HPの「Victus by HP 15L(以下、”Victus 15L”)」の「グラフィックスレスエディション(以下、”グラボなしモデル”)」はゲーミングPCとして販売されていますが、ゲームのプレーに必要なグラボ(ビデオカード、GPU)が搭載されていません。価格は安いものの、そのままでは人気ゲームのプレーは不可能です。
このモデルは、自分でグラボを増設して使うことを目的としています。グラボを安く入手できれば、一般的なゲーミングPCを買うよりよりもお得に一式をそろえられるかもしれません。
そこで今回は筆者が購入したVictus 15Lのグラボなしモデルを使って、グラボ増設時の効果や購入の際の注意点などについて解説します。
この記事の目次
- ▶ 使えるグラボ
- ▶ 3Dベンチマーク
- ▶ ゲーム系ベンチマーク
- ▶ まとめ
※Victus 15Lの上位モデルは、7%オフクーポンを利用するとお得に購入できます。
使えるグラボ
Victus 15Lのグラボなしモデルには、PCI Express 4.0 x16の拡張スロットが1基空いています。グラボならなんでも使えるというわけではなく、以下の条件に合ったものしか使えません。グラボを購入する際は注意してください。
使えるグラボ
⚠️ 推奨のシステム電源容量が500W前後
⚠️ グラボのサイズが幅120mm以内、奥行き245mm以内
推奨電源容量について
Victus 15Lの電源容量が500Wなので、その範囲で使えるグラボしか利用できません。実際にはエントリーから一部ミドルレンジあたりで、電源容量の大きいハイエンドなグラボはムリです。ただしメーカー発表の推奨電源はちょっと厳しめに設定されているので、実際には550Wあたりまでなら問題なく使えるでしょう。実際、推奨電源が550WのRTX 3060でも特に問題なく使えました。
NVIDIA系グラボのシステム電力要件
GTX 1630 | 300W |
---|---|
GTX 1650 | 300W |
GTX 1650 Super | 350W |
GTX 1660 | 450W |
GTX 1660 Super | 450W |
GTX 1660 Ti | 450W |
RTX 2060 | 550W |
RTX 2060 Super | 550W |
RTX 2070 | 550W |
RTX 3050 | 550W |
RTX 3060 | 550W |
AMD系グラボのPSU推奨
RX 6400 | 350W |
---|---|
RX 6500 XT | 400W |
RX 6600 | 450W |
RX 6600 XT | 500W |
RX 6650 XT | 500W |
グラボのサイズについて
Victus 15LはPCケースがコンパクトで、内部の空きスペースにあまり余裕がありません。大きすぎるグラボだと内部に収まらない、カバーが閉まらないなどの不具合が生じる可能性があります。
グラボサイズの理想は幅120mm以内、長さ245mm以内です。5mmくらいならオーバーしても取り付けられますが、ケーブルの取り回しやフレーム / ケースの開閉に工夫が必要となるので注意してください。
グラボの価格について
2022年10月中旬時点で、グラボなしモデルとグラボありモデル(RX 6600 XT)の差額は5万円弱程度です。追加するグラボにお金をかけすぎると、返ってコスパが悪くなるので注意してください。
3~4万円以内でRX 6600以上のミドルレンジクラス、あるいは2~3万円以内でRX 6500XT / GTX 1650 Ti以下のエントリークラスを目安にするといいかもしれません。ただしタイミングによっては値段が大きく上下することがあるので、日ごろからグラボの値段をチェックしておくのがおすすめです。
3Dベンチマーク
ここからは、Victus 15Lグラボなしモデルの実機にグラボを増設した際の検証結果を紹介します。今回の検証に使ったのは、以下の6種類のグラボです。
検証に使ったグラボ
- ・玄人志向 RD-RX6400-E4GB/LP
- ・ZOTAC ZT-T16510F-10L
- ・MSI GeForce GTX 1660 SUPER AERO ITX OC
- ・MSI Radeon RX 6500 XT MECH 2X 4G OC
- ・MSI Radeon RX 6600 MECH 2X 8G
- ・Palit GeForce RTX 3060 Dual OC
https://komameblog.jp/review/palit-rtx3060/
https://komameblog.jp/bargain/rx6500xt-20221018/
3DMarkの集計における各GPUの平均値と比較すると、Victus 15Lで使えるグラボは下位グループに集中していることがわかります。同じGPUでもグラボによってスコアが異なるので一概には言えませんが、概ね3DMarkの平均値を微妙に下回る結果でした。
