ゲーミングPCレビュー

Victus 15Lグラフィックスレスエディションに増設するグラボについて

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Victus 15Lグラフィックスエディション

HPの「Victus by HP 15L(以下、”Victus 15L”)」の「グラフィックスレスエディション(以下、”グラボなしモデル”)」はゲーミングPCとして販売されていますが、ゲームのプレーに必要なグラボ(ビデオカード、GPU)が搭載されていません。価格は安いものの、そのままでは人気ゲームのプレーは不可能です。

 

Victus 15L Desktop

Victus 15L Desktop

 

このモデルは、自分でグラボを増設して使うことを目的としています。グラボを安く入手できれば、一般的なゲーミングPCを買うよりよりもお得に一式をそろえられるかもしれません。

 

Victus 15L グラボ

空いている拡張スロットに自分で買ったグラボを追加します

 

そこで今回は筆者が購入したVictus 15Lのグラボなしモデルを使って、グラボ増設時の効果や購入の際の注意点などについて解説します。

 

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使えるグラボ

MSI Radeon RX 6500 XT MECH 2X 4G OC

Victus 15Lのグラボなしモデルには、PCI Express 4.0 x16の拡張スロットが1基空いています。グラボならなんでも使えるというわけではなく、以下の条件に合ったものしか使えません。グラボを購入する際は注意してください。

使えるグラボ

⚠️ 推奨のシステム電源容量が500W前後
⚠️ グラボのサイズが幅120mm以内、奥行き245mm以内

推奨電源容量について

Victus 15Lの電源容量が500Wなので、その範囲で使えるグラボしか利用できません。実際にはエントリーから一部ミドルレンジあたりで、電源容量の大きいハイエンドなグラボはムリです。ただしメーカー発表の推奨電源はちょっと厳しめに設定されているので、実際には550Wあたりまでなら問題なく使えるでしょう。実際、推奨電源が550WのRTX 3060でも特に問題なく使えました。

 

Victus 15L 電源

グラボ用の電源ピンは十分に用意されています

 

NVIDIA系グラボのシステム電力要件

GTX 1630 300W
GTX 1650 300W
GTX 1650 Super 350W
GTX 1660 450W
GTX 1660 Super 450W
GTX 1660 Ti 450W
RTX 2060 550W
RTX 2060 Super 550W
RTX 2070 550W
RTX 3050 550W
RTX 3060 550W

 

AMD系グラボのPSU推奨

RX 6400 350W
RX 6500 XT 400W
RX 6600 450W
RX 6600 XT 500W
RX 6650 XT 500W

 

グラボのサイズについて

グラボサイズ

Victus 15LはPCケースがコンパクトで、内部の空きスペースにあまり余裕がありません。大きすぎるグラボだと内部に収まらない、カバーが閉まらないなどの不具合が生じる可能性があります。

 

グラボサイズの理想は幅120mm以内、長さ245mm以内です。5mmくらいならオーバーしても取り付けられますが、ケーブルの取り回しやフレーム / ケースの開閉に工夫が必要となるので注意してください。

 

Victus 15L グラボ

グラボを取り付けた状態。グラボのサイズが大きいと、ほかのフレームやケーブルに干渉する場合があります

 

Victus 15L Desktop

ちょっと大きめのグラボを無理矢理取り付けたところ、カバーの一部が浮いてしまいました

グラボの価格について

2022年10月中旬時点で、グラボなしモデルとグラボありモデル(RX 6600 XT)の差額は5万円弱程度です。追加するグラボにお金をかけすぎると、返ってコスパが悪くなるので注意してください。

 

3~4万円以内でRX 6600以上のミドルレンジクラス、あるいは2~3万円以内でRX 6500XT / GTX 1650 Ti以下のエントリークラスを目安にするといいかもしれません。ただしタイミングによっては値段が大きく上下することがあるので、日ごろからグラボの値段をチェックしておくのがおすすめです。

3Dベンチマーク

ここからは、Victus 15Lグラボなしモデルの実機にグラボを増設した際の検証結果を紹介します。今回の検証に使ったのは、以下の6種類のグラボです。

 

