マウスコンピューターのm-Book W890は、17.3インチの大型ディスプレイを搭載したノートPCです。一般的な15.6インチに比べて画面が大きいぶん映像の迫力が増すほか、文字や画像が見やすいメリットもあります。
特徴は専用グラフィックス機能 (GPU)として、GeForce GTX 1650を搭載している点です。そのため厳密にはゲーム用のモデルではありませんが、ゲームを十分楽しめるほどのパフォーマンスです。また高いGPU性能によって、動画編集や画像加工なども快適に行なえます。
注目ポイント
- 色鮮やかな17.3インチディスプレイ
- ゲームも楽しめるGTX 1650搭載
今回はメーカーからお借りしたm-Book W890の実機を使って、デザインや性能などをレビューします。
この記事の目次
m-Book W890
税込14万8824円~
※2019年8月13日時点。値段はタイミングで変わるため、最新価格は公式サイトでご確認ください
関連記事
- 初心者におすすめのノートパソコンまとめ
- 17インチノートPCおすすめモデル
m-Book W890のスペック
画面サイズ | 17.3インチ |
---|---|
解像度 | 1920×1080 |
CPU | Core i7-9750H |
メモリー | 8~32GB |
ストレージ | ・SSD ・SSD + HDD |
グラフィックス | GTX 1650 (4GB) |
幅×奥行き | 399×282.2mm |
厚さ | 25.9mm |
重量 | 約2.5kg |
バッテリー | 約6.3時間 |
※2019年8月13日時点。構成は変更される場合があります
本体カラー | ブラック |
---|---|
画面の表面 | 非光沢 |
パネルの種類 | IPS (AHVA) |
光学ドライブ | ー |
テンキー | あり |
有線LAN | ー |
無線LAN | 11a/b/g/n/ac |
Bluetooth | 5 |
USB3.1 | 1 |
USB3.0 | 1 |
USB2.0 | 1 |
USB Type-C | 1 (USB3.1) |
Thunderbolt 3 | ー |
メモリーカード | SD |
HDMI | 1 |
VGA (D-sub15) | ー |
DisplayPort | 1 (Mini) |
Webカメラ | 100万画素 |
顔認証カメラ | - |
指紋センサー | あり |
オフィス | ※オプションで追加可能 |
デザインと使いやすさ
格安なのに極薄&高品質なボディ
m-Book W890は、17.3インチの液晶ディスプレイを搭載したノートPCです。一般的な15.6インチよりも画面が大きいぶん、本体もやや大きめ。体感的には15インチノートPCよりも、ひと回り大きい印象です。
15インチタイプよりは大きいとは言え、17インチタイプとしてはコンパクトです。接地面積は幅399×奥行き282.2mmで、A3サイズ (幅420×奥行き297mm)よりもひと回り小さい程度。外観はシンプルですが、重厚感のあるデザインです。
見やすくて大きい大画面ディスプレイ
液晶ディスプレイの大きさは17.3インチで、解像度は1920×1080ドットのフルHDです。画面が大きいと映像の迫力が増す上に、文字がひと回り大きく表示されるので読みやすいメリットがあります。またボタンやメニューなども大きくなるので、ソフトを操作しやすく感じました。
映像の色合いは自然で色鮮やかです。公式スペックには明記されていませんが、パネルの型番 (B173HAN04)を調べたところIPS (AHVA)とのことでした。輝度の計測結果は301nitで、画面はとても明るく感じます。
色域を計測したところ、sRGBカバー率は93%となかなか優秀な結果でした。色にこだわるプロの作業にはちょっと物足りないものの、個人の趣味レベルなら問題ないクオリティーです。AdobeRGBカバー率はやや低めですので、写真のプリントにこだわりたい人は色域の広い外付けディスプレイを使用するといいでしょう。
色域測定結果
sRGBカバー率 | 93% |
---|---|
sRGB比 | 97% |
Adobe RGBカバー率 | 71.1% |
Adobe RGB比 | 71.9% |
やや小ぶりなキーボード
キーボードはバックライト対応で、数値入力に便利なテンキーが付いています。キーピッチ (キーとキーの間隔)は18.2mmで、ノートPCの標準値である19mmと比べるとやや狭めです。実際に使ってみたところ、少し窮屈に感じました。
