デルのInspiron(インスパイロン) 13 7000(7380、2018年モデル)は、13.3インチタイプのモバイルノートPCです。特徴はアルミ素材を使った高品質なデザインを採用している点と、パフォーマンスに優れる点。特に性能面は優秀で、同じCPUを搭載したほかの機種よりも優れたベンチマーク結果が出ています。
Inspiron 13 7000の注目ポイント
質感と堅牢性に優れるアルミボディ
ボディの素材には堅牢性(壊れにくさ)と質感(見た目や手触り)に優れるアルミニウムを使用。長期間使っても色がハゲることがなく、キズが付きにくい点も魅力です。
Whisky Lake世代の高性能CPU搭載
CPUは第8世代のCore i5/i7です。優れた冷却性能によりCPUの実力が十分に引き出され、高いパフォーマンスを実現しています。
Inspiron 13 7000の評価
デザイン | アルミボディは質感が高く、とてもスリム。本体カラーもいい |
---|---|
性能 | Whisky Lake世代のCore i5/i7を搭載。ベンチマーク結果は非常に優秀 |
使いやすさ | キー配列に少しクセがある。モバイル向けとしては十分な機能 |
軽さ | 13インチタイプとしては重い |
画面 | IPSパネルによる映像は色鮮やか。光沢タイプなので映り込みがある |
今回はメーカーからお借りしたInspiron 13 7000の実機を使って、本体デザインや使い心地、ベンチマーク結果などをレビューします。
この記事の目次
Inspiron 13 7000(7380)
税込10万円台から
Inspiron 13 7000(7380)のスペック
OS | Windows 10 Home / Pro |
---|---|
CPU | Core i5-8265U / Core i7-8565U |
メモリー | 8 / 16GB |
ストレージ | 256 / 512GB SSD(PCIe) |
グラフィックス | Intel UHD Graphics 620 または GeForce MX150(2GB) |
光学ドライブ | なし |
ディスプレイ | 13.3インチ、1920×1080ドット、IPS、光沢、ペン/タッチ非対応 |
通信機能 | IEEE802.11a/b/g/n/ac対応無線LAN、Bluetooth 5.0 |
インターフェース | USB3.0 (フルサイズ)×2、USB3.1 Gen1(Type-C)×1、HDMI、SDカードスロット、ヘッドホン出力 |
セキュリティー | 指紋センサー、セキュリティースロット、マカフィー リブセーフ 12ヵ月版、TPM2.0 |
カメラ | 720p(92万画素) |
サイズ/重量 | 幅309.66×奥行き215.7×高さ15.19mm/約1.33kg |
バッテリー | 最長9時間31分 |
オフィス | ※オプション(付属モデルあり) |
サポート | メーカー保証1年間 |
※2018年11月29日時点。構成は変更される場合があります
Inspiron 13 7000(7380)のラインナップ
Inspiron 13 7000(7380)には、パーツ構成やオフィスの有無が異なるモデルが用意されています。主なラインナップは以下の5種類。このほかに納期の早い「即納モデル」や期間限定の特別モデルなども用意されています。
ラインナップ
プレミアム | |
---|---|
税込10万円台 | |
プレミアム Office付 | |
税込11万円台 | |
プラチナ | |
税込11万円前後 | |
プラチナ Office | |
税込12万円台 | |
プラチナ ハイエンド | |
税込15万円台 |
※2018年11月29日時点
価格は、そのとき実施されているセールやキャンペーンによって変わります。最新のセール情報については、以下の記事でご確認ください。
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Inspiron 13 7000 セール情報
本体の大きさやデザイン
Inspiron 13 7000は、13.3インチの液晶ディスプレイを搭載したモデルです。このサイズはモバイル向けとして人気が高く、デザインや性能に優れるハイエンド向け製品が多いのが特徴。Inspiron 13 7000もデル製ノートPCのなかでは、ハイエンドモバイルとして位置づけられています。
本体カラーは、プラチナシルバーとピンクシャンパンの2色です。シルバーは明るくメタリックな色合いで、いわゆるガジェット風。ピンクシャンパンは上品でエレガントな雰囲気が感じられました。
ノートPCの平均重量
画面サイズ | 平均重量 |
---|---|
11.6インチ | 1.126kg |
12.5インチ | 1.131kg |
13.3インチ | 1.253kg |
14インチ | 1.518kg |
15.6インチ | 2.174kg |
ノートPC全体 | 1.551kg |
※2017年12月~2018年5月に当サイトが検証したノートPC(2-in-1を含む) 50台ぶんの実測値より
画面の色と見やすさ
画面サイズは13.3インチで、解像度は1920×1080ドットのフルHDです。ハイエンド向けのモバイルノートPCとしては標準的なスペック。デフォルトでは画面の拡大率が150%に設定されているため文字やアイコンが大きく表示されますが、見やすい範囲で拡大率を下げるといいでしょう。
液晶パネルはIPS方式で、コントラストが高く自然な色合いです。また表面が光沢ありのグレアタイプなので、非光沢のノングレアよりも映像が鮮やか。ただし光が映り込むので、必要に応じて画面の角度を変えるといいでしょう。
キーボードの使いやすさ
