HPの『OMEN by HP 25L Gaming Desktop GT15-1000jp (Intel)』(以下、”OMEN 25L”)は、第13世代CoreプロセッサとRTX 40シリーズのミドルハイクラスGPUを搭載したゲーミングPCです。大手メーカー製の組み立て済みモデルとしてはスタイリッシュな外観が特徴。しっかり遊べるゲーミングPCをお手頃かつお気軽に入手したい人に向いています。
記事執筆時の価格
スペック | 価格 |
---|---|
RTX 4070 Ti / Core i7-13700F / 16GB / 1TB | 25万1460円 |
※2023年10月31日時点
メーカー製の組み立て済みゲーミングPCは値段は安いけど、静音性やパフォーマンスはイマイチとイメージしている人も多いかもしれません。どちらかと言えば筆者もそのタイプなのですが、OMEN 25Lの2023年モデルは静音性についてもパフォーマンスについても文句のない仕上がりでした。ただパーツを交換して使いたい人には不向きな作りです。
ポイント
- ✅セールで安いときがある
- ✅CPUの発熱は控えめ
- ✅3連ファングラボでよく冷える
- ✅CPU性能はやや控えめ
- ✅駆動音は静か
- ✅拡張性はイマイチ
この記事ではメーカーからお借りした実機を使って、本体の外観や機能、実際の性能についてレビューします。
スペック
OS | Windows 11 Home |
---|---|
CPU | Core i7-13700F |
チップセット | H770 |
グラフィックス | RTX 4070 (12GB) / RTX 4070 Ti(12GB) |
メモリー | 16GB(8GB×2) ※DDR5-5200、最大128GB、スロット×4 |
ストレージ | 1TB SSD (WD Black、PCIe Gen4x4) |
拡張スロット | PCI Express Gen5 x16×1、M.2×3 |
ドライブベイ | 2.5/3.5インチ兼用×1 |
通信 | Wi-Fi 6、Bluetooth5.2、有線LAN |
サイズ / 重量 | 幅165mm、奥行き396mm、高さ448mm / 約13.81kg |
電源 | 800W 80PLUS GOLD |
本体デザイン
外観と大きさ
LEDイルミネーション
本体のエアフロー
インターフェースについて
分解方法とパーツ交換について
ベンチマーク結果
試用機のスペック
CPU | Core i7-13700F |
---|---|
メモリー | 16GB |
ストレージ | 1TB SSD |
グラフィックス | GeForce RTX 4070(12GB) |
※Windows 11の電源プランと電源モードを「バランス」に設定
※ベンチマーク結果はパーツ構成やタイミング、環境、個体差などの要因で大きく変わることがあります
パフォーマンス設定について
HPのゲーミングPCには、設定ユーティリティ『OMEN Gaming Hub』が標準で収録されています。このソフトでは本体のパフォーマンスやライティングなどを調整可能です。
今回は標準設定(「電源モード」は「最適」で「温度コントロール」は「自動」の「標準」、記事中では「標準」と表記)と最大パフォーマンス設定(「電源モード」は「パフォーマンス」で「温度コントロール」は「自動」の「パフォーマンス」、記事中では「最大」と表記)の2パターンでテストを行なっています。
設定は基本的にCPU性能に影響するもので、グラフィックス性能への影響はあまりありません。しかしCPU依存が高いゲームやベンチマークテストでは、結果が大きく変わる場合があります。
ゲームのフレームレートを上げたいなら、高パフォーマンス設定を選択すればOKです。しかしその場合本体内部の熱が高くなり、駆動音(空冷ファンの回転音や排気口からの風切り音など)が大きくなるので注意してください。
CPU性能
CPUとしては、インテル第13世代のCore i7-13700Fが使われています。CPUベンチマークテストを実施したところ、現行世代のゲーミンングPC向けCPUのなかでは中位クラスあたりの位置付けでした。しかしそれでも十分高性能で、ゲームはもちろん動画編集や高度なデータ処理などにも利用できるでしょう。
ただ、同じCPUの平均値をわずかに下回っている点は気になります。もしかすると、熱対策を目的とした電力制限があるのかもしれません。とは言え、eスポーツレベルのプレーでもない限り大きな影響はないはずです。
