デル XPS 13 (9380)は、非常にコンパクトなモバイルノートPCです。大きさはA4用紙程度で、13.3インチの液晶ディスプレイを搭載するモデルとしては世界最小。さらに頑丈でバッテリー駆動時間が長い上に高性能で、外出先でのモバイル利用や自宅/職場での作業にも向いています。
XPS 13 (9380) の注目ポイント
超コンパクトなボディ
本体サイズはA4用紙程度で、13.3インチクラスとしては世界最小サイズ。コンパクトで扱いやすく、持ち運びや収納に手間がかかりません。
モバイルなのにパワフル!
CPUの性能を最大限に引き出す、優れた冷却機能が魅力。ほかの同クラス製品より重い処理を快適にこなせます。
XPS 13 (9380)の評価
総合評価: 4.1/5.0
(評者:こまめブログ)
デザイン | 世界最小クラスでコンパクト&スリム。アルミ製ボディは高品質 |
---|---|
性能 | ほかのモバイルPCに比べてパフォーマンスが高い。重い処理も快適 |
使いやすさ | キーボードや機能面も十分。USBはType-Cのみ |
軽さ | 重さは平均値クラスで特別軽いわけではない。そのぶん堅牢性は高い |
画面 | フルHD/4Kに対応。画面が明るく色鮮やか |
こんな人にオススメ
- 👍 小ささにこだわりたい
- 👍 本体は頑丈なほうがいい
- 👍 高性能なモバイルノートPCが欲しい
今回はメーカーからお借りしたXPS 13 (9380)の実機を使って、本体デザインや使い心地、ベンチマーク結果などをレビューします。
この記事の目次
- ▶スペック
- ▶価格
- ▶本体の大きさやデザイン
- ▶画面の色と見やすさ
- ▶キーボードの使いやすさ
- ▶端子類の種類と使いやすさ
- ▶ベンチマーク結果
- ▶まとめ
XPS 13 (9380)
税込11万円台から
XPS 13 (9380)のスペック
OS | Windows 10 Home Windows 10 Pro |
---|---|
CPU | Core i3-8145U Core i5-8265U Core i7-8565U |
メモリー | 4GB 8GB 16GB |
ストレージ | 128GB SSD 256GB SSD 512GB SSD ※SSDはPCIe (NVMe) |
グラフィックス | Intel UHD Graphics 620 |
ディスプレイ | 13.3インチ、 1920×1080ドット (タッチ非対応) 3840×2160ドット (タッチ対応)、 光沢 |
光学ドライブ | なし |
通信機能 | IEEE802.11a/b/g/n/ac、 Bluetooth 4.1 |
インターフェース | USB3.1 Gen2 (Type-C) ×1、 Thunderbolt 3 (USB Type-C) ×2、 microカードスロット、 ヘッドホン出力 |
セキュリティー | TPM2.0、 セキュリティースロット |
カメラ | 92万画素 |
サイズ | 幅302×奥行き199×高さ7.8~11.6mm |
重量 | 約1.23kg~ |
バッテリー駆動時間 | 最大21時間 (フルHDモデル) |
オフィス | ※搭載モデルあり |
サポート | メーカー保証1年間 |
※2019年3月7日時点。構成は変更される場合があります
XPS 13 (9380)の価格
XPS 13 (9380)には全部で15種類のモデルが用意されていますが、基本となるのは以下の5種類。あとはそれぞれにオフィスや延長保証サービスを加えたバリエーションモデルです。
XPS 13 (9380)のラインナップ
スタンダード | |
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11万円台~ | |
プレミアム | |
14万円台~ | |
プラチナ | |
14万円台後半~ | |
プラチナ・4Kタッチパネル | |
17万円台~ | |
プラチナハイエンド・4Kタッチパネル | |
19万円台~ |
※2019年3月7日時点
本体の大きさやデザイン
本体カラーは3種類。前モデルではプラチナシルバー&ブラックとローズゴールド&アークティックホワイトの2種類が用意されていましたが、新モデルのXPS 13 (9380)では新たにフロスト&アークティックホワイトのカラーが追加されました。なお本体カーラを選べるのはCore i7搭載のプラチナモデルのみです(2019年3月時点)。
今回試用したのは、フロスト&アークティックホワイトのモデルです。天板(液晶ディスプレイ背面)は白に近いとても明るいシルバーで、キーボード面はホワイトの組み合わせ。清潔感のあるさわやかな印象を受けました。デルのノートPCは黒か銀のカラーが多くどちらかと言えば無骨なイメージでしたが、フロスト&アークティックホワイトは見た目が軽やかで、いかにもなノートPC感がありません。
