マウスコンピューターのm-Book Fシリーズは、15.6インチのフルHDディスプレイを搭載したスタンダードタイプのノートPCです。DVDの再生と書き込みが可能な光学ドライブを搭載しているほか有線LANやVGA(D-sub15ピン)に対応するなど、実用性を重視した作りが特徴。ビジネスからプライベートまで、さまざまなシーンで活用できます。
m-Book Fの注目ポイント
HDD+SDDの同時利用が可能
大容量のHDDとアクセスが高速なSSDを同時に搭載できます(要追加オプション)。空き容量を気にすることなく、しかもサクサク快適に使えるのでおすすめ!
光学ドライブに対応
最近のノートPCは光学ドライブ非搭載のものが多いのですが、m-Book Fシリーズはバッチリ対応しています(一部モデルを除く)。DVDやブルーレイも利用可能です。
眼に優しい非光沢
液晶ディスプレイは光の映り込みを抑えた非光沢(ノングレア)タイプ。長時間の作業でも眼が疲れにくい点がメリットです。
実際にm-Book Fを使ってみましたが、仕事や普段使いにはホントにイイ感じです。CPUが特別高性能であるとかPCゲームが快適というわけではないのですが、遅すぎず速すぎずといったところで、標準的な利用にはピッタリ。Core i5/i7モデルであれば、ちょっとした動画編集や写真加工にもそこそこ使えます。
本体のデザインはちょっと無骨で、華やかさとかはまったくありません。でも安っぽく見えるわけではありませんし、妙な丸みもなく無難なデザインと言えるでしょう。実用性重視という感じですね。
ということで今回はメーカーからお借りしたm-Book Fの実機を使って、本体デザインや使い心地、ベンチマーク結果などをレビューします。
この記事の目次
m-Book F(2018年モデル)
税込7万3224円~
※価格や構成は変更される場合があります
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スペックとラインナップ
m-Book Fのスペック
OS | Windows 10 Home / Pro |
---|---|
CPU | Core i3-7100U / Core i5-8250U / Core i7-8550U |
メモリー | 4~32GB |
ストレージ | HDD / SSD ※デュアル可 |
グラフィックス | Intel HD / UHD Grahpics 620 |
光学ドライブ | なし/あり(一部オプション) |
ディスプレイ | 15.6インチ、1920×1080ドット、非光沢、タッチ非対応 |
通信機能 | IEEE802.11a/b/g/n/ac対応無線LAN、Bluetooth 4.2、1000BASE-T対応有線LAN |
インターフェース | USB3.0(フルサイズ)×1、USB3.0(Type-C)×1、USB2.0×2、VGA(D-sub15ピン)、HDMI、有線LAN、SD/SDHC/SDXC対応メモリーカードスロット、ヘッドホン出力/マイク入力 |
セキュリティ機能 | セキュリティースロット、TPM 2.0、マカフィー リブセーフ(60日体験版) |
カメラ | 100万画素 |
サイズ/重量 | 幅377×奥行き257×高さ31.9mm(突起物含む)/約2.1~2.3kg |
オフィス | オプション |
バッテリー駆動時間 | 6時間 |
※2018年9月20日時点。構成は変更される場合があります
m-Book FシリーズではCPUとして第7世代のCore i3-7100Uと、第8世代のCore i5-8250UおよびCore i7-8550Uの3種類が用意されています。安いのはCore i3搭載モデルですが、快適に使うなら性能が高いCore i5/i7がおすすめです。
CPU性能比較(CPU Mark)
CPU | PassMark CPU Markスコア |
---|---|
Core i7-8550U |
|
Core i5-8250U |
|
Core i3-7100U |
|
※スコアは当サイト計測の平均値で、m-Book Fの実際の性能を表わすものではありません
メモリーは標準では4~16GB(モデルによって異なる)ですが、購入時のカスタマイズで容量を増やせます。またHDDとSSDを同時に使う”デュアルストレージ”構成にも対応。予算や用途に応じて、自由にスペックを調整可能です。
なお一部のモデルでは光学ドライブが非搭載である点に注意してください。必要な場合は、購入時のカスタマイズ画面で追加可能です(要追加料金)。
ラインナップ
m-Book Fシリーズには、パーツ構成の異なるモデルが全部で10種類用意されています。それぞれの主な仕様と価格は以下のとおり。メモリーやストレージは注文時のカスタマイズ画面で変更できますが、CPUについてはあとから変更することはできません。
ラインナップ(全10モデル)
m-Book F536EN | |
---|---|
