レノボ・ジャパンのThinkPad X1 Yogaは、360度回転可能な液晶ディスプレイを搭載した14型の2-in-1ノートパソコンです。比較的大きな液晶ディスプレイを搭載しながらも軽くて薄く、持ち運びやすい点が魅力。今回はメーカーからお借りした実機を使って、本体デザインや各部の使い勝手についてレビューします。

ThinkPad X1 Yoga
試用機の主なスペック | |
OS | Windows 10 Home 64ビット |
---|---|
CPU | Core i7-6500U(2.50GHz) |
メモリー | 8GB |
グラフィックス | Intel HDGraphics 520 |
ストレージ | 256GB SSD(NVMe) |
ディスプレイ | 14型、2,560×1,440ドット |
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シーンにあわせて4つのモードに変形できる
ThinkPad X1 Yogaの大きなポイントは、液晶ディスプレイを回転させることでさまざまなスタイルに変形できる点です。キーボードを使った通常の作業なら”ラップトップ”モード、タッチ操作やペン入力なら”タブレット”モード、プレゼンなどで相手に画面を見せるときは”スタンド”モード、映画やネット動画を楽しみたいときは””テント”モードなど、利用シーンにあわせて最適なカタチで活用できます。
液晶ディスプレイを回転させることでさまざまなスタイルで活用できる | |
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ラップトップ | スタンド |
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テント | タブレット |

液晶ディスプレイを180度倒した様子

さらに液晶ディスプレイを動かして、テントモードの状態から横を見た様子
本体と液晶ディスプレイをつなぐヒンジ部分には金属製の部品が使われており、かなり頑丈な作りになっていました。液晶ディスプレイを頻繁に開け閉めするモデルですので、この部分はしっかり作りこまれているようです。

金属製のダブルヒンジを採用することで、回転部分の堅牢性を確保しています
フレームが浮き上がってキーやトラックポイントを保護するLift’n’Lockキーボード
ThinkPad X1 Yogaでは、液晶ディスプレイを一定の角度まで回転させるとキーボードのフレームが浮き上がる「Lift’n’Lock(リフトンロック)」機構を採用しています。これによりキーが保護されカチャカチャと動かないほか、トラックポイントのカバーが外れるのを防ぐことが可能です。

ラップトップモードではフレームが沈んでおり、普通に入力できる状態です

スタンドモードまたはタブレットモードではフレームが浮き上がり、キーが動かないように保護されています
Lift’n’Lock機構はギミックとしては非常にユニークなのですが、キーボード周辺に溝ができるため、ここにゴミやホコリがたまってしまわないか心配です。ブロアーやエアダスターなどを使って、こまめに掃除するこをおすすめします。

キーボードの周辺の溝に小さなゴミが入り込んだ場合は、ブロアーなどで吹き飛ばしましょう
14型なのに薄くて軽い!
ThinkPad X1 Yogaの本体サイズは、幅333×奥行き229×高さ15.3~16.8mmです。フットプリント(接地面積)はB4サイズ(幅364×奥行き257mm)よりも1~2周り小さい程度です。

フットプリントは幅333×奥行き229mm

B5サイズの標準的なノートと、書類でよく使われるA4サイズとの比較

B4サイズ(ノートを見開きにした大きさ)よりもひと周りかふた周り小さめです
実際に手に持ってみると、かなり薄く感じました。フットプリントがそれなりに大きいので、カタログ値である15.3~16.8mmよりもスリムに感じます。2-in-1タイプでこれほど薄いのは驚き。

最薄部となる本体前面は15.3mmです

本体がそれなりに大きいので、実際に手にすると数値以上に薄く感じます
カタログ上の重量は、標準構成時で1.36kgとされています。実際に重さを測ってみたところ、カタログどおりの結果となりました。1.36kgという重さは、モバイルノートパソコンとしてはそれほど軽いわけではありません。しかし14型の比較的大きな液晶ディスプレイと2-in-1の変形機構を搭載している点を考えれば、高く評価できるスペックです。

重量は実測で1.364kg、電源アダプター込みで1.594kgでした

先日筆者が購入したThinkPad X260は、12.5型なのに14型のThinkPad X1 Yogaよりも重い……
ThinkPad X1 Carbonとのサイズ/重量の違い
ThinkPad X1 Yogaの外観は、クラムシェル型ノートパソコンのThinkPad X1 Carbonに似ています。というよりも、パッと見ただけでは区別がつかないかもしれません。フットプリントはまったく同じで、色も似ています。
デザイン面で異なるのは、高さと重さの2点です。ThinkPad X1 Yogaのほうが2-in-1の変形機構を備えているぶん、ThinkPad X1 Carbonよりも若干厚く&重くなっています。ただし繰り返しになりますが、変形機構を備えた14型のコンバーチブルタイプとしては、驚異的な薄さと軽さです。
ThinkPad X1 Carbonとのサイズ/重量の違い | ||
ThinkPad X1 Yoga | ThinkPad X1 Carbon | |
液晶ディスプレイ | 14型 | 14型 |
本体サイズ | 幅333×奥行き229×高さ15.3~16.8mm | 幅333×奥行き229×高さ14.95~16.45mm |
重量 | 1.36kg | 1.18kg |
ハーフグレア仕様のタッチ対応液晶ディスプレイ
ThinkPad X1 Yogaの液晶ディスプレイは14型で、解像度はフルHD(1920×1080ドット)とWQHD(2560×1440ドット)の2種類が用意されています(購入時に選択可能)。試用機ではWQHD液晶ディスプレイが搭載されており、フルHDよりも写真や文字が精細に表示されました。標準ではデスクトップが200%に拡大表示されていますが、等倍(100%)に変更すると文字が小さくて読みづらくなります。

