HPの『OMEN 16(インテル)』(以下、”OMEN 16″)は、ミドルレンジ(中級向け)クラスのゲーミングノートPCです。CPUはインテル第12世代で、GPUはGeForce RTX 3060 / 3070 Ti Max-Q。144Hz~165Hzの高リフレッシュレートで、人気ゲームをなめらかな動きで楽しめます。
記事執筆時点の値段は、Core i7 / RTX 3060の構成で15万8000円から。ミドルレンジ機として特別安いわけではありません。しかし26キーロールオーバーや高い冷却性能、4ゾーンのRGBキーボードなど、ゲーマー向けの機能が盛り込まれている点が特徴で、安い下位ブランドの機種よりも高品質な仕上がりです。
この記事ではメーカーからお借りした実機を使って、デザインや性能、実際の使い心地などをレビューします。
OMEN 16(インテル)
スペック
OS | Windows 11 Home |
---|---|
ディスプレイ | 16.1インチ 1920×1080 IPS 非光沢 タッチ非対応 250nit 144Hz |
CPU | Ryzen 5 6600H / Ryzen 7 6800H |
メモリー | 16GB(8GB×2) ※DDR5-4800、最大32GB、スロット×2 |
ストレージ | 512GB PCIe Gen4 x4 NVMe SSD |
グラフィックス | RTX 3050(4GB) / RTX 3050 Ti(4GB) |
通信 | Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.2、有線LAN(1Gbps) |
インターフェース | USB Type-C(映像出力対応)×1、USB Type-A×3、HDMI2.1、有線LAN、SDカードスロット、ヘッドセット端子 |
生体認証 | なし |
サイズ / 重量 | 幅370×奥行き260×高さ23.5mm / 約2.48kg |
バッテリー | 約8~9時間 |
本体デザイン
OMEN 16の見た目は、一般用途向けのスタンダードノートPCと変わりません。RGBイルミネーションでハデに光ることはなく、筐体にも奇をてらったようなデザインは見られませんでした。一見するとやや大きめの、よくある普通のノートPCのように見えます。
サイズと重量
本体はやや厚みがあるものの、16.1インチタイプのゲーミングノートPCとしては比較的コンパクトにまとまっています。
ディスプレイについて
ディスプレイは、ちょっと大きめの16.1インチです。画面が大きいぶん映像の迫力が増すほか、小さなターゲットが多少認識しやすくなるメリットがあります。パネルはモデルによって異なりますが、基本的にはどちらも初中級者に向いています。
キーボードについて
キーボードはゲーマー向けに配慮された作りです。テンキーがないぶん配列に余裕があり、タイプ感も比較的しっかりしています。キーボードは意外に見落としがちなので、ゲーミングノートPCを選ぶ際は注意してください。OMEN 16であれば最高品質ではないものの、不満はありません。
ベンチマーク結果
試用機のスペック
CPU | Core i5-12500H(12コア/16スレッド、45W) |
---|---|
メモリー | 16GB |
ストレージ | 512GB NVMe SSD |
グラフィックス | RTX 3060(6GB) |
最大グラフィックスパワー | 140W |
※ベンチマークテストはWindows 10の電源プランを「バランス」、電源モードを「最適なパフォーマンス」に設定した上で、標準収録ユーティリティー「OMEN Gaming Hub」の「パフォーマンスコントロール」で「電源モード」を「パフォーマンス」に、「ファン速度」を「最大」に設定。さらに電源アダプターを接続した状態で実施しています
※ベンチマーク結果はパーツ構成や環境、タイミング、個体差などさまざまな要因によって大きく変わることがあります
CPU性能
CPUとしては、インテル第12世代のCore i5-12500Hが使われています。CPU性能を計測ベンチマークテストでは、非常に優秀な結果が出ました。これまでゲーミングノートPC用のCore i5シリーズは性能的にたいしたことはありませんでしたが、これならゲームでも十分であり、かつゲーム以外の用途でも満足できるでしょう。
CPUの性能差 (マルチコア性能)
CPU | CINEBENCH R23 CPUスコア |
---|---|
Core i9-12900HX |
21119
|
