HPのOMEN 45L Desktop(以下、”OMEN 45L”)は、第12世代のCore i7 / i9とハイエンドクラスのGPUを搭載した超高性能クラスのゲーミングPCです。上位モデルなら一般の相場的には50~60万円程度ですが、いまなら36万円台で購入可能。激安のハイエンドPCとして人気を集めています。
この記事では筆者が購入した実機を使って、本体の外観や機能、実際の性能についてレビューします。
OMEN 45L Desktop
https://komameblog.jp/bargain/omen45l-20220601/
スペック
スペック
OS | Windows 11 Pro |
---|---|
CPU | Core i7-12700K / Core i9-12900K |
チップセット | Z690 |
グラフィックス | RTX 3080 Ti(12GB) / RTX 3090(24GB) |
メモリー | 32GB ※DDR4-3733、最大64GB、スロット×4 |
ストレージ | 2TB SSD (WD Black、PCIe Gen4x4) |
拡張スロット | PCI Express Gen5 x16×1、PCI Express Gen3 x4×1、M.2×3 |
ドライブベイ | 2.5/3.5インチ兼用×2、2.5インチ×2 |
通信 | Wi-Fi 6、Bluetooth5.0、有線LAN |
サイズ / 重量 | 幅204×奥行き470×高さ555mm / 約22.6kg |
電源 | 800W 80PLUS Gold |
本体デザイン
大きさと重さ
LEDイルミネーション
本体の外観とエアフロー
インターフェースについて
分解方法とパーツ交換について
右側面(裏配線)
電源ユニットの取り外し
左側面
関連リンク
グラボの取り外し
ベンチマーク結果
試用機のスペック
CPU | Core i9-12900K |
---|---|
メモリー | 32GB |
ストレージ | 2TB SSD |
グラフィックス | GeForce RTX 3090(24GB) |
※ベンチマーク結果はパーツ構成やタイミング、環境、個体差などの要因で大きく変わることがあります
CPU性能
CPUとしては、インテル第12世代のCore i7-12700KまたはCore i9-12900Kが使われています。Core i9-12900K搭載機でCPUベンチマークを行なったところ、マルチコアのテストは異様に優れた結果が出ました。筆者が計測した第12世代のCore i7-12700K/KFと比べても、ワンランク上の結果です。スコアはパーツの組み合わせや冷却性能によって大きく変わるので比較用スコアは参考程度に考えていただきたいのですが、それでも優秀なパフォーマンスと言っていいでしょう。
ただ大手メディアの検証では、同じCore i9-12900Kで27000~28000程度のスコアが出ています。なので、本来のパフォーマンスからすれば若干スコアが落ちていると考えたほうがいいでしょう。熱あるいは電力による影響が出ているのかもしれません。
CPUの性能(マルチコア)
CPU | CINEBENCH R23スコア |
---|---|
OMEN 45L(Core i9-12900K) |
25869
|
Core i7-12700K |
20452
|
Core i7-12700KF |
20276
|
Core i7-12700 |
15938
|
Core i7-11700K |
13568
|
Ryzen 7 PRO 5750G |
13134
|
Core i9-11900KF |
12917
|
Core i5-11400 |
7831
|
※10分間実行し続けた際の最終スコア。そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
CPUの性能(シングルコア)
CPU | CINEBENCH R23スコア |
---|---|
Core i7-12700K |
1931
|
Core i7-12700 |
1893
|
OMEN 45L(Core i9-12900K) |
1850
|
Core i7-12700KF |
1786
|
Core i9-11900KF |
1598
|
Core i7-11700K |
1572
|
Ryzen 7 PRO 5750G |
1488
|
Core i5-11400 |
1404
|
※10分間実行し続けた際の最終スコア。そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
グラフィックス性能
グラフィックス機能としては、GeForce RTX 3080 Ti(12GB)またはRTX 3090(24GB)が使われています。RTX 3090搭載機種で3Dベンチマークテストを行なったところ、非常に優秀な結果が出ました。
