レノボのThinkPad X13 Gen1(AMD)は、13.3インチディスプレイを搭載する持ち歩き向けのモバイルノートPCです。AMDのRyzenモバイルPRO 4000シリーズ搭載で、パフォーマンスが非常に高い点が魅力。外出先でも重い処理をサクサクとこなしたい人に向いています。
ThinkPad X13 Gen1(AMD)のスペック
OS | ・Windows 10 Home ・Windows 10 Pro |
---|---|
画面サイズ | 13.3インチ |
解像度 | ・1366×768 ・1920×1080 |
CPU | ・Ryzen 3 PRO 4450U ・Ryzen 5 PRO 4650U ・Ryzen 7 PRO 4750U |
メモリー | 8 / 16 / 32GB ※オンボード、DDR4-3200 |
SSD | 128GB~1TB |
HDD | なし |
グラフィックス | Radeon |
モバイル通信 | ・なし ・4G LTE搭載可能 |
堅牢性テスト | MIL-STD-810G準拠 |
色域 | ・45% NTSC(HD) ・72% NTSC(フルHD) |
幅×奥行き | 311.9×217.2mm |
厚さ | 16.9mm |
重量 | 最小 約1.28kg~ |
バッテリー | 最大 約13.9時間 |
※2021年4月19日時点。構成は変更される場合があります
本体カラー | ブラック |
---|---|
画面の表面 | 非光沢 |
パネルの種類 | ・TN ・IPS |
タッチ / ペン | ・対応 ・非対応 |
光学ドライブ | - |
テンキー | - |
有線LAN | - |
無線LAN | Wi-Fi 6 |
Bluetooth | 5.0 |
USB3.1 | 2(Gen1) |
USB3.0 | - |
USB2.0 | - |
USB Type-C | 2(3.1 Gen2) |
Thunderbolt | - |
メモリーカード | microSD |
HDMI | 1 |
VGA (D-sub15) | - |
DisplayPort | - |
Webカメラ | HD 720p(92万画素) |
顔認証カメラ | オプション |
指紋センサー | オプション |
付属品 | ACアダプターなど |
オフィス | ・なし(オプションで追加可能) ・付属モデルあり |
この記事では筆者が購入した実機を使って、デザインや性能、実際の使い心地などをレビューします。
この記事の目次
ThinkPad X13 Gen1(AMD)
※2021年4月19日時点、現在は販売停止中
Gen2(2021年モデル)との違いについて
この記事で取り上げるのは、2020年6月発売の「ThinkPad X13 Gen1(AMD)」です。すでに2021年3月には最新モデルのインテル第11世代Coreプロセッサ搭載「ThinkPad X13 Gen2(インテル)」が発売されており、さらに2021年5月にはAMD Ryzenモバイル5000シリーズ搭載の「ThinkPad X13 Gen2(AMD)」が発売されます。最新モデルではない点に注意してください。なお現在ThinkPad X13 Gen1(AMD)は公式サイトでは販売停止中です。
新旧モデルの違い
X13 Gen1 | X13 Gen2 | |
---|---|---|
CPU | ・第10世代Coreプロセッサ ・RyzenモバイルPRO 4000シリーズ |
・第11世代Coreプロセッサ ・Ryzenモバイル5000シリーズ |
画面サイズ | 13.3インチ | |
解像度 | ・1366×768 ・1920×1080 |
・1920×1200 ・2560×1600 |
モバイル通信 | 4G LTE対応 | 5G対応 |
グラフィックス | ・UHD ・Radeon |
・UHD ・Iris Xe ・Radeon |
Thunderbolt | ・Thunderbolt 3(インテル) ・なし(AMD) |
・Thunderbolt 4(インテル) ・なし(AMD) |
サイズ | 幅311.9×奥行き217.2×高さ16.9mm | 幅305.8×奥行き217.39×高さ18.97mm |
※2021年4月19日時点
デザインと使いやすさ
外観について
ThinkPad X13 Gen1(AMD)の外観は、モバイルノートPCとしては無骨な印象です。本体カラーはブラックで、さらにモバイル向け13.3インチタイプとしてはやや厚みがあります。いまどきのモバイルノートPCでよく見られる華やかさは感じられません。どちらかと言えばお堅いイメージで、ビジネスシーンでは違和感なく使えるでしょう。
