レノボのLenovo Yoga 920(以下、Yoga 920)は、軽量スリムでハイスペックな2-in-1タイプのモバイルノートPCです。画面サイズは13.9インチで3840×2160ドットの4K解像度にも対応しています。
重量は1.37kgで、バッテリー駆動時間は10時間以上。モバイルタイプの2-in-1ノートPCとしても活用できます。
Yoga 920のポイント
今回はメーカーからお借りした実機を使って、Yoga 920の本体デザインや使い勝手、性能などをレビューします。
この記事の目次
- 1:スペックとラインナップ
- 2:2-in-1なのにスリムなボディ
- 3:画面は色鮮やかで高精細
- 4:使い勝手のいいキーボード
- 5:インターフェースは物足りない
- 6:薄型でも高いパフォーマンス
- 7:まとめ
スペックとラインナップ
Yoga 920のスペック
OS | Windows 10 Home |
---|---|
CPU | Core i5-8250U / Core i7-8550U |
メモリー | 8 / 16GB |
ストレージ | 256 / 512 GB SSD(PCIe) |
グラフィックス | Intel UHD Graphics 620 |
光学ドライブ | なし |
ディスプレイ | 13.9型、1920×1080 / 3280×2160ドット、光沢、タッチ対応、ゴリラガラス採用 |
通信機能 | IEEE802.11a/b/g/n/ac対応無線LAN、Bluetooth 4.1 |
インターフェース | Thunderbolt 3 / USB3.1 Gen2 (Type-C)✕2、USB3.0(フルサイズ)×1、ヘッドホン出力 |
セキュリティ機能 | TPM 2.0、指紋センサー、パワーオンパスワードなど |
カメラ | 720p(92万画素) |
サイズ/重量 | 幅323×奥行き223.5×高さ13.95mm/約1.37kg |
バッテリー駆動時間 | 14.6時間(Core i5) / 10.3時間(Core i7) |
※2018年3月14日時点。構成や価格は変更される場合があります
Yoga 920のラインナップ
Yoga 920には、パーツ構成の異なる2種類のモデルが用意されています。各モデルともにスペックは固定で、パーツのアップグレードには対応していません。
ラインナップ
Core i5モデル | |
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税込14万円台 | |
Core i7モデル | |
税込20万円前後 |
※2018年3月14日時点。構成や価格は変更される場合があります
基本的にはCore i5モデルでも十分な性能です。4K映像を楽しみたい人や負荷の高い作業を行なう機会が多い人なら、Core i7モデルを選ぶといいでしょう。
2-in-1なのにスリムなボディ
特殊ヒンジでスリムなボディを実現
Yoga 920の特徴は、液晶ディスプレイが360度回転する2-in-1タイプであるにも関わらず本体が非常に薄い点です。公称値では高さは13.95mm。画面がやや大きいこともあって、実際に手に持つととてもスリムに感じます。
2-in-1タイプであるにも関わらずこれだけの薄さを実現しているのは、レノボ独自の”ウォッチバンドヒンジ”を採用しているからです。ヒンジは名前のとおり腕時計のバンドのような外観で、開閉角度によって精密に動くギミックは秀逸。
本体の大きさはA4用紙をふた回り大きくした程度です。標準的なモバイルノートPCよりはやや大きいのですが、モバイル向けとしては大きな13.9インチの液晶ディスプレイを搭載しているので仕方がないでしょう。
質感の高い本体デザイン
本体カラーはプラチナとブロンズの2色。今回試用したのはプラチナモデルで、明るいシルバーが印象的です。ボディには質感と剛性(ねじれやゆがみに対する強さ)に優れるアルミ素材が使われており、高い堅牢性も確保されています。
さまざまなスタイルで利用可能
レノボのYogaシリーズは、液晶ディスプレイが360度回転する2-in-1タイプのノートPCです。タブレットとしてだけではなく、テントスタイルやスタンドスタイルなどさまざまな形で利用できます。
2-in-1タイプとしては軽量
重量は1.37kgです。モバイルノートPCの標準は1.0~1.2kgですが、一般的な13.3インチよりも画面がやや大きい点と液晶ディスプレイが回転する2-in-1タイプであることを考えれば軽い部類に入ります。個人的には、問題なく持ち運べる重さです。
アクセサリー類の重さ(実測値)
電源アダプター | 325g |
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アクティブペン | 17g |