Core i7-12700H |
16039
|
OMEN 16(Core i5-12500H) |
14202
|
Ryzen 7 6800H |
13673
|
Ryzen 9 5900HX |
12654
|
Ryzen 7 5800H |
11346
|
Core i7-11800H |
11123
|
Ryzen 5 6600H |
10237
|
Ryzen 5 5600H |
8901
|
Core i5-11400H |
7529
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
CPUの性能差 (シングルコア性能)
CPU | CINEBENCH R23 CPUスコア |
---|---|
Core i9-12900HX |
1906
|
Core i7-12700H |
1804
|
OMEN 16(Core i5-12500H) |
1715
|
Ryzen 7 6800H |
1532
|
Ryzen 5 6600H |
1477
|
Core i5-11400H |
1461
|
Ryzen 9 5900HX |
1459
|
Ryzen 7 5800H |
1375
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
グラフィックス性能
グラフィックス機能としてはミドルレンジ向けのRTX 3060(6GB)またはRTX 3070 Ti Max-Q(8GB)が使われています。すでに最新のRTX 40シリーズが登場しているためRTX 30シリーズは旧世代となってしまいましたが、それでもまだまだ現役で通用するレベルです。RTX 3060であればフルHD、RTX 3070 Ti Max-QであればWQHDでゲームを楽しめるでしょう。
ノートPC向けGPUの性能(DirectX 12,WQHD)
GPU | 3DMark Time Spy Graphics |
---|---|
RTX 4090 |
21611
|
RTX 4080 |
18884
|
RTX 3080 Ti |
13004
|
RTX 4070 |
12148
|
RTX 3080 |
12032
|
RTX 3070 Ti |
11398
|
RTX 3070 |
10497
|
RTX 4060 |
10495
|
OMEN 16(RTX3060) |
9079
|
RTX 4050 |
8404
|
RTX 3060 |
8352
|
RTX 3050 Ti |
5342
|
RTX 3050 |
4852
|
GTX 1650 |
3445
|
※スコアはUL Solutionsによる平均値
PCを使った作業の快適さ
PCMark10は、PCを使った作業の快適さを計測するベンチマークテストです。一般的な作業を想定しているため、テストでは比較的軽い処理が行なわれています。各テストの傾向としては「Essentials」(一般利用)ではCPUのシングルコア性能やストレージ性能、「Productivity」(ビジネス利用)ではCPUのマルチコア性能とメモリー性能、「Digital Contents Creation」(コンテンツ制作)ではCPUとストレージ、GPU性能が強く影響するようです。
ベンチマークテストの結果は非常に優秀です。ゲームだけでなく、さまざまなシーンで従来機よりも快適に活用できるでしょう。
PCMark 10ベンチマーク結果
テスト | スコア |
---|---|
Essentials (一般的な利用) 目標値:4100 |
9948
10901
9769
10659
9484
10581 |
Productivity (ビジネス利用) 目標値:4500 |
10957
7429
9077
10494
9063
10293 |
Digital Contents Creation (コンテンツ制作) 目標値:3450 |
11311
6936
7843
11614
9275
12548 |
※スコアの目安はPCMark 10公式サイトによるもの
比較機のスペック
HP Pavilion 14 Plus | Core i7-12700H / 16GB / Iris Xe |
---|---|
▶Victus 16 | Ryzen 5 6600H / 16GB / RTX 3050 |
Legion Slim 770i | Core i7-12700H / 16GB / RTX 3060 |
▶OMEN 16 | Ryzen 7 5800H / 16GB / RTX 3070 |
