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デル Inspiron 14 5410レビュー:第11世代Core H35搭載だけど熱対策に問題あり?

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Inspiron 14 5000 (5410)

Inspiron 14 5000(5410)(以下、”Inspiron 14 5410″)は、14インチのフルHDディスプレイを搭載する据え置き向けのノートPCです。軽量コンパクトで値段がお手頃な点が魅力ですが、重い処理を行なうとCPUや本体が熱くなりやすい欠点が見られました。一般的な軽い作業中心であれば普通に使えます。

主なラインナップ

プレミアム
Core i5 8GBメモリー 256GB SSD 6万8536円
 プレミアム(Office付)
Core i5 8GBメモリー 256GB SSD Office Personal 8万1736円
プラチナ
Core i7 8GBメモリー 512GB SSD 8万2936円
プラチナ(Office付)
Core i7 8GBメモリー 512GB SSD Office Personal 9万6136円
プラチナ(大容量メモリー&SSD搭載)
Core i7 16GBメモリー 1TB SSD 10万2136円
プラチナ(大容量メモリー&SSD・Office付)
Core i7 16GBメモリー 1TB SSD Office Personal 11万5336円

※2021年6月17日時点、価格はタイミングによって変わります

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Inspiron 14 5410の最新価格

Inspiron 14 5410のスペック

OS ・Windows 10 Home
・Windows 10 Pro
画面サイズ 14インチ
解像度 1920×1080
CPU ・Core i5-11300H
・Core i7-11370H
メモリー ・8GB(8GB×1)
・16GB(8GB×2)
※スロット2基、DDR4-3200、最大32GB
SSD ・256GB
・512GB
・1TB
HDD なし
グラフィックス Iris Xe Graphics
モバイル通信
堅牢性テスト ※表記なし
色域 / 輝度 NTSC 45% / 250nit
幅×奥行き 321.27×212.8mm
厚さ 17.99mm
重量 最小1.461kg
バッテリー 4セル 54WHr ※駆動時間は非公開

※2021年6月17日時点。構成は変更される場合があります


本体カラー ・プラチナシルバー
・ピーチダスト
画面の表面 非光沢
パネルの種類 WVA(広視野角) ※IPS相当
タッチ / ペン
光学ドライブ
テンキー
有線LAN
無線LAN Wi-Fi 6
Bluetooth 5
USB3.2 2(Gen1)
USB3.0
USB2.0
USB Type-C 1(3.2 Gen1、DP/PD対応)
Thunderbolt 1 (USB兼用、Core i7モデルのみ)
メモリーカード microSD
HDMI 1
VGA (D-sub15)
DisplayPort
Webカメラ 720p(92万画素)
顔認証カメラ
指紋センサー オプション
付属品 65W ACアダプターなど
オフィス ・なし(オプションで追加可能)
・付属モデルあり

 

この記事では筆者が購入した実機を使って、デザインや性能、実際の使い心地などをレビューします。

Inspiron 14 5000 (5410)

Inspiron 14 5410

6万円台後半~

※2021年6月17日時点

旧モデルInspiron 14 5402との違い

Inspiron 14 5402 感想

この記事で取り上げるのは、2021年発売の「Inspiron 14 5410」です。2020年発売の前モデル「Inspiron 14 5405」とは重さやサイズ、バッテリー容量などがわずかに異なりますが、もっとも大きな違いはCPUです。旧モデルではcTDP(消費電力の目安)が28WのCPUが使われていましたが、新モデルではcTDPが35WのCPUが使われています。消費電力が大きくなったぶん、CPU本来の性能は向上しています。

 

ただし消費電力量が増えたぶん、CPUの熱も上がりました。実際に検証を行なったところ、その発熱がパフォーマンスに影響しているように見えます。詳しくはベンチマーク結果でご確認ください。

 

新旧モデルの違い

Inspiron 14 5410 Inspiron 14 5402
発売 2021年4月 2020年10月
APU 第11世代Core i5 / i7 (H35) 第11世代Core i5 / i7 (UP3)
グラフィックス Intel Iris Xe Graphics
メモリー DDR4-3200 最大32GB
ストレージ 256GB~1TB SSD
ディスプレイ 14インチ 1920×1080
無線LAN Wi-Fi 6
サイズ 幅321.27×奥行き212.8×高さ17.99mm 幅321.3×奥行き216.15×高さ17.9mm
重量 1.461kg~ 1.429kg~
バッテリー駆動時間 4セル 54WHr 3セル 40WHr

※2021年6月17日時点

デルInspiron 14 5402レビュー:軽量スリムでコンパクトなスタイリッシュ14インチノートPC
...

