エイサーの「Acer Chromebook Spin 512 R851TN-A14N/E(以下、”Acer Spin 512″)」は、画面が回転する2-in-1タイプの12インチノートPCです。ワコム製スタイラスペン / センサーを内蔵するほか、MIL-STD-810G準拠の高い堅牢性(壊れにくさ)を実現しています。
Acer Spin 512 R851TN-A14N/Eのスペック
OS | Chrome OS |
---|---|
画面サイズ | 12インチ |
解像度 | 1366×912 |
CPU | Celeron N4100 |
メモリー | 4GB ※オンボード LPDDR4-3733 |
ストレージ | 32GB eMMC |
HDD | なし |
グラフィックス | UHD 600(CPU内蔵) |
LTE | - |
堅牢性テスト | MIL-STD-810G準拠 |
色域 / 明るさ | - |
幅×奥行き | 296×230.6mm |
厚さ | 19.5mm |
重量 | 約1.42kg |
バッテリー | 約11時間 |
自動更新ポリシー | 2026年6月 |
※2021年8月11日時点。構成は変更される場合があります
本体カラー | シェールブラック |
---|---|
画面の表面 | 光沢 |
パネルの種類 | IPS |
タッチ / ペン | 対応 |
光学ドライブ | - |
テンキー | - |
有線LAN | - |
無線LAN | Wi-Fi 5 |
Bluetooth | 5.0 |
USB3.1 | - |
USB3.0 | 2 |
USB2.0 | - |
USB Type-C | 2(USB3.1 Gen1、PD/DP対応) |
Thunderbolt 4 | - |
メモリーカード | microSD |
HDMI | - |
VGA (D-sub15) | - |
DisplayPort | - |
Webカメラ | フロント:720p(92万画素) リア:800万画素 |
顔認証カメラ | - |
指紋センサー | - |
付属品 | ACアダプターなど |
オフィス | なし |
この記事では筆者が購入したAcer Spin 512の実機を使って、デザインや性能、実際の使い心地などをレビューします。
この記事の目次
- ▶スペック
- ▶デザインと使いやすさ
- ▶ベンチマーク結果
- ▶まとめ
Acer Spin 512 R851TN-A14N/E
※2021年8月11日時点
このモデルはすでに生産が終了しています。在庫については、大手通販サイトで検索してみてください。
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※本製品はChrome OSを搭載したノートPCです。Windows向けのソフトは利用できないので注意してください。
デザインと使いやすさ
外観について
Acer Spin 512は画面が回転するタイプの2-in-1ノートPCです。普通のノートPCスタイルやタブレットスタイルなど、用途に合わせてさまざまな形態で利用できます。
Acer Spin 512の注目ポイントは、とても頑丈に作られている点です。米国防総省制定の耐久基準「MIL-STD-810G」をクリアーする強固な作りで、多少の衝撃でもなかなか壊れません(絶対に壊れないわけではありません)。キーボードは耐水仕様で最大330mlの水こぼしにも耐えられるよう設計されています。PCの破損が不安な人や、扱いに慣れていない子供向けです。
頑丈で壊れにくいぶん本体は大きくて厚く、ゴツさを感じます。また樹脂(プラスチック)製の筐体は、見た目がややチープです。洗練s慣れた本体デザインよりも、頑丈で壊れにくいことを重視する人に向いています。
ディスプレイについて
ディスプレイのサイズは12インチで、解像度は1366×912ドット。アスペクト比(画面の縦横比率)は3:2で、一般的な16:9に比べて縦長です。
1366×912の数値だけで見ると、解像度が低いように感じるでしょう。しかし通常フルHDなら125%(1536×864ドット)や150%(1280×720ドット)に拡大表示されるため、実際のところ表示行数は多くありません。ところがAcer Spin 512であれば1366×912ドットの100%表示で、場合によっては拡大表示されたフルHDディスプレイよりも多くの情報が表示されるのです。
ただし16:9の動画を再生すると、上下に黒い帯や操作パネルなどが表示されます。画面いっぱいに広がらないので、没入感はいまひとつかもしれません。
映像はやや暗めですが、作業には十分な明るさです。コントラストはやや低めですが、色のメリハリはしっかり感じられました。クリエイター向けの広色域ディスプレイと比べると色の表現はいまひとつですが、文書中心の作業であれば問題ないはずです。
とは言え、安いChromebookで使われることが多いTNパネルよりは色が自然です。またコントラストはやや低いながらもしっかりと色のメリハリが出ており、文字はクッキリと映し出されます。
ただしノートPCスタイルで画面をタッチすると、本体が後ろに傾くことがあります。あまり強く押しすぎないよう注意してください。
キーボードについて