グラボ

検証に利用したグラボ

https://komameblog.jp/review/palit-rtx3060/
https://komameblog.jp/bargain/rx6500xt-20221018/

 

3DMarkの集計における各GPUの平均値と比較すると、Victus 15Lで使えるグラボは下位グループに集中していることがわかります。同じGPUでもグラボによってスコアが異なるので一概には言えませんが、概ね3DMarkの平均値を微妙に下回る結果でした。

 

GPU性能(DirectX 12,WQHD)

GPU 3DMark Time Spy Graphics
RTX 4090
35400
RTX 3090 Ti
21686
6900 XT
20531
RTX 3090
20531
RTX 3080 Ti
19908
RX 6800 XT
19097
RTX 3080
17658
RX 6800
15819
RTX 3070 Ti
14821
RTX 3070
13680
RX 6700 XT
12784
RTX 3060 Ti
11769
RX 6700
11215
RX 6650 XT
10004
RX 6600 XT
9706
RTX 3060
8744
RTX 3060増設
8711
RX 6600
8149
RX 6600増設
7832
GTX 1660 Ti
6378
RTX 3050
6202
GTX 1660 SUPER
6087
GTX 1660 SUPER増設
6056
GTX 1660
5455
RX 6500 XT
4972
RX 6500 XT増設
4802
GTX 1650 SUPER
4701
GTX 1650 SUPER増設
4578
RX 6400
3604
GTX 1650
3548
RX 6400増設
3513

※そのほかのスコアはUL Solutionsによる平均値

 

GPU性能(DirectX 11,FHD)

GPU 3DMark Time Spy Graphics
RTX 4090
77228
6900 XT
57002
RX 6800 XT
52949
RTX 3090 Ti
52350
RTX 3080 Ti
47769
RTX 3090
47321
RX 6800
44099
RTX 3080
42185
RTX 3070 Ti
37126
RX 6700 XT
35995
RTX 3070
33829
RX 6700
31347
RTX 3060 Ti
29415
RX 6650 XT
29403
RX 6600 XT
28689
RX 6600
23707
RX 6600増設
23154
RTX 3060
22257
RTX 3060増設
21518
GTX 1660 Ti
16604
GTX 1660 SUPER
16154
RTX 3050
15973
GTX 1660 SUPER増設
15714
RX 6500 XT
15525
RX 6500 XT増設
15514
GTX 1660
14149
GTX 1650 SUPER
12238
GTX 1650 SUPER増設
11602
RX 6400増設
11553
RX 6400
11524
GTX 1650
9543

※そのほかのスコアはUL Solutionsによる平均値

ゲーム系ベンチマーク

続いて、ゲーム内ベンチマークテストや実際のプレーで計測したFPS(フレームレート)の結果を紹介します。なお今回は処理の重いレイトレーシングのテストは行なっていません。

エーペックスレジェンド

エーペックスレジェンド

人気FPSのエーペックスレジェンドについては、射撃訓練場(ソロ)でのFPSを計測しました。実際のプレーでは、これより1~2割程度FPSが低下すると考えてください。ほかのちょっと重めのFPS / TPSも、だいたいこのあたりです。

 

どのグラボも最高画質ではあまりFPSが伸びないものの、画質を落とせば高FPSを狙えます。ミドルレンジクラスなら165~200FPSあたり、エントリークラスならかなり画質を落として120~144FPSあたり。画質を重視しないなら十分な性能と言っていいでしょう。なおこのゲームについては、Radeon系GPUのほうが多少有利です。

 

FPS計測結果(フルHD、射撃訓練場)

GPU 画質 FPS
RTX 3060 最高
平均103.2
低位80.5
最低
平均261.9
低位187.5
RX 6600 最高
平均97.5
低位79.2
最低
平均277.1
低位195
GTX 1660S 最高
平均64.5
低位51.9
最低
平均194.4
低位142.4
GTX 1650S 最高
平均56.4
低位46.4
最低
平均173.5
低位134.1
RX 6500XT 最高
平均69.9
低位57.6
最低
平均203.5
低位160.1
RX 6400 最高
平均51.4
低位43.1
最低
平均158.4
低位129