本体は非常にコンパクトです。A4用紙よりもわずかに小さい程度なので、普通のバッグに難なく収まります。高さは11.6mmと非常に薄いのですが、底面部のゴム足が少し高いため設置時にはやや厚みを感じました。
重さは1.23kgで、13.3インチタイプとしては標準的です。多少のズッシリ感はありますが、ストレスなく持ち運べるでしょう。ちなみにそれほど軽くないのは、ボディの素材としてねじれに強いアルミ素材が使われているため。最近は1kgを切るモバイルノートPCが増えてきていますが、XPS 13 (9380)はそれら超軽量タイプよりも頑丈な作りであるように感じます。
ノートPCの平均重量
画面サイズ | 平均重量 |
---|---|
11.6インチ | 1.06kg |
12.5インチ | 1.095kg |
13.3インチ | 1.209kg |
14インチ | 1.582kg |
15.6インチ (スタンダード) | 2.131kg |
15.6インチ (ゲーミング) | 2.413kg |
※2018年1月~12月に当サイトが検証したノートPC(2-in-1を含む) の実測値より
画面の色と見やすさ
液晶ディスプレイの大きさは13.3インチ。モバイルノートPCとしては、もっとも人気の高いサイズです。解像度は1920×1080ドットのフルHDと、3840×2160ドットの4Kの2種類が用意されています。
今回試用したのは4Kモデルで、映像が非常に精細かつ色鮮やかでした。サイズの大きい写真でも細かなディティールがつぶれることなく、鮮明に映し出されます。また画面も非常に明るく、光の強い場所でも見づらさを感じません。
XPS 13 (9380)の色域測定結果
sRGBカバー率 | 98.8% |
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sRGB比 | 105.5% |
Adobe RGBカバー率 | 75.4% |
Adobe RGB比 | 78.2% |
液晶ディスプレイの表面は、光沢ありのグレア仕上げです。光の映り込みはありますが、通常のグレアタイプよりも映り込みが若干抑えられています。表面に反射防止加工が施されているのかもしれません。
キーボードの使いやすさ
キーボードは若干クセがあるものの、モバイルノートPCとしては標準的で普通に使えます。標準では日本語配列ですが、購入時に英字配列を選択可能(追加料金なし)。キーボードバックライトにも対応しています。
キーボードのタイプ感は悪くありません。むしろ薄型モデルとしては、かなり優秀な部類です。キーストロークは1.5mm弱でノートPCの平均(1.5mm)よりもやや浅いものの、押下圧(キーボードを押し込む力)が若干強めなので、手応えはしっかりと感じられました。押下圧が低いモデルにありがちな、押した瞬間にスコッと抜けるような物足りなさはありません。
タイプ音は軽いタッチなら静かです。多少の音は聞こえるのですが、タイプ音が低い(低音)ので耳障りではありません。ただし強めに打つと、ドンドンと反響するような音が聞こえます。弱めのタッチを意識するといいでしょう。
タッチパッドは非常に反応がよく、使いやすいと評判のSurfaceシリーズやMacBookシリーズに近い感覚でした。表面はスベスベとしていて手触りは良好です。サイズも十分で、ストレスなく使えます。
端子類の種類と使いやすさ
インターフェース(端子類)は種類が少なめです。ただしUSB Type-C端子は周辺機器との接続や映像出力にも対応しているので、拡張性が低いわけではありません。Type-C対応機器がない場合は、別途USB Type-Cドックなどを利用するといいでしょう。
左側面のインターフェース
- ① microSDカードスロット
- ② USB3.1 Gen2 (Type-C)
- ③ 電源コネクター
右側面のインターフェース
- ① セキュリティースロット ※盗難防止用
- ② Thunderbolt 3 (USB Type-C)
- ③ バッテリー残量確認ボタン/ライト
XPS 13 (9380)のベンチマーク結果
ここからは、XPS 13 (9380)の性能について解説します。今回のテストで使ったのはプラチナハイエンド・4Kタッチパネルモデルで、主なスペックは以下のとおり。ベンチマーク結果はパーツ構成や環境、タイミング、個体差などさまざまな要因によって大きく変わることがあります。あらかじめご了承ください。
試用機のスペック
