ミニPCレビュー

パソコンを低予算でなんとかしたい人のための3万円以内でそろえるミニPC環境構築ガイド

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3万円以内でそろえるミニPC環境
低予算――たとえば3万円以内――でパソコン一式を揃えたい場合、現実的な選択肢のひとつが「ミニPC」です。通常のノートPCでは、実用的なレベルのものを3万円以内で見つけるのは難しいでしょう。中古PCという手段もありますが、ある程度の知識がないと品質や性能を見極めるのが困難です。

その点ミニPCであれば、ややマニアックな製品ではあるものの、3万円以内での構築が比較的簡単です。なるべく安くパソコン環境を整えたい人は、検討してみる価値があるかもしれません。

こんな人に向いています

  • 自分だけのパソコンを安くそろえたい
  • 大きなディスプレイを置く場所がない
  • 環境を徐々にアップグレードしたい
  • わからないことは自分で解決する

この記事ではパソコン環境を安く整えるために必要な機器の選び方や、注意点を解説します。

ミニPC本体の選び方

総予算3万円でパソコン一式を揃える場合、ディスプレイやキーボード、マウスなどの周辺機器も用意することを考えて、ミニPC本体は2万円以内に収める必要があります。それだけ安くても、(軽めの作業であれば)普通に使える新品を入手可能です。

2万円以内のミニPCのスペック

2万円以内の格安なミニPCは、当然ながら低スペックです。動画を編集したり、ゲームで楽しんだりするのは、ほぼ無理と考えてください。日常的な作業は必ずしも快適とは言えませんが、メールやオフィスを使った文書作成、メモ、ネットの調べ物などの軽い作業には十分でしょう。

激安ミニPCの標準的なスペック

OS Windows 11 Pro または Home
CPU Intel N95 / N97 / N100 / N150
メモリー 8GB DDR4 SO-DIMM または LPDDR 8~12GB
ストレージ 256GB SATA または NVMe SSD
通信 Wi-Fi、Bluetooth、有線LAN×1 または ×2
インターフェース USB Type-A、HDMI、有線LAN、ヘッドホン端子

CPUはなんでもOK

格安タイプのミニPCでは、CPUとしてIntel N95 / N97 / N100 / N150のいずれかがよく使われています。これらのCPUには微妙なスペックの違いはあるものの、体感できるほどの性能差はほとんどありません。実際の性能はCPUスペックよりも各機種ごとの電力制限によって大きく左右されるため、気にしても仕方がない部分もあります。

Intel N150

各CPUはスペックが微妙に異なるものの、性能差を体感できるほどではありません

 

なお「N4500」や「N4020」といったCPUもありますが、これらは性能が極端に低いので避けてください。N95~N150の範囲で選びましょう。

メモリーはスロット付きがベター

メモリは、あとから増設可能な機種を選ぶのがおすすめです。最初は8GBでも、後々16 / 32GBにアップグレードできます。LPDDR4 / LPDDR5タイプは、増設できないので注意してください。

GMKtec NucBox G3 Plus

メモリースロットがあると、あとあと遅さを感じた際に16GBに差し替えられます

SSDは高速なNVMeタイプ

SSDは、高速なNVMeタイプがおすすめです。安価な機種ではSATA接続のものが多く見られますが、SATA接続(500MB/秒)はアクセス速度がNVMe(1800MB/秒~)よりも低速。日常的な作業ではあまり差を感じないかもしれませんが、大容量ファイルのやり取りやWindowsの更新、ファイルのダウンロードなどを行なう際、処理時間に大きな違いが現われます。理想はNVMeタイプではあるものの、2万円以下の機種では少ないため、見つからなければSATAタイプでも問題ありません。

GMKtec NucBox G3 Plus

SATA接続よりも高速なNVMeタイプを採用している機種を選ぶといいでしょう

Type-Cはほぼない

インターフェースに関しては、機種による大きな違いはあまりありません。たとえば、HDMI端子の数や有線LAN端子の数などに多少の違いは見られますが、基本的な構成はほぼ同じです。

PCに詳しい人なら気になるUSB Type-C端子ですが、2万円以内の機種ではほぼ非対応と考えてください。フル機能のType-C端子が用意されていることは、なかなかありません。2万円を超える価格帯になるとUSB PDや映像出力に対応する機種も出てきますが、予算を抑えることが目的であれば、Type-C端子はないものとして検討するのが現実的でしょう。