IPSパネルを採用した2560×1440ドットの液晶ディスプレイ

発色に優れるIPSパネルを採用していることもあり、鮮やかで自然な色合いです

写真は細部のディティールまで精細に表示されました

液晶ディスプレイをz前後60度、右方向60度に傾けたときの映像。視野角が広いので、斜めから見ても映像のコントラストが大きく落ちることはありません
通常、タッチ対応の液晶ディスプレイでは光沢ありのグレアパネルを採用しています。しかしThinkPad X1 Yogaでは、半光沢のハーフグレアパネルが使われていました。グレアパネルよりも光の映り込みが抑えられている上に、ノングレアよりも鮮やかな映像を楽しめます。

写真左がハーフグレアのThinkPad X1 Yogaで、右がグレアのデル XPS 15。色の鮮やかさを損なわずに、グレアタイプよりも光の映り込みが抑えられている点がポイントです

ノングレア(右)よりも映り込みは目立ちます

しかしノングレア(右)よりもコントラストが高く、色にメリハリが出ています
手触りと静音性に優れるキーボード
ThinkPad X1 Yogaでは購入時に、英字配列のキーボードか日本語配列のキーボードを選べます。日本語配列キーボードは6列89キー構成で、標準的な配列を採用してます。キーピッチは実測で19mmと十分なサイズが確保されており、はじめて使った瞬間から違和感なくスラスラとタイピングできました。

ThinkPad X1 Yogaのキーボード。スタンダードな配列なので、はじめから違和感なく使えるはずです

キーボードは、ほぼ水平でした
キーストローク(キーを押す深さ)は、実測で1.8mm前後でした。ノートパソコンとしては比較的余裕があり十分な深さですが、ほかのThinkPadシリーズ(キーストロークは約2.0mm)と比べるとやや浅めです。
個人的に高く評価したいのは、タイプ音がとても静かな点と、キートップがサラサラとしたマットな仕上がりで手触りがいい点です。底打ち感は若干感じられましたが、スイッチにブレがないため音が静かで力むことなく自然に入力できます。

キーを強く押し込むとたわみが生じますが、普通に使っているぶんには気になりません。全体的に完成度の高い仕上がりです

タッチパッドは実測で幅100×58mm。ThinkPadシリーズの象徴であるトラックポイントも用意されています

さらに別の入力方法としてペン入力も用意されています。詳細については、別の記事にまとめる予定です
周辺機器の追加で拡張性が大きくアップ
ThinkPad X1 YogaにはインターフェースとしてUSB3.0×3(うち1ポートが充電機能対応)、miniDisplayPort×1、HDMI×1、Lenovo OneLink+、microSDメディアカードリーダーなどを用意しています。アナログRGB(VGA)や有線LAN用の端子は用意されていませんが、アダプターを利用することで対応できます。

左側面には電源ボタンと音量調節ボタン、ヘッドホン出力、USB3.0×2、HDMI端子が用意されています

右側面は電源コネクター、Lenovo OneLink+、miniDisplayPort、USB3.0

背面のカバーの下にmicroSDメモリーカードスロットが用意されています。SIMカードスロットもありますが利用できません

オプションとして用意されているThinkPad Onelink+ イーサネットアダプター

ThinkPad OneLink+端子に接続することで、有線LANを利用できます

左側面にケーブル類を挿した様子

こちらは右側面。ケーブル類の干渉はありませんでした
これだけでもインターフェース類は十分な構成ですが、さらに多くの端子を使いたい、あるいは本体にあれこれケーブルを挿したくない場合は、周辺機器として用意されている”ドック”を使うといいでしょう。「ThinkPad OneLink+ ドック」を使えば、本体への接続はケーブル1本でOK。さらに「ThinkPad WiGig ドック」なら、ワイヤレスでインターフェースを拡張できます。
オプションの拡張ドック | ||
ThinkPad OneLink+ ドック | ThinkPad WiGig ドック | |
接続方式 | ThinkPad OneLink+ | ワイヤレス(IEEE802.11ad) |
USB | 前面:USB3.0×2/背面USB3.0×2、USB2.0×2 | USB3.0×3、USB2.0×2 |
映像出力 | アナログRGB(VGA)、DisplayPort×2 | DisplayPort、HDMI |
その他 | ギガビットイーサネット(有線LAN) | ギガビットイーサネット(有線LAN、最大800Mbps)、オーディオコンボジャック |
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持ち運び用途にもピッタリな14型2-in-1
ということで、今回はThinkPad X1 Yogaの外観や各部の使い勝手についてレビューしました。液晶ディスプレイが回転するコンバーチブルタイプの2-in-1モデルは重量が重く厚みもあるのが一般的ですが、ThinkPad X1 Yogaはかなり薄くてコンパクトで、持ち歩きにはピッタリです。画面も大きいので、打ち合わせや会議、商談などで使えばインパクトのあるプレゼンが可能となるでしょう。

標準的なクラムシェル型ノートパソコンと変わらないサイズ&重量で、変形機構を搭載するThinkPad X1 Yoga
ThinkPad X1 Yogaのパフォーマンスやペン入力の使い勝手などについては、別の記事でレビューする予定です。
なおThinkPad X1 Yogaの詳しいスペックや納期、支払い方法については、直販ページでご確認ください。
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