デルのInspiron 15 3000(AMD)は、15.6インチの液晶ディスプレイを搭載した格安なノートPCです。価格は税込で3万台と安く、DVDドライブや有線LAN(最大100Mbps)など、ひととおりの機能を備えています。
ポイント
- 価格が安い
- 標準的な機能に対応
- デザインと性能はそれなり
今回は筆者が購入した実機を使って、Inspiron 15 3000(AMD)の本体デザインや使い勝手、性能などをレビューします。
この記事の目次
Inspiron 15 3000(AMD)
税込3万円台~
Inspiron 15 3000(AMD)のスペック
OS | Windows 10 Home / Pro |
---|---|
CPU | AMD E2-9000 / A6-9225 / A9-9420e |
メモリー | 4 / 8GB |
ストレージ | 1TB HDD |
グラフィックス | AMD Radeon R2 Graphics |
光学ドライブ | DVDスーパーマルチドライブ |
ディスプレイ | 15.6型、1366×768ドット、非光沢、タッチ非対応 |
通信機能 | IEEE802.11a/b/g/n/ac対応無線LAN、Bluetooth 4.1、100BASE-TX対応有線LAN |
インターフェース | USB3.1 Gen1(フルサイズ)×2、USB2.0✕1、HDMI、SD/SDHC/SDXC対応メモリーカードスロット、ヘッドホン出力 |
セキュリティ機能 | セキュリティースロット、TPM 2.0 |
カメラ | 92万画素 |
サイズ/重量 | 幅380×奥行き260×高さ23.65mm/約2.27kg |
バッテリー | 40WHr(取り外し可能)※駆動時間は非公開 |
※2018年3月1日時点。構成や価格は変更される場合があります
ラインナップ
New Inspiron 15 3000(AMD)には、パーツ構成の異なる3種類のモデルが用意されています。主なスペックと価格は以下のとおり。またそれぞれにオフィス付きなどのバリエーションモデルも存在します。
ラインナップ
エントリー | |
---|---|
税込3万円台 | |
エントリープラス | |
税込3万円台後半 | |
スタンダード | |
税込4万円台前半 |
※2019年4月9日時点。価格はタイミングによって変わります
価格は、そのとき実施されているセールやキャンペーンによって変わります。最新のセール情報については、以下の記事でご確認ください。
関連記事
- New Inspiron 15 3000(AMD)セール情報
従来はCPUにE2-9000を搭載したエントリーモデルのみが販売されていましたが、2018年9月にA6-9225 / A9-9420e搭載モデルが発売されました。A6-9225については未検証ですのでどれほどの性能なのか不明ですが、A9-9420eについてはE2-9000よりもちょっといい程度という結果が出ています。A6-9225については、この中間くらいになるかもしれません。
CPU性能比較(CPU Mark)
CPU | PassMark CPU Markスコア |
---|---|
Core i3-6006U |
|
Pentium N5000 |
|
A9-9420e |
|
E2-9000 |
|
Celeron N4000 |
|
※スコアは当サイト計測の平均値
価格相応のデザイン
ポイント
無骨なデザイン
Inspiron 15 3000(AMD)の本体カラーは、ブラックとグレーの2色。筆者が購入したのはブラックのモデルで、無骨ながらも落ち着いたデザインです。
写真では指紋があまり写っていませんが、これは撮影のために拭き取ったからです。実際には指紋がかなり付いていました。もしかすると光沢ありのグレーのほうが、指紋は目立たないかもしれません。
ボディは樹脂(プラスチック)製で、堅牢性(こわれにくさ)も質感(見た目や手触りの品質)もそれなりです。価格の安いモデルですので、値段相応と言えます。
大きさはB4サイズ相当
サイズは幅380×奥行き260×高さ23.65mmです。B4サイズよりもやや大きいのですが、15.6インチタイプとしては標準的な大きさ。スリムではありませんが、かと言って厚みが気になるほどでもありませんでした。
重さは標準的
重量の公称値は2.27kgで、実測値では2.235kgでした。15.6インチとしては標準的です。日常的に持ち歩くには厳しい重さですが、そもそも据え置き向けのモデルですので、特に問題はありません。
