を変更すれば、駆動時間はさらに延びる可能性があります。

 

最近の薄型ノートPCとしては、かなり短い結果です。持ち歩きよりも据え置き利用、あるいは電源アダプターと合わせた持ち歩きに向いています。PBPが高いCore i5-12450H / Core i5-13500Hモデルでは、駆動時間はさらに短くなるかもしれません。

 

バッテリー駆動時間の計測結果(Core i7-1360Pモデル)

テスト方法 バッテリー消費 駆動時間
※公称値 ※非公開
Modern Office (ビジネス作業) 5時間14分
50%充電までにかかった時間 31分
フル充電までにかかった時間 1時間37分

※テストの条件や計測方法についてはコチラ

狙い目はOLEDモデル

IdeaPad Slim 5i Gen 8

CPUベンチマークテストでは、薄型ノートPCとは思えないほど優秀な結果が出ました。なんらかの調整が意図的に行なわれていない限り、この手の薄型ノートPCとしては非常に優秀です。

 

しかし今回の検証で使ったCore i7-1360Pモデルはしばらく品切れ中で、現在販売されているのはCore i5-12450H / Core i5-13500H / Core i7-13620Hモデルのみ。CPUのカテゴリーが異なるHシリーズなので、使用感が微妙に異なるかもしれません。

 

それでもコスパは非常に優秀です。特に狙い目なのはCore i5-13500H / 16GBメモリー / 512GB SSD / 14インチ OLEDのモデル。CPU本来の性能は非常に高い上に、OLEDパネルはIPSパネルよりも色鮮やかに映し出されるでしょう。それでいて価格は9万4820円(2023年6月末時点)と、パフォーマンスと品質を考えれば高コスパだと思います。ただしOLEDモデルはディスプレイの表面が光沢ありのグレアタイプなので注意してください。

 

IdeaPad Slim 5i Gen 8

Core i5-13500H / Core i7-13620HモデルはOLEDディスプレイ搭載。そのほかのモデルはIPSパネルです ※写真はIPSパネル

 

正直なところ、これだけ高性能でいったいなにに使うのか疑問に感じる部分はあります。しかし、性能が低いよりは高いほうがいいのもまた真実。作業を快適にこなしたい人は、ぜひ検討してみてください。

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記事を書いた人
こまめ(タカハシリョウ)

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