ファーウェイの「HUAWEI MatePad Paper」は、10.3インチのE Inkディスプレイを搭載するHarmony OS搭載タブレットです。付属のペンを使えば、書き味のいい電子ノートとして利用可能。薄くて軽くその上小さいので、持ち歩きにも向いています。
この記事ではメーカーからお借りした実機を使って、HUAWEI MatePad Paperの本体デザインや使い勝手などについてレビューします。
ポイント
完成度の高いボディ
HUAWEI MatePad Paperの本体は軽量スリムでコンパクト。ボディの素材は樹脂(プラスチック)と合皮が使われているものの、安っぽさは感じられません。フットプリントは一般的なシステム手帳よりも大きいのですが、薄さはかなりの魅力です。
ディスプレイは10.3インチで解像度は1872×1404ドット(横向き時)。画素密度は227ppiで、非常に高精細です。文字のドット感は少ないのですが、ごくわずかにボンヤリした印象を受けました。もしかするとディスプレイ表面のノングレア(非光沢)処理が影響しているのかもしれません。
画面の明るさは比較的に自由に変更可能。バックライトにも対応しており、明るさを最大に設定すると暗い場所でも画面の内容を確認できます。
優れたペンの描き心地
HUAWEI MatePad Paperには、手書き入力用のペン「HUAWEI M-Pencil (第2世代)」が付属します。筆圧感知は4096段階で、傾き検知にも対応。ボタンはありませんが、側面をダブルタップすることで対応するさまざまな機能を呼び出せます。
ペンの描き心地は、かなり上質に感じました。Androidタブレット / タブレットPCによくあるツルツルした感覚はなく、表面のわずかなザラつきにより適度な抵抗が感じられます。かといってペン先がひっかかることもなく、書き味はサラサラと滑らかでした。描き心地の良さに関しては、かなり上位の部類に入るのではないでしょうか。
ただし、描画の遅延はわずかに感じられます。と言っても明らかに遅れて描画されるほどではなく、線のカクカク感もありません。普通に使うぶんには気にならないでしょう。素早いペンの動きにもしっかりと対応しているので、むしろ従来のAndroidタブレット / タブレットPCよりも快適に使えます。
アプリが極端に少ない
ここからは、HUAWEI MatePad Papeのソフトウェア面での使い勝手を紹介します。なお今回使用したのは開発機だったらしく、作業中に何度もアラートが表示されました。販売されているモデルと、多少印象が異なるかもしれません。
HUAWEI MatePad PapeはE Ink電子ペーパーを採用するAndroidタブレットで、書籍リーダーや電子ノートとはコンセプトが異なります。本体にアプリをインストールして、さまざまな機能を利用できるのです。
ただし、標準で利用できるアプリが少なすぎます。プリインストールされているアプリが11種類なのはまだいいとして、公式のAppGalleryを開いても8種類しか用意されていません。
ホーム画面右上の検索窓をタップするとおすすめのアプリが表示されるのですが、ダウンロードページとして表示されるのは「APKPure」という野良アプリ配布サイトです。アプリ権利元の許可を得て配布しているのかは不明で、無許可で配布している可能性があります。またこのサイトは過去にマルウェアを含んだアプリを配布したことがあり、その意味で利用はおすすめできません。
信頼できるアプリ(APKファイル)を入手してインストールすればいいのですが、一般ユーザーにはハードルが高いと言わざるを得ないでしょう。ある程度知識のある人向けです。
アプリを使わずに電子ノート機能だけでなんとかしようと思っても、いまひとつな印象です。手書きメモ作成機能は素晴らしいのですが、書いたメモの有効な使い道が限られています。
たとえば作成したメモは、PDFなどに変換することでほかのデバイスでも利用できます。しかし、この手続きがすでに面倒。いまどきであればクラウドメモアプリのように、各デバイスでシームレスに共有できるべきでしょう。
また手書き文字をテキスト化することはできても、それが手書きメモ内に保存されるわけではありません。コピーされたテキストデータを、いちいち別の文書に貼り付ける必要があるのです。この手続きに、なんの意味があるのでしょうか?
メモの共有はAPKファイルを使ってアプリを導入すれば、利用可能です。しかしいまどきの電子ノートであるならば、このくらいは標準機能あるいは簡単なアプリ登録で利用できるようにして欲しかったというのが正直な感想です。
ちなみにHUAWEI MatePad Papeは写真や動画なども利用できます。ただしファイルとして再生するには、別途アプリが必要。ブラウザー経由で再生すれば可能ですが、E -Ink特有の画面切り替わり時の反転表示があるため動画の再生には向きません。
電子書籍も少ない
ファーウェイ公式の電子書籍ストア「HUAWEI Books」では、30万点以上電子書籍がラインナップされているとのこと。そのうち国内向けの書籍は10万冊です。数の印象としては十分な気もしますが、実際のところ国内の主要サービスと比べるとそれほど多くありません。読みたい本を検索しても、出てこない可能性があります。
個人的に気になるのは、書籍のセールが行なわれていない点です。いまどきは多くの電子書籍ストアで毎日のようにセールが行なわれており、手頃な値段で購入できます。そのことを考えると、ほぼ定価販売のように見えるHUAWEI Booksでは割高感がありました。
電子書籍のラインナップは今後増えるとのことですが、現時点ではあまり期待しないほうがいいでしょう。
ソフト面での改善が課題
HUAWEI MatePad Papeのデバイスとしての完成度は、かなり高いと思います。本体は軽量スリムかつコンパクトで扱いやすく、ペンの描き心地も上々です。
しかしソフトウェア面の仕上がりが残念。いろいろわかっている中上級者がリスク込みで使うならアリですが、詳しくない人は避けたほうがいいでしょう。ソフトウェア / システム面のアップデートが期待されます。
*
当サイトでは2~3万円台の格安ノートPCから高性能ノートPCまで、さまざまな最新モデルを検証・解説しています。記事の更新情報やお買い得情報を当サイトのツイッターアカウントでお知らせしているので、ぜひフォローをお願いします。
ツイッターでこまめブログをフォローする
関連記事
パソコンお買い得情報一覧