ただゲームやクリエイティブ系ソフトでは、キーピッチが狭いほうが操作しやすいかもしれません。たとえば複数のキーを組み合わせるショートカットを利用する際、キーピッチが狭いほうが押しやすいこともあります。文章の入力やプログラミングなどではやや違和感があるかもしれませんが、ゲームやクリエイティブな作業には向いているとも言えるでしょう。
端子類は十分な構成
周辺機器接続用の端子 (インターフェース)類としてはUSB端子が合計4ポート (うち1ポートがType-C)、映像出力は2系統、有線LANやSDカードスロット対応と、十分な構成です。ただし光学ドライブには非対応なので、DVDやブルーレイを利用する場合は別途外付けドライブを用意してください。
ベンチマーク結果
試用機のスペック
商品名 | m-Book W890XN-M2SH2 |
---|---|
OS | Windows 10 Home |
CPU | Core i7-9750H |
メモリー | 16GB |
ストレージ | 256GB SSD (PCIe) + 1TB HDD |
グラフィックス | GeForce GTX 1650 |
CPU性能
m-Book W890では、インテルの第9世代Core i7-9750Hが使われています。CPU性能はノートPCとしてはトップクラスで、並みのデスクトップPCを上回るパフォーマンスです。ゲームや動画編集、高度なデータ処理など、負荷の高い作業にも活用できます。
CPUベンチマーク結果
名称 | PassMark CPU Markスコア |
---|---|
Core i7-9700K ※デスクトップPC向け |
17208
|
Core i7-8700 ※デスクトップPC向け |
15640
|
m-Book W890 (Core i7-9750H) |
14995
|
Core i7-9750H平均 |
14589
|
Core i5-9400F ※デスクトップPC向け |
12043
|
Core i5-9300H |
10344
|
Core i7-8565U |
9672
|
Core i5-8265U |
8595
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
ストレージ性能
試用機は256GB SSDと、1TB HDDの2台を搭載したデュアルストレージ構成です。SSDはPCIe 3.0 x2接続の高速タイプで、アクセス速度はまずまずといったところ。HDDのアクセス速度も平均的です。
容量については、SSDのほかに1TB HDDが追加されていれば問題ありません。しかし256GB SSDだけだと、大量の写真や動画を保管するには厳しいでしょう。購入時のカスタマイズオプションでSSDの容量をアップグレードする手もありますが、データ保管用として考えるなら1~2TB HDDの追加をおすすめします。
起動時間
ウィンドウズの起動時間は平均14.72秒でした。SSD搭載機の平均は17秒程度ですので、けっこう高速です。ちなみにHDDのみの機種の場合だと40秒以上かかることもあります。パソコンを快適に使いたいなら、いまやSSDは必須です。
起動時間の計測結果(手動計測)
1回目 | 15.3秒 |
---|---|
2回目 | 15.6秒 |
3回目 | 15.2秒 |
4回目 | 13.7秒 |
5回目 | 13.8秒 |
平均 | 14.72秒 |
3Dグラフィックス性能
m-Book W890ではゲーミングPC向けのGTX 1650が使われているだけあって、3Dグラフィックスのベンチマークテストでは優れた結果が出ました。CPU内蔵のIntel UHD Graphics 630に比べて、およそ7倍前後の性能です。より上位のGPUにはさすがに及ばないものの、ノートPC全体で見れば非常に優秀です。
ちなみにCore i5-9300H + GTX1650の組み合わせでは、ベンチマークスコアの平均値は7974でした。上位GPUの性能を引き出すには高いCPU性能が必要と言われますが、GTX 1650であればCore i5でもCore i7でも大きな差は出ないようです。
3Dベンチマークの結果
GPU | 3DMark FireStrikeスコア |
---|---|
RTX 2070 |
17122
|
GTX 1070 Max-Q |
13461
|
RTX 2060 |
13121
|
GTX 1660 Ti |
12868
|
GTX 1060 |
10100
|
m-Book W890 (GTX 1650) |
8024
|
GTX 1650 (Core i5) |
7974
|
GTX 1050 Ti |
6660
|
GTX 1050 |
5375