デスクトップPC向けCPUのマルチコア性能
CPU | 3DMark CPU Profile Max threads |
---|---|
Core i9-13900K |
16448
|
Ryzen 9 7950X |
16031
|
Core i9-13900 |
15209
|
Ryzen 9 7950X3D |
14404
|
Ryzen 9 7900X |
12857
|
Core i7-13700K |
12663
|
Core i7-13700 |
12008
|
Core i7-13700F |
11926
|
Ryzen 9 7900X3D |
11628
|
OMEN 25L(Core i7-13700F,最大) |
10357
|
Core i5-13600K |
10332
|
OMEN 25L(Core i7-13700F,標準) |
10149
|
Core i5-13500 |
9102
|
Ryzen 7 7700X |
9053
|
Ryzen 7 7700 |
8538
|
Ryzen 7 7800X3D |
8013
|
Core i5-13400 |
7350
|
Ryzen 5 7600X |
7047
|
※そのほかのスコアは3DMark公式サイトによる平均値
CPUシングルスレッド性能
CPU | 3DMark CPU Profile 1 threads |
---|---|
Core i9-13900K |
1208
|
Core i9-13900 |
1169
|
Core i7-13700K |
1149
|
Ryzen 9 7950X |
1111
|
Ryzen 9 7900X |
1108
|
Core i7-13700 |
1101
|
Ryzen 7 7700X |
1101
|
Core i7-13700F |
1100
|
Core i5-13600K |
1091
|
OMEN 25L(Core i7-13700F,最大) |
1089
|
OMEN 25L(Core i7-13700F,標準) |
1089
|
Ryzen 9 7950X3D |
1081
|
Ryzen 5 7600X |
1081
|
Ryzen 9 7900X3D |
1071
|
Ryzen 7 7700 |
1060
|
Core i5-13500 |
1014
|
Core i5-13400 |
969
|
Ryzen 7 7800X3D |
961
|
※そのほかのスコアは3DMark公式サイトによる平均値
グラフィックス性能
グラフィックス機能としては、GeForce RTX 4070 (12GB)またはRTX 4070 Ti(12GB)が使われています。RTX 4070搭載の検証機で3Dベンチマークテストを行なったところ、同GPUの平均値をわずかに上回る結果が出ました。CPUベンチマークテストではやや低めの結果が出ましたが、ゲームの快適さに強く影響する3Dグラフィックスのテストでは十分なパフォーマンスが出ています。RTX 4070 Tiモデルであれば、さらに高いパフォーマンスを期待できるでしょう。
デスクトップPC向けGPU性能(DirectX 12,WQHD)
GPU | 3DMark Time Spy Graphics |
---|---|
RTX 4090 |
36195
|
RTX 4080 |
28127
|
RTX 4070 Ti |
22746
|
RTX 3090 Ti |
21766
|
RTX 3090 |
19903
|
RTX 3080 Ti |
19600
|
OMEN 25L(RTX 4070,最大) |
18060
|
OMEN 25L(RTX 4070,標準) |
17889
|
RTX 4070 |
17840
|
RTX 3080 |
17654
|
RTX 3070 Ti |
14839
|
RTX 3070 |
13647
|
RTX 4060 Ti(8GB) |
13447
|
RTX 4070 Laptop |
12053
|
RTX 3060 Ti |
11726
|
RTX 4060 |
10622
|
RTX 3060 |
8733
|
RTX 3050 |
6204
|
GTX 1650 |
3555
|
※そのほかのスコアはUL Solutionsによる平均値