GPU性能(DirectX 12,WQHD)
GPU | 3DMark Time Spy Graphics |
---|---|
RTX 4090 |
35400
|
RTX 3090 Ti |
21686
|
6900 XT |
20531
|
RTX 3090 |
20531
|
RTX 3080 Ti |
19908
|
RX 6800 XT |
19097
|
RTX 3080 |
17658
|
RX 6800 |
15819
|
RTX 3070 Ti |
14821
|
RTX 3070 |
13680
|
RX 6700 XT |
12784
|
RTX 3060 Ti |
11769
|
RX 6700 |
11215
|
RX 6650 XT |
10004
|
RX 6600 XT |
9706
|
RTX 3060 |
8744
|
RTX 3060増設 |
8711
|
RX 6600 |
8149
|
RX 6600増設 |
7832
|
GTX 1660 Ti |
6378
|
RTX 3050 |
6202
|
GTX 1660 SUPER |
6087
|
GTX 1660 SUPER増設 |
6056
|
GTX 1660 |
5455
|
RX 6500 XT |
4972
|
RX 6500 XT増設 |
4802
|
GTX 1650 SUPER |
4701
|
GTX 1650 SUPER増設 |
4578
|
RX 6400 |
3604
|
GTX 1650 |
3548
|
RX 6400増設 |
3513
|
※そのほかのスコアはUL Solutionsによる平均値
GPU性能(DirectX 11,FHD)
GPU | 3DMark Time Spy Graphics |
---|---|
RTX 4090 |
77228
|
6900 XT |
57002
|
RX 6800 XT |
52949
|
RTX 3090 Ti |
52350
|
RTX 3080 Ti |
47769
|
RTX 3090 |
47321
|
RX 6800 |
44099
|
RTX 3080 |
42185
|
RTX 3070 Ti |
37126
|
RX 6700 XT |
35995
|
RTX 3070 |
33829
|
RX 6700 |
31347
|
RTX 3060 Ti |
29415
|
RX 6650 XT |
29403
|
RX 6600 XT |
28689
|
RX 6600 |
23707
|
RX 6600増設 |
23154
|
RTX 3060 |
22257
|
RTX 3060増設 |
21518
|
GTX 1660 Ti |
16604
|
GTX 1660 SUPER |
16154
|
RTX 3050 |
15973
|
GTX 1660 SUPER増設 |
15714
|
RX 6500 XT |
15525
|
RX 6500 XT増設 |
15514
|
GTX 1660 |
14149
|
GTX 1650 SUPER |
12238
|
GTX 1650 SUPER増設 |
11602
|
RX 6400増設 |
11553
|
RX 6400 |
11524
|
GTX 1650 |
9543
|
※そのほかのスコアはUL Solutionsによる平均値
ゲーム系ベンチマーク
続いて、ゲーム内ベンチマークテストや実際のプレーで計測したFPS(フレームレート)の結果を紹介します。なお今回は処理の重いレイトレーシングのテストは行なっていません。
エーペックスレジェンド
人気FPSのエーペックスレジェンドについては、射撃訓練場(ソロ)でのFPSを計測しました。実際のプレーでは、これより1~2割程度FPSが低下すると考えてください。ほかのちょっと重めのFPS / TPSも、だいたいこのあたりです。
どのグラボも最高画質ではあまりFPSが伸びないものの、画質を落とせば高FPSを狙えます。ミドルレンジクラスなら165~200FPSあたり、エントリークラスならかなり画質を落として120~144FPSあたり。画質を重視しないなら十分な性能と言っていいでしょう。なおこのゲームについては、Radeon系GPUのほうが多少有利です。
FPS計測結果(フルHD、射撃訓練場)
GPU | 画質 | FPS |
---|---|---|
RTX 3060 | 最高 |
平均103.2
低位80.5
|
最低 |
平均261.9
低位187.5
|
|
RX 6600 | 最高 |
平均97.5
低位79.2
|
最低 |
平均277.1
低位195
|
|
GTX 1660S | 最高 |
平均64.5
低位51.9
|
最低 |
平均194.4
低位142.4
|
|
GTX 1650S | 最高 |
平均56.4