ただCPUの場合と同様に、RTX 3090の性能を十分に引き出せているスコアではないように見えます(大手メディアではTime Spyで20000前後)。これが排熱の影響なのか、電力の影響なのかは不明です。しかし過去に検証した機種でも同じような結果が出ているので、大手メーカーによる組み立て済み / CTOモデルとしては妥当な結果なのかもしれません。多少パフォーマンスが落ちていたとしても、十分な結果です。
GPU性能(DirectX 12)
GPU | 3DMark Time Spy Graphicsスコア(DX12,WQHD) |
---|---|
OMEN 45L(RTX 3090) |
18843
|
RTX 3090 |
18521
|
RTX 3080 |
16540
|
RTX 3070 |
13072
|
RTX 3060 |
8870
|
GTX 1650 |
3383
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
GPU性能(DirectX 11)
GPU | 3DMark Fire Strike Graphicsスコア(DX11,FHD) |
---|---|
OMEN 45L(RTX 3090) |
45733
|
RTX 3090 |
44130
|
RTX 3080 |
39977
|
RTX 3070 |
32448
|
RTX 3060 |
22471
|
GTX 1650 |
9005
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
GPU性能(レイトレーシング性能)
GPU | 3DMark Port Royalスコア |
---|---|
OMEN 45L(RTX 3090) |
12664
|
RTX 3090 |
12485
|
RTX 3080 |
10813
|
RTX 3070 |
8109
|
RTX 3060 |
5265
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
PCを使った作業の快適さ
PCMark10は、PCを使った作業の快適さを計測するベンチマークテストです。一般的な作業を想定しているため、テストでは比較的軽い処理が行なわれています。各テストの傾向としては「Essentials」(一般利用)ではCPUのシングルコア性能やストレージ性能、「Productivity」(ビジネス利用)ではCPUのマルチコア性能とメモリー性能、「Digital Contents Creation」(コンテンツ制作)ではCPUとストレージ、GPU性能が強く影響するようです。
ベンチマークテストの結果は、全体的に非常に優秀です。ただし一般用途やビジネス作業での体感速度は、dGPUなしのPCと変わりません。コンテンツ制作に関してはハイエンドGPUを搭載しているだけあって、ダントツの結果が出ています。ゲーム以外でなら、クリエイティブワークに向いています。
PCMark 10ベンチマーク結果
テスト | スコア |
---|---|
Essentials (一般的な利用) 目標値:4100 |
11414
10256
11430
11660
10912
10840 |
Productivity (ビジネス利用) 目標値:4500 |
10614
9930
7865
10561
9591
10397 |
Digital Contents Creation (コンテンツ制作) 目標値:3450 |
15410
5707
6313
10484
12282
13307 |
※スコアの目安はPCMark 10公式サイトによるもの
比較機のスペック
▶ThinkCentre M75q Gen2 | Ryzen 7 PRO 5750GE / 32GB / Radeon |
---|---|
▶ThinkCentre Neo 50t | Core i7-12700 / 16GB / UHD 770 |
▶XPS 8950 | Core i7-12700 / 16GB / GTX 1650S |
▶G-Master Hydro Z590-Mini | Core i7-11700K / 16GB / RTX 3070 |
▶Alienware Aurora R13 | Core i7-12700KF / 16GB / RTX 3070 |
クリエイティブ性能
UL Procyonは、アドビ製プロクリエイター向けソフトの快適さを計測するベンチマークテストです。「Photo Editing」ではPhotoshopとLightroom Classicを、「Video Editing」ではPremiere Proを利用します。
Core i9 + RTX 3090搭載の検証機ではPhotoshopのテストでエラーが発生したため、「Photo Editing」のスコアを得られませんでした。正常に動作したなら、おそらくどの比較機よりも高いスコアが出ているはずです。Premiereを利用した「Video Editing」では、もっとも高いスコアが出ています。やはりコンテンツ制作性能も強力です。
Procyonベンチマーク結果