税込7万3224円 | |
m-Book F536EN-C | |
税込7万8624円 | |
m-Book F536BN-S2 | |
税込8万4024円 | |
m-Book F536BN-SH | |
税込8万9424円 | |
m-Book F556BN-S2 | |
税込9万4824円 | |
m-Book F556BD-S2 | |
税込9万8064円 | |
m-Book F556SN-M2SH2 | |
税込10万0224円 | |
m-Book F556SD-M2SH2 | |
税込10万3464円 | |
m-Book F576SD-M2SH2 | |
税込11万1024円 | |
m-Book F576SD-M2SH5-C | |
税込13万2624円 |
※2018年9月20日時点。価格はタイミングによって変わります
変更できるパーツの種類や価格は、モデルによって異なります。パーツカスタマイズの詳細については、公式サイトでご確認ください。
リンク
公式サイトのm-Book F詳細ページ
本体の大きさやデザイン
m-Book Fの本体カラーはブラックで一見すると地味な印象ですが、直線的で角ばったデザインを採用しているため、比較的スタイリッシュに見えます。ボディの素材は樹脂(プラスチック)で金属素材のような質感は感じられないものの、それほど安っぽくは感じませんでした。
本体サイズはやや大きめですが、15.6インチタイプとしては標準的です。高さは25.4mmで、これもまた標準的な厚み。しかしゴム足が大きいため、設置時の高さは31.9mmとちょっと厚くなります。と言っても持ち歩くわけではないので、あまり気になることはないでしょう。
ノートPCの平均重量
画面サイズ | 平均重量 |
---|---|
11.6インチ | 1.126kg |
12.5インチ | 1.131kg |
13.3インチ | 1.253kg |
14インチ | 1.518kg |
15.6インチ | 2.174kg |
ノートPC全体 | 1.551kg |
※2017年12月~2018年5月に当サイトが検証したノートPC(2-in-1を含む) 50台ぶんの実測値より
画面の色と見やすさ
液晶ディスプレイのサイズは15.6インチで、ノートPCのなかではもっともよく使われている大きさです。解像度は1920×1080ドットのフルHD。1366×768ドットのHD解像度に比べてデスクトップを広く使える上に、一度により多くの文字を表示できるので作業効率が大きく向上します。
映像を確認したところ、色がやや青みがかっていました。スマホなどで使われているIPSパネルほど自然ではありません。とは言うものの内容は普通に確認できますし、色にこだわる人でなければ問題ないでしょう。
画面は光沢のないノングレア仕上げです。光の映り込みが抑えられるので眼が疲れにくく、長時間の作業に向いています。
キーボードの使いやすさ
キーボードはテンキー付きの日本語配列です。バックライトには対応していません。
キーピッチ(キーとキーの間隔)は18mmで、理想とされる19mmよりもやや小さめです。実際に入力したところ確かにちょっと窮屈に感じましたが、使い続けるうちに慣れるでしょう。
気になるのはEnterキー周辺の配列です。カーソルキーがEnterキーのすぐ下にあるため、右Shiftキーが左側に寄せられています。また→キーがテンキー側に食い込んでいるため、誤ってテンキーを押してしまうことがあるかもしれません。個人的にはEnterキーとテンキーの間隔はもう少し広いほうが使いやすいと思います。
キーストローク(キーを押し込む深さ)は1.8mmで、ノートPCの標準(1.5mm)よりも深く作られています。深さがあるのでタイプ感はしっかり感じられるのですが、入力時に少しぐらつきを感じました。とは言え、総合的にはタイプ感は悪くありません。
キーのタイプ音はうるさすぎない程度で、静かというわけではありません。軽い力で入力すると「カタカタカタ」と控えめな音が聞こえます。強いタッチだと「パチパチ」と響くので、静かな場所では軽めのタッチを意識するといいでしょう。
端子類の種類と使いやすさ
インターフェース(端子類)は、充実しています。USB端子は合計4ポートと十分な構成。ビジネスシーンで使う機会が多い有線LANやVGA(D-sub15ピン)にも対応しています。
左側面のインターフェース
- ① 電源コネクター
- ② VGA(D-sub15ピン)
- ③ 1000BASE-T対応有線LAN
- ④ HDMI
- ⑤ USB3.0
- ⑥ USB3.0(TYpe-C)
右側面のインターフェース
- ① ヘッドホン出力/マイク入力
- ② USB2.0
- ③ 光学ドライブ
- ④ セキュリティースロット ※盗難防止用
前面のインターフェース
- ① SDメモリーカードスロット
駆動時間や発熱、騒音
