HPのOMEN 40L Desktop(以下、”OMEN 40L”)は、第12世代のCore i7-12700Kとアッパーミドル~ハイエンドクラスのGPUを搭載した高性能なゲーミングPCです。他社の同クラス製品に比べて価格が安い点が最大の魅力。コスパの高いゲーミングPCを探している人におすすめします。
この記事ではメーカーからお借りした実機を使って、本体の外観や機能、実際の性能についてレビューします。
OMEN 40L Desktop
※OMEN 40Lは、7%オフクーポンを利用するとお得に購入できます。
スペック
OS | Windows 11 Pro |
---|---|
CPU | Core i7-12700K + Cooler Master 水冷クーラー |
チップセット | Z690 |
グラフィックス | RTX 3070(8GB) / RTX 3070Ti(8GB) / RTX 3080(10GB) |
メモリー | 16 / 32GB ※DDR4-3733、最大64GB、スロット×4 |
ストレージ | 1TB SSD (WD Black、PCIe Gen4x4) |
拡張スロット | PCI Express Gen5 x16×1、PCI Express Gen3 x4×1、M.2×3 |
ドライブベイ | 2.5/3.5インチ兼用×2、2.5インチ×2 |
通信 | Wi-Fi 6、Bluetooth5.0、有線LAN |
サイズ / 重量 | 幅204×奥行き470×高さ467mm / 約18.7kg |
電源 | 800W 80PLUS Gold |
本体デザイン
大きさと重さ
LEDイルミネーション
本体のエアフロー
インターフェースについて
分解方法とパーツ交換について
右側面(裏配線)
左側面
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関連リンク
ベンチマーク結果
試用機のスペック
CPU | Core i7-12700K |
---|---|
メモリー | 16GB |
ストレージ | 1TB SSD |
グラフィックス | GeForce RTX 3070 Ti(8GB) |
※ベンチマーク結果はパーツ構成やタイミング、環境、個体差などの要因で大きく変わることがあります
CPU性能
CPUとしては、インテル第12世代のCore i7-12700Kが使われています。CPUベンチマークの結果はなかなか優秀ですが、Core i7-12700K本来のスコアからは10%程度低めです。ただしこれは標準設定での結果なので、パフォーマンス設定を最大出力に調整すればスコアは向上するかもしれません。
ただほかの機種も検証して感じたことですが、OMENシリーズは最大パフォーマンスでぶん回すPCではなく、やや性能を抑えて使うタイプのように感じます。それは冷却性能の低さが起因しているのですが、他社製品に比べて価格が安いのはそのためでしょう。抑えているとは言っても十分すぎるほどのパフォーマンスですから、一般レベルではまったく問題ありません。
CPUの性能(マルチコア)
CPU | CINEBENCH R23スコア |
---|---|
OMEN 45L(Core i9-12900K) |
25869
|
OMEN 40L(Core i7-12700K) |
20774
|
Core i7-12700K |
20452
|
Core i7-12700KF |
20276
|
OMEN 45L(Core i7-12700K) |
19427
|
Core i7-12700 |
15938
|
Core i7-11700K |
13568
|
Ryzen 7 PRO 5750G |
13134
|
Core i9-11900KF |
12917
|
Core i5-11400 |
7831
|
※10分間実行し続けた際の最終スコア。そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
CPUの性能(シングルコア)
CPU | CINEBENCH R23スコア |
---|---|
Core i7-12700K |
1931
|
Core i7-12700 |
1893
|
OMEN 45L(Core i9-12900K) |
1850
|
OMEN 40L(Core i7-12700K) |
1836
|
Core i7-12700KF |
1786
|
OMEN 45L(Core i7-12700K) |
1746
|
Core i9-11900KF |
1598
|
Core i7-11700K |