デザインと使いやすさ

外観について

Inspiron 14 5410の本体カラーは”プラチナシルバー”と”ピーチダスト”の2色。プラチナシルバーは明るいシルバーで、ノートPCではよくある無難なカラーです。一方のピーチダストはやや赤みのあるメタリックなカッパーという印象。”ピーチ”という単語からピンクを連想するかもしれませんが派手さはなく、どちらかと言えば渋めを受けました。このカラーでも十分アリだと思います。

 

Inspiron 14 5410 本体カラー

ピーチダスト(左)とプラチナシルバー(右) ※プラチナシルバーは同型のInspiron14 5415

 

Inspiron 14 5410 本体カラー

天板はどちらも明るい印象です

 

Inspiron 14 5410 本体カラー

ピーチダストは明るい照明の下や環境によってはややオレンジっぽくも見えます

 

Inspiron 14 5410 天板

天板はアルミ製。指紋の跡はあまり目立ちません

 

Inspiron 14 5410 ディスプレイの開閉

ディスプレイは指1本で軽く開きます。これは本体の重量とヒンジのトルクで絶妙にバランスが取れているため

 

Inspiron 14 5410 パームレスト

ピーチダストの場合はパームレストは”カーボン”と表記されているのですが、どう見てもアルミ素材です。色は天板とは違ってやや暗めのメタリックなブラウン

 

Inspiron 14 5415 パームレスト

プラチナシルバーのパームレストはタイタングレー。やや明るめのガンメタリック調です ※写真は同型のInspiron 14 5415

 

Inspiron 14 5410 パームレスト

タイタングレーとカーボン(?)の色の違い ※タイタングレーは同型のInspiron 14 5415

 

Inspiron 14 5410 カラー

横から見ると上下で色の明暗がわかれています。個人的には統一されていたほうがよかった気も……

 

Inspiron 14 5410 タッチパッド

タッチパッド周辺にはキラリと光るダイヤモンドカット加工

 

Inspiron 14 5410 ベゼル

ベゼルは左右6.0mm、上部10.4mm、下部13.8mm。画面まわりがスッキリとしています

 

Inspiron 14 5410 排気口

排気口はこの位置。温かい風がディスプレイに当たります

 

Inspiron 14 5410 底面

底面部は樹脂(プラスチック)製

 

本体は14インチタイプとしてはコンパクトです。最近主流の狭額縁デザインの影響により、2~3年前の13インチモバイルノートPCとあまり変わりません。重さは公称値で1.461kg。持ち歩けないほどではないので、モバイル用で使うのもいいでしょう。

 

Inspiron 14 5410 サイズ

設置面積は幅321.27mm×奥行き212.8mm

 

Inspiron 14 5410 大きさ

A4ノート(ピンク)とB5ノート(ブルー)とのサイズ比較。14インチタイプとしてはコンパクトです

 

Inspiron 14 5410 カラー

厚さは公称値で17.99mm、実測で18.8mm、ゴム足を含めた設置時の高さは20.2mm

 

Inspiron 14 5410 前面

前面

 

Inspiron 14 5410 背面

背面

 

Inspiron 14 5410 重さ

重さは公称値で最小1.461kg、実測では1.422kgでした

 

Inspiron 14 5410 電源アダプター

電源アダプターは65Wの丸口タイプ。重さは331g

ディスプレイについて

Inspiron 14 5410 画面サイズ

ディスプレイのサイズは14インチで、解像度は1920×1080ドット(アスペクト比16:9)。14インチタイプとしては標準的なスペックです。ノートPCとしては一般的な15.6インチよりもひと周り小さいのですが、スケーリング(デスクトップの拡大率)が150%と大きめに設定されているため文字はけっこう大きく映し出されます。表面は光沢なしノングレアで、長時間の作業でも目が疲れにくい仕様です。

 

Inspiron 14 5410 デスクトップ

Inspiron 14 5410のデスクトップ(壁紙変更済み)。デスクトップの文字の大きさは2.4~3mm程度

 

映像は自然な色合いですが、やや暗めの印象を受けます。その影響で、画面の色が全体的に寒色系に見えるかもしれません。普通の作業では問題なく使えますが、色味を重視するなら画面の調整やキャリブレーションが必要です。とは言え公称値でNTSC 45%(sRGB 62.5%相当)とのことなので、クリエイティブワークには別途色域の広い外付けディスプレイを使ったほうがいいでしょう。

