MSI Prestige 15(Prestige-15-A11)は、15.6インチのディスプレイを搭載するクリエイティブワーク向けのノートPCです。専用グラフィックス機能(GPU)としてGeForce GTX 1650 Ti Max-Qを搭載しながらも、軽量&薄型のボディが特徴。写真加工やイラスト制作、フルHDクラスのちょっとした動画編集などに使える、スタイリッシュなノートPCを探している人におすすめします。
ラインナップ
モデル | 税込価格 |
---|---|
A11SCS-005JP(FHD / 16GB / 512GB SSD) | 17万7800円 |
A11SCS-006JP(FHD / 16GB / 1TB SSD) | 19万7800円 |
A11SCS-032JP(4K / 32GB / 1TB SSD) | 22万8800円 |
A11SCS-064JP(4K / 64GB / 1TB SSD) | 26万4800円 |
※2021年3月2日時点
Prestige-15-A11のスペック
OS | ・Windows 10 Home ・Windows 10 Pro |
---|---|
画面サイズ | 15.6インチ |
解像度 | ・1920×1080 ・3840×2160 |
CPU | Core i7-1185G7 |
メモリー | ・16GB ・32GB ・64GB ※2スロット |
SSD | ・512GB ・1TB ※M.2空きスロット×1 |
HDD | なし |
グラフィックス | Radeon GTX 1650 Max-Q |
LTE | - |
堅牢性テスト | MIL-STD 810G適合 |
色域 | ・sRGB 100%相当(FHD) ・Adobe RGB 100%相当(4K) |
幅×奥行き | 356.8×233.7mm |
厚さ | 16.9mm |
重量 | 約1.69kg |
バッテリー | 最大16時間 |
※2021年3月2日時点。構成は変更される場合があります
本体カラー | カーボングレイ |
---|---|
画面の表面 | 非光沢 |
パネルの種類 | ※表記なし(IPS相当) |
タッチ / ペン | - |
光学ドライブ | - |
テンキー | - |
有線LAN | - |
無線LAN | Wi-Fi 6 (11a/b/g/n/ac/ax) |
Bluetooth | 5.1 |
USB3.2 | 2(Gen2) |
USB3.0 | - |
USB2.0 | - |
USB Type-C | 2(USB4、Thunderbolt兼用) |
Thunderbolt 4 | 2 |
メモリーカード | microSD |
HDMI | 1 |
VGA (D-sub15) | - |
DisplayPort | - |
Webカメラ | 92万画素 |
顔認証カメラ | 搭載 |
指紋センサー | 搭載 |
付属品 | ACアダプターなど |
オフィス | なし |
この記事ではメーカーからお借りした実機を使って、デザインや性能、実際の使い心地などをレビューします。
この記事の目次
- ▶スペック
- ▶デザインと使いやすさ
- ▶ベンチマーク結果
- ▶まとめ
※2021年3月2日時点
デザインと使いやすさ
外観について
Prestige 15の本体デザインは、とても先鋭的です。GeForce GTXシリーズ搭載のノートPCは厚くてゴツくなりがちですが、Prestige 15はスリムでスタイリッシュに感じます。ベースはカーボングレイの落ち着いた雰囲気でありながら、ブルーのダイヤモンドカット加工がきらびやかさを演出。クリエイター向けノートPCの位置づけにふさわしい、重厚ながらも洗練された印象です。
サイズは15.6インチとしてはコンパクトです。重量も比較的軽めではありますが、日常的に持ち歩くには少々重いかもしれません。ただ米国防省が定めた耐久基準「MIL-STD 810G」をクリアーするほど頑丈なので、PCを持ち込む場面でも安心して持ち歩けます。打ち合わせやプレゼン、あるいは納品データの確認などで利用するのはアリでしょう。
ディスプレイについて
ディスプレイのサイズは、15.6インチです。解像度は1920×1080ドットのフルHDと、3840×2140ドットの4Kの2種類。ディスプレイ表面は光沢なしのノングレアで、映り込みが抑えられています。
今回試用したのは、フルHDのモデルです。映像は自然な色合いで、違和感がありません。公称スペックによるとフルHDパネルはsRGB 100%、4KパネルはAdobeRGB 100%とのこと。色域が広いのは4Kですが、フルHDでも十分美しく感じられました。IPSパネルのなかにはsRGB 100%相当でも黄色がかって見えるものがありますが、Prestige 15は色のバランスに優れています。とは言えプロクオリティの写真やイラスト、印刷物などを制作するなら、より色域が広い4Kモデルを選んでください。
