レノボのThinkPad E15(第10世代インテル)は、15.6インチのフルHDディスプレイを搭載する据え置き向けのスタンダードノートPCです。2019年発売で最新モデルではないものの、そのぶん安く買える点が魅力。使いやすさと高い堅牢性で人気のThinkPadを安く入手したい人におすすめします。
主なラインナップ
ブラック 20RD002HJP | |
---|---|
6万3800円 | |
ブラック 20RDS17C00 | |
7万5900円 | |
ブラック – マイクロソフトオフィス付き 20RD002JJP | |
8万3600円 | |
ブラック – マイクロソフトオフィス付き 20RDS17A00 | |
9万7900円 |
※価格は税込み
ThinkPad E15のスペック
OS | ・Windows 10 Home ・Windows 10 Pro |
---|---|
画面サイズ | 15.6インチ |
解像度 | 1920×1080 |
CPU | ・Core i3-10110U ・Core i5-10210U ・Core i7-10510U |
メモリー | 4~16GB ※スロット1基、DDR4-2666、最大16GB |
SSD | ・なし ・128GB~1TB |
HDD | ・なし ・1~2TB |
グラフィックス | ・UHD ・RX 640(オプション) |
モバイル通信 | - |
堅牢性テスト | MIL-STD-810G準拠 |
色域 | ※表記なし |
幅×奥行き | 368×245mm |
厚さ | 18.9mm |
重量 | 約1.9kg~ |
バッテリー | 最大 約12.6時間 |
※2021年4月12日時点。構成は変更される場合があります
本体カラー | ブラック |
---|---|
画面の表面 | 非光沢 |
パネルの種類 | ・TN ・IPS |
タッチ / ペン | - |
光学ドライブ | - |
テンキー | あり(4列) |
有線LAN | 1000Mbps |
無線LAN | ・Wi-Fi 5 ・Wi-Fi 6 |
Bluetooth | ・5.1 ・5.2 |
USB3.1 | 2(Gen1) |
USB3.0 | - |
USB2.0 | 1 |
USB Type-C | 1(3.1 Gen1) |
Thunderbolt | - |
メモリーカード | - |
HDMI | 1 |
VGA (D-sub15) | - |
DisplayPort | - |
Webカメラ | HD 720p(92万画素) |
顔認証カメラ | - |
指紋センサー | オプション |
付属品 | ACアダプターなど |
オフィス | ・なし(オプションで追加可能) ・付属モデルあり |
この記事では筆者が購入した実機を使って、デザインや性能、実際の使い心地などをレビューします。
この記事の目次
- ▶スペック
- ▶デザインと使いやすさ
- ▶分解とメモリー増設
- ▶ベンチマーク結果
- ▶まとめ
※2021年4月12日時点
Gen2(2020年モデル)との違いについて
この記事で取り上げるのは、2019年発売の「ThinkPad E15」です。2020年発売の後継モデル「ThinkPad E15 Gen2」とはパーツ構成や機能などが異なります。新しいモデルは高性能で機能も充実していますが、古いモデルは安く買える点がメリット。高度な処理を行なわないのであれば、旧機種を安く買うのもアリです。
新旧モデルの違い
E15 (2019年モデル) | E15 Gen2 (2020年モデル) | |
---|---|---|
CPU | 第10世代Coreプロセッサ | 第11世代Coreプロセッサ |
グラフィックス | ・UHD ・Radeon RX 640 |
・UHD ・Iris Xe ・GeForce MX450 |
メモリー | DDR4-2666 最大16GB | DDR4-3200 最大32GB |
ストレージ | SSD / HDD | SSD |
ディスプレイ | 15.6インチ 1920×1080 | |
Thunderbolt | 非対応 | 対応 (Thunderbolt 4) |
USB | 合計4ポート | 合計3ポート |
サイズ | 幅368×奥行き245×高さ18.9mm | 幅365×奥行き240×高さ18.9mm |
重量 | 約1.9kg~ | 約1.7kg~ |
バッテリー駆動時間 | 最大 約12.6時間 | 最大 約12.1時間 |
※2021年4月12日時点
デザインと使いやすさ
外観について
ThinkPad E15の本体カラーはブラック。ThinkPadシリーズではおなじみの色合いです。ボディは天板のみアルミ素材で、そのほかは樹脂(プラスチック)製。樹脂部分の質感はそれなりですが、安っぽくは見えません。見た目は重厚な雰囲気です。
ただし本体がやや大きくて厚いぶん、最近のノートPCと比べるとゴツく感じます。とは言え、3~4年前のモデルに比べると十分スリムかつコンパクト。古いPCを使っているなら、買い換える価値はあるでしょう。また米国防省制定の耐久基準「MIL-STD-810G」や、200種類以上の耐久テストをクリアーしている点もポイント。頑丈で壊れにくい点が、ThinkPadシリーズの魅力のひとつです。
ディスプレイについて