キーボードはテンキーなしの英字配列。日本語配列は用意されていませんが、システム設定でローマ字入力モードに切り替えられます。日本語配列とはEnterキー周りや記号キーの位置が異なりますが、慣れれば問題なく使えるでしょう。一部の日本語キーボードのように特殊な配列がなく、またキートップの文字が少なくてスッキリとしている点が魅力です。
キーピッチは19mm。キーボードとしては標準的な広さです。12インチタイプはキーとキーの間隔が狭く作られていることがありますが、普通のキーボードと同じサイズがしっかり確保されています。
キーストロークは平均1.37mmでした。キーを押した瞬間のクリック感がやや固く、入力時の手応えはしっかり感じられます。ただ底打ち感とたわみがわずかにあり、タイプ感はやや固めに感じました。キーを押し込む力もやや強めですが、指を押し戻す力も感じられます。
タイプ音は軽い力でもカツカツと聞こえます。うるさくはないのですが、静かな場所では周囲への配慮が必要かもしれません。上から打ち下ろすようにして入力するとパンパンと音が響くので、軽いタッチ推奨です。
ペン入力について
Acer Spin 512には、手書き入力用のスタイラスペンが内蔵されています。メモやちょっとしたイラスト、あるいは操作などに使えます。
ディスプレイの表面が光沢仕上げなのでペンの書き味はツルツルとしていますが、やや引っかかりもあります。遅延はわずかに感じられるものの、気になるほどではありません。ただスタイラスが内蔵タイプのため小さいため、わずかに扱いづらく感じました。本格的なイラストには厳しいかもしれませんが、ちょっとしたメモなら問題なく使えるでしょう。
スタイラスとセンサーはワコム製です。センサーはEMR形式で、現在主流(となりつつある?)USIペンは利用できません。
インターフェース/機能について
インターフェース類は多くありませんが、最近の一般的なChromebookよりフルサイズのUSB端子がひとつ多く用意されています。左右それぞれに配置されているので、USB機器の取り回しも手軽に行なえるでしょう。コンパクトな12インチとしては十分な構成です。
Type-C端子の機能
USB PD 18W充電 | △ ※低電力 |
---|---|
USB PD 30W充電 | ○ |
USB PD 45W充電 | ○ |
USB PD 65W充電 | ○ |
USB PD 100W充電 | ○ |
映像出力 | ○ |
ベンチマーク結果
※この部分は非常にマニアックなので、よくわからない人は「▶起動時間の計測結果」まで読み飛ばしてください。
ここからは、Acer Spin 512のパフォーマンス (性能)について解説します。ベンチマーク結果は環境、タイミング、個体差などさまざまな要因によって大きく変わることがある点をあらかじめご了承ください。
試用機のスペック
型番 | R851TN-A14N/E |
---|---|
CPU | Celeron N4100 |
メモリー | 4GB |
ストレージ | 32GB eMMC |
グラフィックス | UHD Graphics 600(CPU内蔵) |
Octane 2.0
CPUとしては、インテルのCeleron N4100が使われています。CPUの位置付けは格安PC向けの低性能タイプですが、そのなかでもCeleron N4020やCeleron 5205Uよりも格上です。
JavaScritの処理速度を計測する「Google Octane 2.0」を試したところ、エントリー(入門)向け相当の性能でした。Chromebookで使われているCPU全体で見ると、「下の中」クラスです。ただ本来なら下位であるはずのCeleron N4020やCeleron 5205Uの結果を若干下回っていることから、テストとの相性的な部分があるのかもしれません。
ベンチマークスコアの比較
CPU | Octane 2.0スコア |
---|---|
HP x360 13c (Core i7-10510U) |
48847
|
ASUS Flip C436FA (Core i7-10510U) |
48443
|
Acer 712 C871T-A38N (Core i3-10110U) |
44600
|
HP x360 14c (Core i3-10110U) |
43914
|
HP x360 14 (Core i5-8250U) |
34408
|
HP 14a(Pentium N5030) |
21124
|
HP x360 12b (Pentium N5030) |
21081
|
HP x360 14b (Pentium N5000) |
19455
|
Acer 712 C871T-A14N (Celeron 5205U) |
16974
|
Acer CB311 (Celeron N4020) |
16911
|
IdeaPad Flex550i (Celeron 5205U) |
16810
|
Acer Spin512 (Celeron N4100) |
16471
|
IdeaPad Slim 350i (Celeron N4020) |
15729
|
Lenovo 300e 2nd Gen (A4-9120C) |
12932
|
ASUS C223NA (Celeron N3350) |
11585
|
S330(MT8173C) |
11460
|
Acer Tablet CT100PA(OP1) |