色域測定結果
sRGBカバー率 | 95.8% |
---|---|
sRGB比 | 96.5% |
Adobe RGBカバー率 | 71% |
Adobe RGB比 | 71.5% |
キーボードについて
キーボードはバックライト対応で、テンキーなしの日本語配列です。15.6インチタイプには普通テンキーが付いているのですが、クリエイター向けということで省略されたのかもしれません。その代わりキーボード右端に特殊キーが縦に並んでいます。またEnterキー周辺の配列がやや窮屈。日本語文章の入力には問題なく使えますが、記号類をよく使うプログラムでは慣れるまで誤入力があるかもしれません。
キーピッチは実測で横19mmでした。キートップが16.4mmと一般的なノートPCよりもひと回り大きいので、キーが打ちやすく感じます。キーストロークは公称値で1.5mm。ストロークについては標準的です。キーを押した瞬間のクリック感は固く、タイプ感はしっかりと感じられました。ただし軸にブレがあるようで、キーを押した際に若干のゆらぎを感じます。とは言え、普通に利用できるでしょう。
タイプ音は控えめですが、手応えがしっかりしているぶん弱い力で入力してもカタカタと聞こえます。しかし高音域のカチャカチャした音は聞こえないので、耳障りではありません。打ち下ろすように強く入力するとタンタンと響くので、軽いタッチ推奨です。
インターフェース/機能について
USB端子は合計4ポート(うち2ポートはType-C)用意されています。Type-C端子は高速なデータ転送が可能なThunderbolt 4対応。Thunderbolt 4の規格上は4Kディスプレイ×2または8Kの出力が可能ですが、Prestige 15で利用できるかは未確認のためわかりません。ただしType-C/Thunderboltドックは利用できるはずですから、必要に応じて用意するといいでしょう。有線LAN端子がないのはちょっと残念です。
Type-C端子の機能
USB PD 18W充電 | × |
---|---|
USB PD 30W充電 | △(低速充電) |
USB PD 45W充電 | △(低速充電) |
USB PD 65W充電 | ○ |
USB PD 100W充電 | ○ |
映像出力 | ○ |
ベンチマーク結果
試用機のスペック
型番 | Prestige-15-A11SCS-006JP |
---|---|
CPU | Core i7-1185G7 |
メモリー | 16GB |
ストレージ | 1TB SSD |
グラフィックス | GeForce GTX 1650 Max-Qデザイン |
※各ベンチマークテストはWindows 10の電源プランを「バランス」に設定した上で電源モードを「最も高いパフォーマンス」に設定し、標準収録ユーティリティー「MSI Center」の「User Senaio」を「High Performance」に、「ファンスピード」を「Cooler Boost」に変更した最大パフォーマンス設定で実施しています
※ベンチマーク結果はパーツ構成や環境、タイミング、個体差などさまざまな要因によって大きく変わることがあります
CPU性能
Prestige 15ではCPUとして、インテル第11世代のCore i7-1185G7が使われています。第11世代でよく使われるCore i7-1165G7との違いは、企業向けの管理/セキュリティー機能である「vPro」などに対応しているかどうかという点。動作クロックも多少違うためパフォーマンスも変わります。
CPUスペックの違い
Core i7-1185G7 | Core i7-1165G7 | |
---|---|---|
コア数/スレッド数 | 4/8 | |
最大動作クロック | 4.80GHz | 4.70GHz |
TDP | 12~30W | 12~28W |
vPro | ○ | × |
SIPP | ○ | × |
TXT | ○ | × |
CPU性能を計測するベンチマークテストでは、スタンダードノートPCでよく使われるCore i7-1165G7よりも優れた結果が出ました。一般用途向けCPUのなかでは、上位クラスのパフォーマンスです。クリエイター向けノートPCでよく使われるTDP 45WのCore i7-10750Hには及ばないものの、十分な性能です。なによりスタンダードノートPC向けCPUを使っているからこそ本体を薄型コンパクトにできていると考えれば、この結果にも納得できます。
