NECの「LAVIE Direct HZ [Hybrid ZERO](以下、LAVIE Direct HZ)」は、重量わずか779g(最小構成時、パーツ構成によって重量は変化します)の超軽量な13.3型ノートパソコンです。CPUにはHaswellこと第5世代のCore iプロセッサーを搭載し、ストレージにはアクセス速度の高速なSSDを搭載するなど、パソコンとしての十分な基本性能も備えています。今回はメーカーからお借りしたCore i7搭載のLAVIE Direct HZ WQHD液晶モデルを使って、実際にどれほどの性能をもっているのかを検証します。
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CPUはHaswell世代のCore i5-5200U/Core i7-5500U
パーツ構成のカスタマイズが可能なLAVIE Direct HZでは、合計4種類のラインナップが用意されています。主な仕様は、以下の表のとおり。それぞれ液晶ディスプレイとCPUの種類、メモリー容量などが異なります。またCore i7-5500U搭載モデルでは、ストレージにPCI Express接続の高速なSSDを選択可能です(Core i5搭載モデルでは128/256GBSSDのみ)。
LAVIE Direct HZ(カスタマイズモデル)の主なスペック | ||||
モデル名 | WQHD液晶モデル | 2in1タッチパネル液晶モデル | ||
---|---|---|---|---|
OS | Windows 10 Home/Pro (64ビット) | |||
CPU | Core i7-5500U(2.40GHz) | Core i5-5200U(2.20GHz) | Core i7-5500U(2.40GHz) | Core i5-5200U(2.20GHz) |
メモリー | LPDDR3 8GB | LPDDR3 4GB | LPDDR3 8GB | LPDDR3 4GB |
ストレージ | 128/256GB SSD(SATA接続)または512GB SSD(PCIe接続) | |||
ディスプレイ | 13.3型、2560×1440ドット、タッチ非対応 | 13.3型、2560×1440ドット、タッチ対応 | 13.3型、1920×1080ドット、タッチ対応 | |
重量 | 779g(標準バッテリ選択時)/850g(大容量バッテリ選択時) | 926g | ||
バッテリー駆動時間 | 5.9時間(標準バッテリ選択時)/9時間(大容量バッテリ選択時) | 9時間(WQHD液晶選択時)/11.6時間(フルHD液晶選択時) | ||
オフィス | なし/Office Personal Premium/Office Home & Business Premium |
今回の検証で利用した試用機は、CPUがCore i7-5500UのWQHD液晶モデルです。ストレージにはPCI Express接続の512GB SSDが搭載されており、もっともハイスペックな構成になっています。なおテストの結果はパーツ構成やタイミングによって大きく変わることがあるため、あくまでも参考程度に捉えてください。
試用機の主なスペック | |
OS | Windows 10 Pro (64ビット) |
---|---|
CPU | Core i7-5500U(2.40GHz) |
メモリー | LPDDR3 8GB |
ストレージ | 512GB SSD(PCI Express接続) |
ディスプレイ | 13.3型、2560×1440ドット、タッチ非対応 |
CPUの性能は?
試用機に搭載されているCore i7-5500Uは、Haswellこと第5世代のCore i7-5500Uです。現在はSkylakeこと第6世代がリリースされていますので、ひと世代古いCPUということになります。とは言うもののモバイル用途には十分な性能を持っており、外出先でも文書の作成や画像の編集などの作業を快適にこなすことが可能です。
ストレージの性能と空き容量は?
試用機ではストレージにサムスン製の「SAMUSUNG SM951」512GBモデル(MZHPV512HDGL)が搭載されていました。このSSDはPCI Express 2.0 x4(Gen2)接続時でシーケンシャルリード1600MB/秒、PCI Express 3.0 x4(Gen3)接続時でシーケンシャルリード2150MB/秒とアクセス速度が非常に高速です。PCI Express(Gen2)接続ならSATA接続SSDのおよそ3倍、一般的なHDDのおよそ15倍程度の性能を見込めます。
グラフィックス機能はCPU内蔵のIntel HD Graphics 5500
3Dゲームの快適さに影響するグラフィックス機能には、CPU内蔵のIntel HD Graphics 5500を使用します。ここ最近はCPU内蔵のグラフィックス機能の性能が飛躍的に向上してきてはいますが、それでも本格的な3Dゲームをストレスなく楽しめるほどではありません。中規模クラスのゲームを息抜き程度に楽しめるレベルです。
そもそもLAVIE Direct HZはゲームを楽しむためのパソコンではありませんので、3D性能が高くなくても仕方がありません。ゲームを本格的に楽しみたい方は、NVIDIA GeForce GTXシリーズなどの外付けGPUを搭載したパソコンを選ぶといいでしょう。
スタートアップに含まれるソフトは?