キーボードはテンキーなしですが、バックライトには対応しています。防滴キーボードということで水のしずくなどがこぼれても壊れにくい仕様ですが、コーヒーなどの飲み物を盛大にこぼした場合には壊れる可能性があるので注意してください。
キーピッチ(キーとキーの間隔)は実測で19mmと理想的なサイズでした。カーソルキーは大きくて使いやすいのですが、Enterキー周辺で一部のキーが隣接しています。特に右上の「¥」キーを押そうとしてBackSpaceキー押してしまうことがありますが、慣れれば問題なく使えるようになるでしょう。
キーストローク(キーを押し込む深さ)は実測で1mm強でした。正確にはおそらく1.2~1.3mm程度だと思われます。キーを押した瞬間にカクっとした手応えがありますが、ストロークが浅いので板を叩いているような底打ち感があります。軽めのタイピングを意識するといいでしょう。
端子類の種類と使いやすさ
USB端子はType-Cを合わせると合計3ポート。インターフェース(端子類)はモバイルノートPCとしては十分な構成です。一般的なモバイルタイプと同様、有線LANや光学ドライブには対応していません。
左側面のインターフェース
- ① 電源コネクター
- ② USB3.1 Gen1 Type-C
- ③ HDMI
- ④ USB3.0
- ⑤ ヘッドホン出力/マイク入力
右側面のインターフェース
- ① SDカードスロット
- ② USB3.0
- ④ セキュリティースロット(盗難防止用)
ベンチマーク結果
今回の検証では、最上位のプラチナ ハイエンドモデルを試用しました。主なスペックは以下のとおりです。なお検証結果はパーツ構成や個体差、環境、タイミングなどによって大きく変わる点をあらかじめご了承ください。
試用機のスペック
OS | Windows 10 Home |
---|---|
CPU | Core i7-8565U |
メモリー | 16GB |
ストレージ | 512GB SSD |
グラフィックス | Intel UHD Graphics 620 |
ストレージ性能
Inspiron 13 7000ではストレージにPCIe接続のSSDが使われています。プラチナ ハイエンドモデルの512GB SSDはPCIe GEN3 x2タイプで、試用機では東芝製のBG3シリーズが使われていました。
高速なSSDが使われているだけあって、ファイルのやり取りは非常に速くストレスを感じません。またウィンドウズの起動時間は平均14.6秒とこちらも高速です。
起動時間の計測結果(手動による計測)
1回目 | 2回目 | 3回目 | 4回目 | 5回目 | 平均 |
---|---|---|---|---|---|
13.5秒 | 12.8秒 | 12.7秒 | 21.2秒 | 12.8秒 | 14.6秒 |
CPU性能
CPU性能を計測するベンチマークテストでは、非常に優れた結果が出ました。
試用したプラチナ ハイエンドモデルのCore i7-8565Uは、開発コード「Whisky Lake」こと第8世代のCPUです。同じ第8世代でもひと世代前Core i7-8550U(開発コード「Kaby Lake-R」)との違いは、最大動作周波数がわずかに高い程度。しかしベンチマークテストでは、Core i7-8550Uの平均値を大きく上回っています。
CPU性能比較(CPU Mark)
CPU | PassMark CPU Markスコア |
---|---|
Inspiron 13 7000(Core i7-8565U) |
|
Core i7-8550U |
|
Core i5-8250U |
|
Core i7-7500U |
|
Core i5-7200U |
|
※そのほかのスコアは当サイト計測の平均値
これはCore i7-8565Uのパフォーマンスが大きく向上したわけではなく、Inspiron 13 7000がCPU性能を十分に引き出せる設計になっているためだと思われます。
たとえば本体が薄すぎたりボディに熱を通しにくい素材を使っていたり、あるいは内部の空冷ファンの性能が低かったりすると、本体内部の熱が上がりすぎないようにわざとパフォーマンスが抑えられることがあります。
参考記事
しかしInspiron 13 7000のベンチマーク結果を見る限りでは、温度調節によるパフォーマンス低下の兆候が見られません。おそらくボディの素材に熱伝導率の高いアルミ素材を使っていることや、ファンやヒートシンクなどの冷却パーツが効果的に機能していることが影響しているのでしょう。XPS 13の2018年モデル(9370)でも同じ兆候が見られましたので、同じ技術が採用されているのかもしれません。
ただしそのぶん高負荷時の表面温度が高く、騒音も少し大きめです。特に底面部は50度近くに達するため、低温やけどを防ぐためにもヒザの上に載せた状態で重い処理は行なわないでください。
表面温度(室温23.0℃) ※画像クリックで拡大
待機時 | 動画視聴 | 動画変換 | 3Dゲーム |
---|---|---|---|
キーボード面最大26.0℃ | キーボード面最大30.5℃ | キーボード面最大39.0℃ | キーボード面最大36.8℃ |
底面最大28.1℃ | 底面最大37.8℃ | 底面最大49.2℃ | 底面最大49.0℃ |
駆動音の計測結果(室温23.0℃)
電源オフ | 36.7dBA | - |
---|---|---|
待機中 | 36.8dBA | ほぼ無音 |
動画視聴 | 36.8dBA | 同上 |
動画変換 | 45.0dBA | ファンの回転音がけっこう目立つ |
3Dゲーム | 48.2dBA | 同上 |
3D性能
グラフィックス機能はCPU内蔵のIntel UHD Graphics 620が使われます。内蔵GPUとしては性能が高いのですが、重い3Dゲームを快適に遊べるほどではありません。軽めの3Dゲームや2D描画主体のゲーム、ブラウザーゲームなどなら問題ないでしょう。