テスト | スコア |
---|---|
Photo Editing ※写真加工全般 |
OMEN45L ※エラー
8965
9000
7925 |
Image Retouching ※Photoshop中心 |
OMEN45L ※エラー
7340
7465
7631 |
Batch Processing ※Lightroom中心 |
OMEN45L ※エラー
10950
10853
8232 |
Video Editing ※Premiere |
8376
4836
6926
6262 |
比較機のスペック
▶XPS 8950 | Core i7-12700KF / 16GB / GTX 1650S |
---|---|
▶Alienware Aurora R13 | Core i7-12700KF / 16GB / RTX 3070 |
▶Alienware Aurora R12 | Core i9-11900KF / 32GB / RTX 3090 |
ゲーム性能
Core i9 + RTX 3090搭載の検証機でゲーム系ベンチマークを試したところ、ほとんどのゲームを快適に遊べると判断できる結果でした。フルHDやWQHDであれば、まったく問題ないでしょう。タイトルにもよりますが、主流は4Kです。それも4K 144Hzあるいは4Kレイトレがターゲットと考えていいでしょう。真価を発揮するには、それなりのディスプレイが必要です。
フルHDでのFPSについては、とにかく高いフレームレートを出したい人向け。人気の中量級タイトルであれば、画質調整で240~300 FPSを狙えるでしょう。
さらに軽い競技系FPSなら、400~500 FPSあたり。今後そのあたりに対応できるゲーミングディスプレイが発売されるとは思いますが、現時点ではオーバースペックのようにも思えます。
検証結果まとめ
- ・4K 144Hz向け
- ・激重タイトルでも4K 60FPSは可能
- ・レイトレは4Kでもなんとか
- ・中量級FPSは240Hz向け
- ・競技系FPSは400~500Hz
※平均60 FPS以上が快適に遊べる目安
FF15ベンチ (重い / DX11)
解像度 | スコア / 評価 |
フルHD | 15082 / 非常に快適 |
4K | 7886 / 快適 |
※画質は「高品質」。スコアが6000以上で「快適」
FF14ベンチ:暁月のフィナーレ (やや重い / DX11)
解像度 | スコア / 平均FPS |
フルHD | 30074 / 216.1 |
4K | 16294 / 109.2 |
※画質は「最高品質」
ファークライ6(そこそこ重い / DX12)
レイトレ無効
解像度 | 平均FPS / 最小FPS |
フルHD | 134 / 109 |
4K | 81 / 74 |
※画質は「最高」
レイトレ有効
解像度 | 平均FPS / 最小FPS |
フルHD | 112 / 109 |
4K | 68 / 62 |
※画質は「最高」
サイバーパンク2077 (激重 / DX12)
レイトレ無効(ウルトラ)
解像度 | 平均FPS / 最低FPS |
フルHD | 163.8 / 71.69 |
4K | 64.33 / 53.58 |
レイトレ有効(レイトレーシング:ウルトラ)
解像度 | 平均FPS / 最低FPS |
フルHD | 108.87 / 46.95 |
4K | 46.52 / 35.62 |
アサシン クリード ヴァルハラ (激重)
解像度 | 平均FPS / 低位1% |
フルHD | 114 / 84 |
4K | 67 / 52 |
※画質は「最高」
エーペックスレジェンズ 射撃訓練場(中量級)
解像度 | 平均FPS / 低位1% |
フルHD | 286.7 / 177.1 |
4K | 147.3 / 106.3 |
※画質は最高設定。実際のプレーではこの結果よりもFPSが低下します
レインボーシックス シージ(軽い)
解像度 | 平均FPS / 最低FPS |
フルHD | 557 / 402 |
4K | 269 / 217 |
※画質は最高設定。ゲーム内ベンチマークの結果
CS:GO FPS Benchmark(軽い)
解像度 | 平均FPS |
フルHD | 717.94 |
4K | 401.63 |
※ワークショップ内のマップ「FPS Benchmark」を使用、画質は最高設定
ヴァロラント 屋外射撃場(軽い)
解像度 | 平均FPS / 低位1% |
フルHD | 456 / 182.9 FPS |
4K | 444.5 / 117.5 FPS |
※画質は最高設定、屋外射撃場で武器を使用しながら走り回った結果。実際のプレーではこの結果よりもFPSが10%程度低下します
エルデンリング
解像度 | 平均FPS / 低位1% |
フルHD | 60 / 52.7 |
4K | 60 / 52.3 |
※画質は最高設定で、フィールドを1分間走り回ったときのFPS。上限60FPS
発熱について
CPU温度