ここからは、m-book Fの性能テストの結果を紹介します。テストに使ったモデルの型番はm-Book F556SD-M2SH2で、主なスペックは以下の表のとおり。検証/ベンチマーク結果はパーツ構成や個体差、環境、タイミングなどによって大きく変わる点をあらかじめご了承ください。
試用機のスペック
OS | Windows 10 Home |
---|---|
CPU | Core i7-8550U |
メモリー | 8GB |
ストレージ | 256GB SSD + 1TB HDD |
グラフィックス | Intel UHD Graphics 620(CPU内蔵) |
バッテリー駆動時間計測結果
当サイトでの計測方法でバッテリー駆動時間のテストを行なったところ、最大で4時間49分という結果となりました。公称値よりも短いのですが、これはバッテリー残量が10%を切るとバッテリー切れになるように設定されていたからだと思われます。
バッテリー消費の大きいPCMark 8の結果も加味すると、実際の駆動時間は4時間程度と考えたほうがいいでしょう。長くはありませんが、そもそもm-Book Fは持ち歩き用ではないため、大きな問題ではないはずです。
バッテリー駆動時間のテスト結果
公称値 | 6時間 |
---|---|
BBenchによる計測 | 4時間49分 |
PCMark 8による計測 | 3時間20分 |
※テストの条件や計測方法についてはコチラ
なおバッテリー駆動時間は作業内容によって大きく変わる点に注意してください。
本体の温度について
キーボード面の温度を計測したところ、動画変換などの高負荷時には温度がかなり上昇しました。実際に触ってみると、けっこう温かく感じます。左側面の通気孔付近も高温になるため、近くに物を置くのは控えたほうが良さそうです。
表面温度(室温27.1℃) ※画像クリックで拡大
動画視聴 | 動画変換 | 3Dゲーム |
---|---|---|
最大36.1℃ | 最大44.9℃ | 最大46.7℃ |
駆動音の計測結果
駆動音(ファンの回転音や通気口からの排気音)を計測したところ、軽めの処理では音は聞こえませんでした。高い負荷がかかると排気音が聞こえますが、気になるほどではありません。
駆動音の計測結果(室温27.1℃)
電源オフ | 37.1dBA | - |
---|---|---|
待機中 | 37.1dBA | ほぼ無音 |
動画視聴 | 37.6dBA | ファンの回転音がほんのわずかに聞こえる |
動画変換 | 50.2dBA | 排気音が聞こえるが大きくはない |
3Dゲーム | 55.0dBA | 排気音がけっこう大きい |
消費電力について
さまざまな状況下での消費電力は以下のとおり。高性能なCore i7-8550Uを搭載しているにも関わらず、消費電力は控えめです。
1分間の平均消費電力(REX-BTWATTCH1による計測)
待機中 | 動画視聴 | 動画変換 | 3Dゲーム |
---|---|---|---|
8.4W | 12W | 31.2W | 31.2W |
※消費電力の計測方法はコチラ
起動時間について
起動時間(電源ボタンを押してからデスクトップが表示されるまで)は平均11.66秒(高速スタートアップ有効)でした。SSD搭載機の平均(16~17秒程度)よりも起動が速く快適に利用できますが、ストレージがHDDのみだと起動に40秒以上かかるかもしれません。
起動時間の計測結果(手動による計測)
1回目 | 2回目 | 3回目 | 4回目 | 5回目 | 平均 |
---|---|---|---|---|---|
13.3秒 | 11.3秒 | 11.2秒 | 11.2秒 | 11.3秒 | 11.66秒 |
ベンチマーク結果
試用機のスペック
OS | Windows 10 Home |
---|---|
CPU | Core i7-8550U |
メモリー | 8GB |
ストレージ | 256GB SSD + 1TB HDD |
グラフィックス | Intel UHD Graphics 620(CPU内蔵) |
ストレージ性能
試用機で使われていた256GB SSDはSATA接続タイプで、アクセス速度は標準的です。購入時のカスタマイズオプションでNVMeタイプのSSDを選べば、より快適に利用できます。
CPU性能
CPU性能を計測するベンチマークテストでは、Core i7-8550Uの平均値を下回る結果が出ました。CPU温度が上がりすぎないように調整しているためか、パフォーマンスがわずかに抑えられているようです。とは言え、普段使いには十分な結果が出ています。
CPU性能比較(マルチコア)
名称 | CINEBENCH R15スコア マルチコア |
---|---|
Core i7-8550U |
|
Core i5-8250U |
|
m-Book F(Core i7-8550U) |
|
Core i7-7500U |
|
Core i5-7200U |
|
Core i3-7100U |
|
※そのほかのCPUのスコアは当サイト計測の平均値
CPU性能比較(CPU Mark)