CPUの性能差
CPU | PassMark 9.0 CPU Markスコア |
---|---|
Core i7-10870H |
18686
|
Core i7-10750H |
15614
|
Ryzen 7 4700U |
15264
|
Ryzen 7 PRO 4750U |
14336
|
Core i7-10710U |
13685
|
Ryzen 5 PRO 4650U |
13536
|
Prestige 15(Core i7-1185G7) |
13411
|
Ryzen 5 4500U |
12939
|
Core i7-1165G7 |
12566
|
Core i7-1065G7 |
12016
|
Core i5-1135G7 |
11332
|
Core i5-1035G4 |
10844
|
Core i7-10510U |
10257
|
Core i5-1035G1 |
9667
|
Core i5-10210U |
9329
|
Ryzen 3 4300U |
9154
|
Core i3-10110U |
5553
|
Ryzen 3 3250U |
4968
|
Athlon Silver 3050U |
3851
|
Celeron N4120 |
2771
|
Celeron N4020 |
1658
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
グラフィックス性能
グラフィックス機能としては、高負荷時には専用GPUであるGeForce GTX 1650 Ti Max-Qデザインが、低負荷時にはCPU内蔵のIris Xe Graphicsが使われます。負荷の高い3Dベンチマークテストを試したところ、ミドルレンジ以上の上位GPUには及ばないものの、CPU内蔵のグラフィックス機能よりもはるかに高い結果が出ました。フルHDレベルの動画編集や写真加工、イラスト制作などには十分なパフォーマンスだと言っていいでしょう。ただし扱うデータの容量が大きいなら、32GB以上のメモリーを搭載したモデルがおすすめです。
GPUの性能差
GPU | 3DMark Fire Strike Graphicsスコア |
---|---|
RTX 3080 |
27411
|
RTX 2080 |
23762
|
RTX 3070 |
23484
|
RTX 2070 |
20037
|
RTX 2060 |
15459
|
GTX 1660 Ti |
14472
|
GTX 1650 Ti |
10122
|
Prestige 15(GTX 1650 Ti MQ) |
8686
|
GTX 1650 |
8589
|
Iris Xe (Core i7) |
4534
|
MX350 |
3931
|
MX250 |
3400
|
Radeon (Ryzen 7) |
3384
|
Iris Plus(Core i7) |
2880
|
Radeon (Ryzen 5) |
2652
|
Iris Plus(Core i5) |
2236
|
UHD (Core i7) |
1335
|
UHD (Core i5) |
1273
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
PCを使った作業の快適さ
テスト | スコア |
---|---|
Essentials (一般的な利用) |
4100
9080 |
Productivity (ビジネス利用) |
4500
8323 |
Digital Contents Creation (コンテンツ制作) |
3450
6429 |
※スコアの目安はPCMark 10公式サイトによるもの
PCを使った作業の快適さを計測するPCMark 10のテストでは、すべてのテストで快適に使える目安をクリアーしました。これだけ高性能なパーツを搭載しているのですから、当然といえば当然の結果です。
クリエイティブ性能
UL Procyonは、アドビ製プロクリエイター向けソフトの快適さを計測するベンチマークテストです。「Photo Editing」ではPhotoshopとLightroom Classicを、「Video Editing」ではPremiere Proを利用します。
Prestige 15のベンチマーク結果は、以下のグラフのとおりです。現行世代のハイエンドクリエイター向けノートPC(比較機①)と、2世代前のハイミドルクラスデスクトップPC(比較機②)の結果には及びませんでしたが、使われているパーツの性能を考えれば仕方がないでしょう。むしろ薄型ノートPCとしては、かなり健闘していると言えます。ただし高度な動画編集についてはちょっと厳しいかもしれません。