10490
|
ASUS Detachable CM3 (MediaTek MT8183) |
10076
|
IdeaPad Slim 360 (MediaTek MT8183) |
9934
|
Acer Spin 311 (MediaTek M8183C) |
9870
|
CrXPRT 2
「CrXPRT 2」はChrome OS機器の総合性能の計測する、HTML 5ベースのベンチマークテストです。このテストのスコアは比較的上位で、CPU本来の位置付けに近い結果が出ています。あくまでもエントリー向けではありますが、2~3万円台の格安機種よりも快適に使えるはずです。
ベンチマークスコアの比較
CPU | CrXPRT 2 Performanceスコア |
---|---|
Acer 712 C871T-A38N (Core i3-10110U) |
110
|
HP x360 12b (Pentium N5030) |
73
|
HP 14a(Pentium N5030) |
70
|
HP x360 14b (Pentium N5000) |
66
|
Acer Spin512 (Celeron N4100) |
61
|
IdeaPad Flex550i (Celeron 5205U) |
55
|
Acer 712 C871T-A14N (Celeron 5205U) |
53
|
Lenovo 300e 2nd Gen (A4-9120C) |
43
|
IdeaPad Slim 360 (MediaTek MT8183) |
40
|
ASUS CM3 (MediaTek MT8183) |
39
|
ASUS C223NA (Celeron N3350) |
37
|
GeekBench 5
Celeron N4100は4コア4スレッドのCPUです。CPU性能を計測するAndroidアプリ「GeekBench 5」のマルチコアテストではコア数が多いほど有利であるため、8コアのMediaTek MT8183よりも低い結果が出ています。とは言え、エントリー向けCPUとしてはやはり中位クラスの性能で、軽めの作業であれば普通に使えるでしょう。
ベンチマークスコアの比較
CPU | Geekbench 5 マルチコアスコア |
---|---|
ASUS Flip C436FA (Core i7-10510U) |
3626
|
HP x360 13c (Core i7-10510U) |
3146
|
HP x360 14 (Core i5-8250U) |
2938
|
HP x360 14c (Core i3-10110U) |
2209
|
Acer 712 C871T-A38N (Core i3-10110U) |
1812
|
HP x360 14b (Pentium N5000) |
1503
|
HP x360 12b (Pentium N5030) |
1450
|
HP 14a(Pentium N5030) |
1428
|
ASUS Detachable CM3 (MediaTek MT8183) |
1422
|
IdeaPad Slim 360 (MediaTek MT8183) |
1403
|
Acer Spin512 (Celeron N4100) |
1393
|
Acer Spin 311 (MediaTek M8183C) |
918
|
Acer CB311 (Celeron N4020) |
899
|
IdeaPad Flex550i (Celeron 5205U) |
880
|
Acer 712 C871T-A14N (Celeron 5205U) |
814
|
ASUS C223NA (Celeron N3350) |
514
|
Lenovo 300e 2nd Gen (A4-9120C) |
465
|
ベンチマークスコアの比較
CPU | Geekbench 5 シングルコアスコア |
---|---|
HP x360 14c (Core i3-10110U) |
1015
|
HP x360 14 (Core i5-8250U) |
921
|
Acer 712 C871T-A38N (Core i3-10110U) |
826
|
HP x360 12b (Pentium N5030) |
520
|
HP 14a(Pentium N5030) |
511
|
IdeaPad Flex550i (Celeron 5205U) |
461
|
HP x360 14b (Pentium N5000) |
447
|
Acer 712 C871T-A14N (Celeron 5205U) |
431
|
Acer Spin512 (Celeron N4100) |
397
|
ASUS Detachable CM3 (MediaTek MT8183) |
301
|
IdeaPad Slim 360 (MediaTek MT8183) |
292
|
Lenovo 300e 2nd Gen (A4-9120C) |
287
|
ASUS C223NA (Celeron N3350) |
270
|
PCMark / 3DMark
アプリによる軽めの作業の快適さを計測するPCMarkでは、ギリギリ「下の中」クラスのスコアです。ほかのベンチマーク結果を見る限りではもう少しいい結果が出てもよさそうですが、いまひとつスコアが伸びませんでした。