GMKtec NucBox G3 Plus

格安ミニPCで標準的なインターフェース構成

Windowsのライセンスに注意

ミニPC購入時に注意したいのは、Windows 11のライセンスです。問題なく利用できるのはOEMライセンスと呼ばれるもので、WindowsがインストールされているPCには、だいたいこれが使われています。

GMKtec NucBox G3 Plus

ライセンスの種類は、コマンドプロンプトから「slmgr /dli」と入力することで調べられます ※写真は問題のないOEM

しかしミニPCのなかには、個人での利用が認められていない「ボリュームライセンス(VL)」が使われている場合があります。ボリュームライセンスだったとしてもWindows自体は利用できますが、非正規ライセンスであることに抵抗がある方もいるでしょうし、将来的に不都合が生じる可能性も否定できません。

Beelink S12 Pro

企業向けのボリュームライセンスの場合、「説明」の部分に「VOLUME」の文字が含まれています

購入したミニPCにボリュームライセンスが使われている場合、メーカーに問い合わせることで正規のOEMライセンスを入手できることもありますが、手続きに手間がかかります。できる限り、最初からOEMライセンスが搭載されている機種を選ぶのがおすすめです。

ミニPCのライセンスがボリュームライセンスだった場合の対処方法
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なおWindows 11 Homeには、企業向けのボリュームライセンスが存在しません。Windows 11 の「Pro」ではなく、「Home」を選ぶのも、ボリュームライセンスを避けるための手段として有効です。

オフィスは別途購入

マイクロソフトのオフィス(エクセル、ワード、パワーポイント)は、格安PCには付いていません。付いている商品を見かけたとしても、ほとんどの場合が非正規版です。正規ライセンスではMicrosoft 365の1年版で2万円以上、2029年までサポートが継続する永続版で3万円以上かかります。

予算をなるべく抑えたいなら、この機会にGoogleドキュメントやオフィス互換ソフトの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

おすすめの低価格ミニPC

これまで説明してきた条件に合致するミニPCとして、GMKtecの『NucBox G3 Plus』が挙げられます。価格は1万8000円前後と安く、コスパは抜群。実際の性能や使い勝手については、レビューを参考にしてください。

GMKtec NucBox G3 Plusレビュー:Intel N150搭載の超静音ミニPC【PR】
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ディスプレイの選び方

ミニPCはノートパソコンと異なり、ディスプレイが付いていません。パソコン本体とは別に、購入する必要があります。

安くすませるならモバイルディスプレイ

ディスプレイは、周辺機器のなかで最も高価です。一般的にイメージされる24インチ前後の据え置き型ディスプレイは、安くても1万円から1万2000円程度。3万円の予算内に収めるのは、難しい場合があります。

XiaomiモニターA24i

非常に安い23.8インチ『XiaomiモニターA24i』でも1万0980円

XiaomiモニターA24iレビュー:1万0980円で100Hz&IPSの激安フルHDディスプレイ
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21.5インチタイプなら1万円を切る場合もありますね。

 

予算を安く抑えるなら、モバイルディスプレイを選ぶといいでしょう。一般的なノートPCと同じ大きさの15.6インチタイプであれば、安いもので8000~9000円程度で購入できます。画質に多少妥協が必要になるかもしれませんが、使い勝手はそれほど悪くありません。ただし、メーカーや製品によって明るさや色合いに差があるため、レビューなどを参考にしながら選ぶことをおすすめします。

QQH モバイルディスプレイ

筆者購入の『QQH モバイルディスプレイ』。タイムセールや数量限定クーポンをうまく使えれば、7000円台で購入できることがあります。画面はちょっと暗め

QQH モバイルディスプレイ

多くのモバイルディスプレイはType-Cに対応していますが、格安ミニPCで使うならHDMI(ミニHDMI)対応のものを選んでください。たいていの場合、ケーブル類はディスプレイに付属しています