名称 | PassMark CPU Markスコア |
---|---|
Core i7-8550U |
|
Core i5-8250U |
|
m-Book F(Core i7-8550U) |
|
Core i7-7500U |
|
Core i5-7200U |
|
Core i3-7100U |
|
※そのほかのCPUのスコアは当サイト計測の平均値
3D性能
3D性能のテストでもCPUのときと同様に、平均値よりもやや低い結果が出ています。と言っても平均値を少し超えたからと言ってゲームを快適に遊べるわけではないので、気にする必要はありません。
3D機能の性能比較
名称 | グラフィックス機能 | 3DMark Fire Strikeスコア |
---|---|---|
Core i7-8550U | Intel UHD Graphics 620 |
|
Core i5-8250U | Intel UHD Graphics 620 |
|
m-Book F(Core i7-8550U) | Intel UHD Graphics 620 |
|
Core i3-7100U | Intel HD Graphics 620 |
|
ゲーム系ベンチマークでも、プレーには厳しい結果が出ています。ただしドラクエ10などごく軽めのゲームで解像度を1280×720ドットにまで落とせば、多少は遊べるレベルになるかもしれません。
ゲーム系ベンチマーク結果(フルHD)
FF14:紅蓮のリベレーター(DX11) ※中量級 | |||
---|---|---|---|
最高品質 | 高品質(ノートPC) | 標準品質(ノートPC) | |
829(動作困難)※4.788 FPS | 1193(設定変更が必要)※7.334 FPS | 1599(設定変更を推奨)※10.218 FPS | |
ドラゴンクエストX ※軽い | |||
最高品質 | 標準品質 | 低品質 | |
2562(やや重い) | 3341(普通) | 4110(普通) |
動画変換や写真加工の快適さ
動画出力(書き出し)
動画出力にかかった時間
かかった時間 | |
---|---|
m-Book F(Core i7-8550U+8GB) | 7分25秒 |
m-Book B506H(Core i7-8550U+8GB) | 14分16秒 |
※「Adobe Premiere Pro CC 2018」を使って、FF14ベンチをキャプチャーした6分44秒のフルHD動画に画像とテロップ、音声を追加した合計7分のゲーム実況風動画を作成。書き出し設定は「H.264」で、「YouTube 1080p HD」のプリセットを使用。
動画変換
動画変換にかかった時間
CUDA | ソフトウェア | |
---|---|---|
m-Book F(Core i7-8550U) | ※非対応 | 12分50秒 |
Core i7-8550U+GTX1050 | 3分47秒 | 6分46秒 |
※Adobe Media Encorder CCで5分間の4K映像(XAVC-S、3.51GB)をプリセット「YouTube 1080p HD」で変換するのにかかった時間
総合的なクリエイティブ性能
PCMark 10では各スコアが3000を超えれば本格的な作業をなんとか行なえるレベルです。テストでは写真と動画の編集についてはクリアーしているため、ちょっとした作業なら問題ありません。
PCMark 10ベンチマーク結果(一部抜粋)
Digitala Content Creation(総合スコア) | 2623 |
---|---|
Photo Editing(写真編集) | 3097 |
Rendering and Visualization(3D制作) | 1765 |
Video Editing(動画編集) | 3305 |
さまざまな用途に適した万能PC
ということで、今回は m-Book Fのレビューをお届けしました。
このモデルはほかのマウス製品に比べて突出した特徴はないものの、そのぶんスキのない完成度に仕上がっていると思います。ひととおりの機能は揃っていますし、値段もお手ごろ。これからパソコンを始めたい初心者の方から、バリバリと使いこなしたい人にまでオススメのモデルです。
ラインナップが全部で10種類と多いのですが、選ぶならHDD+SSD+DVD構成のCore i5モデルまたは同構成のCore i7モデルを選ぶといいでしょう。ストレージの容量がたっぷりあるので、空き容量不足で困ることはありません。動画編集などに使うのであれば、16GBメモリー搭載モデルをおすすめします。
m-Book Fのまとめ
- 光学ドライブに対応
- インターフェースが豊富
- 柔軟なパーツカスタマイズに対応
m-Book F(2018年モデル)
税込7万3224円~
※価格や構成は変更される場合があります
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