1572
|
Ryzen 7 PRO 5750G |
1488
|
Core i5-11400 |
1404
|
※10分間実行し続けた際の最終スコア。そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
グラフィックス性能
グラフィックス機能としては、GeForce RTX 3070(8GB)またはRTX 3070Ti(8GB)、RTX 3080(10GB)が使われています。RTX 3070 Ti搭載機で3Dベンチマークテストを行なったところ、同GPUとしては妥当な結果が出ました。若干スコアが低めかもしれませんが、誤差の範囲で済ませられる程度だと思います。CPUではパフォーマンスを抑えているように見受けられましたが、GPUは十分な性能を発揮できているのかもしれません。
GPU性能(DirectX 12)
GPU | 3DMark Time Spy Graphicsスコア(DX12,WQHD) |
---|---|
OMEN 45L(RTX 3090) |
18843
|
OMEN 45L(RTX 3080 Ti) |
18745
|
RTX 3090 |
18521
|
RTX 3080 |
16540
|
OMEN 40L(RTX 3070 Ti) |
14402
|
RTX 3070 |
13072
|
RTX 3060 |
8870
|
GTX 1650 |
3383
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
GPU性能(DirectX 11)
GPU | 3DMark Fire Strike Graphicsスコア(DX11,FHD) |
---|---|
OMEN 45L(RTX 3090) |
45733
|
OMEN 45L(RTX 3080 Ti) |
45714
|
RTX 3090 |
44130
|
RTX 3080 |
39977
|
OMEN 40L(RTX 3070 Ti) |
36252
|
RTX 3070 |
32448
|
RTX 3060 |
22471
|
GTX 1650 |
9005
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
GPU性能(レイトレーシング性能)
GPU | 3DMark Port Royalスコア |
---|---|
OMEN 45L(RTX 3090) |
12664
|
OMEN 45L(RTX 3080 Ti) |
12456
|
RTX 3090 |
12485
|
RTX 3080 |
10813
|
OMEN 40L(RTX 3070 Ti) |
8584
|
RTX 3070 |
8109
|
RTX 3060 |
5265
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
PCを使った作業の快適さ
PCMark10は、PCを使った作業の快適さを計測するベンチマークテストです。一般的な作業を想定しているため、テストでは比較的軽い処理が行なわれています。各テストの傾向としては「Essentials」(一般利用)ではCPUのシングルコア性能やストレージ性能、「Productivity」(ビジネス利用)ではCPUのマルチコア性能とメモリー性能、「Digital Contents Creation」(コンテンツ制作)ではCPUとストレージ、GPU性能が強く影響するようです。
ベンチマークテストの結果は、全体的に非常に優秀です。ただし一般用途やビジネス作業での体感速度は、dGPUなしのPCと変わりません。コンテンツ制作に関してはハイエンドGPUには及ばないものの十分すぎるほどの結果が出ています。ゲーム以外の用途でも、十分活用可能です。
PCMark 10ベンチマーク結果
テスト | スコア |
---|---|
Essentials (一般的な利用) 目標値:4100 |
11107
11414
10256
11430
11660
10912
10840 |
Productivity (ビジネス利用) 目標値:4500 |
10242
10614
9930
7865
10561
9591
10397 |
Digital Contents Creation (コンテンツ制作) 目標値:3450 |
13811
15410
5707
6313
10484
12282
13307 |
※スコアの目安はPCMark 10公式サイトによるもの
比較機のスペック