画面は色鮮やかで高精細
フルHDと4Kに対応
液晶ディスプレイのサイズは、モバイルノートPCとしてはやや大きめの13.9インチです。ほぼ14インチ程度と考えていいでしょう。解像度はCore i5モデルが1920×1080ドットのフルHDで、Core i7モデルが3840×2160ドットの4K。4Kのほうがギザギザ感がなく精細に表示されますが、バッテリー駆動時間が短くなる点に注意してください。
液晶ディスプレイのベゼル(枠)は、実測で左右6.5mm強、上部9.5mm。タッチ対応機は液晶ディスプレイの強度を保つためにベゼル幅が広いものが多いのですが、Yoga 920はベゼル幅の狭い狭額デザインを採用しています。
非常に色鮮やかな映像
写真を表示して色合いを確認したところ、コントラストと彩度が高めのように感じました。画面も明るく、映像はとても色鮮やかです。ただし若干ですが、色味が派手な気もします。
タッチ対応のグレア仕上げ
液晶ディスプレイはタッチ対応のグレア(光沢あり)仕上げです。強い照明の下では光の映り込みが気になるので、画面の角度を調整するといいでしょう。非光沢シートを利用するのも手ですが、その場合は画面の鮮やかさがわずかに落ちてしまう点に注意してください。
使い勝手のいいキーボード
キーは十分な大きさ
キーボードのキーピッチ(キーとキーの間隔)は、理想とされる19mmです。Enterキー周辺で一部のキーがやや小さくなっていますが、基本的には十分な大きさで普通に利用できました。
少し気になるのはEnterキーと「む」キーが隣接している点と、カーソルキーの上下が小さい点です。「む」キーのほうはあまり影響はありませんでしたが、カーソルキーはカーソル移動時に使いづらく感じます。
タイプ音がとても静か
キーストローク(キーを押し込む深さ)は実測1.5mmでした。ノートPCとしては標準的です。クリック感は軽いのですが、普通に利用できる仕上がり。むしろ薄型PCで普通の使い心地を実現しているのは、高く評価したいポイントだと言えます。
タイプ音は非常に静かです。指を横にすべらせるようにして打つと、音はほとんど聞こえません。打ち下ろすように入力しても、「トストストス」と控えめな音です。キーボードの静音性は高く、音を気にすることなく利用できます。
使い心地のいいタッチパッド
タッチパッドはボタン一体型です。十分な大きさで、ダイナミックな操作も問題ありません。ボタンクリックは固すぎず、柔らかすぎずといったところ。クリック音はやや低く、あまり響かないのはうれしいポイントです。クリック感の心地いいタッチパッドでした。
4Kペン入力の表現力がスゴイ
Yoga 920はペン入力対応で、アクティブペンが標準で付属します。ペン入力時の遅延はほとんど感じられず、書き味はなめらかでした。
ビックリしたのは4K解像度で線を描くと微妙なタッチまで繊細に表現される点です。軽い力だと、子供の髪の毛のように細い線を描けます。筆者はイラスト制作については素人レベルですが、かなりレベルの高いイラストも制作できるのではないでしょうか。
インターフェースは物足りない
メモリーカード非対応
インターフェースはThunderbolt 3 / USB3.1 Gen2 (Type-C)✕2、USB3.0(フルサイズ)×1、ヘッドホン出力の構成です。メモリーカードスロットは非搭載なので、別途カードリーダーが必要になる点に注意してください。端子類はもう少し種類があるといいのですが、薄型であることを考えればやむを得ないでしょう。
指紋センサーを標準搭載
セキュリティー機能として、指紋センサーを標準で搭載しています。あらかじめ指紋を登録しておけば、指で軽く触れるだけでサインインできるので非常に便利です。
薄型2-in-1としては高音質
底面部にはJBLのステレオスピーカーが配置されています。実際に音楽を聴いてみたところ、音質の高さにビックリしました。音の広がりについては申し分なし。低音域から中音域にかけては情報量が多く、これまでノートPCでは聞き取れなかった微妙なディティールがはっきりと聞こえました。音楽をじっくり楽しめるクオリティーです。
とは言うものの、さすがに外付けスピーカーほどではありません。より高音質で楽しみたいなら、それなりの値段のスピーカーやヘッドセットの利用をおすすめします。
薄型でも高いパフォーマンス
Yoga 920のベンチマーク結果
今回のテストで使ったCore i7モデルの主な使用は以下のとおりです。ベンチマーク結果はパーツ構成や環境、タイミングなどによって大きく変わることがある点をあらかじめご了承ください。
テスト機の主なスペック
CPU | Core i7-8550U |
---|---|
メモリー | 16GB |