 

なおデル製品で使われている「WVAパネル」とは「Wide View Angle(広視野角)」の略で、パネルの駆動方式を表わすものではありません。筆者が確認する限り映像品質はIPS相当です。「IPS」は登録商標のため、ライセンスの関係で別の名称を使っているものと思われます。

 

Inspiron 14 5410 映像品質

テスト機では画面がやや暗かったため、映像はやや寒色系でした。別の機種では明るく出ているので、個体差かもしれません

 

Inspiron 14 5415 映像品質

同型のInspiron 14 5415では自然な色合いでした

 

Prestige 15 映像品質

クリエイター向けノートPCの映像(sRGB 100%)※別機種

 

IdeaPad Slim 550 (14) 映像品質

ちなみにレノボ製品のIPSパネルは同じNTSC 45%ですが、だいぶ黄色が強く出ています

 

Inspiron 14 5410 明るさ

公称値の輝度250nitは、IPS相当のパネルとしては数値的にはやや低め。しかし作業には問題ない明るさです

キーボードについて

Inspiron 14 5410 キーボード

キーボードはテンキーなしの日本語配列のみで、バックライトに対応しています。キーピッチは横19mm縦18mmで若干横長ですが、実際に使ったところ違和感はありません。旧モデルに比べてキーピッチが0.3mm広がり、タイピングにだいぶ余裕ができました。またEnterキーが大型化されたことで、かなり使いやすく改善されています。

 

Inspiron 14 5402 キーボード

旧モデルInspiron 14 5402のキーボード

 

Inspiron 14 5410 配列

Enterキー周りの配列。一部のキーが隣接していますが、旧モデルよりキーが大型化したことで使い勝手は向上しています

 

Inspiron 14 5410 バックライト

バックライトは2段階で明るさを調整可能

 

Inspiron 14 5410 キーボード

ディスプレイを開くとキーボードが持ち上がるリフトアップ機構。手首を自然な角度にキープできるほか、キーボード全体を見渡しやすい点がメリットです

 

キーストロークは実測で平均1.29mmです。ノートPCの標準値は1.5mm程度ですが、最近は1.2~1.3mmあたりの薄型ノートPCも増えています。その意味ではいまどきの機種と言えるかもしれません。ただキーを押し込むようにして打つ人には、物足りなく感じる可能性があります。

 

キーを押した瞬間のクリック感はやや固めで、カクッとした手応えが感じられます。全体的にカタカタとした強めの手応えで、ストロークが浅いキーボードにありがちなペチペチした軽い感じはありません。ストロークが途中で止まるような感覚はあるものの、タイプ感はしっかりしています。

 

Inspiron 14 5410 タイプ感

キーのクリック感が固く、全体的にカタカタとしたしっかりめのタイプ感。キーボード中央部ではわずかなたわみを感じます

 

タイプ感が固いぶん、タイプ音もはっきりと聞こえます。基本はカタカタ、場所によってはカツカツとしたタイプ音で、静かではありません。キーボードが傾斜しているため、接地面とのすきまによってタイプ音が反響しているようにも聞こえます。特に低音域が強く聞こえるかもしれません。うるさくはないのですが、静かな場所では周囲に配慮しながら使うべきでしょう。

 

Inspiron 14 5410 タイプ音

タイプ音は軽い力でもしっかり聞こえます。静かな場所では軽いタッチで入力を推奨します

 

タッチパッドの操作感は標準的です。カーソルの反応はいいものの、わずかに滑るような感覚がありました。誤クリック防止のためパッド部分のクリック感も固めで、クリックするとカツッとした音がキーのタイプ音よりも大きく響きます。

 

Inspiron 14 5410 タッチパッド

タッチパッドの操作は感は標準的。クリックが固いので、クリック音も響きます

インターフェース/機能について

Inspiron 14 5410 インターフェース

周辺機器接続用のインターフェース(端子)類は多くありません。USB端子は合計3ポートで、うち1ポートがType-C。あとは映像出力用のHDMIと、ヘッドホン端子、microSDカードスロットが用意されています。モバイル向けとしてなら標準的な構成ですが、据え置き用のスタンダードノートPCとしてはやや少なめです。多くの端子類が必要な場合は、USB Type-Cドックを利用するといいでしょう。

 

なおCore i7モデルはType-C端子がThunderbolt 4対応です。今回は試していませんが、複数のディスプレイをつないだりGPUボックスを接続してグラフィックス機能を強化するなどの使い方が可能と思われます。