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
ゲーム系ベンチマーク結果
個別のゲーム系ベンチマークを試したところ、処理が非常に重いFF15では解像度や画質を抑えることでなんとかプレーできるとの評価でした (平均60 FPS以上が快適にプレーできる目安)。やや重い中量級のゲームでは最高画質でギリギリOKというレベルです。ゲーム向けGPUとしては下位相当のGTX 1650ですが、人気ゲームをそこそこ楽しめる性能を発揮できます。
ゲーム系ベンチマークの結果 (フルHD)
FF15 (DX11) ※重量級
|
||
---|---|---|
フルHD | 高品質 | 3579(普通) |
標準品質 | 5165(やや快適) | |
軽量品質 | 6810(快適) | |
FF14:漆黒のヴィランズ (DX11) ※中量級
|
||
フルHD | 最高品質 | 9306(非常に快適) ※62.96345 FPS |
高品質 | 12610(非常に快適) ※87.10567 FPS | |
標準品質 | 14440(非常に快適) ※108.0076 FPS | |
ドラゴンクエストX(DX9) ※軽量級
|
||
フルHD | 最高品質 | 19268(すごく快適) |
標準品質 | 19312(すごく快適) | |
低品質 | 20286(すごく快適) |
フォートナイト
フォートナイトを実際にプレーしてFPS (動きのなめらかさを表わす目安)を計測したところ最高画質で72.23 FPSという結果で、理想とされる常時60 FPS以上をクリアーしています。m-Book W890は本来ゲーム用のノートPCではありませんが、ゲームにも活用できるパフォーマンスです。
フォートナイトFPS計測結果
画質 | 平均FPS | 最低FPS |
---|---|---|
エピック(最高画質) | 72.23 FPS | 62 FPS |
高 | 97.71 FPS | 85 FPS |
中 | 244.16 FPS | 176 FPS |
低(最低画質) | 299.71 FPS | 213 FPS |
リーグ・オブ・レジェンド
動作の軽いリーグ・オブ・レジェンド (LoL)では平均171.75 FPSと、こちらもじゅうぶんすぎる結果が出ています。新モードのチームファイト・タクティクス (TFT)では平均FPSが若干落ちていますが、まったく問題ありません。
リーグ・オブ・レジェンド計測結果
画質 | 平均FPS | 最低FPS |
---|---|---|
通常モード (最高画質) | 171.75 FPS | 153 FPS |
TFT (最高画質) | 138.95 FPS | 111 FPS |
クリエイティブ性能
写真加工や動画編集時の快適さを調べるために、GTX 1650利用時 / 無効時 (UHD 630を使用)のベンチマークスコアを比較しました。
Photoshopベンチの結果
Photoshopでの画像加工処理や画像結合などの快適さを計測する「Puget Systems Photoshop Benchmark」では、フィルター処理およびGPU性能が大きく関わるブラー処理などで大きな差が現われました。高度な加工を行なうほど、GPU性能が高いほうが有利なようです。
Photoshopベンチの結果
GTX 1650 | UHD 630 | |
---|---|---|
Overall Basic Score | 697.2 | 638 |
General Score | 61.2 | 60.9 |
Filter Score | 72.7 | 57.9 |
GPU Score | 60.7 | 39.5 |
Photomerge Score | 80.8 | 81.4 |
PCMark 10 Digital Contents Creationの結果
コンテンツ制作時の快適さを計測するPCMark 10では、写真加工 (Photo Editing Score)や3D制作 (Rendering and Visualization Score)、動画編集 (Video Editing Score)などすべてのテストにおいてGTX 1650がUHD 630を大きく上回りました。細かいスコアを見るとブラー処理やシャープ加工など、高度な加工処理で差が出ています。またサムネイルやプレビュー表示にも、GPUの効果が出ているようです。
PCMark 10 Digital Contents Creationの結果
GTX 1650 | UHD 630 | |
---|---|---|
Digital Contents Creation | 5558 | 2227 |
