Celeron 3865Uってどの程度のCPUなの?
NECの15.6型エントリーノートパソコン「LAVIE Direct NS(B)」には、CPUにCeleron 3865UまたはPentium 4415Uを搭載した2種類のモデルが用意されています。
性能が高いのはPentiumですが、軽めの作業であればCeleronでも十分。用途がネットの閲覧やちょっとした資料の作成、動画の視聴程度なら、CeleronとPentiumでそれほど大きな性能差はありません。
そこで今回は筆者が購入したLAVIE Direct NS(B)のCeleronモデルを使って、実際の性能について解説します。
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Celeron 3865UとそのほかのCeleronシリーズを比較
Celeronは格安パソコン向けのCPUで、2017年8月時点ではCeleron 3865UのほかにCeleron N3350、Celeron N3450などが主に使われています。
そこで今回はLAVIE Direct NS(B)の性能比較用に、2種類の格安モデルのベンチマーク結果もまとめました。それぞれの主なスペックは、以下の表のとおりです。
■検証に使ったモデルのスペック
CPU | LAVIE Direct NS(B) | Inspiron 14 3000 エントリーモデル | Stl-14HP012-C-CDMM |
---|---|---|---|
CPU | Celeron 3855U | Celeron N3350 | Celeron N3450 |
グラフィックス | Intel HD Graphics 610 | Intel HD Graphics 500 | |
メモリー | 4GB | ||
ストレージ | 500GB HDD | 1TB HDD | 32GB eMMC |
Windows 10の快適さ
Windowsエクスペリエンスインデックス(システム評価ツールの結果) | |||
LAVIE Direct NS(B) | Inspiron 14 3000 エントリーモデル | Stl-14HP012-C-CDMM | |
---|---|---|---|
プロセッサ | 6.6 | 5.9 | 7.1 |
メモリ | 5.9 | 5.9 | 5.9 |
グラフィックス | 4.9 | 4.1 | 4.4 |
プライマリハードディスク | 5.9 | 5.9 | 6.65 |
Windows 10利用時の快適さを診断する「Windowsエクスペリエンスインデックス(システム評価ツールの結果)」を試してみたところ、CPU性能を表わす「プロセッサ」では多少の差が出たものの、そのほかのスコアでは大きな差は出ませんでした。Windows 10自体の処理については、あまり違いはないと考えていいかもしれません。
ただしこれは「Windows 10」のみを使ったときの快適さであって、そのほかのソフトを使ったときは性能差が大きく現われる可能性があります。あくまでもひとつの目安として捉えてください。
CPUの性能
CPUの計算性能を計測する「CINEBENCH R15」では、デュアルコア(2コア)のCeleron 3865Uよりもクアッドコア(4コア)のCeleron N3450のほうがマルチコア性能(「CPU」のスコア)で上回りました。複数のコアを使う高度で重い処理であれば、Celeron N3450のほうが有利かもしれません。
Celeron N3350についてはCeleron 3865Uと同じデュアルコアですが、CPU性能は大きく下回っています。
CINEBENCH R15ベンチマーク結果 | |||
LAVIE Direct NS(B) | Inspiron 14 3000 エントリーモデル | Stl-14HP012-C-CDMM | |
---|---|---|---|
CPU | 144cb | 94cb | 163cb |
CPU(シングルコア) | 76cb | 31cb | 45cb |
Core iシリーズなどそのほかのCPUとの性能差については、下記のリンクから関連記事をご覧ください。
https://komameblog.jp/exposition/compare-mobile-cpu/
HDDのアクセス速度
500GB HDDのアクセス速度は、標準的なHDD(100~110MB/秒)よりも若干遅めでした。しかし体感速度的にはそれほど変わらないはずです。
CrystalDiskMarkベンチマーク結果 | |||
LAVIE Direct NS(B) | Inspiron 14 3000 エントリーモデル | Stl-14HP012-C-CDMM | |
---|---|---|---|
Seq Q32T1リード | 98.80MB/秒 | 103.8MB/秒 | 208.8MB/秒 |
Seq Q32T1ライト | 89.89MB/秒 | 103.2MB/秒 | 60.70MB/秒 |
HDDは容量は大きいものの、アクセス速度が遅いのが欠点です。特にWindows 10の快適さに大きく影響するランダムアクセス(CrystalDiskMarkの「4K」)がかなり低く、処理の待ち時間が長くなる傾向にあります。eMMCは容量が少ないもののHDDよりもランダムアクセスが速いため、システムやアプリの起動が速いのが特徴。システムの快適さだけで考えると、eMMCのほうが有利と言えるでしょう。
とは言うものの、多少の待ち時間なら気にならないのであれば、HDD搭載機でも十分利用する価値はあります。もしくはストレージをHDDからより高速&快適なSSDに変えるのもアリです(ただしメーカー保証のサポート外となるので注意)。
パソコンとしての総合性能
総合的なパフォーマンスを計測する「PCMark 8」の結果を見ると、Celeron 3865Uがかなり有利であることがわかります。ファイルの読み書き速度が影響するテスト(「Writing」など)ではスコアが若干低めですが、それ以外のテストの結果はCeleron Nシリーズを上回っています。
■PCMark 8 Home acceleratedの結果