 

Type-CはUSB PD対応で充電は可能のはずですが、手持ちの充電器では低速充電のアラートが表示されました。充電は行なえるものの、高いパフォーマンスを出すには付属のアダプターがいいのかもしれません。

 

Type-C端子の機能

USB PD 18W充電 △ ※低速充電
USB PD 30W充電 △ ※低速充電
USB PD 45W充電 △ ※低速充電
USB PD 65W充電 △ ※低速充電
USB PD 100W充電 △ ※低速充電
映像出力

 

Inspiron 14 5415 指紋センサー

指紋センサーは購入時のオプションで追加可能 ※写真は同型のInspiron 14 5415

 

Inspiron 14 5410 Webカメラ

Webカメラは92万画素で、プライバシーシャッター付き

 

スピーカーは底面配置です。音が出る部分が接地面でふさがっているため、ややこもった印象を受けました。サラウンド感もわずかに抑えられています。ただし低音域の厚みと解像感はそこそこあり、ノートPCとしては高音質です。音量を上げるとパームレストに振動が伝わるので、音楽を聴きながら作業をするならヘッドホンを着用するといいでしょう。ビデオ会議や音声通話などには問題なく使えます。

 

Inspiron 14 5410 スピーカー

底面部のスピーカー。ノートPCとしてはそこそこ高音質

分解とメモリー増設

Inspiron 14 5415は、底面部のカバーを外すことで、パーツ交換や本体内部のメンテナンスが可能です。分解はネジを外してカバーをこじあければOK。途中で傷をつけたりツメを折ったりしないよう注意してください。なお自分でパーツを交換するとメーカー保証のサポート外となるので、自己責任の上でお願いします。

 

Inspiron 14 5410 分解

ヒンジそばのネジをゆるめるとカバーが浮き上がります。このすきまから少しずつこじ開ければOK。布をはさみながら作業すると傷が付きにくいのでおすすめです

 

Inspiron 14 5410 本体内部

底面カバーを外した状態

 

Inspiron 14 5410 底面

外した底面カバーの裏側

 

Inspiron 14 5410 メモリースロット

メモリースロットは2基。8GBモデルの場合、メモリーが1枚使われています

 

Inspiron 14 5410 M.2スロット

空冷ファンそばにM.2スロット。SSD用のスロットは金具の取り付け場所を変えることで、Type-2280を利用できます

 

Inspiron 15 5515 SSD増設

シートの下にあるSSD取り付け金具 ※写真はInspiron 15 5515

 

Inspiron 15 5515 SSD増設

これを外して…… ※写真はInspiron 15 5515

 

Inspiron 15 5515 SSD増設

違う場所に取り付ければType-2280のSSDを利用できます ※写真はInspiron 15 5515

 

Inspiron 14 5410 メモリー増設

メモリー増設は空いているスロットに別途購入したメモリーをセットすればOK

 

[wpap service=”with” type=”detail” id=”B08C4Z69LN” title=”Crucial CT8G4SFRA32A 8 GB (DDR4, 3200 MT/s, PC4-25600, SODIMM, 260-Pin) Memory”]

ベンチマーク結果

試用機のスペック

モデル名 Inspiron 14 (5410) プレミアム
CPU Core i5-11300H
メモリー 8 / 16GB
ストレージ 256GB SSD
グラフィックス Intel Iris Graphics

※各ベンチマークテストはWindows 10の電源プランをメーカー推奨の「Dell」に設定した上で電源モードを「最も高いパフォーマンス」に設定しています。さらに標準収録ソフト「Dell Power Manager」の「サーマル管理」で「熱設定」を「超高パフォーマンス」に設定しました

※ベンチマーク結果はパーツ構成や環境、タイミング、個体差などさまざまな要因によって大きく変わることがあります

発熱による性能低下の兆候

まずはじめにおことわりしておきたいのは、Inspiron 14 5410は発熱によってCPU本来の性能を出し切れていない可能性があるという点です。Core i5-11300H搭載機でCPUベンチマークを試したところ、現在主流のCore i5-1135G7 / Core i7-1165G7(UP3)よりも低いスコアが出ました。CPUのスペック的にはCore i5-11300HやCore i7-11370H(H35)のほうが上のはずです。

 

Coreプロセッサ H35

第11世代CoreプロセッサのH35とUP3の違い

 

