Xiaomi(シャオミ)の『Redmi Buds 6 Lite』は、ANC(アクティブノイズキャンセリング)機能付きの激安イヤホンです。周囲の音を消すANC付きのワイヤレスイヤホンは、そこそこ知名度のあるメーカーの製品で5000円台から。在庫処分でたたき売りされているマイナーメーカー製品で2000円台が一般的です。しかしRedmi Buds 6 Liteは、そこそこ知名度のあるXiaomi製で定価が2480円。普通ではあり得ない値段なのです。
実際に使ってみたところ、機能や音質の面ではさすがに高級イヤホンには及ばないものの、他社製で5000円あたりのANC付きイヤホンには負けていないように感じました。多少劣る部分があっても、2480円であることを考えれば十分納得できるクオリティーです。個人的には、満足感はかなり高め。
というわけで、この記事では筆者が購入した実機を使って、本体の外観や機能、実際の性能についてレビューします。
おことわり
このレビュー記事では、機材を短期間試用した上で作成しています。長期にわたって試用した際の耐久性については検証していません。あらかじめご了承ください。
スペック
発売日 | 2024年8月22日 |
---|---|
形状 | カナル型 |
重さ | 3.92g(片耳) / 35g(ケース収納時) |
ハイレゾ | 非対応 |
周波数特性 | 20Hz~20KHz |
ドライバー | 12.4mmダイナミックドライバー |
インピーダンス | 32Ω |
Bluetoothバージョン | 5.3 |
通信範囲 | 10m |
プロファイル | Bluetooth Low Energy / HFP / A2DP / AVRCP |
コーデック | SBC / AAC |
再生時間(イヤホンのみ) | 約7時間 |
再生時間(ケース充電合計) | 約38時間 |
防水性能 | IP54(イヤホンのみ) |
ノイズキャンセリング | 40dBのアクティブノイズキャンセリング、AIノイズリダクション |
タッチ操作 | 曲の再生/停止、通話のオン/オフ、モード切り替え |
外音取り込み | ○ ※アプリで操作 |
ワイヤレス充電 | × |
マルチポイント | × |
マルチデバイス | × |
低遅延モード | ※表記なし |
専用アプリ | ◯ |
片耳モード | × |
装着センサー | × |
通話 | ○ |
パッケージ
Redmi Buds 6 Liteにはサイズの異なる交換用イヤーピースが付いていますが、充電用のType-C to Aケーブルは付属していません。別途自分で用意する必要があります。
外観とサイズ・重量
今回のレビューでは、ブラックのモデルを使用しました。やや安っぽい印象を受けますが、カラバリによってはだいぶ印象が変わるはずです。
接続と専用アプリ
接続はスムーズ
今回はiPhoneとAndroid(Pixel 8 Pro)で利用しました。どちらも接続処理はスムーズです。ただPixel 8 Proの調子が悪かったようで、はじめはなかなか接続されなかったのですが、スマホ本体を再起動したら問題なく利用できました。
専用アプリで設定を変更
Redmi Buds 6 Liteはスマホ用アプリ「Xiaomi Earbuds」に対応しています。ジェスチャー(タッチ操作)を変更したり、プリセットからオーディオ効果を選んだりなど、さまざまな機能を利用できます。
着け心地と音質
着け心地はなかなかいい
グッと耳のなかへ押し込むカナル型のため、人によっては圧迫感があるかもしれません。筆者もちょっと圧迫感があったのですが、イヤーピースをSサイズに変えたらだいぶ軽減しました。ただしそのぶん密着感も薄らぐので、そこは人それぞれだと思います。
重さも気になりませんし、ハウジング部分のサイズも小ぶりです。スティックがあるとバランスが悪くスグに落ちてしまうのではと心配でしたが、逆にスティックがつっかえ棒のような形で機能するので、しっかり安定しています。またイヤホン全体を無理に外耳部分に収めなくてすむので、耳への負担は軽く感じました。
ANCの効き具合には満足
公称値である40dBもANC強度は数値としてはけっこう高めのはずですが、実際のところ、そこまでの効果があるようには感じませんでした。比較検証用にソニーの「WF-1000XM4」(ANC強度は不明)と比べてみたのですが、WF-1000XM4がほぼ完全な無音に近いのに対して、Redmi Buds 6 Liteはうっすらと周囲の音が聞こえます。低音域は静かになりますが、高音域がわずかに残る感じです。
ただANCのレベルとしては5000円クラスの他社製品と同等に感じますし、それが2480円であるなら十分満足できるのではないかと思います。個人的には「価格を考慮すれば十分満足できるレベル」です。
外音取り込みは人工的
周囲の音を聞き取りやすくする外音取り込み機能は、ちょっと人工的な音に聞こえました。特に高音域が加工されたように感じます。とは言え機能が付いているだけでも儲けもの的な部分はありますので、その点に関しての不満はありません。
サウンドは思っていたより高音質
Xiaomiのエントリー向けイヤホンは低音域がよく響くのですが、Redmi Buds 6 Liteもやはり似たような感じでした。身体に響くほどの重低音ではないものの、音楽をカジュアルに楽しむには十分なほどの迫力です。クラシックやボーカルを聴かせるような曲ではなく、ビートの効いたアップテンポでリズミカルな曲に向いています。
その一方で中音域から高音域にかけては、ややクリアーさに欠ける印象を受けました。ただしプリセットやイコライザーで調整すれば、ほんのり緩和されると思います。
ANC有効時の高音域が人工的?