デスクトップPC向けGPU性能(DirectX 12 Ultimate)
GPU | 3DMark Speed Way Graphics |
---|---|
RTX 4090 |
10008
|
RTX 4080 |
7172
|
RTX 3090 Ti |
5885
|
RTX 4070 Ti |
5437
|
RTX 3090 |
5362
|
RTX 3080 Ti |
5303
|
RTX 3080 |
4604
|
OMEN 25L(RTX 4070,標準) |
4498
|
OMEN 25L(RTX 4070,最大) |
4487
|
RTX 4070 |
4438
|
RTX 3070 Ti |
3749
|
RTX 3070 |
3441
|
RTX 4060 Ti(8GB) |
3159
|
RTX 3060 Ti |
2949
|
RTX 4060 |
2518
|
RTX 3060 |
2173
|
※そのほかのスコアはUL Solutionsによる平均値
熱と騒音について
※計測時の室温は23度。室温が変わると、異なる結果が出る場合があります
CPU温度
高負荷時におけるCPU温度を計測したところ、標準設定では平均59.5度、最大設定では71.9度でした。全体としては、CPUの発熱はかなり抑えられていると思います。
標準設定での消費電力を確認すると、テスト開始から15秒程度は100~150Wで動作していたものの、それ移行は65W前後を推移していました。この電力制限によって熱が抑えられているのですが、その反面でCPUパフォーマンスがやや下がっているものと思われます。
最大設定では、消費電力の大きな低下は見られません。テスト開始直後の140W前後からゆっくりと時間をかけて100W前後まで落ちています。そのぶんCPU温度が標準設定時よりも高いのですが、大きな影響が出るような数値ではないと思います。
ただし前述のCPUベンチマークでは、標準設定時と最大設定時でパフォーマンスに大きな差は見られませんでした。あえて最大設定に変更する必要はなく、標準設定のままで利用したほうがいいと思います。
GPU温度
高負荷時におけるGPU温度の推移を計測したところ、標準設定で平均72.1度、最大設定で平均71.7度という結果でした。多少の差が出ているものの、ほとんど誤差レベルと考えていいでしょう。パフォーマンス設定を変更しても、GPU性能に差は現われないと思われます。
部分的な最大温度である”GPUホットスポット温度”は90度前後、グラボのメモリー(VRAM)温度を表わす”GPUメモリジャンクション温度”は80度前後とまったく問題ありません。検証機のRTX 4070搭載グラボは3連ファンタイプで、冷却性能が高いと思われます。
駆動音
駆動音(ファンの回転音や排気口からの風切り音)は、標準設定だとかなり静かです。PC本体が近い場所にあるとファンの回転音が聞こえますが、ほとんど気になりません。ゲーミングPCとしては非常に優秀です。
ただし最大設定に変更すると、ファンの回転音がかなり大きく聞こえました。サウンドをスピーカーで出力するプレーには厳しいレベルです。音が大きいのにパフォーマンスは変わらないわけですから、標準設定で利用するほうがいいでしょう。
ちなみに手動でファンの回転音を最大化すると、駆動音がとんでもなく大きく聞こえました。近所迷惑にもなりかねないので、利用はおすすめしません。
駆動音の計測結果(Core i7+RTX 4070モデル)
電源オフ | 37dBA | - |
---|---|---|
待機中 | 38.5dB | なにかが動いている程度の音が聞こえるが、気にならない |
高負荷時 標準設定 |
39dB | 駆動音は聞こえるが、基本的には静か。ゲーミングPCとしては非常に優秀なレベル |
高負荷時 パフォーマンス設定 |
55.5dB | CPUクーラーの回転音がかなり大きい。ガマンできなくはないが、ゲームのプレーには支障が出るレベル |
高負荷時 ※ファン手動最大設定 |
60dB | 音が非常に大きく、部屋の外にまで聞こえるレベル |
(参考)エアコンの最大出力時 | 48~58dBA前後 | - |
ゲーム性能
RTX 4070モデルでゲーム系ベンチマークを試したところ、かなり優秀な結果が出ました。フルHDなら、フルレイトレーシングの激重タイトルでも快適。4Kだとレイトレーシングは厳しいものの、画質調整でそこそこ快適に楽しめるでしょう。WQHDでも余裕があるはずです。高画質タイトルから競技系タイトルまでガッツリ楽しめるパワーを誇ります。