CINEBENCH R23中のCPU温度とコアクロックを計測したところ、CPU温度は平均90.6度と高温を維持し続け、クロックは2.89GHzとかなり低めに推移していました。高いクロックを維持し続けられたのは、ほんの10秒程度です。おそらくCPU温度が上がりすぎたために、サーマルスロットリング(熱による性能低下)が発生しているのでしょう。

 

Coreプロセッサ H35

CINEBENCH R23を10分間実行し続けたときのCPUベンチマークテスト温度とコアクロックの推移

 

H35のTDPは最大35Wですが、Inspiron 14 5410では28Wに設定されています。これはメーカーがCPUのTDPをある程度コントロールできるため。テスト中の消費電力を確認したところ一瞬だけ28Wあたりにまで達しましたが、あとは22W前後を推移しています。

 

Coreプロセッサ H35

CINEBENCH R23実行中のCPU消費電力(ワット)の推移

 

おそらく本体内部の熱設計および熱対策が、十分ではないのかもしれません。今回試用したテスト機固有の症状である可能性もありますが、筐体が前モデルとほぼ同じであることから、やはりこれが仕様なのだと思います。

 

ちなみに本体を接地面から離した上で扇風機の風を当て続けながら同じベンチマークテストを行なったところ、スコアがかなり改善されました。ユーザー自身が熱対策を行なうことで、パフォーマンスがある程度改善されます。

CPU性能

前述のとおり、CPUには第11世代のCore i5-11300HおよびCore i7-11370Hが使われています。Core i5-11300H搭載のテスト機でCPU性能を計測するベンチマークテストを行なったところ、スペックが低いはずのCore i5-1135G7(UP3)よりも低い結果でした。メモリーを8GBから16GBに増設すると多少は改善されます。

 

Core i7-11370HであればCPU本来の性能はさらに上のはずですが、Core i5-11300Hよりも発熱が高いと思われるので、ベンチマークスコアが上回るかどうかはわかりません。

 

Inspiron 14 5410 ベンチマーク

CPUベンチマーク(総合性能)の結果 ※そのほかのスコアは当サイト計測の平均値

グラフィックス性能

グラフィックス機能としては、CPU内蔵のIris Xe Graphicsが使われます。CPU内蔵タイプとしては悪くない結果ですが、UP3のCore i5 / i7には及びません。ただメモリー容量を16GBに増設するとパフォーマンスが61.7%も向上するのは興味深い結果です。少しでもパフォーマンスにこだわるなら、16GBで利用するといいでしょう。

 

Inspiron 14 5410 ベンチマーク

Fire Strike(DirectX 11、フルHD)のスコア ※そのほかのスコアは当サイト計測の平均値

PCを使った作業の快適さ

PCMark10は、PCを使った作業の快適さを計測するベンチマークテストです。Core i5-11300H搭載のテスト機で実施したところ、すべてのテストで快適に使える目安の目標値を上回りました。

 

CPU性能やグラフィックス性能の結果はいまひとつでしたが、このテストではなかなか優秀な結果が出ています。一般利用(ビデオ会議やWeb閲覧)とビジネス利用(表計算とワープロ)でUP3のCore i5-1135G7搭載機を上回り、コンテンツ制作(3D制作や動画編集など)では8GBメモリーでは若干及びませんでしたが16GBメモリーでは上回りました。個別のテストでは振るわなかったものの、総合性能では勝っていると言えます。

 

ただしPCMark 10のテストは、どちらかというと処理が軽めです。重い処理でなければそこそこ優秀ということでしょう。

 

Inspiron 14 5410 ベンチマーク

PCMark 10ベンチマークスコア ※目標値はPCMark 10公式サイトによるもの

ストレージのアクセス速度

ストレージは256GB~1TBのSSDです。テスト機ではPCIe 3.0 x4接続の高速タイプが使われていました。通常のアクセス速度計測ではそこそこ高速な結果が出ていますが、負荷の高い処理を連続で行なうと、アクセス速度が大きく低下します。おそらく、サーマルスロットリングの影響が出ているのかもしれません。ただ大容量のファイルを連続で書き込むような処理でなければ、体感的には問題ないはずです。

 

Inspiron 14 5410 ベンチマーク

256GB SSDのアクセス速度。左が標準テストの結果で、右が高負荷テストの結果

起動時間

ウィンドウズの起動時間(バッテリー駆動時)は平均8.52秒でした。最近のSSD搭載ノートPCの平均は15秒前後ですので、起動はやや遅い程度。とは言っても、遅く感じるほどではありません。

 