低位46.4
|
最低 |
平均173.5
低位134.1
|
|
RX 6500XT | 最高 |
平均69.9
低位57.6
|
最低 |
平均203.5
低位160.1
|
|
RX 6400 | 最高 |
平均51.4
低位43.1
|
最低 |
平均158.4
低位129
|
※「低位」は「低位1%」のこと
ヴァロラント
ノートPCでも遊べる動く超軽いゲームだけあって、どのグラボでも非常に高いFPSが出ています。実際のプレーではFPSが10%程度低下しますが、それでも余裕です。ゲーミングディスプレイがあれば、遅延が少ないプレーを楽しめます。ほかの競技系FPSについても、このあたりと考えていいでしょう。
FPS計測結果(フルHD、屋外射撃場)
GPU | 画質 | FPS |
---|---|---|
RTX 3060 | 最高 |
平均339.5
低位154.4
|
最低 |
平均373.6
低位192
|
|
RX 6600 | 最高 |
平均303.6
低位151.7
|
最低 |
平均371.2
低位188.8
|
|
GTX 1660S | 最高 |
平均298.8
低位148.7
|
最低 |
平均350
低位197.7
|
|
GTX 1650S | 最高 |
平均254.7
低位147.1
|
最低 |
平均366.2
低位198.3
|
|
RX 6500XT | 最高 |
平均291.9
低位149.7
|
最低 |
平均353.5
低位191.2
|
|
RX 6400 | 最高 |
平均243.4
低位128.4
|
最低 |
平均353.9
低位177.8
|
※「低位」は「低位1%」のこと
Marvel’s Spider-Man Remastered
最近PC版がリリースされたゲームで、処理はそこそこ重め。立ち並ぶビル群のあいだを1分間移動し続けた際のFPSを計測しています。ミドルレンジクラスなら普通にプレーできるものの、エントリークラスはけっこう厳しいでしょう。比較的新しいAAA級タイトルは、このあたりと考えればいいかもしれません。
FPS計測結果(フルHD)
GPU | 画質 | FPS |
---|---|---|
RTX 3060 | 最高 |
平均91.3
低位57.1
|
最低 |
平均110.2
低位72.9
|
|
RX 6600 | 最高 |
平均65.3
低位47.5
|
最低 |
平均122.5
低位74.2
|
|
GTX 1660S | 最高 |
平均72.1
低位50.6
|
最低 |
平均110.1
低位68.7
|
|
GTX 1650S | 最高 |
平均22.6
低位7.6
|
最低 |
平均87
低位55.1
|
|
RX 6500XT | 最高 |
平均23.2
低位11.5
|
最低 |
平均42.9
低位25.5
|
|
RX 6400 | 最高 |
平均10.3
低位2
|
最低 |
平均31.8
低位16.6
|
※「低位」は「低位1%」のこと
アサシンクリード ヴァルハラ
処理がかなり重い超重量級のタイトル。このゲームが快適に動くなら、だいたいのゲームは問題なくプレーできます。高画質でプレーするなら、最低でもミドルレンジは必要です。
FPS計測結果(フルHD、ゲーム内ベンチマーク)
GPU | 画質 | FPS |
---|---|---|
RTX 3060 | 最高 |
平均75.3
低位53
|
最低 |
平均123
低位100
|
|
RX 6600 | 最高 |
平均79
低位50
|
最低 |
平均139
低位113
|
|
GTX 1660S | 最高 |
平均49
低位33
|
最低 |
平均96
低位78
|
|
GTX 1650S | 最高 |
平均34
低位22
|
最低 |
平均79
低位63
|
|
RX 6500XT | 最高 |
平均30
低位15
|
最低 |
平均78
低位60
|
|
RX 6400 | 最高 |
平均17.9
低位9
|
最低 |
平均61
低位48
|
※「低位」は「低位1%」のこと
グラボの選択と入手がカギ
Victus 15Lのグラボなしモデルは、確かにゲーミングPCをお得に入手できる可能性を秘めています。ただし、グラボを安く入手できるアテがあることが絶対条件です。最近はグラボを含めたパーツ類あるいはPC本体の値上がり / 値下がりが激しく、納得できるグラボを入手しづらいかもしれません。その意味で、Victus 15Lのグラボなしモデルは中上級者向けです。
とは言え、そのあたりを含めて楽しめるならグラボなしモデルをおすすめします。ちょっと難しいかなと感じるなら、グラボありモデルを選んでください。それでも十分高コスパです。
※Victus 15Lの上位モデルは、7%オフクーポンを利用するとお得に購入できます。
*
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