Titan GT77 12U | Core i9-12900HX / 64GB / RTX 3080 Ti |
ゲーム性能
Core i5-12500H + RTX 3060モデルでゲーム系ベンチマークを試したところ、重いゲームでも普通に楽しめそうな結果が出ました。FPSやTPSでは、中量級タイトルでは画質を調整すれば高フレームレートは可能。競技系タイトルなら外付けディスプレイを使えば400~500fpsぐらいは出るかもしれません。RTX 3070 Ti Max-Qモデルなら、ゲームをより快適&高フレームレートで楽しめます。
RTX 3060モデルの目安
- ・激重タイトルでも最高画質でなんとか
- ・レイトレはタイトルしだい
- ・中量級FPSは画質調整で100~165Hz
- ・競技系FPSは外部出力で240Hz可能
※平均60 FPS以上が快適に遊べる目安
ファークライ6(そこそこ重い / DX12)
画質 | 平均FPS / 最小FPS |
レイトレ最高画質 | 79 / 72 |
最高画質 | 97 / 77 |
最低画質 | 133 / 115 |
アサシン クリード ヴァルハラ (激重)
画質 | 平均FPS / 低位1% |
最高画質 | 67 / 47 |
最低画質 | 142 / 111 |
エーペックスレジェンズ 射撃訓練場(中量級)
画質 | 平均FPS / 低位1% |
最高画質 | 94 / 73.2 |
最低画質 | 247.9 / 150.5 |
※解像度はフルHD。実際のプレーではこの結果よりもFPSが低下します
レインボーシックス シージ(軽い) ※Vulkan
画質 | 平均FPS / 最低FPS |
最高画質 | 350 / 276 |
最低画質 | 419 / 349 |
※ゲーム内ベンチマークの結果
CS:GO FPS Benchmark(軽い)
画質 | 平均FPS |
最高画質 | 417.7 |
最低画質 | 576 |
※ワークショップ内のマップ「FPS Benchmark」を使用
Forza Horizon 5(重い)
画質 | 平均FPS / 最小FPS |
最高設定(レイトレあり) | 45.2 / 20.7 |
最低設定(レイトレなし) | 215.8 / 183.3 |
※DLSS設定は”オート”
安心感のある上位ブランド
今回は下位のCore i5-12500H / RTX 3060搭載モデルを試したのですが、Core i5だからCPU性能が低いと思いきや、ベンチマークスコアはRyzen 7 6800Hと同等レベルで性能的には十分でした。GPUも最大パワーが高く設定されていることもあり、かなり優秀な結果です。Core i7-12700H搭載の中上位モデルなら、さらに高いパフォーマンスを期待できるでしょう。
またHPの上位ゲーミングブランドだけあって、ゲーマー向けの配慮が行き届いた仕上がりです。26キーロールオーバーでアンチゴースト対応のキーボードやインターフェース配置、排熱機能など、安いゲーミングノートPCよりもそこかしこが高品質。安心して利用できます。
ただ検証結果としては掲載していないのですが(計測を忘れたため)、最大パフォーマンス設定では駆動音が非常に大きく聞こえます。ヘッドホンを着用すればあまり気になりませんが、場合によっては周囲への配慮が必要かもしれません。設定ユーティリティでファンの動きを自動にすると駆動音がだいぶ静かになるもののが、そのぶんベンチマークスコアが数パーセント程度低下するので注意してください。と言っても、誤差程度でしかありませんが。
記事執筆時の価格は、中位のCore i7-12700H / RTX 3060モデルで15万8000円、上位のCore i7-12700H / RTX 3070 Ti Max-Qモデルで19万9000円。相場価格からはやや安い程度で販売されています。すでに第13世代 / RTX 40シリーズ搭載の新モデルが発表されていますが、コスパを考えるなら旧モデルでも十分アリでしょう。
ただし新モデルは240Hzのリフレッシュレートに対応するなど、性能面だけでなく機能面も強化されています。予算に余裕があるなら新モデルを狙ってもいいかもしれません。
OMEN 16(インテル)
*
当サイトでは2~3万円台の格安ノートPCから高性能ノートPCまで、さまざまな最新モデルを検証・解説しています。記事の更新情報やお買い得情報を当サイトのツイッターアカウントでお知らせしているので、ぜひフォローをお願いします。
ツイッターでこまめブログをフォローする
関連記事