逆にグラフィックス性能については、エントリークラスとしては優秀な結果が出ています。メモリー容量は4GBと普通なので、おそらく転送速度が影響しているのかもしれません。とは言え重いゲームを楽しめるほどではないので注意してください。
ベンチマークスコアの比較
CPU | PCMark Work 2.0スコア |
---|---|
ASUS Flip C436FA (Core i7-10510U) |
11966
|
HP x360 14c (Core i3-10110U) |
11792
|
HP x360 14 (Core i5-8250U) |
10653
|
HP x360 13c (Core i7-10510U) |
10010
|
HP x360 12b (Pentium N5030) |
9692
|
HP 14a(Pentium N5030) |
9455
|
Acer 712 C871T-A38N (Core i3-10110U) |
9150
|
HP x360 14b (Pentium N5000) |
8714
|
Acer CB311 (Celeron N4020) |
8564
|
IdeaPad Flex550i (Celeron 5205U) |
8249
|
Acer Spin512 (Celeron N4100) |
8191
|
Lenovo 300e 2nd Gen (A4-9120C) |
8064
|
IdeaPad Slim 360 (MediaTek MT8183) |
6743
|
ASUS Detachable CM3 (MediaTek MT8183) |
6655
|
Acer Spin 311 (MediaTek M8183C) |
6307
|
Acer 712 C871T-A14N (Celeron 5205U) |
6177
|
ASUS C223NA (Celeron N3350) |
5195
|
ベンチマークスコアの比較
CPU | 3DMakr Sling Shotスコア |
---|---|
HP x360 13c (Core i7-10510U) |
5522
|
ASUS Flip C436FA (Core i7-10510U) |
4648
|
Acer 712 C871T-A38N (Core i3-10110U) |
4243
|
HP x360 14c (Core i3-10110U) |
4172
|
HP x360 14b (Pentium N5000) |
2780
|
Acer Spin512 (Celeron N4100) |
2636
|
IdeaPad Flex550i (Celeron 5205U) |
2538
|
Lenovo 300e 2nd Gen (A4-9120C) |
2269
|
HP x360 12b (Pentium N5030) |
2239
|
HP 14a(Pentium N5030) |
2203
|
Acer 712 C871T-A14N (Celeron 5205U) |
2107
|
Acer CB311 (Celeron N4020) |
1871
|
ASUS Detachable CM3 (MediaTek MT8183) |
1796
|
Acer Spin 311 (MediaTek M8183C) |
1458
|
ASUS C223NA (Celeron N3350) |
1445
|
起動時間の計測結果
電源オフの状態から電源ボタンを押してパスワード入力画面が表示されるまでの時間を計測したところ、平均で10.2秒でした。Chromebookは10秒前後が平均で、標準的な結果です。待たされている感はほとんどありません。
起動時間の計測結果(手動計測)
1回目 | 10.2秒 |
---|---|
2回目 | 9.8秒 |
3回目 | 10.2秒 |
4回目 | 9.9秒 |
5回目 | 10.0秒 |
平均 | 10.02秒 |
機能面はいいが反応の遅さが気になる
よかった点
MIL-STD-810G準拠の頑丈な作りと、ワコム製スタイラスペンを内蔵している点がポイントです。本体デザインは無骨で野暮ったさが感じられますが、同様にMIL規格準拠の▶Lenovo 300e Chromebook 2nd Genや▶Acer Chromebook 712も似たような感じですから、この点については仕方がないでしょう。手書き入力用のペンだけでも3000~8000円くらいはするので、そのぶんお得とも考えられます。
同じような機種でもう少し本体デザインを重視したいなら、HPの▶HP Chromebook x360 12bがおすすめです。
気になる点
CPU性能は悪くないはずですが、反応の遅さが気になります。数分程度使わずにいるとPCで言うところの「プチフリ(プチフリーズ)」のような状態となり、数秒間反応しなくなることがあるのです。原因がCPUなのかほかのパーツなのか、あるいはソフトウェア的なものなのかどうかはわかりません。気にならない人も多いとは思いますが、個人的にはこの点が残念です。
Acer Spin 512 R851TN-A14N/E
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