検証結果まとめ
- ・激重タイトルでも4Kまでなんとか
- ・フルレイトレはフルHDまで
- ・シューター系は平均200fps超
※電源モード「最適」設定時
サイバーパンク2077 (重い / DX12)
解像度 / 画質 ※DLSS:自動, フレーム生成:オン | 平均FPS / 最低FPS |
---|---|
フルHD / レイトレーシング:オーバードライブ | 110.16 / 54.31 |
フルHD / ウルトラ ※レイトレなし | 185.56 / 84.38 |
4K / レイトレーシング:オーバードライブ | 51.43 / 43.20 |
4K / ウルトラ ※レイトレなし | 53.08 / 44.65 |
Portal with RTX(激重)
解像度 / 画質 ※フレーム生成:オン | 平均FPS / 低位1% |
---|---|
フルHD / 最高画質 | 117.5 / 106.9 |
4K / 最高画質 | 50.6 / 39 |
エーペックスレジェンズ(中量級)
解像度 / 画質 | 平均FPS / 低位1% |
---|---|
フルHD / 最高画質 | 296 / 186 |
フルHD / 最低画質 | 299.1 / 195.4 |
4K / 最高画質 | 78.3 / 64.8 |
4K / 最低画質 | 234.9 / 160.5 |
※射撃訓練場で計測
Counter Strike 2(中量級)
解像度 /画質 | 平均FPS / 低位1% |
---|---|
フルHD / 最高画質 | 310.5 / 139.6 |
フルHD / 最低画質:低 | 327.3 / 138.4 |
4K / 最高画質 | 121.9 / 65.9 |
4K / 最低画質:低 | 308.4 / 126.5 |
※マップ「Dust II」で計測
アサシンクリード ミラージュ(激重)
解像度 /画質 | 平均FPS / 低位1% |
---|---|
フルHD / 最高 | 132 / 76 |
フルHD / 低 | 189 / 127 |
4K / 最高 | 63 / 37 |
4K / 低 | 78 / 60 |
※解像度スケール:100%、ゲーム内ベンチマークを使用
スターフィールド(重い)
解像度 /画質 | 平均FPS / 低位1% |
---|---|
フルHD / ウルトラ | 51.3 / 37.6 |
フルHD / 低 | 88.9 / 70.7 |
4K / ウルトラ | 35.1 / 25.7 |
4K / 低 | 82.1 / 65.4 |
※ニューアトランティスMAST地区屋外で計測
Forza Motorsport(重い)
解像度 /画質 | 平均FPS / 最小FPS |
---|---|
フルHD / ウルトラ ※レイトレあり | 97.1 / 80.9 |
フルHD / 低 ※レイトレなし | 159.2 / 95 |
4K / ウルトラ ※レイトレあり | 37.4 / 15.5 |
4K / 低 ※レイトレなし | 108.8 / 94.9 |
※解像度スケール:100%、DLSS:オート
大手メーカー製の手堅いお手頃&お気楽PC
今回はOMEN 25Lをザックリと検証しましたが、かなり完成度の高い機種だと感じました。熱や音に関してはまったく問題なく、パフォーマンスも十分。特に熱や音に関しては、2022年モデルよりも大幅に改善されているように感じます。BTOのようにパーツをカスタマイズする必要もなく、手軽に購入できる点もポイント。たまに行なわれるセールでは、かなり安く入手できることもあります。いろんな部分でメリットの大きい機種です。
ただ、パーツを追加・換装するような使い方には向いていません。メモリーやストレージは比較的簡単に交換 / 追加できますが、たとえば冷却パーツを変えたり別の拡張ボードを追加するような使い方には不向きです。また構造的に、最強パフォーマンスを実現できる機種でもありません。このあたりを踏まえた上で「十分」と判断できるならアリだと思います。
※OMEN 25Lは、7%オフクーポンを利用するとお得に購入できます(セール対象モデルではクーポンを利用できない場合があります)。
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