CPUやメモリーの性能が高くても、起動時に自動実行されるプログラムが多いと、十分なパフォーマンスが出ないことがあります。LAVIE Direct HZのスタートアップ(自動実行)の内容は以下のとおりで、ほかのメーカー製品と比べるとやや多めでした。
ウイルス対策ソフトやアップデート確認ツールなどはセキュリティー上の理由から残すべきですが、バッテリー関係のプログラムについては人によっては見なおしてもいいかもしれません。ただしその場合、バッテリー駆動時間に影響が出る可能性がある点に注意してください。
ベンチマーク結果をチェック
続いて、試用機のベンチマーク結果を紹介しましょう。なお繰り返しになりますが、ベンチマーク結果はLAVIE Direct HZ全体の性能を表わすものではなく、パーツ構成やタイミングによって変わることがあることをあらかじめご了承ください。
Windowsエクスペリエンスインデックス
Windows 10の快適さを計測する「Windowsシステム評価ツール(WinSAT.exe)」の結果は、以下の表のとおりになりました。CPUとメモリのスコアも高めですが、特にストレージのスコアの高さが目立っています。なおWindows 10ではDirect3Dのテストが正常に行なわれないため、「ゲーム用グラフィックス」のスコアが正常に表示されません。
試用機のWindowsエクスペリエンスインデックス | |
プロセッサ(CpuScore) | 7.4 |
---|---|
メモリ(MemoryScore) | 7.5 |
グラフィックス(GraphicsScore) | 6 |
ゲーム用グラフィックス(GamingScore) | – |
プライマリハードディスク(DiskScore) | 8.7 |
CINEBENCHベンチマーク結果
CPUの計算性能を計測する「CINEBENCH」では、モバイルノートパソコンとしては高めの結果が出ています。ハイスペックなデスクトップパソコンよりも性能は劣りますが、モバイル用途ならこの程度で十分でしょう。
CrystalDiskMarkベンチマーク結果
ストレージのアクセス速度を計測する「CrystalDiskMark」では、シーケンシャルリード(Seq Q32T1)が1598MB/秒と非常に高速な結果が出ています。さすがはPCI Express接続のSSDといったところです。PCI Express(Gen3)接続ならもう少し高い結果が出ていたはずですが、この結果でも十分でしょう。ファイルのアクセスはもちろんのこと、システムやアプリの起動も高速化されており、Windows 10を快適に使うことができます。
ちなみにストレージに128GBまたは256GBのSSDを選ぶと一般的なSATA接続となり、アクセス速度はシーケンシャルリードで500MB/秒前後となるはずです。
PCMark 8ベンチマーク結果
パソコンとしての総合的な性能を計測する「PCMark 8」では、ノートパソコンとしては比較的高めの結果となりました。ストレージに高速な「SM951」を搭載しているだけあって、Core i7-5500U搭載モデルとしては高めのスコアです。
「PCMark 8」ベンチマーク結果 | |
Home conventinal 3.0 | 2579 |
---|---|
Home accelerated 3.0 | 2943 |
Creative conventinal 3.0 | 2475 |
Creative accelerated 3.0 | 3666 |
PassMark PerfomanceTest 8.0ベンチマーク結果
「PCMark 8」と同じく総合的な性能を計測する「PassMark PerfomanceTest 8.0」では、以下の結果となりました。CPUの性能もそれなりに高いのですが、やはりストレージの性能がかなり高めです。
3DMarkベンチマーク結果
3D性能を計測する「3DMark」では、もっとも負荷の高い「Fire Strike」(DirectX 11相当)で、「743」という結果となりました。グラフィックス機能にCPU内蔵のIntel HD Graphics 5500を使っていることを考えれば、妥当な結果と言えるでしょう。この程度の性能であれば、小~中規模クラスのゲームなら問題なくプレーできるものと思われます。
ドラクエ10ベンチマーク結果
「ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン(ドラクエ10)」の快適さを計測する「ドラゴンクエストXベンチマークソフト」では、1280×720ドットの解像度でなら快適に楽しめるものの、1920×1080ドットでは「普通」という評価となりました。ただし「普通」とは言っても、どちらかと言うと重めの「普通」ですので、実際にプレーするとややカクつきが目立つかもしれません。
「ドラゴンクエストXベンチマークソフト」ベンチマーク結果 | ||
1280×720ドット | 1920×1080ドット | |
---|---|---|
標準品質 | 5800(快適) | 3153(普通) |
最高品質 | 4577(普通) | 2388(やや重い) |
FF14ベンチマーク結果
「ファイナルファンタジーXIV:蒼天のイシュガルド ベンチマーク」では、標準的な画質であれば問題なくプレーできそうです。ただし画質を少しでも上げるとかなり厳しくなってきます。
「ファイナルファンタジーXIV:蒼天のイシュガルド ベンチマーク」(DirectX 9)ベンチマーク結果 | ||
1280×720ドット | 1920×1080ドット | |
---|---|---|
標準品質(ノートPC) | 3628(快適) | 2785(やや快適) |
高品質(ノートPC) | 2411(普通) | 1856(設定変更を推奨) |
最高品質 | 1750(設定変更を推奨) | 954(動作困難) |
ドラゴンズドクマオンラインベンチマーク結果
「ドラゴンズドクマオンライン ベンチマークソフト」では画質を標準品質にして解像度を変えてテストを行なったところ、1280×720ドット以外では厳しい結果となりました。
「ドラゴンズドクマオンライン ベンチマークソフト」ベンチマーク結果 | |
1280×720ドット、標準品質 | 2310(普通) |
---|---|
1600×900ドット、標準品質 | 1724(設定変更を推奨) |
1920×10800ドット、標準品質 | 1319(設定変更を推奨) |
PSO2ベンチマーク結果
「ファンタシースターオンライン2」の快適さを計測する「PSO2キャラクタークリエイト体験版」では、1280×720ドットの簡易描画設定「3」で「2371」、簡易描画設定「5」(最高画質)で「743」という結果でした。快適に楽しむなら5000以上のスコアが欲しいので、かなり厳しい結果だと言えます。ただし簡易描画設定を「1」(最低画質)に変更すれば、問題なくプレーできるレベルにはなるでしょう。
マインクラフトFPS計測結果
「マインクラフト」標準のビデオ設定でFPSを計測してみたところ、2560×1440ドットのフルスクリーンモードでも平均44.6FPSと、普通にプレーできるレベルでした。場面によってはカクつくことがあるかもしれませんので、そのような場合は画質を低めに設定するといいでしょう。ウィンドウモードなら平均63.6FPSでかなりスムーズにプレーできますが、2560×1440ドットのデスクトップでは画面があまりにも小さいのでおすすめできません。
「マインクラフト」FPS計測結果 | |||
最小FPS | 最大FPS | 平均FPS | |
---|---|---|---|
ウィンドウモード(標準設定) | 50 | 80 | 63.6 |
フルスクリーンモード(2560×1440ドット、標準設定) | 31 | 58 | 44.6 |
旧世代のCPUでもまったく問題なし!
ということで、今回はLAVIE Direct HZ WQHD液晶モデル(Core i7+8GBメモリー+512GB SSD)のベンチマーク結果を紹介しました。実際に使ってみるとWindows 10の起動は非常に早く、ソフトもキビキビ動きます。通常操作のレスポンスは非常に高く、満足できる結果でした。試用機に搭載されているCPUはひと世代古いモデルですが、現役でも通用する性能だと言えます。
なお購入時にはCore i7+8GBメモリーの組み合わせかCore i5+4GBメモリーの組み合わせを選べますが、長期間使い続けるなら8GB搭載のCore i7搭載機を選ぶべきです。4GBのメモリーでは快適にこなせる作業が限られてきますし、メールやネットなどのライトな作業しかしないのであれば、LAVIE Direct HZを選ぶ理由はないからです。512GB SSDは予算的に厳しいかもしれませんが、ぜひハイスペックな構成で快適なモバイル生活を楽しんでください。