▶OMEN 45L | Core i9-12900K / 32GB / RTX 3090 |
---|---|
▶ThinkCentre M75q Gen2 | Ryzen 7 PRO 5750GE / 32GB / Radeon |
▶ThinkCentre Neo 50t | Core i7-12700 / 16GB / UHD 770 |
▶XPS 8950 | Core i7-12700 / 16GB / GTX 1650S |
▶G-Master Hydro Z590-Mini | Core i7-11700K / 16GB / RTX 3070 |
▶Alienware Aurora R13 | Core i7-12700KF / 16GB / RTX 3070 |
ゲーム性能
Core i7 + RTX 3070 Ti搭載の検証機でゲーム系ベンチマークを試したところ、フルHDならほぼすべてのゲームを快適に遊べると判断できる結果でした。WQHD(2560×1440ドット)でも100Hz前後であれば、まったく問題ありません。ただし4Kは厳しいタイトルもあるでしょう。
フルHDでのFPSについては、とにかく高いフレームレートを出したい人向け。人気の中量級タイトルであれば、画質調整で240~300 FPSを狙えるはずです。さらに軽い競技系FPSなら、400~500 FPSあたりまでいけます。
検証結果まとめ
- ・WQHD 120~144Hz向け
- ・激重タイトルだと4Kは厳しい
- ・レイトレはFHD向け
- ・中量級FPSは240Hz向け
- ・競技系FPSは400~500Hz
※平均60 FPS以上が快適に遊べる目安
FF15ベンチ (重い / DX11)
解像度 | スコア / 評価 |
フルHD | 15082 / 非常に快適 |
WQHD | 15082 / 非常に快適 |
4K | 7886 / 快適 |
※画質は「高品質」。スコアが6000以上で「快適」
FF14ベンチ:暁月のフィナーレ (やや重い / DX11)
解像度 | スコア / 平均FPS |
フルHD | 30074 / 216.1 |
WQHD | 15082 / 非常に快適 |
4K | 16294 / 109.2 |
※画質は「最高品質」
ファークライ6(そこそこ重い / DX12)
レイトレ無効
解像度 | 平均FPS / 最小FPS |
フルHD | 113 / 114 |
WQHD | 107 / 98 |
4K | 64 / 57 |
※画質は「最高」
レイトレ有効
解像度 | 平均FPS / 最小FPS |
フルHD | 103 / 92 |
WQHD | 88 / 81 |
4K | 54 / 48 |
※画質は「最高」
サイバーパンク2077 (激重 / DX12)
レイトレ無効(ウルトラ)
解像度 | 平均FPS / 最低FPS |
フルHD | 142.14 / 88.45 |
WQHD | 96.92 / 75.87 |
4K | 48.89 / 40.65 |
レイトレ有効(レイトレーシング:ウルトラ)
解像度 | 平均FPS / 最低FPS |
フルHD | 88.22 / 66.55 |
WQHD | 60.16 / 34.4 |
4K | 33.12 / 24.07 |
アサシン クリード ヴァルハラ (激重)
解像度 | 平均FPS / 低位1% |
フルHD | 105 / 58 |
WQHD | 86 / 60 |
4K | 56 / 43 |
※画質は「最高」
エーペックスレジェンズ 射撃訓練場(中量級)
解像度 | 平均FPS / 低位1% |
フルHD | 245 / 152.1 |
4K | 190.5 / 127.7 |
4K | 113.4 / 86.4 |
※画質は最高設定。実際のプレーではこの結果よりもFPSが低下します
レインボーシックス シージ(軽い) ※DirectX
解像度 | 平均FPS / 最低FPS |
フルHD | 494 / 364 |
WQHD | 391 / 316 |
4K | 219 / 187 |
※画質は最高設定。ゲーム内ベンチマークの結果
CS:GO FPS Benchmark(軽い)
解像度 | 平均FPS |
フルHD | 611.9 |
WQHD | 503.2 |
4K | 312.8 |
※ワークショップ内のマップ「FPS Benchmark」を使用、画質は最高設定
ヴァロラント 屋外射撃場(軽い)
解像度 | 平均FPS / 低位1% |
フルHD | 453 / 207 |
WQHD | 459 / 197.7 |
4K | 366 / 200.3 |