グラフィックス | Intel UHD Graphics 620(CPU内蔵) |
ストレージ | 512GB SSD(PCIe) |
SSDはPCIe接続だけあって、アクセスが超高速です。
基本性能を計測するベンチマークテストでは、優秀な結果が出ています。薄型PCでは熱対策のためにパフォーマンスが低下することがあるのですが、Yoga 920ではそのような症状は見られません。
3D性能のテストでは控えめな結果が出ていますが、3Dゲームをプレーするのでなければ気にする必要はありません。とは言えドラクエ10などの軽めのゲームであれば、解像度や画質を調整することで問題なくプレーできそうです。
作業の快適さを計測する「PCMark 10」では優れた結果ではあるものの、生産性の高さを計測する「Productivity」のテストでスコアが低めになっています。テスト時のCPUクロックと温度を確認したところ、温度をあえて抑えているような現象が見られました。軽めの作業ではCPUの熱を抑えるために、影響を感じない範囲で性能を落としているのかもしれません。
バッテリーはとても長持ち
バッテリー駆動時間の公称値はフルHDのCore i5モデルで最大14.6時間、4KのCore i7モデルで10.3時間とされています。当サイトでの計測方法では4Kモデルで最長12時間57分という結果になりました。実際にこの時間作業できるわけではありませんが、ほかのモデルが8~10時間程度であることを考えればバッテリー性能は非常に優秀です。
バッテリー駆動時間のテスト結果
BBenchによる計測 | 12時間57分 |
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PCMark 8による計測 | 4時間51分 |
※テストの条件や計測方法についてはコチラ
CPUはかなり高温
検証やベンチマーク中のCPU最大温度は94度でした。かなりの高音でCPUの限界温度(100度)ギリギリです。内部の熱が上昇しすぎると部品が劣化しやすくなるので、負荷の高すぎる作業は控えたほうがいいかもしれません。
CPUは高温ですが、キーボード面はそれほど熱くはありません。触るとほんのり温かい程度です。使用中に熱が気になることはないでしょう。
※本体温度の計測方法はコチラ
標準利用なら音は静か
負荷の低い作業では、駆動音(ファンの回転音や排気音)が気になることはありません。高負荷の処理では通気口からの排気音が聞こえますが、気になるほどではありませんでした。
駆動音の計測結果(室温20度前後)
電源オフ時 | 36.6dBA | – |
---|---|---|
待機中 | 36.7dBA | 音はまったく聞こえない |
動画視聴 | 37.3dBA | 耳を近づけるとファンの回転音がわずかに聞こえる |
動画変換 | 42.1dBA | 排気音がはっきりと聞こえる |
3Dゲーム | 42.1dBA | 同上 |
※駆動音の計測方法はコチラ
起動時間はかなり早い
起動時間(電源ボタンを押してからデスクトップが表示されるまで)は、平均で8.5秒でした。ノートPCとしてはかなり早い部類に入ります。
起動時間の計測結果(手動による計測)
1回目 | 2回目 | 3回目 | 4回目 | 5回目 | 平均 |
---|---|---|---|---|---|
8.7秒 | 12.7秒 | 6.9秒 | 7.2秒 | 7.0秒 | 8.5秒 |
消費電力は標準的
消費電力は低いのですが、モバイルノートPCとしては標準的です。ちなみに某大手家電メーカーの53型4Kテレビの消費電力は150W程度です(電源オフ時は01~0.3W)。日常的に使う機器としては、消費電力が非常に小さいことがおわかりいただけるでしょう。
1分間の平均消費電力(REX-BTWATTCH1による計測)
待機中 | 動画視聴 | 動画変換 | 3Dゲーム |
---|---|---|---|
16.8W | 17.4W | 33W | 33W |
※消費電力の計測方法はコチラ
4K液タブとして使うのもアリ?
ということで、今回はYoga 920のレビューをお届けしました。
本体デザインやパフォーマンスに優れる2-in-1ノートPCはほかにもありますが、ほかのモデルにはない大きな特徴は4K解像度でのペン入力に対応している点です(Core i7モデルのみ)。筆圧検知は4096段階と十分な性能で(ただし傾き検知には非対応)、本格的なイラスト制作にも活用できるのではないでしょうか。
Yoga 920のまとめ
- スリムな本体
- 4K解像度でのペン入力が可能
- 4096段階の筆圧検知対応
- メモリーカード非対応
※記事中の価格や構成は、2018年3月14日時点のものです。予告なく変更される場合もございますので、あらかじめご了承ください。