ディスプレイのサイズは15.6インチで、解像度は1920×1080ドット。ノートPCとしては、もっともスタンダードなスペックです。パネルの種類はIPSとTNの2種類。TNパネルのほうが価格は安いものの、発色と文字の読みやすさはIPSのほうが優れています。
今回検証したのは、IPSパネルのモデルです。色合いはパッと見では普通ですが、やや黄色が強く出ています。動画視聴や事務作業には問題ありませんが、本格的なクリエイティブワークには広色域の外付けディスプレイを使ったほうがいいかもしれません。
キーボードについて
キーボードはテンキー付き。カスタマイズ対応モデルであれば日本語配列 / 英字配列やバックライトの有無を選択できますが、カスタマイズ非対応の固定仕様モデルではバックライト対応の日本語配列のみです。キー配列は英数字部分は一般的ですが、Enterキー周辺がやや窮屈に感じました。ローマ字入力なら普通に使えますが、かな入力やプログラミングなどではやや使いづらく感じるかもしれません。
キートップはややザラつきのある手触り。文字のプリントはシルクスクリーンでした。長期間ガッツリ使い込むと、キーの文字がかすれてくるかもしれません。最新型のThinkPad E15 Gen2はレーザープリントで、キーボードの仕上がりは新モデルのほうが優れています。
キーストロークは実測で平均1.62mmでした。ノートPCの標準値(1.2~1.5mm)よりもストロークが深めに作られています。キーを押した瞬間のクリック感はやや固めで、手応えはしっかりと感じられました。キーを押し込むようにして打つ人向きで、軽いタッチで入力する人にはちょっと重く感じるかもしれません。
クリック感がしっかりしているので、入力時のタイプ音はカタカタと聞こえます。カチャカチャとした高音域の音は聞こえませんが、内部で反響しているためか、低音域の音が強く聞こえました。軽めのタッチでも音がしっかり聞こえるので、周囲に配慮が必要かもしれません。
インターフェース/機能について
周辺機器接続用のインターフェース(端子)類は多くありませんが、十分な構成です。USB端子は合計4ポートで、うち1ポートがType-C。あとは映像出力用のHDMIと、有線LAN、ヘッドホン端子が用意されています。メモリーカードスロットは用意されていないので注意してください。端子類が足りない場合は、Type-Cドックを利用するといいでしょう。
Type-C端子の機能
USB PD 18W充電 | △(低速充電) |
---|---|
USB PD 30W充電 | △(低速充電) |
USB PD 45W充電 | ○ |
USB PD 65W充電 | ○ |
USB PD 100W充電 | ○ |
映像出力 | ○ |
分解とメモリー増設
ThinkPad E15は底面部のカバーを外すことで、パーツの交換や本体内部のメンテナンスが可能です。メモリーの増設も可能ですが、モジュールは1枚のみのシングルチャネルで構成されています。分解はネジを外してカバーをこじあければOK。ただしカバーが開けづらいので、傷をつけたりツメを折ったりしないよう注意してください。専用の道具があると便利です。
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ベンチマーク結果
試用機のスペック
型番 | 20RDCTO1WW |
---|---|
CPU | Core i5-10210U |
メモリー | 8GB |
ストレージ | 256GB SSD + 1TB HDD ※SSDを自分で増設 |
グラフィックス | UHD Graphics |
※各ベンチマークテストはWindows 10の電源プランを「バランス」に設定した上で電源モードを「最も高いパフォーマンス」に設定しています
※ベンチマーク結果はパーツ構成や環境、タイミング、個体差などさまざまな要因によって大きく変わることがあります
CPU性能
CPUとしては、インテル第10世代Coreプロセッサ(Comet Lake)が使われています。すでに最新の第11世代Coreプロセッサを搭載した機種がリリースされており、最新機種と比べると性能は控えめです。しかし普段使いや軽めのビジネス作業には問題なく利用できるでしょう。
Core i5-10210U搭載機でベンチマークテストを行なったところ、若干低めの結果が出ました。内部の熱が上がりすぎないようにあえてパフォーマンスを抑えているのかもしれませんが、もしかするとテスト機固有の症状なのかもしれません。
グラフィックス性能
標準のグラフィックス機能は、CPU内蔵のUHD Graphicsです。さらにカスタマイズ対応モデルでは、専用グラフィックス機能としてRadeon RX 640(2GB)を追加できます。
UHD Graphicsの性能はごく控えめですが、RX 640はけっこう優秀です。ゲーム用GPUのGeForce GTXシリーズほどではないものの、ゲームやクリエイター向けソフトでの効果を期待できます。ただし専用グラフィックス機能を利用すると、バッテリー駆動時間が短くなる場合があるので注意してください。
PCを使った作業の快適さ
テスト | スコア |
---|---|
Essentials (一般的な利用) |
4100
8341 |
Productivity (ビジネス利用) |
4500
6442 |
Digital Contents Creation (コンテンツ制作) |
3450
3805 |
※スコアの目安はPCMark 10公式サイトによるもの