見た目は軽やかではないものの、そのぶん本体が頑丈に作られています。米国防省制定の耐久基準「MIL-STD-810G」や200種類以上の耐久テストをクリアーする高い堅牢性(壊れにくさ)が魅力です。重さも特別軽いわけではありませんが、問題なく持ち運べる範囲です。
ディスプレイについて
ディスプレイのサイズは13.3インチで、解像度は1920×1080ドット(フルHD)と1366×768ドット(HD)の2種類。フルHDでは視野角が広くて自然な発色のIPSパネル、HDではやや青みが強いTNパネルが使われています。TNパネルのほうが値段は安いのですが、画面が見やすくて使いやすいのはIPSパネルです。
今回検証したフルHDモデルは、公称スペックによると色域がNTSC 72%とのこと。sRGB換算では99~100%のため、ノートPC用のディスプレイとしては悪くありません。ただし実際の映像はやや暗めで色合いもそれほど鮮やかではありません。文書作成には問題ないのですが、クリエイティブワークには広色域の外付けディスプレイを使ったほうがいいでしょう。
また電源アダプターを抜いてバッテリー駆動で利用すると、画面の輝度が大きく下がります。けっこう暗く見えるので、気になる人は電源に接続した状態で利用してください。
キーボードについて
キーボードはテンキーなしで、カスタマイズ対応モデルであれば日本語配列 / 英字配列やバックライトの有無を選択できます。英数字キーの配列に違和感はないものの、Enterキー左側の記号キーがかなり小さめ。ローマ字入力なら大きな影響はありませんが、かな入力やプログラミングなどでは若干使いづらいかもしれません。
キートップはサラサラとした心地よい手触りです。天面がわずかにくぼんだシリンドリカル形状で、指にフィットしやすく作られています。キーピッチは実測18.5mmで一般的なキーボードの標準値である1.9mmよりもわずかに狭いのですが、特に違和感はありませんでした。
キーストロークは実測で平均1.7mm。最近のノートPCとしてはストロークが深く、しっかりとした手応えを感じられます。押し込んだ指がしっかり押し戻されるので指を自分で持ち上げる力が軽く、高速タイピングが可能です。そのぶんタイプ音がカクカクと聞こえるるのですが、耳障りには感じませんでした。
インターフェース/機能について
周辺機器接続用のインターフェース(端子)類は、モバイルノートPCとしては充実しています。USB端子は合計4ポートで、うち2ポートはType-C。映像出力用のHDMIやmicroSDカードスロットが用意されているほか、オプションでスマートカードリーダーにも対応可能です。有線LANには対応していませんが、アダプターを使えば対応できます。これだけあれば十分でしょう。
Type-C端子の機能
USB PD 18W充電 | △(低速充電) |
---|---|
USB PD 30W充電 | △(低速充電) |
USB PD 45W充電 | ○ |
USB PD 65W充電 | ○ |
USB PD 100W充電 | ○ |
映像出力 | ○ |
ベンチマーク結果
試用機のスペック
型番 | 20UFCTO1WW パフォーマンス |
---|---|
CPU | Ryzen 5 PRO 4650U |
メモリー | 8GB |
ストレージ | 256GB SSD |
グラフィックス | Radeon Graphics |
※各ベンチマークテストはWindows 10の電源プランを「バランス」に設定した上で電源モードを「最も高いパフォーマンス」に設定しています
※グラフィックス機能内蔵のAMD製プロセッサーは本来「APU」と呼ばれますが、ここではわかりやすさ優先で「CPU」と表記します
※ベンチマーク結果はパーツ構成や環境、タイミング、個体差などさまざまな要因によって大きく変わることがあります
CPU性能
CPUとしては、第3世代RyzenモバイルPRO 4000シリーズが使われています。同じAMDのRyzenモバイル4000シリーズとの違いは企業向けの管理 / セキュリティー機能に対応している点と、スレッド数が倍である点。スレッド数が多いぶん、一般的な「PRO」なしのRyzenモバイル4000シリーズに比べて高性能です。
Ryzen 5 PRO 4650U搭載モデルでCPUベンチマークテストを行なったところ、非常に優秀な結果が出ました。Ryzen 5は中位ランクですが、インテルの上位ランクであるCore i7を上回っています。Ryzen 7 PRO 4750Uの結果については別の機種ですが、高いパフォーマンスを期待できるでしょう。モバイルノートPCとしては非常に高性能です。
グラフィックス性能
グラフィックス機能としては、CPU内蔵のRadeon Graphicsが使われます。性能は旧世代のインテル系CPUよりは高いのですが、第11世代のIris Xeよりも低めです。軽めのゲーム / クリエイティブワークでの効果が多少は見込めるでしょう。