映像品質はそれなり
15.6インチで1366✕768ドット
液晶ディスプレイは15.6インチサイズで、解像度は1366✕768ドット。フルHD(1920✕1080)ドットに比べて精細さに欠けますが、格安モデルとしては標準的なスペックです。文字やアイコンは大きく表示されるので、見えづらく感じることはありません。
コントラストが低く青被りした映像
液晶ディスプレイの色合いをチェックしたところ、コントラストが低く色のメリハリが感じられませんでした。また青色が強く、やや寒色系の色合いです。
とは言うものの格安モデルとしては標準的な品質で、価格の安さを考えれば仕方がありません。文章や写真の内容は普通に確認できます。
眼に優しい非光沢の画面
液晶ディスプレイは、光沢のないノングレア仕上げです。光沢ありのグレア仕上げのほうが色のメリハリに優れているのですが、ノングレアは映り込みが少なく眼が疲れにくいメリットがあります。
ただし映像の青みが強く、ブルーライトはそれなりに多いと思われます。目が疲れないようにするなら、Windows 10のコントロールパネルから色を調整するといいでしょう。
キーボードは軽めのタイプ推奨
テンキー付きのキーボード
キーボードは数値入力に便利なテンキー付きで、標準的な日本語配列です。キーピッチ(キーとキーの間隔)は理想とされる19mmですが、Enterキーと周辺のキーが小さくなっています。
タイプ感が軽い
キーストローク(キーを押し込む深さ)は実測で1.5mmでした。ノートPCとしては標準的ですが、クリック感が軽く手応えがあまり感じられません。普通に入力できますが、タイプ感に優れるというわけではありませんでした。
軽いタッチで入力すると、タイプ音は気になりません。しかし少し力が入ると、カチャカチャとした音が聞こえます。また指を打ち下ろすようにして強くタイプすると、ドスドスドスと音が響きました。タッチが強いとキーボードがたわむので、軽い力で入力することをおすすめします。
タッチパッドは十分な大きさ
タッチパッドはボタン一体型で、十分な大きさです。ボタンは誤クリックを防ぐために、クリック感がやや固めに調整されています。パッド部分が大きいので、ダイナミックな動きも可能です。
ひととおりの機能に対応
ポイント
端子類は十分な構成
周辺機器接続用の端子類は、USB3.1 Gen1(フルサイズ)×2、USB2.0✕1、HDMI、SD/SDHC/SDXC対応メモリーカードスロット、ヘッドホン出力の構成です。VGA端子(D-sub15ピン)には対応していませんが、十分な数と種類だと言えるでしょう。
ただし有線LANは転送速度が最大100Mbpsの100BASE-TXである点に注意してください。
格安モデルとしては高音質
実際に音楽を聴いてサウンドをチェックしたところ、低音域でややこもった感じを受けたものの、中高音域は伸びやかで音に広がりを感じました。高音域はややカシャカシャとした薄い印象がありますが、中音域は表現力に優れています。格安モデルとしては高音質です。
性能は低め
ベンチマーク結果
ストレージとしては、1TB HDDが使われています。容量は大きいものの、アクセス速度が遅い点が欠点です。
基本性能については、かなり低めの結果となりました。格安モデルですから、この点については仕方がありません。
CPUとして使われているAMDのE2-9000は、ほかの格安モデルで使われているインテル製Celeronシリーズの上位CPUと下位CPUの中間くらいの性能です。Celeronシリーズは数値演算に優れていますがE2-9000シリーズは3D演算などに優れており、ベンチマークソフトによって評価が異なります。
(参考)低価格PC向けCPUの性能比較(当サイト計測値)
CPU | CINEBENCH R15のCPUスコア |
---|---|
Celeron N3450 |
|
Celeron 3865U |
|
Celeron N3350 |
|
E2-9000 |
|
Celeron N3060 |
|
E2-9000e |
|
※ベンチマーク結果は機種やパーツ構成、タイミングなどにより大きく変わります
(参考)低価格PC向けCPUの性能比較(当サイト計測値)
CPU | PassMark PerformanceTest9.0 CPU Markスコア |
---|---|
Celeron N3450 |
|
Celeron 3865U |
|
E2-9000 |
|
E2-9000e |
|
Celeron N3350 |
|
Celeron N3060 |
|