※「低位」は「低位1%」のこと

ヴァロラント

ヴァロラント

ノートPCでも遊べる動く超軽いゲームだけあって、どのグラボでも非常に高いFPSが出ています。実際のプレーではFPSが10%程度低下しますが、それでも余裕です。ゲーミングディスプレイがあれば、遅延が少ないプレーを楽しめます。ほかの競技系FPSについても、このあたりと考えていいでしょう。

 

FPS計測結果(フルHD、屋外射撃場)

GPU 画質 FPS
RTX 3060 最高
平均339.5
低位154.4
最低
平均373.6
低位192
RX 6600 最高
平均303.6
低位151.7
最低
平均371.2
低位188.8
GTX 1660S 最高
平均298.8
低位148.7
最低
平均350
低位197.7
GTX 1650S 最高
平均254.7
低位147.1
最低
平均366.2
低位198.3
RX 6500XT 最高
平均291.9
低位149.7
最低
平均353.5
低位191.2
RX 6400 最高
平均243.4
低位128.4
最低
平均353.9
低位177.8

※「低位」は「低位1%」のこと

Marvel’s Spider-Man Remastered

Marvel's Spider-Man Remastered

最近PC版がリリースされたゲームで、処理はそこそこ重め。立ち並ぶビル群のあいだを1分間移動し続けた際のFPSを計測しています。ミドルレンジクラスなら普通にプレーできるものの、エントリークラスはけっこう厳しいでしょう。比較的新しいAAA級タイトルは、このあたりと考えればいいかもしれません。

 

FPS計測結果(フルHD)

GPU 画質 FPS
RTX 3060 最高
平均91.3
低位57.1
最低
平均110.2
低位72.9
RX 6600 最高
平均65.3
低位47.5
最低
平均122.5
低位74.2
GTX 1660S 最高
平均72.1
低位50.6
最低
平均110.1
低位68.7
GTX 1650S 最高
平均22.6
低位7.6
最低
平均87
低位55.1
RX 6500XT 最高
平均23.2
低位11.5
最低
平均42.9
低位25.5
RX 6400 最高
平均10.3
低位2
最低
平均31.8
低位16.6

※「低位」は「低位1%」のこと

アサシンクリード ヴァルハラ

アサシンクリード ヴァルハラ

処理がかなり重い超重量級のタイトル。このゲームが快適に動くなら、だいたいのゲームは問題なくプレーできます。高画質でプレーするなら、最低でもミドルレンジは必要です。

 

FPS計測結果(フルHD、ゲーム内ベンチマーク)

GPU 画質 FPS
RTX 3060 最高
平均75.3
低位53
最低
平均123
低位100
RX 6600 最高
平均79
低位50
最低
平均139
低位113
GTX 1660S 最高
平均49
低位33
最低
平均96
低位78
GTX 1650S 最高
平均34
低位22
最低
平均79
低位63
RX 6500XT 最高
平均30
低位15
最低
平均78
低位60
RX 6400 最高
平均17.9
低位9
最低
平均61
低位48

※「低位」は「低位1%」のこと

グラボの選択と入手がカギ

Victus 15L 

Victus 15Lのグラボなしモデルは、確かにゲーミングPCをお得に入手できる可能性を秘めています。ただし、グラボを安く入手できるアテがあることが絶対条件です。最近はグラボを含めたパーツ類あるいはPC本体の値上がり / 値下がりが激しく、納得できるグラボを入手しづらいかもしれません。その意味で、Victus 15Lのグラボなしモデルは中上級者向けです。

 

とは言え、そのあたりを含めて楽しめるならグラボなしモデルをおすすめします。ちょっと難しいかなと感じるなら、グラボありモデルを選んでください。それでも十分高コスパです。

 

※Victus 15Lの上位モデルは、7%オフクーポンを利用するとお得に購入できます。
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記事を書いた人
こまめ(タカハシリョウ)

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