レノボのThinkPad X1 Extreme Gen 3は、GPU(専用グラフィックス)としてGeForce GTX 1650 Ti max-Qデザインを搭載する15.6インチサイズのノートPCです。パーツカスタマイズで、とことんハイスペックな構成に仕上げられる点が特徴。広色域の4Kディスプレイや大容量のSSDのRAID構成などに対応しています。
主なラインナップ
パフォーマンス | |
---|---|
22万3520円 | |
プレミアム | |
26万2790円 | |
プレミアム UHD搭載 | |
32万4390円 |
※2021年5月27日時点
ThinkPad X1 Extreme Gen 3のスペック
OS | ・Windows 10 Home ・Windows 10 Pro |
---|---|
画面サイズ | 15.6インチ |
解像度 | ・1920×1080 ・3840×2160 |
CPU | ・Core i5-10400H ・Core i7-10750H ・Core i7-10850H ・Core i9-10885H |
メモリー | 8~64GB ※スロット2基、DDR4-3200、最大64GB、CPUの仕様によりDDR4-2933で動作 |
SSD | 256GB~2TB NVMe SSD ※M.2 SSDは2枚まで利用可能、RAID 0/1対応 |
HDD | なし |
グラフィックス | GTX 1650 Ti(4GB) |
リフレッシュレート | 60Hz |
モバイル通信 | ・なし ・LTE |
堅牢性テスト | MIL-STD-810G 準拠 |
色域 / 輝度 | ・72% NTSC / 300nits(FHD IPS) ・72% NTSC / 500nits(FHD IPS) ・100% DCI-P3 / 400nits(4K OLED タッチ対応) ・100% Adobe RGB / 600nits(4K IPS) |
幅×奥行き | 361×245.7mm |
厚さ | ・18.4mm(タッチ非対応) ・18.7mm(タッチ対応) |
重量 | ・約1.7kg(タッチ非対応) ・約1.8kg(タッチ対応) |
バッテリー | 最大 約16.7時間 |
※2021年5月27日時点。構成は変更される場合があります
本体カラー | ブラック |
---|---|
画面の表面 | ・非光沢 ・反射防止 |
パネルの種類 | 表記なし ※IPS相当 |
タッチ / ペン | ・タッチ対応 ・タッチ非対応 |
光学ドライブ | - |
テンキー | - |
有線LAN | 1000Mbps |
無線LAN | Wi-Fi 6 |
Bluetooth | 5.2 |
USB3.1 | 2(Gen1) |
USB3.0 | - |
USB2.0 | - |
USB Type-C | 1(3.2 Gen2) |
Thunderbolt | 2(Type-C兼用) |
メモリーカード | SD |
HDMI | 1(2.0) |
VGA (D-sub15) | - |
DisplayPort | - |
Webカメラ | 720p(92万画素) |
顔認証カメラ | ※オプション |
指紋センサー | ※オプション |
付属品 | 135W ACアダプターなど |
オフィス | なし(オプションで追加可能) |
この記事ではメーカーからお借りした実機を使って、デザインや性能、実際の使い心地などをレビューします。
この記事の目次
- ▶スペック
- ▶デザインと使いやすさ
- ▶ベンチマーク結果
- ▶まとめ
※2021年5月27日時点
デザインと使いやすさ
外観について
ThinkPad X1 Extreme Gen 3は、15.6インチタイプとしては比較的スリムかつコンパクトです。大きさや重さは、一般用途向けのスタンダードノートPCとあまり変わりません。しかし高性能なCPUとGPUを搭載していることを考えれば、驚くほど軽量スリムだと言っていいでしょう。本体カラーはThinkPadシリーズでおなじみのブラックで、重厚な雰囲気が感じられます。
ディスプレイについて
ディスプレイのサイズは15.6インチです。解像度は1920×1080ドットのフルHDが、3840×2160ドットの4K。解像度やタッチ機能の有無などによって映像品質が大きく変わるので、購入の際は注意してください。
今回試用したのは、もっとも安いフルHDで輝度300nitsのモデルです。300nitsは数値上は比較的明るいはずですが、実際の映像はやや暗く感じました。とは言え、作業には問題ありません。
映像は自然な色合いです。72% NTSCはsRGBカバー率で99~100%のはずですが、標準ではやや寒色系です。色味を重視するのであれば、キャリブレーションを行なったほうがいいでしょう。映像の色合いが重要なクリエイティブワーク向けには、100% Adobe RGBや100% DCI-P3の4Kモデルをおすすめします。