PCMark10は、PCを使った作業の快適さを計測するベンチマークテストです。Core i5+RX640構成のテスト機ではすべてのテストで快適に使える目安をクリアーできました。これは専用GPUとしてRX 640を搭載しているためだと思われます。
通常、第10世代Coreプロセッサ搭載機種だとCore i3とCore i5でコンテンツ制作(写真加工や動画編集など)のテストをクリアーできません。Core i7でギリギリといったところです。基本的は普段使いやビジネス利用中心と考えたほうがいいでしょう。
ストレージのアクセス速度
テスト機は本来500GB HDDしか搭載していませんでしたが、HDDのみだとあまりにも処理に時間がかかるので、筆者の手持ちの256GB SSDを追加しました。ウィンドウズの起動や処理のレスポンスが大幅に改善されるので、SSDの利用を強くおすすめします。
追加したSSDはPCIe 3.0 x4の高速タイプで、アクセス速度はまずまずといったところ。1TB HDDは標準的な結果です。なおSSD搭載モデルでは、接続規格や速度が異なるSSDが使われる可能性があります。
起動時間
ウィンドウズの起動時間(バッテリー駆動時)は平均19.72秒でした。最近のSSD搭載ノートPCの平均は15秒前後ですので、起動はやや遅め。ただしこれは自分でSSDを増設したためで、最初からSSDが搭載されているモデルならもっと速いかもしれません。なおHDDのみだと起動に30秒以上かかるので、SSDの利用を強くおすすめします。
起動時間の計測結果(手動計測)
1回目 | 20.1秒 |
---|---|
2回目 | 19.9秒 |
3回目 | 19.5秒 |
4回目 | 19.4秒 |
5回目 | 19.7秒 |
平均 | 19.72秒 |
バッテリー駆動時間
バッテリーの駆動時間の公称値は、最大で約12.6時間とされています。しかしこれはバッテリー消費量を極端に落とした状態での結果で、実際の駆動時間とは異なる場合がほとんど。公称値よりも短いことが普通です。
そこで最大パフォーマンスの状態でビジネス作業 (Web閲覧や文書作成、ビデオチャットなど)での駆動時間を計測したところ、7時間1分で休止状態へ移行しました。公称値よりもだいぶ短い結果でしたが、フルパワーで使用しているので仕方がないでしょう。またテスト機では専用グラフィックスとしてRX 640を搭載していることも影響しているはずです。バッテリー消費の少ない電源プランや電源モードを選べば、伸びる可能性があります。
バッテリー駆動時間の計測結果(Core i5+RX 640モデル)
テスト方法 | バッテリー消費 | 駆動時間 |
---|---|---|
※公称値 | 小 | 最大 約12.6時間 |
Modern Office (ビジネス作業) | 大 | 7時間1分 |
50%充電までにかかった時間 | - | 33分 |
フル充電までにかかった時間 | - | 1時間48分 |
※テストの条件や計測方法についてはコチラ
ゲーム系ベンチマーク結果
Core i5+RX 640モデルでゲーム系ベンチマークを試したところ、ごくごく軽いドラクエ10であれば最高画質で普通との評価でした。RX 640の性能からすると最高画質でも快適に楽しめるはずですが、もしかするとCPU内蔵のUHD Graphicsが使われているのかもしれません。Radeon系はiGPU / dGPUの切り替えをコントロールするのが難しいため、ゲームによってはうまく動作しない可能性があります。
RX 640によってグラフィックス性能が向上しているとは言え、重いゲームを楽しめるほどではありません。軽めのゲームをUHD Graphicsよりもちょっぴり快適にといった程度です。息抜き程度で楽しむことをおすすめします。
FF15ベンチ (重い / DX11)
画質 | スコア / 評価 |
高品質 | 744 / 動作困難 |
標準品質 | 1751 / 動作困難 |
軽量品質 | 2423 / 重い |
※1920×1080ドットの結果。スコアが6000以上で「快適」
FF14ベンチ:漆黒のヴィランズ (やや重い / DX11)
画質 | スコア / 平均FPS |
最高品質 | 2951 / 19.6 FPS |
高品質 | 4191 / 28.3 FPS |
標準品質 | 5187 / 36.8 FPS |
※1920×1080ドットの結果。平均60 FPS以上が快適に遊べる目安
ドラクエXベンチ (超軽い / DX9)
画質 | スコア / 評価 |
最高品質 | 3762 / 普通 |
標準品質 | 5162 / 快適 |
低品質 | 6028 / 快適 |
※1920×1080ドットの結果
型落ちして安く買える点が魅力
よかった点
筐体はややゴツいものの、安定感と壊れにくいことに対する安心感があります。機能面も使い勝手もまずまずの出来栄え。いまなら型落ちして古くなったぶん、安く買えるのが魅力です。手堅いスタンダードノートPCとしておすすめします。
気になる点
現在購入できるのは固定仕様モデルのみで、パーツカスタマイズ非対応である点が残念です。あとはメモリースロットが1スロットのみで、シングルチャネルでしか動作しない点。パフォーマンスへの影響はそれほど大きくないはずですが、やはり多少性能が落ちているようにも見えます。性能を重視するなら、最新のThinkPad E15 Gen2をおすすめします。
※2021年4月12日時点
*
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