家族で使うならテレビでもOK

家族みんなで使うパソコンであれば、リビングのテレビをディスプレイとして利用するといいでしょう。HDMIケーブルで接続すれば、大画面で迫力のある映像を楽しめます。

しかし「自分ひとりで使いたい」場合は、個人用のディスプレイを用意してください。モバイルディスプレイあるいは据え置きディスプレイは、あくまでも「自分ひとりで使いたい」人用です。「自分ひとりで使いたい」、ここが大切です(意味深)。

マウス・キーボードの選び方

ミニPCにはマウスやキーボードも付いていないため、自分で用意する必要があります。

USB接続の有線タイプが必要

キーボードとマウスは、USB接続の有線タイプまたはUSBレシーバー使用のワイヤレスタイプを用意してください。Bluetooth接続のキーボードやマウスでは、Windowsの初期設定時に利用できません。初期設定を行なったあとなら、Bluetoothデバイスを利用できます(要接続設定)。

USB接続のキーボードとマウスは、それぞれ1000円程度で購入できます。店舗によってはさらに安価なものもあるでしょう。ただし安い機器は、使い心地もほどほどなので注意してください。金銭的な余裕ができたら、買い換えることをおすすめします。

ダイソーの550円マウス

ダイソー 550円 マウス

今回は、ダイソーの有線マウスを利用しました。価格は550円で、アマゾンなどの通販サイトよりも安く入手できます。作りはだいぶチープではあるものの、550円のわりには悪くないかなという印象。ゲーミングっぽく赤→黄色→緑に光るのですが、光らなくていいのでそのぶん安くしてほしいですね。

ダイソー 550円 マウス

ホイールボタンとDPI変更ボタン付き

なおダイソーではUSBレシーバー使用のワイヤレスタイプが330円で販売されているとのこと。もしかすると、それも利用できるかもしれません。

ゲオ 有線キーボード

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レンタルDVDやゲーム販売でおなじみのゲオで、USB接続の日本語キーボードが税込み767円で販売されています。ゲーム周辺機器や家電などを販売する、ちょっと大きめの店舗でないと売っていないかもしれません。電話で在庫は確認できないようなので、近くの店舗をチェックしてみてください。

GRFD-KB100KB118

とても軽くてチープな作り。底面に滑り止めがないため、ちょっと力を入れるとスベります

日本語キーボード設定が必要

ミニPCに日本語キーボードを接続しても、日本語キーボードとして使えない場合があります。ウィンドウズの初期設定が終わったら、システム設定で日本語キーボードに設定変更してください。Windows 11の「設定」から「時刻と言語」→「言語と地域」→「日本語」の「…言語のオプション」を開き、「キーボード」の「レイアウトを変更する」を押してから「日本語キーボード(106/109キー)」を選びます。必要に応じてパソコンを再起動してください。

言語設定

キーボードの設定を行なわないと、一部の記号を正しく入力できない場合があります

まとめ

今回取り上げた機器をすべてそろえた場合、合計価格は2万8037円です(記事執筆時点)。タイミングや購入場所によっては、価格が増減する場合があるでしょう。しかし概ね3万円前後で収まるはずです。

3万円以内でそろえるミニPC環境

今回はいろいろ安く買えたので、だいぶ安く収まりました

さらに安い機器を購入する場合、PCのボリュームライセンスやキーボードの英字配列に注意してください。費用をより安く抑えられるかもしれませんが、一般的な用途や購入場所であれば、ならこのあたりが限界に近いと思います。これをベースに、必要に応じて機器をアップグレードしてください。

 

ということで、今回はミニPCでパソコン環境を安く構築する方法を紹介しました。ただし、中国メーカー製のミニPCはどちらかというとマニアックな製品であり、すべての人におすすめできるわけではありません。手厚いサポートや高い品質を求めるのであれば、大手メーカーの製品を選ぶほうが安心でしょう。

ミニPCの利用は、ある程度パソコンの知識がある中上級者向けです。低価格でいろいろ用意するということは、ある程度の知識や自己解決能力が求められる場合があることをご理解ください。

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記事を書いた人
こまめ

お買い得パソコン評論家。毎日各メーカー・各ショップのWebページを500p以上チェックして、安くてお得なパソコンを探しています。元雑誌・書籍編集者で、PC系フリーライターでもあるオジサン。文章に関わる仕事を始めてから25年以上。最高195万PV/月

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