キーボードについて
キーボードはテンキーなしでバックライト対応。購入時のオプション選択画面で、日本語配列か英字配列かを選べます。配列に関しては一部ThinkPad独自の仕様(Fnキーが左端、PrintSreenが最下段など)ですが、英数字キーについては違和感はありません。
キーピッチは実測で19mm、キーストロークは平均1.78mmでした。キーストロークが深く、手応えがしっかりと感じられます。またキートップの中央付近がくぼんでいるので指がフィットしやすい上に、指を押し戻す力もハッキリと感じられました。デスクトップPC向けのキーボードに慣れた人でも、あまり違和感なく高速に入力できるでしょう。やや底打ち感はありますが、個人的にはとても使いやすいキーボードです。
キーのタイプ感がしっかりしているぶん、タイプ音は軽い力でもカクカクと聞こえます。静かではありませんが、高音域のカチャカチャした音がないので耳障りではありません。とは言え強く叩くとドンドンと低音が響くので、軽めのタッチ推奨です。
インターフェース/機能について
周辺機器接続用のインターフェース(端子)類は十分な構成ですが、充実しているわけではありません。USB端子は合計4ポートで、うち2ポートがType-C。あとは映像出力用のHDMIとSDメモリーカードスロット程度。有線LAN端子には非対応です。あれこれ機器をつなげるなら若干足りない気がするので、Type-C / Thunderboltドックを利用するといいでしょう。
Type-C端子の機能
USB PD 18W充電 | × |
---|---|
USB PD 30W充電 | × |
USB PD 45W充電 | × |
USB PD 65W充電 | △ ※低速充電 |
USB PD 100W充電 | △ ※低速充電 |
映像出力 | ○ |
ベンチマーク結果
試用機のスペック
CPU | Core i5-10400H |
---|---|
メモリー | 8GB |
ストレージ | 256GB NVMe SSD |
グラフィックス | GTX 1650 Ti with Max-Qデザイン(4GB) |
※各ベンチマークテストはWindows 10の電源プランを「バランス」に設定した上で、電源モードを「最も高いパフォーマンス」に設定して実施しています
※ベンチマーク結果はパーツ構成や環境、タイミング、個体差などさまざまな要因によって大きく変わることがあります
CPU性能
CPUとしては、第10世代(Comet Lake)Coreプロセッサが使われています。Core i5-10400H搭載の試用機でCPUベンチマークテストを行なったところ、動作周波数が低いCore i5-10300Hの平均値よりも劣る結果が出ました。おそらく本体内部の熱が上がりすぎないよう、あえてパフォーマンスを落としているのだと思われます。
そのほかのCPUであれば、より高いパフォーマンスを見込めます。ただし本体の熱対策により、パフォーマンスがやや抑えられているかもしれません。
グラフィックス性能
グラフィックス機能としては、専用グラフィックスのGeForce GTX 1650 Ti with Max-Qデザインが使われています。GPUの位置付け的には前世代のエントリークラスで、性能はそれほど高くありません。とは言え、CPU内蔵のグラフィックス機能よりははるかに高性能です。
PCを使った作業の快適さ
PCMark10は、PCを使った作業の快適さを計測するベンチマークテストです。ThinkPad X1 Extreme Gen 3のCore i5モデルでテストを実施したところ、すべてのテストで快適に使える目安の目標値を上回りました。
ただし、GPU搭載モデルとして高いスコアが出ているわけではありません。GPU非搭載の機種よりも少しいい程度です。おそらくCPU性能が影響しているのでしょう。Core i7以上のモデルであれば、改善される可能性があります。とは言え、エントリーGPU搭載機のなかでもやや低めの結果です。
ストレージのアクセス速度
ストレージは256GB~2TBのNVMe(PCIe 3.0 x4)SSDです。注文時のカスタマイズで容量を変えたり、さらにSSDをもうひとつ追加したりできます。
アクセス速度を計測したところ、非常に優秀な結果が出ました。負荷の高い処理を連続で行なっても速度はあまり低下していないので、サーマルスロットリングの影響はないと考えられます。
なお同じ容量のSSDを2枚組み合わせることで、RAID 0またはRAID 1構成で利用可能です。アクセス速度または冗長性を重視する場合に利用するといいでしょう。
クリエイティブ性能
UL Procyonは、アドビ製プロクリエイター向けソフトの快適さを計測するベンチマークテストです。「Photo Editing」ではPhotoshopとLightroom Classicを、「Video Editing」ではPremiere Proを利用します。