ストレージのアクセス速度
ストレージは512GBまたは1TBのSSDです。接続規格は最新のPCIe 4.0 x4で、シーケンシャルリードでは4927MB/秒と非常に高速でした。従来のPCIe 3.0 x4(シーケンシャルリードで3000MB/秒)よりも、高速な処理を期待できます。ただ高負荷なテストを連続して行なうと速度が低下するので、サーマルスロットリングが発生しているようです。
バッテリー駆動時間
バッテリーの駆動時間は、公称値で最大16時間とされています。ただしこれは電力消費量を極端に抑えた状態での結果。普通は実際の駆動時間はもっと短くなります。
今回は最大パフォーマンスの状態でビジネス作業 (Web閲覧や文書作成、ビデオチャットなど)での駆動時間を計測したところ、3時間41分でバッテリー残量が2%に達し休止状態へ移行しました。公称値よりもだいぶ短いのですが、これは専用GPUや空冷ファンなどが動作しているため。GPUなしのノートPCに比べて消費電力が高いため、どうしても駆動時間は短くなるのです。外出先での本格利用は2~3時間程度と考えたほうがいいでしょう。ガッツリと作業するには時間が足りませんが、打ち合わせやプレゼンなどでデモ/チェックを行なうには十分です。ただし万が一に備えて電源アダプターも持ち歩くことをおすすめします。
バッテリー駆動時間の計測結果(Ryzen 5モデル)
テスト方法 | バッテリー消費 | 駆動時間 |
---|---|---|
※公称値 | 小 | 最大16時間 |
Modern Office (ビジネス作業) | 大 | 3時間41分 |
50%充電までにかかった時間 | - | 48分 |
フル充電までにかかった時間 | - | 2時間6分 |
※テストの条件や計測方法についてはコチラ
ゲーム系ベンチマーク結果
Prestige 15は本来ゲーム用のノートPCではありませんが、ゲーム系ベンチマークも試してみました。ごく軽いドラクエ10ではフルHDの最高画質でも快適。やや重いFF14だと、画質を低めに調整すればストレスなく快適に楽しめます。フォートナイトやエーペックスレジェンズなど人気のバトロワ系についても、画質を落とせばプレーできるでしょう。処理がとても重い重量級については厳しめです。ただしディスプレイのリフレッシュレートが60Hzどまりなので、eスポーツレベルの高度なプレーには向いていません。息抜き程度で楽しむ程度と考えてください。
FF15ベンチ (重い / DX11)
画質 | スコア / 評価 |
高品質 | 3086 / 普通 |
標準品質 | 4919 / やや快適 |
軽量品質 | 6369 / 快適 |
※1920×1080ドットの結果。スコアが6000以上で「快適」
FF14ベンチ:漆黒のヴィランズ (やや重い / DX11)
画質 | スコア / 平均FPS |
最高品質 | 9160 / 62.6 FPS |
高品質 | 12279 / 86 FPS |
標準品質 | 14068 / 106.7 FPS |
※1920×1080ドットの結果。平均60 FPS以上が快適に遊べる目安
ドラクエXベンチ (超軽い / DX9)
画質 | スコア / 評価 |
最高品質 | 20441 / すごく快適 |
標準品質 | 20747 / すごく快適 |
低品質 | 21884 / すごく快適 |
※1920×1080ドットの結果
スッキリデザインのクリエイター向けノートPC
よかった点
高性能なGPUを搭載しながらも、軽量薄型のボディが魅力です。クリエイター向けノートPCは筐体が大きくなりがちですが、Prestige 15の見た目は普通のノートPCと変わりません。高いパフォーマンスと見た目の良さを両立したい人におすすめの機種です。
また先進機能に対応している点も魅力。特にThunderbolt 4やPCIe 4.0接続のSSDは従来のノートPCに比べて性能が高く、大きなアドバンテージとなるでしょう。
気になる点
軽量薄型であるため、大型のクリエイター向けノートPCにはパフォーマンス面で及びません。特にフルHDよりも大きなサイズの動画編集では、パフォーマンス不足に感じる可能性があります。
あとは最大パフォーマンス時の駆動音が大きい点。特に空冷ファンを最大出力で動作させる「Cooler Boost」を有効にすると簡易騒音計で59dBAとかなり大きな音が聞こえます。環境にもよって異なりますが、部屋の外にまで聞こえる大きさでした。
※2021年3月2日時点
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