OS | Windows 10 Home |
---|---|
CPU | Core i7-8565U |
メモリー | 16GB |
ストレージ | 512GB SSD (PCIe) |
グラフィックス | Intel UHD Graphics 620 |
ストレージ性能
ストレージはPCIe接続のSSDで、HDDやSATA接続のSSDよりもはるかに高速です。ファイルのやり取りはもちろん、ウィンドウズやアプリケーションの起動も速く、PCをストレスなく利用できるでしょう。
試用機で使われていたのはSK hynixのPC401で、SSD側の転送規格はPCIe x3 4.0です。ということは、本体側もPCIe x3 4.0に対応しているということでしょう。なお個体によっては、異なるSSDが使われている可能性もあります。
ウィンドウズの起動時間は、平均14.32秒でした。これだけ速ければ、起動時間が遅くてイライラすることはないはずです。
起動時間の計測結果(手動による計測)
1回目 | 2回目 | 3回目 | 4回目 | 5回目 | 平均 |
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14.8秒 | 14.6秒 | 14.2秒 | 14.2秒 | 13.8秒 | 14.32秒 |
CPU性能
CPU性能を計測するベンチマークを試したところ、非常に優れた結果となりました。同じCore i7-8565Uを搭載するほかのモデルに比べて、13%も高いスコアが出ています。ちなみにこのスコアはゲーミングノートPC向けのCore i7-7700HQやCore i5-8300H、デスクトップPC向けのCore i7-7700と同等レベルです。
CPUベンチマーク結果
CPU | PassMark PerformanceTestのCPU Markスコア |
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XPS13 9380 (Core i7-8565U) |
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Core i7-8565U |
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Core i7-8550U |
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Core i5-8250U |
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Core i7-7500U |
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Core i3-8130U |
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Core i5-7200U |
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Core i3-7100U |
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※そのほかのベンチマーク結果は当サイト計測の平均値
ほかのモデルに比べてパフォーマンスが高いのは、本体内部の冷却性能に優れているためです。XPS 13 (9380)では空冷ファンをふたつ搭載するなどの熱設計 / 熱対策が施されており、熱によってCPUの性能が低下しにくい作りになっています。
実際にCPUに高い負荷をかけてクロック(動作周波数)と温度を計測したところ、CPUは最大99度に達したものの3.3GHzあたりの高クロック状態(高い性能を発揮できる状態)が長時間持続していました。一時的に2.5GHzあたりまで下がることがありますが、短時間で回復しています。このようにクロックの高い状態が長時間続くことが、パフォーマンスに高さにつながっているのです。
なおXPS 13 (9380)で利用可能な Core i3-8145UやCore i5-8265Uの性能については、上記グラフのCore i3-8130UおよびCore i5-8250Uを若干上回るものと思われます。
グラフィックス性能
XPS 13 (9380)ではグラフィックス機能としてCPU内蔵のIntel UHD Graphics 620を使います。CPU内蔵のグラフィックス機能(iGPU)としては高性能ですが、ゲーム向けの専用グラフィックス機能(dGPU)よりは性能が控えめです。
GPUの性能比較
