デルの『Inspiron 16 ノートパソコン(5630)』(以下、”Inspiron 16 5630″)は、16インチディスプレイを搭載するスタンダードタイプのノートPCです。第13世代Coreプロセッサ搭載で、高いパフォーマンスを実現。大きな画面でしっかり作業したい人に向いています。
性能テストを行なったところ、薄型ノートPCとしてはかなり優秀な結果が出ました。第13世代のインテルCoreプロセッサは特にシングルスレッド(シングルコア)の性能が高く、普段使いやちょっとしたビジネス作業に向いています。
総合的にはキーボードのタイプ感がやや軽い点が気になったものの、仕上がりや機能については十分です。
ポイント
- 😄 第13世代Coreプロセッサは高性能
- 😄 Thunderbolet4対応
- 🙄 キーのタイプ感が軽い
この記事ではメーカーからお借りした実機を使って、デザインや性能、実際の使い心地などをレビューします。
Inspiron 16 5630
スペック
発売日 | 2023年1月31日 |
---|---|
OS | Windows 11 Home / Pro |
ディスプレイ | 16インチ 16:10 1920×1200 広視野角パネル 250nit 45% NTSC 非光沢 タッチ非対応 |
CPU | Core i5-1335U / Core i7-1360P |
メモリー | 8 / 16GB ※LPDDR5-4800 オンボード(増設非対応) |
ストレージ | 512GB / 1TB SSD |
グラフィックス | Iris Xe Graphics(CPU内蔵) |
通信 | Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.3 |
インターフェース | Thunderbolt 4(映像出力 / USB PD対応)×1、USB3.2 Gen1×2、HDMI1.4(最大1920×1080@60Hz)、SDメモリーカードスロット、ヘッドフォン出力 / マイク入力 |
生体認証 | 指紋センサー |
サイズ / 重量 | 幅356.78mm、奥行き251.7mm、高さ15.42~18.2mm / 約1.85kg |
バッテリー | 4セル54Wh ※駆動時間は非公開 |
本体デザイン
ディスプレイについて
キーボードについて
ベンチマーク結果
試用機のスペック
CPU | Core i7-1360P |
---|---|
メモリー | 16GB |
ストレージ | 1TB NVMe SSD |
グラフィックス | Iris Xw Graphics(CPU内蔵) |
※ベンチマークテストはまずWindows 11の電源プランを「バランス」に、電源モードを「最適なパフォーマンス」に設定。その上で、標準収録ユーティリティー「My Dell」の「電源マネージャ」からサーマルモードをもっとも高性能な「超高パフォーマンス」に変更。さらに電源アダプターを接続した状態で実施しています
※ベンチマーク結果はパーツ構成や環境、タイミング、個体差などさまざまな要因によって大きく変わることがあります
CPU性能
CPUとしては、Core i5-1335U(10コア、PBP15W)およびCore i7-1360P(12コア、PBP28W)が使われています。Core i5-1335Uよりも、Core i7-1360Pのほうが高性能です。
Core i7-1360P搭載の試用機でCPUベンチマークを行なったところ、非常に優秀な結果が出ました。特に軽めの処理に強く影響するシングルスレッド(シングルコア)のテストでは、最強クラスの結果です。普段使いなどでは、サクサクと快適に使えるでしょう。
第13世代インテルCoreプロセッサは総じて、シングルスレッド性能のテストで非常に高い結果が出ています。ゲームや動画編集などではない、普通の人による日常的な作業やビジネス作業向きです。
CPUの性能差 (総合性能)
CPU | PassMark CPU Mark Score |
---|---|
Ryzen 7 7735U |
21237
|
Core i5-1340P |
20974
|
Inspiron 16 5630(Core i7-1360P) |
20765
|
Core i7-1360P |
19702
|
Ryzen 7 7730U |
19245
|
Core i5-1335U |
19074
|
Ryzen 5 7535U |
16856
|
Ryzen 5 7530U |
16265
|
Core i7-1355U |
16048
|
Core i3-1315U |
13813
|
Ryzen 3 7330U |
11013
|
Intel N305 |
10374
|
Ryzen 5 7520U |
9802
|
Ryzen 3 7320U |
9258
|
Intel N100 |
5651
|
※そのほかのスコアはPassMark CPU Benchmarksによる集計値
CPUの性能差 (シングルスレッド)
CPU | PassMark CPU Mark Score |
---|---|
Inspiron 16 5630(Core i7-1360P) |
4122
|
Core i7-1360P |
3785
|
Core i7-1355U |
3736
|
Core i5-1335U |
3771
|
Core i7-1355U |
3736
|
Core i3-1315U |
3600
|
Ryzen 7 7730U |
3254
|
Ryzen 7 7735U |
3241
|
Ryzen 5 7530U |
3213
|
Ryzen 5 7535U |
3105
|
Ryzen 3 7330U |
3053
|
Ryzen 5 7520U |
2586
|
Ryzen 3 7320U |
2486
|
Intel N305 |
2280
|
Intel N100 |
1982
|
※そのほかのスコアはPassMark CPU Benchmarksによる集計値
グラフィックス性能