ThinkPad X1 Extreme Gen 3 Core i5モデルでは、GPU搭載ノートPCとしては低めの結果でした。特に動画編集の「Video Editing」のスコアが低く出ています。搭載しているGPUがエントリー向けなので、この結果は仕方がないでしょう。フルHDクラスの小規模な作品であれば動画編集にも利用できますが、どちらかと言うと画像や写真の加工 / 出力向きです。
起動時間
ウィンドウズの起動時間(バッテリー駆動時)は平均20秒でした。最近のSSD搭載ノートPCの平均は15秒前後ですので、若干起動に時間がかかっています。とはいえ、待たされていると感じるほどではありません。
起動時間の計測結果(手動計測)
1回目 | 19.7秒 |
---|---|
2回目 | 20.2秒 |
3回目 | 20.4秒 |
4回目 | 19.2秒 |
5回目 | 20.5秒 |
平均 | 20秒 |
バッテリー駆動時間
バッテリーの駆動時間は、最大で約16.7時間とされています。ただしこれはバッテリーの消費量を極力抑えた状態の結果で、実際の利用を想定した結果ではありません。
そこで最大パフォーマンスの状態でビジネス作業 (Web閲覧や文書作成、ビデオチャットなど)での駆動時間を計測したところ、2時間40分で休止状態へ移行しました。GPUやCPUの消費電力が大きいので、消費電力量を意識しないと早くバッテリーが切れるので注意してください。
バッテリー駆動時間の計測結果(Core i5モデル)
テスト方法 | バッテリー消費 | 駆動時間 |
---|---|---|
※公称値 | 小 | 約16.7時間 |
Modern Office (ビジネス作業) | 大 | 2時間40分 |
50%充電までにかかった時間 | - | 39分 |
フル充電までにかかった時間 | - | 1時間45分 |
※テストの条件や計測方法についてはコチラ
ゲーム系ベンチマーク結果
ThinkPad X1 Extreme Gen 3はゲーミングノートPCではありませんが、ゲーム系ベンチマークテストも試してみました。ゲーム用の専用GPUを搭載してるだけあって、CPU内蔵グラフィックスよりも優れた結果が出ています。GeForce GTX 1650 Ti with Max-Qデザインはエントリークラスですが、少し重い程度の中量級クラスなら快適に楽しめるでしょう。
ただしゲーミングノートPCのように、高いパフォーマンスを長時間維持し続けるような熱対策は行なわれていません。ゲーム専用としてではなく、息抜きとしてちょっと楽しむ程度に留めておいたほうが無難です。
FF15ベンチ (重い / DX11)
画質 | スコア / 評価 |
高品質 | 3313 / 普通 |
標準品質 | 4997 / やや快適 |
軽量品質 | 5767 / やや快適 |
※1920×1080ドットの結果。スコアが6000以上で「快適」
FF14ベンチ:漆黒のヴィランズ (やや重い / DX11)
画質 | スコア / 平均FPS |
最高品質 | 8856 / 61.2 FPS |
高品質 | 10528 / 78.3 FPS |
標準品質 | 11673 / 96.2 FPS |
※1920×1080ドットの結果。平均60 FPS以上が快適に遊べる目安
ドラクエXベンチ (超軽い / DX9)
画質 | スコア / 評価 |
最高品質 | 16500 / すごく快適 |
標準品質 | 16702 / すごく快適 |
低品質 | 17623 / すごく快適 |
※1920×1080ドットの結果
旧世代のスペックで割高感あり
よかった点
本体の高い堅牢性と、色域の広い4Kディスプレイに対応している点が魅力です。特に100% Adobe RGBをカバーする機種はなかなかありません。プロレベルの創作にも活用できる、ハイエンドな機種です。
気になる点
発売は2020年の9月ですが、2021年5月に新しいCPUとGPUが発表されたことでスペックが古くなってしまいました。そのぶん値下げされればまだ納得できますが、最安モデルでも22万円台と強気の値段です。
第11世代のCoreプロセッサHシリーズは、ターボ・ブースト・マックス・テクノロジー3.0によりパフォーマンスが大きく向上しています。また新GPUのRTX 3050 / 3050 TiもDLSSやレイトレーシングに対応したことで、より高性能になりました。その点を考えると、旧世代のスペックでこの値段は高すぎるように感じます。Adobe RGB 100%の4Kディスプレイが必要ならアリですが、パフォーマンスを重視するなら次のモデルを待ったほうがいいかもしれません。
※2021年5月27日時点
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