※画質は最高設定、屋外射撃場で武器を使用しながら走り回った結果。実際のプレーではこの結果よりもFPSが10%程度低下します
発熱と騒音について
CPU温度
ベンチマーク時におけるCPUの温度と消費電力を計測したところ、テスト開始から1分程度までは高い温度と高いクロックが続いていたものの、それ以降はかなり低めに推移しています。CPUベンチマークテストではやや低めの結果が出ましたが、そのぶん平均温度は76.5℃(電圧低下後は74.5℃)と低く、熱によるパーツの劣化を心配しなくてもすみそうです。
GPU温度
GPUに高い負荷がかかるストレステストを行なったところ、GPU全体の温度を表わす「GPU Temperature」は最終的に82度前後を推移していました。数値としてはギリギリ許容範囲内のように思えますが、GPUの部分的な最大温度である「GPU Hot Spot Temperature」は90℃以上、グラボのメモリー(VRAM)温度を表わす「GPU Memory Junction Temperature」は80℃後半を推移しておりかなり高温です。この状態で長期間使い続けると、パーツの劣化が加速するかもしれません。
GPUの熱については、グラボのチューニングを行なうことで解決できます。たとえば「MSI Afterburner」というソフトを使ってファンの出力やメモリークロックを調整したところ、GPUのパフォーマンスは数パーセント下がりましたが、GPU温度を3~8度程度下げることができました。設定をもっと追い込めば、パフォーマンスに影響ない範囲で温度を下げられるでしょう。グラボの駆動音にも影響するので、自分の好みに応じて最適な設定を探ってください。
GPU性能(DirectX 12)
GPU | 3DMark Time Spy Graphicsスコア(DX12,WQHD) |
---|---|
RTX 3080 |
16540
|
OMEN 40L(RTX 3070 Ti)チューニング前 |
14402
|
OMEN 40L(RTX 3070 Ti)チューニング後 |
13650
|
RTX 3070 |
13072
|
RTX 3060 |
8870
|
GTX 1650 |
3383
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
リンク
MSI Afterburnerのダウンロード
MSI Afterburnerの使い方の例
騒音
標準のパフォーマンス設定では、高負荷時でも「ちょっと大きいかな?」と感じるレベルです。ただしパフォーマンス設定を調整すると、ファンの回転音と排気音がかなり大きいので注意してください。特にファンの出力を手動で設定すると、PCの使用が困難に感じるほどの音が聞こえます。標準設定のまま使うのがおすすめです。
駆動音の計測結果
電源オフ | 37.4dBA | - |
---|---|---|
待機中 | 40.4dBA | ファンの回転音はハッキリと聞こえるが、うるさくはない |
標準設定 高負荷時 | 53.1dBA | 回転音と排気音がけっこう大きい。ただし2分程度経過すると、48前後にまで下がる |
パフォーマンス設定 高負荷時 | 56.6dBA | 音がかなり大きいが、個人的にはまだガマンできるレベル |
手動設定 標準 | 61.5dBA | 非常に音が大きい。ちょっとガマンできないレベル |
手動設定 最大 | 68.8dBA | あり得ない大爆音。住宅環境によっては近隣から苦情が出るレベル |
コスパ重視なハイエンドPC
OMEN 40Lは、他社の同クラス製品と比べて安い点が魅力です。しかしその安さは、冷却パーツのランクを落としているからかもしれません。本当に高い冷却性能を実現しているなら、CPU性能を最大限に発揮してもそこそこ静かなはず。またGPUの冷却が考慮されていないように見受けられる点も気になりました。吸気と排気のどちらか、あるいは両方が少し弱いのかもしれません。
とは言え、大手メーカーの組み立て済みモデルとしては妥当なところでしょう。これ以上のパフォーマンスと静音性を求めるなら、BTOモデルあるいは自作でもっとお金をかけましょうということ。性能を抑えているとは言っても、初心者~中級者レベルならまったく問題ない範囲と思います。CPUとGPUの性能を最大限に引き出さないと気が済まない人でなければ、十分お買い得です。
OMEN 40L Desktop
※OMEN 40Lは、7%オフクーポンを利用するとお得に購入できます。
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