起動時間の計測結果(手動計測)

1回目 18.2秒
2回目 17.9秒
3回目 17.2秒
4回目 17.9秒
5回目 17.2秒
平均 17.68秒

バッテリー駆動時間

バッテリーの駆動時間は、公開されていません。そこで最大パフォーマンスの状態でビジネス作業 (Web閲覧や文書作成、ビデオチャットなど)での駆動時間を計測したところ、8時間32分で休止状態へ移行しました。バッテリー消費の少ない電源プランや電源モードを選べば伸びる可能性がありますが、これでも十分な結果でしょう。

 

バッテリー駆動時間の計測結果(Ryzen 5モデル)

テスト方法 バッテリー消費 駆動時間
※公称値 ※非公開
Modern Office (ビジネス作業) 8時間32分
50%充電までにかかった時間 58分
フル充電までにかかった時間 2時間28分

※テストの条件や計測方法についてはコチラ

ゲーム系ベンチマーク結果

Core i5-11300Hモデルでメモリー容量を8GB / 16GBに買えてゲーム系ベンチマークを行なったところ、軽めのゲームであればそこそこ楽しめそうな結果でした。メモリー容量が16GBだと快適さがワンランクアップするのでおすすめです。とは言え、重いゲームのプレーには向いていません。リフレッシュレートも高いわけではないので、軽いゲームを息抜き程度でと考えたほうがいいでしょう。

 

ちなみに、この結果はRyzen 5 5500Uよりも優秀です。

※テストはすべてフルHDで実施

FF15ベンチ (重量級 / DX11)

FF15ベンチ

8GB×1

画質 スコア / 評価
高品質 573 / 動作困難
標準品質 927 / 動作困難
軽量品質 1220 / 動作困難

※スコアが6000以上で「快適」

8GB×2

画質 スコア / 評価
高品質 1151 / 動作困難
標準品質 1678 / 動作困難
軽量品質 2141 / 重い

※スコアが6000以上で「快適」

FF14ベンチ:漆黒のヴィランズ (中量級 / DX11)

FF14ベンチ

8GB×1

画質 スコア / 評価 / 平均FPS
最高品質 1377 / 13FPS
高品質 1711 / 11.4FPS
標準品質 1971 / 12.9 FPS

※平均60 FPS以上が快適に遊べる目安

8GB×2

画質 スコア / 評価 / 平均FPS
最高品質 ※計測不能
高品質 ※計測不能
標準品質 ※計測不能

※平均60 FPS以上が快適に遊べる目安

ドラクエXベンチ (超軽量級 / DX9)

ドラクエXベンチ

8GB×1

画質 スコア / 評価
最高品質 5887 / 快適
標準品質 7709 / とても快適
低品質 8539 / とても快適

8GB×2

画質 スコア / 評価
最高品質 9503 / とても快適
標準品質 11637 / すごく快適
低品質 13009 / すごく快適

 

熱対策が不満

Inspiron 14 5410 感想

よかった点

軽量コンパクトでお手頃な値段が魅力です。本体デザインも、お値段以上の仕上がり。グラフィックス性能も高く、ちょっとしたあいまにゲームを楽しめます。

気になる点

CPUベンチマークテストのスコアの低さが気になります。トータルの性能は悪くありませんしゲーム性能もそこそこ優秀なのですが、本来の性能が活かしきれていないのは個人的には引っかかる気がするのです。軽めの作業なら問題なく使えますが、だとすると上位のCore i7モデルの存在意義はあるのでしょうか。

 

また高い負荷がかかると本体が熱くなる点も気になりました。機器の不調でまだ計測できていないのですが、たとえばベンチマークテスト後は底面がかなり熱く感じます。このあたり、熱対策がうまく行なえていない気がしてなりません。今後Windows UpdateやBIOS / ドライバーの更新で改善されることを願います。

 

なお、同じ14インチタイプであれば同程度の値段でCPU性能が高いInspiron 14 5415をおすすめします。こちらは熱による性能低下の症状は見られませんでした。
https://komameblog.jp/review/inspiron14-5415/

Inspiron 14 5000 (5410)

Inspiron 14 5410

6万円台後半~

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記事を書いた人
こまめ(タカハシリョウ)

お買い得パソコン評論家。毎日各メーカー・各ショップのWebページを500p以上チェックして、安くてお得なパソコンを探しています。元雑誌・書籍編集者で、PC系フリーライターでもあるオジサン。文章に関わる仕事を始めてから25年以上。最高195万PV/月

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