PCを使った作業の快適さ
PCMark10は、PCを使った作業の快適さを計測するベンチマークテストです。Ryzen 5 4650U搭載機では、すべてのテストで快適に使える目安をクリアーできました。総合的にはCore i7-1165G7を上回る結果です。
ストレージのアクセス速度
ストレージは256GB~1TB SSDです。テスト機ではPCIe 3.0 x4接続の超高速タイプが使われていました。なお本体内部にはType-2280とType-2242のM.2スロットが用意されており、2枚のSSDを利用できます(どちらが使われているかは、本体内部を確認してください)。
起動時間
ウィンドウズの起動時間(バッテリー駆動時)は平均12.08秒でした。最近のSSD搭載ノートPCの平均は15秒前後ですので、起動は高速です。
起動時間の計測結果(手動計測)
1回目 | 13.8秒 |
---|---|
2回目 | 11.5秒 |
3回目 | 11.7秒 |
4回目 | 11.6秒 |
5回目 | 11.8秒 |
平均 | 12.08秒 |
バッテリー駆動時間
バッテリーの駆動時間の公称値は、最大で約13.9時間とされています。しかしこれはバッテリー消費量を極端に落とした状態での結果で、実際の駆動時間とは異なる場合がほとんど。公称値よりも短いことが普通です。
そこで最大パフォーマンスの状態でビジネス作業 (Web閲覧や文書作成、ビデオチャットなど)での駆動時間を計測したところ、11時間36分で休止状態へ移行しました。公称値よりもわずかに短い結果でしたが、これだけもてば十分です。バッテリー消費の少ない電源プランや電源モードを選べば、さらに伸びる可能性があります。
バッテリー駆動時間の計測結果(Ryzen 5モデル)
テスト方法 | バッテリー消費 | 駆動時間 |
---|---|---|
※公称値 | 小 | 最大 約13.9時間 |
Modern Office (ビジネス作業) | 大 | 11時間36分 |
50%充電までにかかった時間 | - | 37分 |
フル充電までにかかった時間 | - | 2時間 |
※テストの条件や計測方法についてはコチラ
ゲーム系ベンチマーク結果
Ryzen 5 PRO 4650U搭載モデルでゲーム系ベンチマークを試したところ、ごくごく軽いドラクエ10であれば高画質でも快適との評価でした。軽い部類のゲームについては、平均60FPS程度で普通に楽しめるでしょう。ただしFF14などちょっと重めのタイトルについては、画質と解像度を大きく下げないと厳しいかもしれません。
FF15ベンチ (重い / DX11)
画質 | スコア / 評価 |
高品質 | 625 / 動作困難 |
標準品質 | 1443 / 動作困難 |
軽量品質 | 1840 / 動作困難 |
※1920×1080ドットの結果。スコアが6000以上で「快適」
FF14ベンチ:漆黒のヴィランズ (やや重い / DX11)
画質 | スコア / 平均FPS |
最高品質 | 2370 / 15.6 FPS |
高品質 | 3228 / 21.8 FPS |
標準品質 | 4174 / 28.7 FPS |
※1920×1080ドットの結果。平均60 FPS以上が快適に遊べる目安
ドラクエXベンチ (超軽い / DX9)
画質 | スコア / 評価 |
最高品質 | 7881 / とても快適 |
標準品質 | 10247 / すごく快適 |
低品質 | 11325 / すごく快適 |
※1920×1080ドットの結果
ハイパフォーマンスな13.3インチモバイル
よかった点
13.3インチのモバイルノートタイプPCとしては、キーボードのタイプ感に優れる点が魅力です。浅く打つ人にはちょっと重く感じるかもしれませんが、深いストロークのキーボードで高速に入力する人に向いています。
RyzenモバイルPROシリーズの高いパフォーマンスもポイント。2020年発売のモデルですが、Ryzen 5モデルで現行世代のCore i7のベンチマークスコアを大きく上回る点は見逃せません。高性能なモバイルノートPCとしておすすめします。
気になる点
ディスプレイの明るさと色合いがいまいちな点が気になります。またメモリーはオンボードで、増設に非対応である点も残念です。
そしてなにより、もう3ヵ月以上も販売停止中である点が最大の欠点だと思います。販売期間はわずか7ヵ月で、ある意味で幻の機種と言っていいかもしれません。ちなみに筆者の場合、納品に3ヵ月以上かかりました。パーツ不足で生産できないのかもしれませんが、次モデルではそのようなことがないようにしていただきたいものです。
ThinkPad X13 Gen1(AMD)
※2021年4月19日時点、現在は販売停止中
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