デルの「Inspiron 15 5000 (5515)(以下、Inspiron 15 5515)」のRyzen 7モデルには、メモリー容量が8GBのモデルと16GBモデルが用意されています。どちらを選べばいいのかわからない、という人も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では筆者が購入したRyzen 7モデルを使って、8GBと16GBのパフォーマンスの違いについて解説します。どっちにしようか迷っている人は、ぜひ参考にしてください。
この記事の目次
試用機のスペック
モデル名 | Inspiron 15 5515プラチナ(大容量メモリー搭載) |
---|---|
CPU | Ryzen 7 5700U |
メモリー | 8 / 16GB |
ストレージ | 512GB SSD |
グラフィックス | Radeon Graphics |
※各ベンチマークテストはWindows 10の電源プランを「バランス」に設定した上で電源モードを「最も高いパフォーマンス」に設定しています
※ベンチマーク結果はパーツ構成や環境、タイミング、個体差などさまざまな要因によって大きく変わることがあります
※2021年6月29日時点。最新の価格はコチラ
関連リンク
メモリーは16GBで使うべき
はじめに結論を言ってしまうと、Inspiron 15 5515のRyzen 7モデルは16GBメモリーで使うべきです。なぜなら8GB×1枚の構成よりも、8GB×2のほうがパフォーマンスが大きく向上するため。Ryzen 5ではなくRyzen 7を選ぶということは、性能を重視しているということでしょう。なのに価格が安い8GB×1の構成では、Ryzen 7本来の性能を出しきれません。
これはメモリー容量が増えることよりも、メモリーがデュアルチャネルで動作することで転送速度がアップするためです。同じ16GBメモリーでも、16GB×1枚より8GB×2枚の構成のほうがパフォーマンスが向上します。
Ryzen 5モデルでも同様で、8GB×1よりも8GB×2のほうが高性能です。ただしRyzen 5モデルは8GBメモリーのみなので、自分でメモリーを増設しなければなりません。そこまで重い処理を行なわないのであれば、8GBでも十分です。長期間使い続けるうちにちょっと遅くなったと感じるようなら、メモリーの増設を検討するといいでしょう。
CPU性能について
まずは8GBメモリー×1枚と8GBメモリー×2枚での、CPU性能の違いから。
CPUのマルチコア性能 / シングルコア性能を計測するCINEBENCH R20では、大きな違いは見られませんでした。CINEBENCHで行なうレンダリング処理は、浮動小数点演算が中心。これは物理計算や科学計算でも利用されます。そのため、専門的な分野での高度な処理に関する性能と考えていいでしょう。3D制作や動画編集、大作系ゲーム、高度なデータ計算などが該当します。
PassMark PerformanceTestのCPU Markでは、浮動小数点演算以外にも整数演算や圧縮、ソート(並び替え)などのテストが行なわれます。そのため、PassMarkは一般的な処理に近いテストと考えることができるでしょう。このテストでは8GB×2枚のほうが、8GB×1枚よりも46%高いスコアが出ています。普段の作業でそれだけの差が生じると考えていいわけですが、8GB×1でも非常に優秀な結果であるため、実際にその差を体感できるかは微妙です。
グラフィックス性能について
3D性能を計測するベンチマークテストでは、8GB×2枚が8GB×1枚を大きく上回りました。その差は約91%、2倍弱程度の結果です。メモリー容量が増えた影響と、デュアルチャネルによる相乗効果だと思われます。3Dグラフィックス性能はゲームやクリエイター向けソフトで強く影響するので、これらを利用するなら8GB×2のほうが有利です。
作業の快適さについて
PCMark 10は、PCを使った作業の快適さを計測するベンチマークテストです。開発元が指針として提示した目標値を超えることで、その分野の作業を快適に行なえるとされています。ただし処理自体はそれほど重くはなく、特にコンテンツ制作(写真加工や3D制作、動画編集など)については趣味レベル程度と考えてください。
結果を比べると、全体的に8GB×2で高いスコアが出ています。しかしグラフィック性能があまり影響しないビジネス利用(表計算やワープロ)では、ほとんど変わりません。逆にグラフィックス性能が強く影響するコンテンツ制作では、8GB×2のほうが有利です。
ゲーム性能について
ゲーム系ベンチマークを試したところ、8GB×2枚で8GB×1枚の倍近いスコアが出ています。ただし重いゲームはどちらも厳しいでしょう。ドラクエ10程度の超軽いゲームならどちらも問題なくプレーできますが、少し重い程度のゲームであれば8GB×2枚で画質と解像度を落としてなんとか、という場面はあるはずです。
※テストはすべてフルHDで実施
FF15ベンチ (重量級 / DX11)
8GB×2
画質 | スコア / 評価 |
高品質 | 1022 / 動作困難 |
標準品質 | 1609 / 動作困難 |
軽量品質 | 1946 / 動作困難 |
※スコアが6000以上で「快適」
8GB×1
画質 | スコア / 評価 |
高品質 | 513 / 動作困難 |
標準品質 | 819 / 動作困難 |
軽量品質 | 1073 / 動作困難 |
※スコアが6000以上で「快適」
FF14ベンチ:漆黒のヴィランズ (中量級 / DX11)
8GB×2
画質 | スコア / 評価 / 平均FPS |
最高品質 | 2520 / 16.8FPS |
高品質 | 3268 / 22.4FPS |
標準品質 | 4018 / 28 FPS |
※平均60 FPS以上が快適に遊べる目安
8GB×1
画質 | スコア / 評価 / 平均FPS |
最高品質 | 1256 / 7.8 FPS |
高品質 | 1601 / 10.4 FPS |
標準品質 | 1896 / 12.6 FPS |
※平均60 FPS以上が快適に遊べる目安
ドラクエXベンチ (超軽量級 / DX9)
8GB×2
画質 | スコア / 評価 |
最高品質 | 8265 / とても快適 |
標準品質 | 9926 / とても快適 |
低品質 | 11385 / すごく快適 |
8GB×1
画質 | スコア / 評価 |
最高品質 | 4070 / 普通 |
標準品質 | 5969 / 快適 |
低品質 | 6473 / 快適 |
ということで、今回はInspiron 15 5515のRyzen 7モデルを使って、8GBメモリー×1枚構成と8GBメモリー×2枚構成のベンチマーク結果を比較しました。総合的には8GBメモリー×2枚のほうが優秀ですが、グラフィックス性能があまり影響しない作業では8GB×1のままでも問題なく利用できるでしょう。事務処理や文字中心の文書作成、規模の小さな画像制作などが該当します。
逆にデータ量の大きな数値や画像などを扱うのであれば、8GBメモリー×2枚の構成で使ってください。軽めのゲーム / 動画編集などを行なう場合も同様です。CPU性能にはあまり影響ありませんが、グラフィック性能の向上により体感速度が向上します。
ただし、まずは8GBメモリー×1枚の構成で買ってみて、足りなく感じるなら自分でメモリーを増設するのはアリです。自分で増設するのに抵抗があるなら、16GBメモリーモデルの購入をおすすめします。
※2021年6月29日時点。最新の価格はコチラ
関連リンク
*
当サイトでは2~3万円台の格安ノートPCから高性能ノートPCまで、さまざまな最新モデルを検証・解説しています。記事の更新情報やお買い得情報を当サイトのTwitterアカウントでお知らせしているので、ぜひフォローをお願いします。
ツイッターでこまめブログをフォローする
https://komameblog.jp/review/inspiron15-5515/