ベンチマークテストは最大パフォーマンス設定で行ないましたが、この状態だとCPUの温度がかなり上昇します。CPUベンチマークテストではテスト開始からしばらくは95度前後の高い温度を推移し、2分程度から90度前後に下がりました。高い温度が続くとパーツが劣化しやすいため、なんらかの方法でCPU温度を下げたほうがいいでしょう。
標準収録ソフトの「OMEN Gaming Hub」で「最適」設定を選ぶと、CPUの熱が劇的に下がるのでおすすめです。性能も多少落ちますが、それでもCore i7-12700Kよりは上。十分すぎるほど高性能と言えます。
CPUの性能(マルチコア)
CPU | CINEBENCH R23スコア |
---|---|
OMEN 45L(Core i9-12900K) パフォーマンス設定 |
25869
|
OMEN 45L(Core i9-12900K) 最適設定 |
22844
|
Core i7-12700K |
20452
|
Core i7-12700KF |
20276
|
Core i7-12700 |
15938
|
Ryzen 7 5700G |
14485
|
Core i7-11700K |
13568
|
Ryzen 7 PRO 5750G |
13134
|
Core i5-11400 |
7831
|
※10分間実行し続けた際の最終スコア。そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
GPU温度
GPU温度もかなり上昇します。GPU全体の温度を表わす「GPU Temperature」自体は最終的に80度前後を推移しており、数値としてはギリギリ許容範囲内。ただしGPUの部分的な最大温度である「GPU Hot Spot Temperature」は後半には90度あたりを推移しており、グラボのメモリー(VRAM)温度を表わす「GPU Memory Junction Temperature」92~93度とさらに高温です。この状態で長期間使い続けると、パーツの劣化が加速するかもしれません。
しかし、GPUの熱についてはグラボのチューニングを行なうことで解決できました。筆者は「MSI Afterburner」というソフトを使いましたが、同様の機能を持つほかのソフトでもいいでしょう。チューニング後はスコアが低下するものの、その差は2%程度でほとんど変わりません。
GPU性能(DirectX 12)
GPU | 3DMark Time Spy Graphicsスコア(DX12,WQHD) |
---|---|
OMEN 45L(RTX 3090)チューニング前 |
18843
|
OMEN 45L(RTX 3090)チューニング後 |
18458
|
RTX 3080 |
16540
|
RTX 3070 |
13072
|
RTX 3060 |
8870
|
GTX 1650 |
3383
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
リンク
MSI Afterburnerのダウンロード
MSI Afterburnerの使い方の例
ファンの回転速度を上げるとそのぶん駆動音が大きくなるため、場合によってはコアクロックやメモリークロックを少し下げたほうがいいかもしれません。そのあたりは自分がガマンできる範囲で調整してください。
以上のようにOMEN 45LのCore i9 + RTX 3090モデルはかなり温度が上昇しますが、チューニングによってある程度緩和することができます。最大パフォーマンスでぶん回す機種ではなく、やや電力を下げて利用する機種ということでしょう。それでも十分過ぎるほどの性能が出ていますので、ゲームや動画編集などにも問題なく使えるはずです。ただしGPUマイニングは避けてください。
夢の超ハイスペックを入手できるチャンス!
Core i9 + RTX 3090モデルは熱対策としてチューニングが推奨されるものの、チューニング後でも十分すぎるほどパワフルです。筆者もクーポンを使って実機を36万円台(関連記事参照)で購入しましたが、かなり持て余しています。実際のところ、ここまでのスペックは必要なかったかもしれません。
https://komameblog.jp/bargain/omen45l-20220601/
しかし、個人的には非常にいい買い物をしたと思っています。そろそろ次世代CPU / GPUが出てきそうとは言え、Core i9 + RTX 3090の(ほぼ)フラグシップモデルなんて普通は手が届きませんからね。36万円台でも高額ですが、人によってはがんばればなんとかなる金額でしょう。安く買える割引クーポンは期間限定なので、早めのチェックをおすすめします。
なおPCの扱いに慣れていない人には、長期保証サービスへの加入をおすすめします。追加料金が必要ですが、そのぶんを加えても合計価格はまだまだ激安です。
OMEN 45L Desktop
*
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