GPU | 3DMark Fire Strikeのスコア |
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GTX 1050 |
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XPS 13 9380 (UHD620) |
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UHD 620 |
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※そのほかのGPUのベンチマーク結果は当サイト計測の平均値
ゲーム性能
3Dゲームについては、ドラクエ10などごく軽めのタイトルならプレー可能です。しかし高いグラフィックス機能を必要とする中量級/重量級のタイトルは厳しいでしょう。「League of Legends」などの2D描画主体としたゲームについては、CPUがCore i5/i7であれば快適に楽しめるはずです。
ゲーム系ベンチマーク結果
FF14:紅蓮のリベレーター(DX11) ※中量級
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1980×1080 | 最高品質 | 1191(設定変更が必要) ※7.329 FPS |
高品質(ノートPC) | 1823(設定変更を推奨) ※11.785 FPS | |
標準品質(ノートPC) | 2689(やや快適) ※17.811 FPS | |
ドラゴンクエストX(DX9) ※軽量級
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1920×1080 | 最高品質 | 5554(快適) |
標準品質 | 7206(とても快適) | |
低品質 | 9094(とても快適) |
※FF14は平均60FPS以上が理想
バッテリー性能
バッテリー駆動時間の公称値は最大21時間です。ただしこれは、液晶ディスプレイがフルHDの場合。4Kではバッテリー消費量が大きいため、フルHDよりも駆動時間は短縮されます。
実際の駆動時間を計測したところ、消費電力の少ないテストで8時間50分という結果でした。バッテリー消費の大きいテストではおよそ5時間半でしたので、実際のところは6~7時間程度と考えたほうがいいかもしれません。駆動時間の長さを重視するなら、フルHDモデルをおすすめします。
バッテリー駆動時間のテスト結果
公称値 | ※非公開 |
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BBenchによる計測 | 8時間50分 |
PCMark 8による計測 | 5時間27分 |
※テストの条件や計測方法についてはコチラ
騒音と表面温度
駆動音(ファンの回転音や通気口からの排気音)は控えめです。高い負荷の状態でもまったく気になりませんでした。静かな場所でも、気兼ねなく使えます。
駆動音の計測結果(室温22℃)
電源オフ | 36.9dBA | - |
---|---|---|
待機中 | 39.6dBA | ファンの音がわずかに聞こえる |
高負荷時 | 41dBA | ファンの音がはっきりと聞こえるがうるさくはない |
表面温度については、かなり高めです。特に底面部は高負荷時に50℃を超えるため、ひざの上で使っていると低温やけどの可能性があります。ひざ上に載せて使う場合は、文書作成やネット/資料の確認など軽めの作業にとどめておきましょう。
表面温度(室温22℃)
キーボード面 | 底面 |
---|---|
最大54.2℃ | 最大52.4℃ |
サイズとパフォーマンスに優れるモバイルノートPC
ということで、今回はXPS 13 (9380)のレビューをお届けしました。
実際に手で持ってみるとわかるのですが、とにかくサイズが本当に小さいんです。コンパクトにまとまって見た目がいいというだけじゃなく、設置場所を取らないですとか、収納しやすいというメリットもあるんですね。ボディは頑丈なアルミ製なので、持ち運びにも向いています。
これだけ小さいのに、ほかのモバイルノートPCよりもパワフルという点にもビックリです。日常的に使うならCore i5搭載モデル、がっつり使うならCore i7搭載モデルがおすすめ。特にCore i7+16GBメモリーのモデルなら、写真の現像や高度なデータ処理などにも活用できるでしょう。
このようにXPS 13 (9380)はすべての面において完成度が高く、高いレベルでバランスが取れています。パフォーマンスと携帯性、デザインに妥協したくない人におすすめです。