LAVIE Direct NS(B) | Inspiron 14 3000 エントリーモデル | Stl-14HP012-C-CDMM | |
---|---|---|---|
総合スコア | 2639 | 1744 | 1876 |
Web Browsing – JunglePin | 0.349 s | 0.473 s | 0.479 s |
Web Browsing – Amazonia | 0.138 s | 0.160 s | 0.165 s |
Writing | 5.84 s | 6.07 s | 5.72 s |
Photo Editing v2 | 0.341 s | 0.728 s | 0.704 s |
Video Chat v2 / Video Chat playback 1 v2 | 30.0 fps | 30.0 fps | 30.0 fps |
Video Chat v2 / Video Chat encoding v2 | 80.3 ms | 354.7 ms | 189.0 ms |
Casual Gaming | 17.7 fps | 10.8 fps | 11.6 fps |
これはおそらく、Celeron 3865Uのグラフィックス性能(Intel HD Graphics 610)がCeleron N3350/N3450のグラフィックス性能(Intel HD Graphics 500)よりも優れているためでしょう。グラフィックス性能が大きく影響する画像処理や動画エンコード、ゲームなどで大きな差が出ていることから、Celeron 3865Uが対応するサポート機能(OpenCL)が効いているものと思われます。
各パーツについて個別のスコアを見る限りでは、Celeron 3865UはほかのCeleronシリーズよりも優れているわけではありません。しかし実際の作業を想定した総合的なテストでは、バランスの良さでほかのCPUを上回っていることがわかります。
同じく総合的な性能を計測する「PassMark PerformanceTest 9.0」 でも、Celeron 3865Uを搭載するLAVIE Direct NS(B)がグラフィックス性能でほかのモデルを上回りました。CPUのマルチコア処理ではCeleron N3450のほうが上ですが、総合的な性能で見るとCeleron 3865Uのほうが勝っていると考えていいでしょう。
■PassMark PerformanceTest 9.0ベンチマーク結果
LAVIE Direct NS(B) | Inspiron 14 3000 エントリーモデル | Stl-14HP012-C-CDMM | |
---|---|---|---|
Pass Mark(総合スコア) | 1314.7 | 857.8 | 999.8 |
CPU Mark | 2028.9 | 1279.2 | 2055.9 |
2D Graphics Mark | 438.0 | 282.0 | 261.7 |
3D Graphics Mark | 664.3 | 342.9 | 359.8 |
Memory Mark | 1327.8 | 920.9 | 901.7 |
Disk Mark | 733.4 | 618.8 | 713.3 |
3Dグラフィックス性能
ゲームの快適さに大きく影響する3D性能を計測するために「3DMark」を試してみたところ、グラフィックス性能でほかを上回るCeleron 3865Uを搭載したLAVIE Direct NS(B)の圧勝という結果となりました。
■3DMarkベンチマーク結果
LAVIE Direct NS(B) | Inspiron 14 3000 エントリーモデル | Stl-14HP012-C-CDMM | |
---|---|---|---|
Fire Strike | 454 | 294 | 330 |
Sky Diver | 1971 | 1070 | 1246 |
Cloud Gate | 3037 | 2017 | 2696 |
Ice Storm | 31093 | 22535 | 29067 |
しかしスコアが高いと言っても、それはCeleronシリーズのなかでのこと。ドラクエ10やPSO2など国内で人気のゲームを楽しむにはFire Strikeのスコアが最低でも1000は欲しいので、この結果では全然パワーが足りません。ほかのCeleronシリーズよりは3D性能が高いものの、3Dゲームで遊ぶのは厳しいと考えたほうが吉です。
ただし、2D描画主体のゲームやごく軽めの3Dゲーム、ブラウザーゲームやUWPアプリ(Windows 10用アプリ)などであれば、問題なく楽しめるでしょう。このあたりについては、今後も検証していくつもりです。
YouTubeの動画再生
最近のCPUには動画再生支援機能が付いているので、格安モデルでも快適にネット動画を視聴できます。LAVIE Direct NS(B)でも動画が止まったりカクカクしたりすることなく、快適に視聴できました。もしカクつくとしたら、ネット回線や無線LANの速度が影響しているしているのかもしれません。
ちなみに外部ディスプレイを接続して4K解像度(3840×2160ドット)の動画を再生したところ、ときどき動きがカクっとする場面がありました。気になるレベルではありませんが、4K動画を視聴するなら意識しておいたほうがいいかもしれません。
軽めの作業なら問題なく使える
ということで、今回はCeleron 3865U搭載のLAVIE Direct NS(B)のベンチマーク結果をお届けしました。結論を簡単にまとめると「ネットの調べ物やメール、動画視聴、文書作成には問題なく使える」ということです。より快適に利用したい場合は購入時にCPUをPentium 4415Uにアップグレードするか、Core iシリーズを搭載するLAVIE Direct NS(S)シリーズを選ぶといいでしょう。
なお今回取り上げたLAVIE Direct NS(B)の詳細については、下記のリンクよりレビュー記事をご確認ください。
LAVIE Direct NS(B)の価格については、セール情報記事からご確認いただけます。納期や支払い方法などについては、公式サイトの販売ページをご覧ください。