グラフィックス機能としては、CPU内蔵のIris Xe Graphicsが使われます。Core i7-1360P搭載の試用機で3Dベンチマークを行なったところ、CPU内蔵タイプとしてはスペックに準じた標準的な結果が出ました。ゲームやグラフィックスソフトで多少の効果が見込めますが、大作ゲームや高度な動画編集を行なえるほどではありません。
GPUの性能差(DirectX 12)
GPU | 3DMark Time Spy Graphicsスコア |
---|---|
GTX 1650 |
3241
|
Radeon 680M(Ryzen 7 6800U) |
2211
|
Inspiron 16(Iris Xe, Core i7+LPDDR5) |
1567
|
Iris Xe(Core i7+LPDDR4) |
1528
|
Iris Xe(Core i5+LPDDR4) |
1302
|
Radeon (Ryzen 7) |
1204
|
Iris Xe(Core i7+DDR4) |
1149
|
Iris Xe(Core i5+DDR4) |
977
|
UHD(Core i3) |
900
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
PCを使った作業の快適さ
PCMark10は、PCを使った作業の快適さを計測するベンチマークテストです。一般的な作業を想定しているため、テストでは比較的軽い処理が行なわれています。各テストの傾向としては「Essentials」(一般利用)ではCPUのシングルコア性能やストレージ性能、「Productivity」(ビジネス利用)ではCPUのマルチコア性能とメモリー性能、「Digital Contents Creation」(コンテンツ制作)ではCPUとストレージ、GPU性能が強く影響するようです。
各テストの目標値は、大きくクリアーしています。最新のRyzenシリーズ搭載機にはスコアでやや劣る場合もありますが、第12世代Coreプロセッサ搭載機のパフォーマンスは上回ると考えていいでしょう。マルチコア性能が強く関わるテストのスコアが低めなので、発熱による影響が出ているのかもしれません。
PCMark 10ベンチマーク結果
テスト | スコア |
---|---|
Essentials (一般的な利用) 目標値:4100 |
10501
10616
10917
9869
10647
10093 |
Productivity (ビジネス利用) 目標値:4500 |
7622
10003
9572
8854
6968
6759 |
Digital Contents Creation (コンテンツ制作) 目標値:3450 |
6624
6018
6536
8298
5997
6342 |
※スコアの目標値はPCMark 10公式サイトによるもの
比較機のスペック(スリムノートPC)
▶ThinkBook 14 Gen5 | Ryzen 5 7530U / 16GB / Radeon |
---|---|
▶IdeaPad Flex 5 Gen8 | Ryzen 7-7730U / 16GB / Radeon |
▶Zenbook 15 OLED | Ryzen 7 7735U / 16GB / Radeon |
▶HP Spectre x360-14 | Core i7-1255U / 16GB / Iris Xe |
▶XPS 13 Plus | Core i7-1260P / 16GB / Iris Xe |
バッテリー駆動時間
バッテリーの駆動時間は公開されていません。そこで標準収録ソフト「MyDell」の電源設定を標準である「最適化」に変更してビジネス作業 (Web閲覧や文書作成、ビデオチャットなど)での駆動時間を計測したところ、開始から12時間29分で休止状態へ移行しました。電源プランや画面の輝度を変更すれば、駆動時間はさらに延びる可能性があります。非常に長いわけではないものの、高いパフォーマンスを保ちながらこれだけもてば十分でしょう。
バッテリー駆動時間の計測結果(Core i7-1360Pモデル)
テスト方法 | バッテリー消費 | 駆動時間 |
---|---|---|
※公称値 | 小 | ※非公開 |
Modern Office (ビジネス作業) | 大 | 12時間29分 |
50%充電までにかかった時間 | - | 35分 |
フル充電までにかかった時間 | - | 1時間46分 |
※テストの条件や計測方法についてはコチラ
コスパの高い16インチ
前モデル『Inspiron 16 5620』からの主な違いは、CPUが第12世代から第13世代に変わった点とThunderbolt 4に対応した点、そしてメモリーがスロット式から増設不可のオンボード式に変わった点です。パフォーマンスと拡張性が向上したのはうれしい点ではあるものの、自分でメモリーを増設できなくなったのは残念です。
筐体については、なかなか高品質だと思います。16インチタイプとしては非常に薄く、取り扱いやすく感じました。仕上がりの品質については高級モデルには及ばないものの、ミドルレンジ(中級)クラスであれば十分と言っていいでしょう。個人的にはキーボードのタイプ感の軽さが気になるものの、軽い力で入力する人には問題ないはずです。
値段はタイミングによって大きく変動します。記事執筆時点(2023年7月中旬)では、最安のCore i5-1335U / 8GBメモリー / 512GB SSDモデルで8万8391円から。ただしセールによっては、10万円台で販売されていることもあるので注意してください。
現時点では、それほど安い機種ではありません。しかしCore i7-1360Pモデルは非常に高いパフォーマンスを発揮できるので、多少は高めでもアリです。今回のベンチマークテストでも、薄型ノートPCとしてはかなり優秀な結果が出ています。その意味で、いま買うならCore i7モデルをおすすめします。
Inspiron 16 5630
*
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