※ベンチマーク結果は機種やパーツ構成、タイミングなどにより大きく変わります
3D性能は控えめな結果で、3Dゲームのプレーは厳しいでしょう。ただし2D描画主体のゲームや軽めのブラウザーゲームであれば問題ありません。ちなみに3D性能については、Celeronシリーズよりも高いスコアが出ています。
作業の快適さを計測する「PCMark 10」でも、かなり低めの結果です。ビデオチャットやWebページの閲覧、ビジネスソフトの利用については、かろうじて普通に使えるレベルと言えます。
動画の変換には、かなりの時間がかかりました。なんとか使えるレベルでもないので、動画の編集や加工は考えないほうが無難です。
動画変換にかかった時間
x264 | QSV | NVENC |
---|---|---|
1時間26分 | ※非対応 | ※非対応 |
※5分間の4K映像(XAVC-S、3.51GB)をYouTube向けの1080p(1920✕1080ドット)映像に変換するのにかかった時間
各種ベンチマークテストでは、どれも低めの結果となりました。格安モデルであることを考えれば仕方がありません。
ただし、まったく使えないわけでもありません。Webページの閲覧や動画の視聴は問題なく行なえますし、簡単な資料作成も比較的スムーズでした。処理に一瞬の間があるものの、作業自体は普通にこなせるでしょう。
駆動時間は数時間程度
当サイトの計測方法によるバッテリーの駆動時間は以下のとおり。4時間45分という結果はノートPC全体としては短いのですが、持ち歩き用ではないので特に問題ありません。
バッテリー駆動時間のテスト結果
BBenchによる計測 | 4時間45分 |
---|---|
PCMark 8による計測 | 3時間26分 |
※テストの条件や計測方法についてはコチラ
熱は低い
検証/ベンチマーク中のCPUの温度を確認したところ、最大でも60.88度でした。ノートPCのなかには90度を超えるものも多いことを考えると、内部の熱はそれほど高くありません。
キーボード面の温度も控えめです。使用中に熱を感じることはほとんどないでしょう。
※本体温度の計測方法はコチラ
駆動音は控えめ
駆動音(ファンの回転音や排気音)は控えめですが、まったく聞こえないわけではありませんでした。ただし高い負荷の処理でも、駆動音はそれほど大きくなりません。
駆動音の計測結果(室温20度前後)
電源オフ時 | 36.8dBA | – |
---|---|---|
待機中 | 38.9dBA | ファンの回転音がわずかに聞こえる |
動画視聴 | 38.2BA | 同上 |
動画変換 | 41.2dBA | ファンの回転音と排気音が聞こえる |
3Dゲーム | 39.2dBA | ファンの回転音がわずかに聞こえる |
※駆動音の計測方法はコチラ
HDD搭載機としては起動が早い
電源ボタンを押してからデスクトップが表示されるまでの時間を計測したところ、平均で38.26秒という結果でした。HDD搭載モデルとしては、起動が早いと言えます。ただし使っているうちに起動時間は長くなる点に注意してください。
起動時間の計測結果(手動による計測)
1回目 | 2回目 | 3回目 | 4回目 | 5回目 | 平均 |
---|---|---|---|---|---|
54秒 | 47.9秒 | 36.4秒 | 25.7秒 | 27.3秒 | 38.26秒 |
消費電力は抑えめ
さまざまな作業での消費電力を計測したところ、高負荷時でも消費電力は大きくないことがわかりました。某大手家電メーカーの53型4Kテレビの消費電力は150W程度ですので、日常的に使う機器としては消費電力はかなり抑えられています。
1分間の平均消費電力(REX-BTWATTCH1による計測)
待機中 | 動画視聴 | 動画変換 | 3Dゲーム |
---|---|---|---|
9.6W | 16.2W | 18W | 20.4W |
※消費電力の計測方法はコチラ
格安PCのなかでもエンタメ志向のモデル
ということで、今回はInspiron 15 3000(AMD)のレビューをお届けしました。
格安ノートPCとしての基本性能は標準的ですが、ほかの格安モデルに比べてサウンド面に優れている点が特徴です。格安PCでもDVDやネット動画、楽曲をより迫力のあるサウンドで楽しみたい人に向いています。
性能面は控えめですが、不要なソフト/アプリを削除したり電源モードを調整したりすれば、速くはないながらも普通に使えます。コツはなるべく頻繁に電源を入れて、10~20分間放置しておくこと。格安モデル特有のクセを把握できれば、問題なく利用できるでしょう。