GPUの性能比較
GPU | 3DMark Fire Strikeのスコア |
---|---|
GTX 1050 |
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Inspiron 13 7000(Intel UHD Graphics 620) |
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Intel UHD Graphics 620(Core i7) |
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※そのほかのGPUのベンチマーク結果は当サイト計測の平均値
ゲーム系ベンチマーク結果
FF14:紅蓮のリベレーター(DX11) ※中量級
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1920×1080 (フルHD) | 最高品質 | 1185(設定変更が必要) ※7.280 FPS |
高品質(ノートPC) | 1807(設定変更を推奨) ※11.680 FPS | |
標準品質(ノートPC) | 2716(やや快適) ※18.051 FPS | |
ドラゴンクエストX(DX9) ※軽量級
|
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1920×1080 (フルHD) | 最高品質 | 5451(快適) |
標準品質 | 6936(快適) | |
低品質 | 8027(とても快適) |
バッテリー性能
バッテリー駆動時間のテスト結果は最長7時間1分で、公称値には届きませんでした。これは、メーカーのテストとは検証方法が異なるため。それでも実利用での駆動時間は、あまり長くなさそうです。パフォーマンスが高いこと考えれば、駆動時間が少し短くなってしまうのは仕方ないかもしれません。
バッテリー駆動時間のテスト結果
公称値 | 最長9時間31分 |
---|---|
BBenchによる計測 | 7時間1分 |
PCMark 8による計測 | 4時間26分 |
※テストの条件や計測方法についてはコチラ
クリエイティブ性能
アドビのクリエイティブ系ソフトを使ったところ、動きはキビキビとしていて快適に使えました。ファイルの出力はもちろん、プレビュー表示や特殊効果の反映も非常にスムーズです。さすがにウルトラハイスペックなPCほどではありませんが、モバイルノートPCとしてはまったく問題のないパフォーマンスでした。
ただしこれはメモリー容量が16GBであるため。8GBメモリーだと処理が多少遅くなる可能性がある点に注意してください。
クリエイティブソフトを使った検証結果
Inspiron 13 7000(Core i7-8565U) | LIFEBOOK WU2/C3(Core i7-8565U) | Dell G5 15(Core i7-8750H+GTX1060) | |
---|---|---|---|
動画の書き出し ※1 | 5分31秒 (ソフトウェア) | 6分04秒 (ソフトウェア) | 4分12秒 (CUDA) |
動画変換 ※2 | 9分08秒 (ソフトウェア) | 9分43秒 (ソフトウェア) | 3分10秒 (CUDA) |
RAW現像 ※3 | 1分37秒 | 1分44秒 | 1分23秒 |
※1 Adobe Premiere Pro CC 2018を使って、FF14ベンチをキャプチャーした6分44秒のフルHD動画に画像とテロップ、音声を追加した合計7分のゲーム実況風動画を作成。書き出し設定は「H.264」で、「YouTube 1080p HD」のプリセットを使用したときにファイル出力にかかった時間/※2 Adobe Media Encorder CCで5分間の4K映像(XAVC-S、3.51GB)をプリセット「YouTube 1080p HD」で変換するのにかかった時間/※3 Adobe Photoshop Lightroom Classic CCで5184×3456ドットのRAW画像を長辺1920ドット、画質80%、解像度240、シャープ出力 強のJPEGファイルに出力するのにかかった時間(フィルター類適用なし)
PCMark 10ベンチマーク結果(一部抜粋)
Inspiron 13 7000(Core i7-8565U) | LIFEBOOK WU2/C3(Core i7-8565U) | Dell G5 15(Core i7-8750H+GTX1060) | |
---|---|---|---|
Digitala Content Creation(総合スコア) | 3076 | 2744 | 6435 |
Photo Editing(写真編集) | 3934 | 3426 | 7629 |
Rendering and Visualization(3D制作) | 1929 | 1787 | 7724 |
Video Editing(動画編集) | 3837 | 3377 | 4523 |
コスパの高いハイパフォーマンスモバイル
デルからは同じ13.3インチのモバイルノートPCとして、XPS 13が発売されています。XPS 13のほうが3万円ほど高いのでInspiron 13 7000のほうが格下だと思っていたのですが、性能面では遜色ないのでビックリしました。
と言ってもXPS 13のほうがコンパクトで軽くバッテリー駆動時間が長いのですが、パフォーマンスを重視するならコチラを選ぶのは大いにアリ。性能面では高級機にも劣らないのに価格が安いという点で、コスパの高いモデルです。外出先でも高いパフォーマンスを活用したい人におすすめします。