音質については十分以上に感じたものの、ANCを有効にしていると、高音域に違和感がありました。ANC特有の音域カットの効果が、曲にも若干反映されているのかもしれません。
バッテリーは6時間半の駆動を確認
駆動時間はイヤホンだけで7時間とのこと。今回のレビューのために約10時間のエイジングを行なったのですが、その際に6時間半以上の駆動を確認しました。途中で見落としてしまったので、もしかするともっと長く駆動していたかもしれません。とりあえずは、十分なバッテリー性能だとは思います。
遅延はあり
Redmi Buds 6 LiteをPCに接続してゲームをプレーしたところ、わずかではあるもののハッキリとした遅延が感じられました。ほんの一瞬なのでゲームによっては気にならないかもしれませんが、アクション系のゲームだと操作と音がズレて気持ち悪いので、ゲームでは使わないほうが無難だと思います。
Bluetooth接続感度は未確認
今回はまだ、電車や繁華街での利用を確認していません。検証する機会があったら、追記します。
Redmi Buds 4 Liteとの違い
同じRedmi Lightシリーズの前モデル「Redmi Buds 4 Lite」は、価格は同じでもANC非対応でした。仕様もだいぶ異なります。かなりパワーアップしている印象です。
Redmi Buds 6 LiteとRedmi Buds 4 Liteの違い
Redmi Buds 6 Lite | Redmi Buds 4 Lite |
2480円 | |
カナル型 | インイヤー型 |
ブラック / ホワイト / ブルー | ブラック / ホワイト |
4.2g(片耳) 38.5g(ケース含む) |
3.92g(片耳) 35g(ケース含む) |
12.4mmダイナミックドライバー | 12mmダイナミックドライバー |
Bluetooth 5.3 | Bluetooth 5.2 |
SBC / AAC | SBC |
約7時間(イヤホンのみ) 約38時間(ケース充電合計) |
約4.5時間(イヤホンのみ) 約18.5時間(ケース充電合計) |
IP54 | |
専用アプリあり | 専用アプリなし |
40dBのANC対応 | ノイズキャンセリングは通話時のマイク音声のみ |
考察とまとめ
ANCイヤホンの入門に最適
「ノイズキャンセルを試してみたいけど、5000円以上だから手を出しにくいな~」と考えていた人にピッタリの入門機です。聞いたことがない謎メーカーではなく、日本でも知名度のあるグローバルメーカー製で安心感もあります。2480円なら、満足できるほどではなかったとしてもダメージが少ないでしょう。2~3万円の高級機はRedmi Buds 6 Liteの10倍優秀というわけでもないので、まずはこのあたりから試して徐々にステップアップするのがいいと思います。
値段とブランド力ありき
個人的には、満足できる機種です。ただしそれは値段の安さと、Xiaomiのブランド力があってこそ。聞いたことがないメーカーがまったく同じ製品を同じ値段で出したとしても、ここまで高く評価できるかは我ながら疑問です。その意味で、実態よりもいくぶんか高く評価しすぎている部分があるかもしれません。ただコスパが異様に高いことだけは確かなので、音質よりもその点を重視するならアリです。