Photo Editing Score | 7247 | 2495 |
Rendering and Visualization Score | 7031 | 1610 |
Video Editing Score | 3370 | 2753 |
Lightroom ClassicによるRAW現像
Lightroom Classicを使ってRAW画像からJPEG画像への変換 (現像)を行なったところ、処理時間に大きなさは現われませんでした。現像処理そのものに対するGPUの効果は低いようです。ただしGPUが使われているときのほうが、サムネイルの表示やエフェクトの反映などが素早く感じます。
Lightroom ClassicによるRAW現像の結果
GTX 1650 | UHD 630 |
---|---|
1分14秒 | 1分12秒 |
価格について
m-Book W890には、パーツ構成の異なる3種類のモデルが用意されています。それぞれの主なスペックは以下のとおり。これらのモデルをベースに、パーツカスタマイズによってメモリー容量やストレージ構成などをカスタマイズ可能です。
ラインナップ
W890BN-M2S2 | W890XN-M2S2 | W890XN-M2SH2 |
---|---|---|
Core i7-9750H | ||
8GB | 16GB | |
256GB SSD | 256GB SSD + 1TB HDD | |
GTX 1650 (4GB) | ||
税込14万8824円 | 税込15万4224円 | 税込15万9624円 |
※2019年8月13日時点
おすすめは16GBメモリーとSSD + HDD搭載のW890XN-M2SH2です。動画編集などの重い処理をスムーズに行なうなら、メモリー容量は16GB以上は必要。さらに作成した画像や動画のファイル、編集中の作業ファイルなどは容量が大きくなりがちですので、容量の大きいストレージが必要になるからです。
SSDの容量を増やすのもアリですが、本体の故障に備えてシステム用ストレージとデータ保存用ストレージはわけておいたほうがいいでしょう。以上の理由から、16GBメモリーとデュアルストレージ構成のW890XN-M2SH2をおすすめします。
なんにでも使えるオールマイティーなノートPC
m-Book W890以外にも各社から17インチノートPCが発売されていますが、性能はそれほど高くありません。どちらかと言うと、普段使い用のスタンダードノートPCの画面を大きくした的な位置づけです。
たとえば海外メーカーの低価格な機種との違いは以下の表のとおり。国内メーカーのモデルの場合だとCore i7-9750Hを搭載しているものもありますが、グラフィックス機能は専用GPUではなくCPU内蔵タイプです。
17インチノートPCの比較 (最上位モデル)
m-Book W890 | HP 17 | Inspiron 17 3000 |
---|---|---|
Core i7-9750H | Core i7-8550U | Core i7-8565U |
16GBメモリー | 8GBメモリー | |
256GB SSD + 1TB HDD | 128GB SSD + 1TB HDD | 128GB SSD + 1TB HDD |
フルHD、IPS | フルHD、IPS | フルHD、IPS |
GTX 1650 | UHD 620 | Radeon 520 |
光学ドライブなし | DVDスーパーマルチ | |
15万9624円 | 11万9664円 | 7万9920円 |
※2019年8月13日時点。製品名をクリックするとレビュー記事が開きます
ベンチマーク結果をご覧いただくとおわかりのように、m-Book W890はゲームでも高いパフォーマンスを実現しているとともに、クリエイティブな作業でも優れた性能を発揮しています。動画編集や画像加工、イラスト制作などでも大いに活用できるでしょう。
しかもその上、17インチの大画面で見やすさ&操作しやすさも抜群。趣味から遊び、仕事にまで幅広く利用できるオールマイティーなモデルです。
m-Book W890
税込14万8824円~
※2019年8月13日時点。値段はタイミングで変わるため、最新価格は公式サイトでご確認ください
*
当サイトでは2~3万円台の格安ノートPCから高性能ノートPCまで、さまざまな最新モデルを検証・解説しています。記事の更新情報は当サイトのtwitterアカウントでお知らせしているので、フォローしていただくことをおすすめします。
関連記事
- 初心者におすすめのノートパソコンまとめ
- 17インチノートPCおすすめモデル